CCR感想 ― 2015年09月21日 09:09
CCR感想(画像はガイドの臼倉さん)
CCR(ポセイドンのセブン)で12本潜ったので、再三書いているメリットデメリットについて、改めて書いてみたい。
まずは、直球勝負で、お値段から。
石垣島のUmiMottoさんでは、1日3本潜って3万円(税抜き)。
これには、ボート代、昼食代、スクラバー、酸素、ディリュエント、ベイルアウト用タンクが含まれる。
その他の消耗品としては、ほぼ年に1回交換が必要になる酸素センサーがあるが、我が国では実売2万円近くと、かなり割高である。
それを、2個交換するのだが、今回は交換しなかった。
これを、通常のオープンサーキット(エア)と比較すると、1.5倍以上になる(コスト的な違いは、スクラバー代だな)。
ボート3本で、19980円(税込み)となっている。
(ファンダイビング)
http://umimotto.aegis-group.co.jp/diving.html
エンリッチド・エアを使った場合は、1080円プラスになるが、それでも乖離は大きい。
だが、現実のランニングコストの差は、せいぜいこんなもんである。
イニシャルコストは、ベラボーに違うが、実際に楽しめるようになれば、現実的な値段でCCRダイビングを行うことが出来る。
これは、おんぶにだっこのサービスの場合だが、酸素やソフノダイブ(スクラバー)を自分で調達できて、セルフダイビングで潜らせてくれるゲレンデがあれば、コストは下がる。
それが楽しいかどうかは別にして、潜ることは出来る。
浮沈子は、殆ど介護ダイビング(殿様ダイビングの更に上!)に近いフルサービスの方がいいな。
ベイルアウト用の40cf(キュービックフィート)タンクを持ち込まなければならないが、サイドマウントのノウハウを駆使して、ストリームラインを作ることが出来れば、遊泳時の抵抗は殆ど感じない。
浮沈子は左側に付けているんだが、別に抵抗になって、進路が左に偏るということはない。
エントリー、エキジットの際に、それを水中で付けたり外したりするのに若干時間を食うが、慣れれば潜行中に付けられる。
6mでバブルチェックを行う時点では、装着完了なので、特にネガティブな要素ではない。
エキジットの際も、途中で外してラダーを上がる前にボートスタッフか、水中でガイドに渡してしまう。
渡した途端に浮力が変化する(概ね、軽くなる)ので、水中の場合はBCやカウンターラングの容積を調整しなければならない。
浅い水中なので、そこは注意が必要だな。
後は、船上での絶対的な重さだが、ポセイドンユニットは、スチールタンク10リットルの装備と同等のはずなので問題ではない・・・。
と、書きたいところなんだが、浮沈子の場合、タンクを倒立にしていることもあって、トリムを調整するために上の方に2kgのウエイトを付けている。
その分は、確実に重くなっているし、マーク6と比べて、倒立にするためのマニフォールドの分も重い。
まあ、正立のマーク6に比べてやや重い程度だ。
CCRの軽量化が、今後どれだけ進むか分からないが、スクラバーの量を減らすか、樹脂製のファーストステージを採用するか、樹脂製のタンクを使用するなどしていくしかあるまい。
ヘッドユニットの重さも改善の余地があるな。
まあいい。
CCRは、重い!。
これは否定しない。
水中では中性浮力に近くなければならないので、小型化と軽量化は正の相関関係である。
さて、他にも何かネガな点があるんだろうか?。
コスト、コンフィギュレーション、重量・・・。
そうそう、まだ、どこのゲレンデでも潜れるというわけではない。
限られた場所でしか潜れない。
酸素の調達も、いろいろややっこしい話があるようだ。
その辺りは、追い追い調べて行こうと思っている。
高圧則が改訂になったからといって、手の平を返したように、簡単に手に入るようになったわけではない。
助燃ガスとして、厳重な管理のもとに取り扱う必要があり、その規制が変わったわけではないからだ。
ソフノダイブ(純正スクラバーの商品名)にしても、地域によっては入手できない(ロタとかあ?)。
航空機での輸送が認められないという話も聞いた。
船便で送るしかないのだ。
