グレイ・グー2012年04月22日 23:14

グレイ・グー
グレイ・グー


ナショジオの記事に刺激されて、人工生命について調べていたら、標記の言葉に出会った。

(ナノマシンの危険性)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%B3#.E3.83.8A.E3.83.8E.E3.83.9E.E3.82.B7.E3.83.B3.E3.81.AE.E5.8D.B1.E9.99.BA.E6.80.A7

この言葉は、ナノマシンの概念の提唱者である、キム・エリック・ドレクスラーという研究者が使い出した。関連語にはグリーン・グーというのもある(gooはここでは、「ねばねばした物」とか「厚く堆積したきたない物」という意味)。

(K・エリック・ドレクスラー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC

さて、地球全体が自己増殖したナノマシンや、環境中に漏洩(あるいは意図的に放出)されたウイルスによって、灰色や緑色に覆われてしまう、というとんでもないことは起こるのだろうか。

「起こりそうもない」と彼らは言う。だって、相当な確率で起こる、なんて言ったら、直ちに研究は差し止めになり、おまんまの食い上げになることは明らかだ(からでは、ないとは思うが・・・)。

この話、どこかで聞いたような気がする。

そう、原子力発電所のことだ。5重の壁に守られているので、放射性物質が環境中に撒き散らされることは、「起こりそうもない」話だったはずだ。

(5重の壁)
http://ja.wikipedia.org/wiki/5%E9%87%8D%E3%81%AE%E5%A3%81

そして、神話は脆くも崩れ、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと次々に放射性物質を環境中に放出し続けている。今後も、起こらないとは言えないし、そもそも放射性廃棄物の最終処分に失敗すれば、これもまた環境中に漏出する。

しかし、グレイ・グーやグリーン・グーに比べれば、ちょろいものだ(いや、軽視しているわけではない)。

(バイオテクノロジーに対する懸念)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E7%94%9F%E5%91%BD#.E3.83.90.E3.82.A4.E3.82.AA.E3.83.86.E3.82.AF.E3.83.8E.E3.83.AD.E3.82.B8.E3.83.BC.E3.81.AB.E5.AF.BE.E3.81.99.E3.82.8B.E6.87.B8.E5.BF.B5

あっちゃーっ、もう既に漏洩してたんですねえ!。

確かに、進化の過程で淘汰されたり、環境圧力や生態系自身の持つバランス機能によって、幾何級数的な増殖が瞬時(数時間)で起こるということは、「起こりそうもない」し、過去に起こったという証拠もない。

ただし、そうやっていつまでも「神話」を信じ続けていていいのだろうか。

現在、生物についてのヤバそうな実験は通称P4施設と呼ばれる隔離施設で行われることになっているが、あんなもんで隔離できると本気で思っているのだろうか。

(バイオセーフティーレベル)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB

5重の壁の神話が崩壊した現在、その安全性を絶対のものだなどと主張することはないとは思うが、もしそんなことを言ったとしても、誰も信じるものはいないだろう。

それでも、生物については国際的な取り決めがあり、一応の規制がかかっている(動物培養細胞は除外されているなど、ザルですが)。

(カルタヘナ議定書)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84#.E3.82.AB.E3.83.AB.E3.82.BF.E3.83.98.E3.83.8A.E8.AD.B0.E5.AE.9A.E6.9B.B8

しかし、知る限り、非生物であるナノマシンに関する国際的な規制はない。野放しである。グレイ・グーは、いつか起こると覚悟しておくべきかもしれない。

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