存在2014年08月18日 09:53

存在
存在


(「エボラは存在しない!」 武装集団が隔離施設襲撃 患者20人逃走)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140817/mds14081722520007-n1.htm

「リベリアの首都モンロビアで、武装した男らが「エボラは存在しない」と叫びながら、感染者の隔離施設を襲撃し、少なくとも患者20人が逃走したと報じた。」

いやはや、何ともいえない事件である。

「目撃者によると、男らは夜中にドアを壊して侵入。「大統領は(支援などによる)金が欲しいだけだ」とエボラ熱の流行を否定し、施設内の物を略奪していったという。」

なんか、単なる物取りのような気もする。

どう考えても、理屈が通らない。

国際社会がリベリア大統領がでっち上げた「まぼろしのエボラ」話に騙されて、支援金を払うとでも思っているのだろうか。

一方で、エボラの存在を否定するというのは、分からないではない。

恐怖に対峙する時の反応の一つが、存在の否定だからだ。

ダチョウが頭を砂の中に突っ込んでしまうという話は、よく引き合いに出される。

(ダチョウには、砂のなかに頭を入れる習性がある。)
http://www.trivia-blog.com/cate04/p153/

まあ、本来は、敵を感知するための行動なのだが。

エボラに対しても、「そんなものは存在しない、気のせいだ!」と唱えることにより、恐怖に打ち勝っていくというのは正常な反応である。

そこを逆手に取って、集団強盗を正当化するというのは頂けないな。

(エボラ出血熱の新たな治療センター開設)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140818/k10013875121000.html

ちなみに、襲われたのはこの施設ではない。

18日(現地時間)に開所する予定なので、まだ患者はいない。

50床余りの施設だが、あっという間にいっぱいになるだろう。

専用の隔離施設を作るということは、一般の病院へのリスクを減らし、通常の診療を確保することに繋がる。

しかし、ちょっと、にわか作り感が漂い過ぎている気がするんだが。

まあいい。

非常事態なんだから、贅沢は言っていられない。

壁のブルーシートにはユニセフの字もある(画像参照)。

(国際連合児童基金)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E5%85%90%E7%AB%A5%E5%9F%BA%E9%87%91

もともとの名称が、「United Nations International Children's Emergency Fund」で、現在の名称は「United Nations Children's Fund」だが、略称はUNICEFのままである。

「開発途上国・戦争や内戦で被害を受けている国の子供の支援を活動の中心としているほか、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の普及活動にも努めている。」

浮沈子の知るユニセフの施設はここ。

(ユニセフハウスへようこそ!)
http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_hou.html

「開発途上国の保健センターや小学校の教室、緊急支援の現場などを再現した常設展示のほか、ミニシアター、130名収容のホール、ユニセフのグリーティングカードやギフトをお求めいただけるショップを備えています。」

「世界で唯一、ユニセフの“現場”を再現した「ユニセフハウス」に、ぜひお気軽にお立ち寄りください!」

前を通り過ぎたことはあるが、中に入ったことはない。

西アフリカでは、エボラだけではなく、マラリアや結核などの感染症で次代を担う幼い命が奪われ続けている。

子供たちには、自らの命を守る術がない。

そのための援助は、絶対の正義だ。

宗教や人種、主義主張やイデオロギーも関係ない。

存在そのものの価値が全てである。

それだけで、十分ではないか?。

(児童の権利に関する条約)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%81%AE%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84

(「児童の権利に関する条約」全文)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

なんと、前文は、ワンセンテンスである!。

「この条約の締約国は、(中略)次のとおり協定した。」

まあいい。

外交文書というのは、修辞的な文書と違って、機能を果たすための道具であればいいのだ。

一般人が読むための文書ではなく、その筋の専門家が誤解の余地なく読めればそれでいいのだ。

第24条には、こうある。

「第24条:
1 締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
(中略)
4 締約国は、この条において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促進し及び奨励することを約束する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。」

我が国は(些少だが)、ユニセフにも緊急無償資金協力をしている。

(シエラレオネ,リベリア及びギニアを始めとする西アフリカ諸国で発生したエボラ出血熱対策のための緊急無償資金協力)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press3_000039.html

(シエラレオネ,リベリア及びギニアを始めとする西アフリカ諸国で発生したエボラ出血熱対策のための緊急無償資金協力(概要))
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000049145.pdf

WHO要請に基づく医師の派遣は、延べ3名となっている。

加藤先生は、2回目だからな。

(WHOミッションへの日本人専門家の参加:加藤医師)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045129.html

(WHOミッションへの日本人専門家の参加:足立医師)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000050211.html

(WHOミッションへの日本人専門家の参加:加藤医師)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052984.html