それは、タンクについても同じである。
航空会社によっては、バルブを外せば認めることもあるらしいが、我が国の航空会社は不勉強なので、ダイビング用タンクを運ぶということ自体を、一切拒否している。
まあ、タンクについては、充填や法規制のこともあるので、現地のタンクを利用するというのが筋だし、CCRに限った話ではない。
酸素タンクについては、樹脂製のものもあるという話を聞いた(どうやら、航空機ではこべるらしい)。
ディリュエントタンクは、マニフォールドを付け、ファーストステージが1つになってしまうことを受け入れられれば、例えばベイルアウト用タンクと兼ねて40cfのアウトボードタンクを使用することが出来る。
その構成で、CCRが成立することは、浮沈子がインスピレーションのサイドマウント化を試みた際に実証済みである。
とりあえず、エアディリュエントでは、問題はなかった。
まあ、そんな奇策を弄さなくても、限られた場所でのダイビングに甘んじればいい。
とにかく、そういう制約はある。
ネガティブファクターには違いない。
今回、敢えて、CCRを百叩きしているのは、決してCCRのことを批判するためではない。
ネガティブな要素をしっかり分かってもらったうえで、積極的に選択するだけのメリットがあると考えるための情報を整理しておきたいからだ。
その観点からは、もちろん、CCRという器材特有の潜在的なリスクがあるという点は、言うまでもない。
呼吸ガスを循環させることによるネガだ。
普通のオープンサーキットでは、タンクの中のガスが変わるということはない。
ガスが無くなれば、もちろん呼吸は出来なくなるが、そこを管理していればいい(詰めたガスの管理は必要ですが)。
CCRは、二酸化炭素を除去して酸素を足す仕掛けだ。
そうして作られた呼吸ガスが、回路の中をぐるぐる回っている。
たとえ二酸化炭素が除去されなくなっても、酸素が足りなかったり、逆に過剰に足されても呼吸できてしまう!。
本質的に、ヤバイ器材なのだ。
だからそれに対処するために、スペシャルティ(?)として、通常のダイビングのスキルに加えて、トレーニングを行う。
それでも、PADIは、ビジネス的にはリスキーだと感じているようだな。
積極的に展開しようという雰囲気ではない。
市場が広がった時に、隠れた瑕疵(?)が表面化するのを警戒しているようだ。
どれ程トレーニングを積んだとしても、一般のダイバーが使うということになれば、従来のCCRユーザー層であるテクニカルダイバーよりもスキル的には劣るわけで、タイプRの企画を作ってリスクコントロールを図ったとしても、一定程度の事故は発生し、それが元でビジネス的に引き合わなくなるのではないかと危惧しているわけだ。
本当は、リスクを受忍限度内に封じ込められる自信がないので、積極的な展開を躊躇っているようにも見える(浮沈子の個人的な感想ですが)。
本音は、しまった!、と思ってるんじゃなかろうか?。
タイプRなんて、リリースすんじゃなかったと・・・(!)。
しかし、時既に遅く、世界中にCCRのインストラクターが生まれ、ダイバーが増えて、タイプRというある意味では欠陥商品のCCRを使って、怪しげなダイビング(何かあったらベイルアウト!)を始めてしまったわけだ。
まあ、PADIが当初目論んでいたほどは売れていないというのが、むしろ救いなのかもしれない。
しかし、そんなことは末端のCCRダイバーの知ったことではない(!)。
PADIのビジネスを成功させるために、CCRをやるわけじゃないんだ(!!)。
じゃあ、PADIのリブリーザーコースは、欠陥商品なのか?(マジヤバ?)。
シビアな質問だな。
これから、PADIのリブリーザー・インストラクターを目指そうとしている浮沈子にとっても、無視できない命題だ。
器材メーカーとの責任分界点を明確にし、指導団体としての立場を守ることを鮮明にしているマニュアルには、確かに法的な欠陥はないのかもしれないし、他の指導団体と同様に、器材毎の認可をしている点についても合理性がある。
だが、その特定の器材に習熟し、達成条件を満たせばPADIのカードを出すわけで、少なくともビジネス上のリスクは避けられない。
