スピード13 ― 2014年08月28日 23:23
スピード13
WHOが6日ぶりに発表した感染報告。
(Ebola virus disease update, West Africa - update 28 August 2014)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4264-ebola-virus-disease-update-west-africa-28-august-2014.html
今回は、国別の増加が表中からなくなっているので電卓を叩く。
国名:感染者増分:死亡者増分
・ギニア:41:24
・リベリア:296:70
・シエラレオネ:116:30
・ナイジェリア:1:1
合計:454:125
合ってます?。
リベリアが突出して多いのは想定内だが、ギニアが完全に復帰したな。
シエラレオネのコンスタントペースは変わらず、ナイジェリアの微増も止まらない。
報告数の傾向に、特に見るべき点はなかった。
6日ぶりなので、傾向が均されているということはある。
それだけ、ノイズが少ないということでもある。
この傾向はしばらく続くだろう。
そんでもって、挙句の果てには、2万人が感染することになるという!!。
(エボラ熱感染者2万人を想定 WHO行程表)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM2801W_Y4A820C1FF2000/
「世界保健機関(WHO)は28日、西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱への対応策をまとめた行程表(ロードマップ)を発表した。感染者数が2万人に上ることも想定し、8週間で新たな感染を食い止めるのが目標。コストは4億9千万ドル(約508億円)にのぼるとした。」
(Ebola response roadmap)
http://www.who.int/csr/resources/publications/ebola/response-roadmap/en/
ダウンロードして、ざっと目を通してみたが、葬儀や埋葬関係の項目が目新しかっただけで、特に変わった対応をしようとしているわけではない。
2万人という数字の算出根拠や、感染者が報告の2倍から4倍に及ぶという推定の根拠も分からない。
PDFの7ページに、いきなり数字が出てくる。
「This Roadmap assumes that in many areas of intense transmission the actual number of cases may be 2-4 fold higher than that currently reported.」
「It acknowledges that the aggregate case load of EVD could exceed 20,000 over the course of this emergency.」
山勘かあ?。
まあいい。
PDFファイルの23ページに、国別の内訳がある(カッコ内は、本日発表の数字との比較)。
・ギニア:2,250:2,550 (648×3.9倍)
・リベリア:9,600:11,950 (1,378×8.7倍)
・シエラレオネ:4,890:5,500 (1,026×5.4倍)
合計見積もり:16,740:2万(3,069×6.5倍)
初めの数字は、Cases managed through standard Ebola controlとなっているが、意味不明だな。
次の、Total cases managed, including with complementary approachesは、もっと不明だ。
報告されている感染者が、既に3069人であり、山勘で4倍も有り得るとしているなら、既に1万2000人以上ということじゃないのかあ?。
それが、これから6か月乃至9か月で2万人にしかならないというのなら、楽な商売である。
この手のレポートは、しかし、関係者に全体像を提示することが目的なので、状況に応じて修正が加えられることはある。
490万ドル($489,850,000)のコストは、単純に直接経費だけだが、まあ、数倍になることは十分ありうる。
「Table 1 – Estimated cost by objective:
Cost item:Cost (USD '000)
・Objective 1. Countries with widespread and intense transmission:389,005
・Objective 2. Emergency response in countries with initial case(s) or localized transmission:13,275
・Objective 3. Strengthen preparedness, especially in bordering countries:20,000
・Operationalizing the Ebola response roadmap:67,570
・Total:489,850」
仮に想定が正しかったとしても、今回のエボラの流行が、史上稀に見る大流行であるということに変わりはない。
WHOがその認識に立ったことだけでも、今回のロードマップの発表は意義がある。
いくつか、気になるニュースがある。
(エボラ熱の英看護師、当初陰性だった1歳児から感染か)
http://jp.reuters.com/article/jp_ebola/idJPKBN0GS08S20140828
「最初の検査で陰性反応を示していた1歳児から感染した可能性があると、医療関係者が明らかにした。」
「男児がなぜ最初の検査で陰性反応が出たのかは不明だが、専門家は複数回検査することを勧めている。」
検査結果に対する信頼性を揺るがしかねない事例だな。
複数回の検査なんて、やってられないに違いない。
今後も、同様の事例が起こりうるということだ。
(エボラ流行「予想より悪い」、コンゴでも13人死亡)
http://www.cnn.co.jp/world/35052974.html
