加速器の安全性2016年09月21日 00:45

加速器の安全性
加速器の安全性



もちろん、加速器も事故を起こしている。

(大型ハドロン衝突型加速器:事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E3%83%8F%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%B3%E8%A1%9D%E7%AA%81%E5%9E%8B%E5%8A%A0%E9%80%9F%E5%99%A8#.E4.BA.8B.E6.95.85

「2008年9月20日 - 電気系統の欠陥による大電流で装置の一部が溶けて大量のヘリウムが漏洩」

ああ、もったいない!。

(CERN事故解明へ)
http://www.swissinfo.ch/jpn/cern%E4%BA%8B%E6%95%85%E8%A7%A3%E6%98%8E%E3%81%B8/757604

「マグネットを繋ぐ、電流コイルのケーブル結線部の繋ぎ方がたった1カ所うまく行なわれていなかった。約8000ある結線部中のたった1つが原因」

「陽子ビームが加速され、高エネルギーになった際、問題の部分で抵抗値が増加し、発熱して溶けたため穴が開き、冷却用の液体ヘリウムが流れ出した。しかも液体ヘリウムが気化する際の膨張の圧力がほかのマグネットを押し、マグネット間の接続がずれてしまった。」

「結果論だが、もしこの魔のセクター34で5TeVまでのパワーテストをしていたら、事故は成功前に起こっていたことになり、稼動開始の時期が半年延び、セルンは政治的にも大変な窮地に陥っていたことになる」

稼働開始後の事故で良かったということだが、そういう見方もあるか。

(J-PARC放射性同位体漏洩事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/J-PARC%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E5%90%8C%E4%BD%8D%E4%BD%93%E6%BC%8F%E6%B4%A9%E4%BA%8B%E6%95%85

「日本標準時2013年5月23日11時55分、茨城県那珂郡東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCの施設の1つであるハドロン実験施設で発生した放射性同位体の漏洩事故」

「装置の誤作動に起因する放射性同位体の拡散と、事故発生後の対応が誤っていた事によって、当時施設内にいた作業員や研究者102人のうち34人が被曝したほか、管理区域外にも微量の放射性同位体が漏洩した」

この原因については、既に特定されている。

(平成25年11月11日 ( 月 ) 遅い取り出し用四極電磁石EQ 電源の誤作動の原因について)
http://j-parc.jp/HDAccident/HDAccident-j.html

(平成25年8月12日 ( 月 )「大強度陽子加速器施設J-PARC ハドロン実験施設における放射性物質漏えいについて ( 第三報 ) 」及び「事故・故障等発生報告書 (第三報) 」の提出について)
http://j-parc.jp/ja/topics/HDAccident20130812_01.pdf

8月の第三報では、原因が特定されていなかった。

「7.1.1ビーム取り出し装置における誤作動の原因」(資料17ページ)

資料18ページには「図7.1-2EQ電磁石電源の構成」が載っている。

この図の電源制御部が載っているインターフェース基盤に5ボルトの直流電圧を送る電源基盤のレギュレーターが、発熱による経年劣化を起こしていたという(ホントかあ?)。

(三端子レギュレータ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%AB%AF%E5%AD%90%E3%83%AC%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF

「電気製品の電源部に使用される半導体を含む電子部品である。シリーズレギュレータの1種であり、名前の通り3本の端子を備えて、定電圧回路を簡単に構成できる。」

「代表的な製品に、正電圧用の7800シリーズと負電圧用の7900シリーズがある[1]。型番末尾の数字2桁が出力電圧を表しており、おおむね、5・6・7・8・9・10・12・15・18・20・24Vの品種があり、最近では3.3Vのタイプも出回ってきている。単電源回路では正電圧型が用いられ、負電圧型はオペアンプを用いた回路等で正負2電源を作るときに重用される。」

(シリーズレギュレータ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AC%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF

「トランジスタ等の素子を負荷と直列に入れて、高過ぎる電圧の分だけ電力をそこで消費し電圧降下を発生させることで、負荷に一定の電圧がかかるよう調整する。消費した電力は熱になる。」

(三端子レギュレータ(7805)について教えて)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14116893764

「7805の電位差によって大きく発熱することや、その冷却をしなければ簡単に壊れる」

「通常は、このような3V以上の電位差を降圧して安定化した電圧を得る場合には、現在では安価で小型になったDC-DCコンバーターを使用するのが常套手段となってます。」