そう、CCRのカード持ちが事故を起こせば、たとえメーカーの器材に瑕疵があったとしても、「PADIダイバー」の事故になる。
そして、インストラクションに問題がなかったかが、徹底的に問われる。
ヤバイ話だ。
テキスト(英語版)を読むと、器材メーカーとの責任の切り分けに、かなり神経質になっていることが分かる(気のせいかな?)。
しかし、考えてみれば、それはどんなコースであっても同じだ。
CCRだけが、特に異常に高いリスクを負っているわけではないだろう。
いや、特性上、器材のトラブルに気づきにくいということ、環境に影響されやすい電子機器の故障が頻発するということは事実としてある。
だが、電子機器のトラブルは、徐々に改善されているはずだし(たぶん)、リブリーザー特有のリスク(ヤバイガスでも、呼吸できてしまう!)についても、様々な対策(例えば、二酸化炭素センサー)がとられてきつつある(ポセイドンにはないけどな)。
その意味では、発展途上ともいえるし、改善の余地があるわけで、今後に期待だな。
じゃあ、いつになったらCCRを始めるべきなのか、安心して使えるようになるのか。
その答えは、ダイバーがその気になった時、としか言いようがない。
イントラは、それ以前のCCRで苦労してきて、インスピレーションが出た時に飛びついたし、浮沈子は、そのインスピでさえ苦労してきて、セブンが出た時に飛びついた。
そういうものだ。
パソコンを買うのと一緒だな。
生鮮食料品と同じで、どんどん新しいものが出てきて、いつ買ったらいいか分からなくなる。
もちろん、後発品の方がいいとは限らないが、概ねそれは正しい。
コスパも良くなる。
メーカーも、当然、ジャンジャン売りたいわけだから、様々なアップグレードパスを用意している。
それがリーズナブルなものであれば利用した方がいいし、法外ならば、泣く泣く他のメーカーの機種に買い替えるか、従来品を使い続けるしかない。
まあ、新しいのを買って、2台持ちという手もあるしな。
予備機として考えれば、悪い選択ではない。
メンテナンスは行わなければならないし(車検みたいなもんです)、その間潜らなくてもいいなら別だが、我慢できなくなれば潜らざるを得ないだろう。
もっと、酸素を!。
いろいろ書いたが、器材とトレーニングの件については、もっと突っ込んだ議論が必要だ。
運用範囲とトレーニングがマッチングしているのか、タイプRの機能制限は妥当なのか。
指導経験豊かなメンバー(他の指導団体から引っこ抜いたりしたのも含めて)が決めたんだから、しかも、ある程度の規模で試験運用して見極めてからリリースしてるんだろうから、俄かインストラクターの出る幕ではないんだろうが、浮沈子的にも疑問に感じる点はある。
現に、インスピのタイプRにはディリュエントのマニュアルインフレーターが付いているのに、ポセイドンにはそれがない。
浮沈子は、これに対する合理的な説明を聞いたことはない(知らないだけかも)。
ポセイドンはADV(オートディリュエントバルブ)の故障時に、どう対応するのだろう?。
まあ、そんときゃベイルアウト浮上ということになっているので、マニュアルで加圧する必要はないという理屈はあるんだろう。
浮沈子的には、SCR運用も教えた方がいいと思うんだが、PADIは不要だと判断している。
教える方は楽でいいが、そもそもディリュエント側のマニュアルインフレーターがないポセイドンでは、教えようがない。
だが、サバイバルのためには、リブリーザーの特性を如何なく発揮するもってこいのスキルだ。
他にも細かい点で疑問はあるが、総じて、PADIの指導内容は標準的で平易だ。
切り札は、「何かあったらベイルアウト」である。
そのために、マウスピースを咥えなおすことなく、CC(クローズドサーキット)からOC(オープンサーキット)に切り替えられなければならないという仕様だ。
まあ、これはこれで有難いんだが、コンベンショナルなインスピのマウスピース(OCのセカンドなんて、付いてません)に慣れた浮沈子にとっては、いろいろゴチャゴチャしているセブンのマウスピースは複雑過ぎる。
セカンドステージを内蔵しているわけで、脆弱だと評判のポセイドン製なだけに、いきなりフリーフローしたらどーしよーとか心配なわけだ。