「米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は27日、西アフリカのエボラ出血熱流行について「状況は思っていたよりもさらに悪い」との見方を示した。」
「この流行が長引くほど、ほかの国に輸出される危険性は高まる。世界が力を合わせてリベリアと西アフリカの支援に早く取り組むほど、安全は増す」
CDCトップが、思ったより状況が悪いという認識にある点が重要だな。
やつらが、自国への波及を恐れていることも確認できる。
他国への波及を考えると、都市部での対策にシフトして、農村での対策が疎かになる恐れもある。
(仏、シエラレオネ・リベリア回避を国民に呼びかけ エボラ熱対応で)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0QX43C20140827
フランス政府の高官は、FTの社説は読んでないのかあ?。
(FT)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/26/7422186
まあ、どうでもいいんですが。
ナイジェリアはともかく、ギニアは未だに大規模感染の最中にある。
旧宗主国としては、引くに引けないところだろうが、いつまで持つか・・・。
(エボラ熱の感染拡大、西アフリカ経済に甚大な被害=AfDB総裁)
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2014/08/133246.php
「歳入は減少し、通貨は下落し、市場は機能しておらず、航空機は入国をキャンセルし、プロジェクトは中止され、ビジネスマンは退避してしまった。ダメージは非常に深刻だ」
確かに・・・。
「シエラレオネはエボラ熱の拡大により国内総生産(GDP)が最大4%減少すると予想。」
「輸送業者によるサービス中止によりシエラレオネやリベリアは孤立した状態にあり、政府やエコノミストらは両国の経済が壊滅的な打撃をこうむるとの懸念を示している。」
問題は、この状況が半年から1年は続くということだ。
感染地域だけの問題ではなく、国家そのものの屋台骨が揺らいでいる。
2万人の感染者で済めばいいのだが。
ウィキのグラフが更新されないので、ロイターの感染者のグラフを掲載した(画像参照)。
鰻登りというか、二次関数というか。
(二次関数)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E9%96%A2%E6%95%B0
「二次関数はグラフでは放物線を表す。」
(放物線)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E7%89%A9%E7%B7%9A
放物線になってしまっては困る。
ギアをシフトする時が来たということだ。
今までのような、場当たり的な対策(まあ、それはそれで重要なんですが)だけではなく、組織的で包括的な対応を始めようというわけだ。
ちっと遅すぎたきらいはあるが。
ギアチェンジだけじゃなくて、ターボ(それも、高加給のドッカンターボ!)が必要な気がするんだが・・・。
WHOが6日ぶりに発表した感染報告。
(Ebola virus disease update, West Africa - update 28 August 2014)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4264-ebola-virus-disease-update-west-africa-28-august-2014.html
今回は、国別の増加が表中からなくなっているので電卓を叩く。
国名:感染者増分:死亡者増分
・ギニア:41:24
・リベリア:296:70
・シエラレオネ:116:30
・ナイジェリア:1:1
合計:454:125
合ってます?。
リベリアが突出して多いのは想定内だが、ギニアが完全に復帰したな。
シエラレオネのコンスタントペースは変わらず、ナイジェリアの微増も止まらない。
報告数の傾向に、特に見るべき点はなかった。
6日ぶりなので、傾向が均されているということはある。
それだけ、ノイズが少ないということでもある。
この傾向はしばらく続くだろう。
そんでもって、挙句の果てには、2万人が感染することになるという!!。
(エボラ熱感染者2万人を想定 WHO行程表)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM2801W_Y4A820C1FF2000/
「世界保健機関(WHO)は28日、西アフリカで感染が拡大しているエボラ出血熱への対応策をまとめた行程表(ロードマップ)を発表した。感染者数が2万人に上ることも想定し、8週間で新たな感染を食い止めるのが目標。コストは4億9千万ドル(約508億円)にのぼるとした。」
(Ebola response roadmap)
http://www.who.int/csr/resources/publications/ebola/response-roadmap/en/
ダウンロードして、ざっと目を通してみたが、葬儀や埋葬関係の項目が目新しかっただけで、特に変わった対応をしようとしているわけではない。
2万人という数字の算出根拠や、感染者が報告の2倍から4倍に及ぶという推定の根拠も分からない。
PDFの7ページに、いきなり数字が出てくる。
「This Roadmap assumes that in many areas of intense transmission the actual number of cases may be 2-4 fold higher than that currently reported.」
「It acknowledges that the aggregate case load of EVD could exceed 20,000 over the course of this emergency.」
山勘かあ?。
まあいい。
PDFファイルの23ページに、国別の内訳がある(カッコ内は、本日発表の数字との比較)。
・ギニア:2,250:2,550 (648×3.9倍)