交換した電源基盤の回路が分からないので何とも言えないが、再度発生する可能性もあるな。

「今後は当該電源基盤の構成を改め、今回のような経年劣化を生じない電源基盤に交換する」とあるが、具体的にどういう電源基盤にしたのかは明記されていない。

事故の対応を見ると、莫大な予算を使って設備改修したり、大変な手間をかけて事後対応の手順を検討したりしている。

もちろん、それはそれで重要だし、無意味とは言わないけれど、浮沈子から見るとややズレている気がしないでもない。

ビームを正常に削り取る仕掛けに、穴はないのか。

それを実装するデバイス類は、本当に大丈夫なのか。

それらについての再検討がなされた様子は全くない。

加速器は、今後、社会のインフラになっていく(そうなのかあ?)。

単なる実験設備ではなく、ガスや水道、電気といった、命を支える設備になる(たぶん)。

加速器駆動未臨界炉が、高速増殖炉に代わって核燃料サイクルに組み込まれていくとすれば、確実にそうなる。

基盤の直流電源に、リニアレギュレーター使っていたなんて、ハズカシイでしょ?。

他の電磁石の電源をコントロールしている電源装置の基盤の電源は、大丈夫なんだろうか?。

他にも、安普請の装置が山のようにあって、今でもそのまま、運良く動いているだけなんじゃないんだろうか?。

各機器類のメンテナンスサイクルや、チェック項目は大丈夫なんだろうか?。

加速器は、原子核エネルギーを扱うクリティカルな装置だ(クリティカルには、臨界という意味もありますが)。

この事故のように、大強度の陽子ビームが標的に当てられ、大量の中性子が叩き出されて燃料体と反応したとき、何が起こるかと考えると、やっぱヤバイかもな。

加速器を止めれば核反応が止まると言っても、その加速器が止まらなかったらどーする?。

Jパークの事故では、金標的が溶けて、放射性物質がばらまかれたことが問題視されているが、それは、表層的な話にすぎないだろう。

そうして、その表層的な事象への対応だけで話は終わって、手打ちになっている。

ROMに焼いてあるコードは大丈夫なのかな・・・。

終わりの始まり2016年09月21日 21:08

終わりの始まり


(政府 もんじゅ廃炉含め見直し 核燃料サイクルは継続)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160921/k10010702111000.html

「「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しを行い年内に結論」

「経済産業大臣を中心とする「高速炉開発会議」を設置」

文科省は、完全に主導権を取られたわけだ。

高速「増殖」炉という言葉は、どこにもない。

もんじゅが廃炉になることは、まず間違いなく、これから30年間の長い長い廃炉措置が始まろうとしている。

年内決着というが、その間も揉めに揉めるだろう。

1兆円が吹っ飛び、さらに3千億円が消える。

高速増殖炉を捨てて、核燃料サイクルをどう実現するつもりなのか。

従来のスキームを抜本的に組み替えないと、穴だらけの核燃料サイクルになる。

経産省の危機感は、相当なもんだろうな。

原子力発電自体の存続に関わる。

学術研究は、遅れようが何しようが、予算が付けば再開することは出来るが、原子力発電そのものが消えてしまえば、産業としては終わる。

学者の道楽に付き合ってはいられないのだ。

その危機感を共有できなかったことが、廃炉の最大の原因だろうな。

もんじゅの存続に拘れば、原発そのものが消える。

仮に、大金突っ込んで無理やり存続させて、その挙句に、もう一回事故でも起こせば、我が国の原発は消える。

しかし、現状のプルサーマルでは、再処理されるプルトニウムを燃やし切ることは出来ない。

再処理自体も、コストが嵩んで、経済的な意味はない。

ワンススルーで、再処理しないで処分するのが最もシンプルだ。

そうできないのは、使用済み核燃料が、資産から負債になるから。

別に、プルトニウムなんぞなくても、発電には困らない。

むしろ、邪魔なわけだ。

ウランは、山ほどあるしな。

その辺りに、新たなストーリーを描こうとしている。

MOX燃料をフルに燃やせる原子炉をバンバン作って、燃やしていこうとでもいうんだろうか。

文科省の発想は、核燃料サイクルには、高速「増殖」炉が不可欠で、それなくしては核燃料サイクルが破たんするから、もんじゅは潰せっこないという、恫喝に近いものだ。

それ(高速「増殖」炉なしの核燃料サイクル)が出来るもんなら、やってみろということになる。

さて、経産省はどんな答えを出すんだろうか。

浮沈子は、結構厳しいと思うんだがな。

立地の問題もあるしな。

「増殖」なしの高速炉だって、国内に新たな原型炉や、実証炉を作ることは難しいだろう。

フランスと共同開発して、あっちに作っていこうというのかな。

ああ、核融合炉だけじゃなくって、高速炉も持っていかれちまうわけか。

文科省の発想の中には、自主開発という話が金科玉条のようにくっ付いているんだろう。

経産省は、そんなもん、買ってくりゃいいじゃん!?、というわけだ(そうなのかあ?)。

高速「増殖」炉だって、国内開発なんて絶対にやらないだろうな。

だって、それがもんじゅだったわけだしな。

国内での原子炉開発は、ある意味、終止符を打たれたということになる。

余計なことはせんでいい!。

研究炉も先細りだな。

JRR-4も、STACY(旧)も、TRACYも、TCAも消える。

加速器駆動未臨界炉も、結局日の目を見ずに終わる。

全ては振出しに戻り、再処理施設とMOX燃やす軽水炉だけが稼働する。

とりあえず、商用原発の足を引っ張るもんじゅを潰せて、ホッと一安心なのかもしれない。

核燃料サイクルの旗を降ろさなければ、「増殖」が取れても困ることはないんだろう。

プルトニウムを燃やし切れなければ、MAと混ぜて埋めてしまえばいい・・・。

さて、どこに埋めようかな。

(高速炉開発へ新会議 官民が連携 関係閣僚会議:追加)
http://mainichi.jp/articles/20160922/k00/00m/040/089000c

「ASTRIDのみに頼るわけではない。(1世代前の実験炉)常陽(茨城県大洗町)も再稼働していく。知見を持つ人を集めて開発を進める」

ははあ、そうすると、将来に渡って国内での高速「増殖」炉の開発はないということになる。

(核燃料サイクル多難…電力各社、旗降ろせず:追加)
http://mainichi.jp/articles/20160922/k00/00m/020/125000c

「政府は青森県に「核のごみ捨て場にはしない」と約束しており、サイクル撤退となれば全国の原発に返送されかねない。」

「電力需要が減少する中、再生可能エネルギーの供給力も増える。核燃料を自給自足する核燃サイクルを目指す必要性はなくなっている」

経産省がどんなシナリオを描いてくるのか、ちっと楽しみだな。