だから、18m未満で、運用上はオフボード持ってかなくてもいい深度でも、ほぼ必ず携行する。
まあ、そのセカンドがポセイドンだったりすると、不安の二乗になるんだがな。
ここまで、CCRのネガティブポイントを、結構細かく突いてきた。
まだまだ挙げればキリがないが、それは追々書くとして、今回のダイビングで感じたポジティブな点をいくつか。
まず、基本的には、オフボードでベイルアウトガスを持って入っているというのは、かなり安心だということ。
もちろん、オンボードのディリュエントだけでも、浮沈子のカウンターラングはテック仕様なのでSCR運用をして浮上することは出来るし、何ならベイルアウト用のオフボードをマニュアルインフレーターに繋いでSCR運用することも可能だ(OCの1本分以上、潜れてしまうがな)。
さらに、イザという時には、ガイドのオフボードも当てにできる(って、そんなことでいいのかあ?)。
もう一つは、前にも書いたが、オビテンスモドキの幼魚を見ていた時に、これぞという獲物(?)を飽きるまで観察できるというメリットがあることも分かった。
NDLの長さが成せる業なのだが、もちろんガス持ちの良さとも相まっている。
エンリッチド・エアの2本差しと比べてどうよ?、という話はあるし、さらに減圧込みで、純酸素持って加速減圧する3本持ちなら、同等じゃね?、という議論はある。
コスパも高いしな。
それは、減圧停止やガスマネージメントを人間が誤りなく行うことが出来るという、麗しき前提に立っていることを忘れてはならない。
テクニカルレベルの話を、レクリエーショナルのダイビングに持ち込むというのは、PADIの新たな戦略(テックレックとかいうヤツ)だが、それならテック40CCRとか、テック60CCRとかと比較しなければ不公平じゃね?。
まあ、どうでもいいんですが。
とにかく、石垣界隈のダイビングでも、そのメリットは十分に発揮されたと言える。
後は、ヘリウムさえあれば無敵なんだがな。
それは今後の課題として、たぶんオープンサーキットのお客さんには見せられないものを、たくさん見ることが出来たと思われる。
浮沈子よりも、ガイドの方が興奮してたりするので、それを見るのも面白い(メタマクロ(マクロ見てるガイドを見る)だな。
さらには、魚に寄れる(というより、向こうから寄って来る)という、いつものパターンも経験した。
そんなこんなで、CCRはやっぱいいな。
静かだし、疲れないし(余り深度変化がなければ)。
浮沈子は、これ(CCR)しかないと思ってるし、この器材を保守的に使えば、様々なメリットを引き出せると感じている。
ロングダイブ、ディープダイブ、マクロ張り付きダイブ、エトセエトセ・・・。
CCRって、何がそんなにいいの?。
この質問には、こう答えるしかない。
オープンサーキットとは、質が違うダイビングが体験できると。
オートディリュエントバルブの作動音を聞きながら、一気に30mオーバーの深みに潜って行くときの興奮!(ちゃんとBCにも給気して、浮力コントロールしてね)。
滞底して、一定の深度でゆったりと泳ぎながら、酸素を供給するソレノイドバルブの断続音と、5分に1回のキャリブレーション攻撃をやり過ごしながらの穏やかな時間・・・。
浮上して深度を少しずつ上げながら、呼吸回路の容積とBCの浮力をコントロールして中性浮力を維持する正念場!。
エキジットの後の充実感。
濃い酸素を吸った後の爽快感は、病みつきになる(って、依存症じゃね?)。
12ダイブのCCRが終わって、しばらくは石垣で潜ることはないかもしれない(次は来年?)。
その間、少なくともグアムでは潜ることになるだろう(たぶん)。
サイレントダイビングが続く。
まあ、それに慣れると、ソレノイドバルブからの給気音が、結構うるさいんだがな。
魚が逃げないとかいってガイドさんは興奮してるが、慣れてくると、魚とはそういうもんだと錯覚することになる。
CCRダイバーの、それが新たな悩みかもしれない。
そういうもんだと・・・。
それが、当たり前なんだと・・・。
贅沢な、あまりにも贅沢過ぎる悩みだな。
もう、オープンサーキットに戻れなくなりそうな、充実した今回の石垣ダイビングだった。