・リベリア:9,600:11,950 (1,378×8.7倍)
・シエラレオネ:4,890:5,500 (1,026×5.4倍)
合計見積もり:16,740:2万(3,069×6.5倍)
初めの数字は、Cases managed through standard Ebola controlとなっているが、意味不明だな。
次の、Total cases managed, including with complementary approachesは、もっと不明だ。
報告されている感染者が、既に3069人であり、山勘で4倍も有り得るとしているなら、既に1万2000人以上ということじゃないのかあ?。
それが、これから6か月乃至9か月で2万人にしかならないというのなら、楽な商売である。
この手のレポートは、しかし、関係者に全体像を提示することが目的なので、状況に応じて修正が加えられることはある。
490万ドル($489,850,000)のコストは、単純に直接経費だけだが、まあ、数倍になることは十分ありうる。
「Table 1 – Estimated cost by objective:
Cost item:Cost (USD '000)
・Objective 1. Countries with widespread and intense transmission:389,005
・Objective 2. Emergency response in countries with initial case(s) or localized transmission:13,275
・Objective 3. Strengthen preparedness, especially in bordering countries:20,000
・Operationalizing the Ebola response roadmap:67,570
・Total:489,850」
仮に想定が正しかったとしても、今回のエボラの流行が、史上稀に見る大流行であるということに変わりはない。
WHOがその認識に立ったことだけでも、今回のロードマップの発表は意義がある。
いくつか、気になるニュースがある。
(エボラ熱の英看護師、当初陰性だった1歳児から感染か)
http://jp.reuters.com/article/jp_ebola/idJPKBN0GS08S20140828
「最初の検査で陰性反応を示していた1歳児から感染した可能性があると、医療関係者が明らかにした。」
「男児がなぜ最初の検査で陰性反応が出たのかは不明だが、専門家は複数回検査することを勧めている。」
検査結果に対する信頼性を揺るがしかねない事例だな。
複数回の検査なんて、やってられないに違いない。
今後も、同様の事例が起こりうるということだ。
(エボラ流行「予想より悪い」、コンゴでも13人死亡)
http://www.cnn.co.jp/world/35052974.html
「米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は27日、西アフリカのエボラ出血熱流行について「状況は思っていたよりもさらに悪い」との見方を示した。」
「この流行が長引くほど、ほかの国に輸出される危険性は高まる。世界が力を合わせてリベリアと西アフリカの支援に早く取り組むほど、安全は増す」
CDCトップが、思ったより状況が悪いという認識にある点が重要だな。
やつらが、自国への波及を恐れていることも確認できる。
他国への波及を考えると、都市部での対策にシフトして、農村での対策が疎かになる恐れもある。
(仏、シエラレオネ・リベリア回避を国民に呼びかけ エボラ熱対応で)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0QX43C20140827
フランス政府の高官は、FTの社説は読んでないのかあ?。
(FT)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/26/7422186
まあ、どうでもいいんですが。
ナイジェリアはともかく、ギニアは未だに大規模感染の最中にある。
旧宗主国としては、引くに引けないところだろうが、いつまで持つか・・・。
(エボラ熱の感染拡大、西アフリカ経済に甚大な被害=AfDB総裁)
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2014/08/133246.php
「歳入は減少し、通貨は下落し、市場は機能しておらず、航空機は入国をキャンセルし、プロジェクトは中止され、ビジネスマンは退避してしまった。ダメージは非常に深刻だ」
確かに・・・。
「シエラレオネはエボラ熱の拡大により国内総生産(GDP)が最大4%減少すると予想。」
「輸送業者によるサービス中止によりシエラレオネやリベリアは孤立した状態にあり、政府やエコノミストらは両国の経済が壊滅的な打撃をこうむるとの懸念を示している。」
問題は、この状況が半年から1年は続くということだ。
感染地域だけの問題ではなく、国家そのものの屋台骨が揺らいでいる。
2万人の感染者で済めばいいのだが。
ウィキのグラフが更新されないので、ロイターの感染者のグラフを掲載した(画像参照)。
鰻登りというか、二次関数というか。
(二次関数)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E9%96%A2%E6%95%B0
「二次関数はグラフでは放物線を表す。」
(放物線)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E7%89%A9%E7%B7%9A
放物線になってしまっては困る。
ギアをシフトする時が来たということだ。
今までのような、場当たり的な対策(まあ、それはそれで重要なんですが)だけではなく、組織的で包括的な対応を始めようというわけだ。
ちっと遅すぎたきらいはあるが。
ギアチェンジだけじゃなくて、ターボ(それも、高加給のドッカンターボ!)が必要な気がするんだが・・・。
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