CCR(ポセイドンのセブン)で12本潜ったので、再三書いているメリットデメリットについて、改めて書いてみたい。
まずは、直球勝負で、お値段から。
石垣島のUmiMottoさんでは、1日3本潜って3万円(税抜き)。
これには、ボート代、昼食代、スクラバー、酸素、ディリュエント、ベイルアウト用タンクが含まれる。
その他の消耗品としては、ほぼ年に1回交換が必要になる酸素センサーがあるが、我が国では実売2万円近くと、かなり割高である。
それを、2個交換するのだが、今回は交換しなかった。
これを、通常のオープンサーキット(エア)と比較すると、1.5倍以上になる(コスト的な違いは、スクラバー代だな)。
ボート3本で、19980円(税込み)となっている。
(ファンダイビング)
http://umimotto.aegis-group.co.jp/diving.html
エンリッチド・エアを使った場合は、1080円プラスになるが、それでも乖離は大きい。
だが、現実のランニングコストの差は、せいぜいこんなもんである。
イニシャルコストは、ベラボーに違うが、実際に楽しめるようになれば、現実的な値段でCCRダイビングを行うことが出来る。
これは、おんぶにだっこのサービスの場合だが、酸素やソフノダイブ(スクラバー)を自分で調達できて、セルフダイビングで潜らせてくれるゲレンデがあれば、コストは下がる。
それが楽しいかどうかは別にして、潜ることは出来る。
浮沈子は、殆ど介護ダイビング(殿様ダイビングの更に上!)に近いフルサービスの方がいいな。
ベイルアウト用の40cf(キュービックフィート)タンクを持ち込まなければならないが、サイドマウントのノウハウを駆使して、ストリームラインを作ることが出来れば、遊泳時の抵抗は殆ど感じない。
浮沈子は左側に付けているんだが、別に抵抗になって、進路が左に偏るということはない。
エントリー、エキジットの際に、それを水中で付けたり外したりするのに若干時間を食うが、慣れれば潜行中に付けられる。
6mでバブルチェックを行う時点では、装着完了なので、特にネガティブな要素ではない。
エキジットの際も、途中で外してラダーを上がる前にボートスタッフか、水中でガイドに渡してしまう。
渡した途端に浮力が変化する(概ね、軽くなる)ので、水中の場合はBCやカウンターラングの容積を調整しなければならない。
浅い水中なので、そこは注意が必要だな。
後は、船上での絶対的な重さだが、ポセイドンユニットは、スチールタンク10リットルの装備と同等のはずなので問題ではない・・・。
と、書きたいところなんだが、浮沈子の場合、タンクを倒立にしていることもあって、トリムを調整するために上の方に2kgのウエイトを付けている。
その分は、確実に重くなっているし、マーク6と比べて、倒立にするためのマニフォールドの分も重い。
まあ、正立のマーク6に比べてやや重い程度だ。
CCRの軽量化が、今後どれだけ進むか分からないが、スクラバーの量を減らすか、樹脂製のファーストステージを採用するか、樹脂製のタンクを使用するなどしていくしかあるまい。
ヘッドユニットの重さも改善の余地があるな。
まあいい。
CCRは、重い!。
これは否定しない。
水中では中性浮力に近くなければならないので、小型化と軽量化は正の相関関係である。
さて、他にも何かネガな点があるんだろうか?。
コスト、コンフィギュレーション、重量・・・。
そうそう、まだ、どこのゲレンデでも潜れるというわけではない。
限られた場所でしか潜れない。
酸素の調達も、いろいろややっこしい話があるようだ。
その辺りは、追い追い調べて行こうと思っている。
高圧則が改訂になったからといって、手の平を返したように、簡単に手に入るようになったわけではない。
助燃ガスとして、厳重な管理のもとに取り扱う必要があり、その規制が変わったわけではないからだ。
ソフノダイブ(純正スクラバーの商品名)にしても、地域によっては入手できない(ロタとかあ?)。
航空機での輸送が認められないという話も聞いた。
船便で送るしかないのだ。
それは、タンクについても同じである。
航空会社によっては、バルブを外せば認めることもあるらしいが、我が国の航空会社は不勉強なので、ダイビング用タンクを運ぶということ自体を、一切拒否している。
まあ、タンクについては、充填や法規制のこともあるので、現地のタンクを利用するというのが筋だし、CCRに限った話ではない。
酸素タンクについては、樹脂製のものもあるという話を聞いた(どうやら、航空機ではこべるらしい)。
ディリュエントタンクは、マニフォールドを付け、ファーストステージが1つになってしまうことを受け入れられれば、例えばベイルアウト用タンクと兼ねて40cfのアウトボードタンクを使用することが出来る。
その構成で、CCRが成立することは、浮沈子がインスピレーションのサイドマウント化を試みた際に実証済みである。
とりあえず、エアディリュエントでは、問題はなかった。
まあ、そんな奇策を弄さなくても、限られた場所でのダイビングに甘んじればいい。
とにかく、そういう制約はある。
ネガティブファクターには違いない。
今回、敢えて、CCRを百叩きしているのは、決してCCRのことを批判するためではない。
ネガティブな要素をしっかり分かってもらったうえで、積極的に選択するだけのメリットがあると考えるための情報を整理しておきたいからだ。
その観点からは、もちろん、CCRという器材特有の潜在的なリスクがあるという点は、言うまでもない。
呼吸ガスを循環させることによるネガだ。
普通のオープンサーキットでは、タンクの中のガスが変わるということはない。
ガスが無くなれば、もちろん呼吸は出来なくなるが、そこを管理していればいい(詰めたガスの管理は必要ですが)。
CCRは、二酸化炭素を除去して酸素を足す仕掛けだ。
そうして作られた呼吸ガスが、回路の中をぐるぐる回っている。
たとえ二酸化炭素が除去されなくなっても、酸素が足りなかったり、逆に過剰に足されても呼吸できてしまう!。
本質的に、ヤバイ器材なのだ。
だからそれに対処するために、スペシャルティ(?)として、通常のダイビングのスキルに加えて、トレーニングを行う。
それでも、PADIは、ビジネス的にはリスキーだと感じているようだな。
積極的に展開しようという雰囲気ではない。
市場が広がった時に、隠れた瑕疵(?)が表面化するのを警戒しているようだ。
どれ程トレーニングを積んだとしても、一般のダイバーが使うということになれば、従来のCCRユーザー層であるテクニカルダイバーよりもスキル的には劣るわけで、タイプRの企画を作ってリスクコントロールを図ったとしても、一定程度の事故は発生し、それが元でビジネス的に引き合わなくなるのではないかと危惧しているわけだ。
本当は、リスクを受忍限度内に封じ込められる自信がないので、積極的な展開を躊躇っているようにも見える(浮沈子の個人的な感想ですが)。
本音は、しまった!、と思ってるんじゃなかろうか?。
タイプRなんて、リリースすんじゃなかったと・・・(!)。
しかし、時既に遅く、世界中にCCRのインストラクターが生まれ、ダイバーが増えて、タイプRというある意味では欠陥商品のCCRを使って、怪しげなダイビング(何かあったらベイルアウト!)を始めてしまったわけだ。
まあ、PADIが当初目論んでいたほどは売れていないというのが、むしろ救いなのかもしれない。
しかし、そんなことは末端のCCRダイバーの知ったことではない(!)。
PADIのビジネスを成功させるために、CCRをやるわけじゃないんだ(!!)。
じゃあ、PADIのリブリーザーコースは、欠陥商品なのか?(マジヤバ?)。
シビアな質問だな。
これから、PADIのリブリーザー・インストラクターを目指そうとしている浮沈子にとっても、無視できない命題だ。
器材メーカーとの責任分界点を明確にし、指導団体としての立場を守ることを鮮明にしているマニュアルには、確かに法的な欠陥はないのかもしれないし、他の指導団体と同様に、器材毎の認可をしている点についても合理性がある。
だが、その特定の器材に習熟し、達成条件を満たせばPADIのカードを出すわけで、少なくともビジネス上のリスクは避けられない。
そう、CCRのカード持ちが事故を起こせば、たとえメーカーの器材に瑕疵があったとしても、「PADIダイバー」の事故になる。
そして、インストラクションに問題がなかったかが、徹底的に問われる。
ヤバイ話だ。
テキスト(英語版)を読むと、器材メーカーとの責任の切り分けに、かなり神経質になっていることが分かる(気のせいかな?)。
しかし、考えてみれば、それはどんなコースであっても同じだ。
CCRだけが、特に異常に高いリスクを負っているわけではないだろう。
いや、特性上、器材のトラブルに気づきにくいということ、環境に影響されやすい電子機器の故障が頻発するということは事実としてある。
だが、電子機器のトラブルは、徐々に改善されているはずだし(たぶん)、リブリーザー特有のリスク(ヤバイガスでも、呼吸できてしまう!)についても、様々な対策(例えば、二酸化炭素センサー)がとられてきつつある(ポセイドンにはないけどな)。
その意味では、発展途上ともいえるし、改善の余地があるわけで、今後に期待だな。
じゃあ、いつになったらCCRを始めるべきなのか、安心して使えるようになるのか。
その答えは、ダイバーがその気になった時、としか言いようがない。
イントラは、それ以前のCCRで苦労してきて、インスピレーションが出た時に飛びついたし、浮沈子は、そのインスピでさえ苦労してきて、セブンが出た時に飛びついた。
そういうものだ。
パソコンを買うのと一緒だな。
生鮮食料品と同じで、どんどん新しいものが出てきて、いつ買ったらいいか分からなくなる。
もちろん、後発品の方がいいとは限らないが、概ねそれは正しい。
コスパも良くなる。
メーカーも、当然、ジャンジャン売りたいわけだから、様々なアップグレードパスを用意している。
それがリーズナブルなものであれば利用した方がいいし、法外ならば、泣く泣く他のメーカーの機種に買い替えるか、従来品を使い続けるしかない。
まあ、新しいのを買って、2台持ちという手もあるしな。
予備機として考えれば、悪い選択ではない。
メンテナンスは行わなければならないし(車検みたいなもんです)、その間潜らなくてもいいなら別だが、我慢できなくなれば潜らざるを得ないだろう。
もっと、酸素を!。
いろいろ書いたが、器材とトレーニングの件については、もっと突っ込んだ議論が必要だ。
運用範囲とトレーニングがマッチングしているのか、タイプRの機能制限は妥当なのか。
指導経験豊かなメンバー(他の指導団体から引っこ抜いたりしたのも含めて)が決めたんだから、しかも、ある程度の規模で試験運用して見極めてからリリースしてるんだろうから、俄かインストラクターの出る幕ではないんだろうが、浮沈子的にも疑問に感じる点はある。
現に、インスピのタイプRにはディリュエントのマニュアルインフレーターが付いているのに、ポセイドンにはそれがない。
浮沈子は、これに対する合理的な説明を聞いたことはない(知らないだけかも)。
ポセイドンはADV(オートディリュエントバルブ)の故障時に、どう対応するのだろう?。
まあ、そんときゃベイルアウト浮上ということになっているので、マニュアルで加圧する必要はないという理屈はあるんだろう。
浮沈子的には、SCR運用も教えた方がいいと思うんだが、PADIは不要だと判断している。
教える方は楽でいいが、そもそもディリュエント側のマニュアルインフレーターがないポセイドンでは、教えようがない。
だが、サバイバルのためには、リブリーザーの特性を如何なく発揮するもってこいのスキルだ。
他にも細かい点で疑問はあるが、総じて、PADIの指導内容は標準的で平易だ。
切り札は、「何かあったらベイルアウト」である。
そのために、マウスピースを咥えなおすことなく、CC(クローズドサーキット)からOC(オープンサーキット)に切り替えられなければならないという仕様だ。
まあ、これはこれで有難いんだが、コンベンショナルなインスピのマウスピース(OCのセカンドなんて、付いてません)に慣れた浮沈子にとっては、いろいろゴチャゴチャしているセブンのマウスピースは複雑過ぎる。
セカンドステージを内蔵しているわけで、脆弱だと評判のポセイドン製なだけに、いきなりフリーフローしたらどーしよーとか心配なわけだ。
だから、18m未満で、運用上はオフボード持ってかなくてもいい深度でも、ほぼ必ず携行する。
まあ、そのセカンドがポセイドンだったりすると、不安の二乗になるんだがな。
ここまで、CCRのネガティブポイントを、結構細かく突いてきた。
まだまだ挙げればキリがないが、それは追々書くとして、今回のダイビングで感じたポジティブな点をいくつか。
まず、基本的には、オフボードでベイルアウトガスを持って入っているというのは、かなり安心だということ。
もちろん、オンボードのディリュエントだけでも、浮沈子のカウンターラングはテック仕様なのでSCR運用をして浮上することは出来るし、何ならベイルアウト用のオフボードをマニュアルインフレーターに繋いでSCR運用することも可能だ(OCの1本分以上、潜れてしまうがな)。
さらに、イザという時には、ガイドのオフボードも当てにできる(って、そんなことでいいのかあ?)。
もう一つは、前にも書いたが、オビテンスモドキの幼魚を見ていた時に、これぞという獲物(?)を飽きるまで観察できるというメリットがあることも分かった。
NDLの長さが成せる業なのだが、もちろんガス持ちの良さとも相まっている。
エンリッチド・エアの2本差しと比べてどうよ?、という話はあるし、さらに減圧込みで、純酸素持って加速減圧する3本持ちなら、同等じゃね?、という議論はある。
コスパも高いしな。
それは、減圧停止やガスマネージメントを人間が誤りなく行うことが出来るという、麗しき前提に立っていることを忘れてはならない。
テクニカルレベルの話を、レクリエーショナルのダイビングに持ち込むというのは、PADIの新たな戦略(テックレックとかいうヤツ)だが、それならテック40CCRとか、テック60CCRとかと比較しなければ不公平じゃね?。
まあ、どうでもいいんですが。
とにかく、石垣界隈のダイビングでも、そのメリットは十分に発揮されたと言える。
後は、ヘリウムさえあれば無敵なんだがな。
それは今後の課題として、たぶんオープンサーキットのお客さんには見せられないものを、たくさん見ることが出来たと思われる。
浮沈子よりも、ガイドの方が興奮してたりするので、それを見るのも面白い(メタマクロ(マクロ見てるガイドを見る)だな。
さらには、魚に寄れる(というより、向こうから寄って来る)という、いつものパターンも経験した。
そんなこんなで、CCRはやっぱいいな。
静かだし、疲れないし(余り深度変化がなければ)。
浮沈子は、これ(CCR)しかないと思ってるし、この器材を保守的に使えば、様々なメリットを引き出せると感じている。
ロングダイブ、ディープダイブ、マクロ張り付きダイブ、エトセエトセ・・・。
CCRって、何がそんなにいいの?。
この質問には、こう答えるしかない。
オープンサーキットとは、質が違うダイビングが体験できると。
オートディリュエントバルブの作動音を聞きながら、一気に30mオーバーの深みに潜って行くときの興奮!(ちゃんとBCにも給気して、浮力コントロールしてね)。
滞底して、一定の深度でゆったりと泳ぎながら、酸素を供給するソレノイドバルブの断続音と、5分に1回のキャリブレーション攻撃をやり過ごしながらの穏やかな時間・・・。
浮上して深度を少しずつ上げながら、呼吸回路の容積とBCの浮力をコントロールして中性浮力を維持する正念場!。
エキジットの後の充実感。
濃い酸素を吸った後の爽快感は、病みつきになる(って、依存症じゃね?)。
12ダイブのCCRが終わって、しばらくは石垣で潜ることはないかもしれない(次は来年?)。
その間、少なくともグアムでは潜ることになるだろう(たぶん)。
サイレントダイビングが続く。
まあ、それに慣れると、ソレノイドバルブからの給気音が、結構うるさいんだがな。
魚が逃げないとかいってガイドさんは興奮してるが、慣れてくると、魚とはそういうもんだと錯覚することになる。
CCRダイバーの、それが新たな悩みかもしれない。
そういうもんだと・・・。
それが、当たり前なんだと・・・。
贅沢な、あまりにも贅沢過ぎる悩みだな。
もう、オープンサーキットに戻れなくなりそうな、充実した今回の石垣ダイビングだった。
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