まあ、どうでもいいんですが。

エボラも、子供の権利も目には見えない。

匂いもなければ、味もない(エボラウイルスって、舐めたことはありませんが:良い子は真似しないでね!)。

人間の頭の中だけに存在する、幻のようなものである。

そんなものは、ないのだと、いってしまえばそれっきりだ。

しかし、その結果は、目に見えないどころか、目を覆うばかりの惨状を呈することになる。

目に見えないことを覚知し、その存在を認識して行動することができるかどうか。

人間が人間であるためには、いろいろ面倒なことが必要なようだな。

宇宙博2014年08月18日 22:21

宇宙博
宇宙博


行ってきました、宇宙博。

(宇宙博2014―NASA・JAXAの挑戦)
http://www.space-expo2014.jp/

「展示構成:
・NASA展示エリア
1961年、「今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」というケネディ大統領の演説により、月に人類を送り込むという壮大な挑戦が始まりました。 世界を熱狂させたアポロ11号の月面着陸をはじめ、人々の情熱の物語と技術開発の歴史を中心に、スペースシャトル、 国際宇宙ステーション(ISS)に至るまでのNASAの活動を約300点の貴重な実物資料、 実物大モデルなどで紹介します。」

「主な展示品
・スペースシャトル「アトランティス」前部胴体とキャビン(実物大モデル)(↓サゲ)
・アポロ月面車(実物大モデル)(↑アゲ)
・月着陸船の乗員室(実物大モデル)(↓サゲ)
・「アポロ17号」司令船(実物大モデル)と着水時に使用されたパラシュート(実物)(↓サゲ)」

「・JAXA・日本の宇宙開発展示エリア
1955年、長さ23cmのペンシルロケット実験から日本の宇宙開発の歴史が始まりました。 その後1970年に旧ソ連、アメリカ、フランスに続き世界で4番目となる人工衛星の打ち上げに成功すると、 近年では、小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡の帰還、若田光一さんのアジア初となるISS船長就任など、 目覚ましい成果を上げています。JAXAをはじめ、国立天文台、国立極地研究所の活動を紹介する本エリアでは、 ISSの「きぼう」日本実験棟を精密に再現し、体験できるほか、H-Ⅱロケットのエンジンや、 「はやぶさ」が持ち帰った小惑星イトカワの微粒子サンプルの実物を展示。 日本の宇宙開発の成果や、最前線の技術にも触れることができます。」

「主な展示品
・国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟。会場には、ISSの1/10スケールモデルと「きぼう」実物大モデルが登場(↑アゲ)
・小惑星探査機「はやぶさ」と小惑星イトカワ。会場では「はやぶさ」の実物大モデルと回収サンプル(実物)を公開(↑アゲ)
 ※回収サンプルは会期中、展示されない期間があります(浮沈子は、見られました:顕微鏡下で見るゴミですが)。
・新世代固体ロケット「イプシロン」1/20スケールモデルで紹介(そんなのあったかあ?)
・日本の主力大型ロケットエンジン。LE-7、LE-7Aの実物を展示(↑アゲ)
・小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」。(↑アゲ)」

「火星探査展示エリア:
私たちにとって、月に次ぐ身近な天体である火星。1976年の「バイキング1号」の軟着陸以降、生命存在の可能性を持つこの天体は、私たちの興味を刺激してきました。本エリアでは、現在火星表面で活動する探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(キュリオシティ)」のNASA製作実物大モデル機を米国外で初めて展示します。惑星誕生の謎に迫る研究の最前線を紹介します。」

「主な展示品
・火星探査車「キュリオシティ」
 NASA製作実物大モデル機が米国外で初登場!(↓サゲ)」

「未来の宇宙開発展示エリア:
ますます私たちの身近になる宇宙。本エリアでは、宇宙飛行のためのスペースプレーン計画をはじめ、夢の計画段階から一歩先へと進みはじめた宇宙開発プロジェクトを紹介します。また、国際宇宙ステーションへの人員・物資の輸送を担う新しい宇宙船の開発状況や、将来の月面基地構想についてもあわせて紹介します。」

「主な展示品
・ドリームチェイサー(シエラ・ネバダ社製)1/3スケールモデルを展示(↓サゲ)
・「宇宙エレベーター」イメージ図。
 クライマー(昇降機)実験機を展示。
 提供:大林組(↓サゲ)
・民間宇宙ステーション「スペース・コンプレックス(ビゲロー社)1/30スケールモデルを展示(↓サゲ)」

「8Kスーパーハイビジョンシアター:
超高精細映像と3次元音響は、まるで宇宙空間にいるような圧倒的な臨場感を実現します。
8Kスーパーハイビジョンシアターで感動の宇宙体験を!(↑アゲ)」

しかしだ、ここに書かれていない展示品も多く、浮沈子は実に感動した。

・世界で始めて音速を超えた、ベルXー1のマッハ計(画像参照)。

・1950年にV2ロケットでネズミを宇宙に送り込んだ時の装置。

・ジュピターロケットのノーズコーン。

・タイタンロケットの第1段と第2段のエンジン。

・サターンV型F1ロケットエンジンの、ジンバル・アクチュエイター

・アポロ計画初期の携帯型生命維持サブシステム(酸素リブリーザーです!)。

全て本物が展示されている。

実物大模型というのもあって、それはそれでなかなかの迫力なのだが、やはりホンモノには敵わない。

ポルシェが設計した月面車も、当然レプリカだが(本物は月に駐車中!)、これは良く出来ていたな。

LE-7Aエンジンの実物は、思ったよりも小さい。

こんなもんで、H2Aロケットを打ち上げているのかと感心した。

海底から引き上げたLE-7エンジンも展示されているが、解説がないので、何が何だか分からない。

知らない人が見たら、訳が分からないだろう。

NASAの展示は、やはり圧巻だな。

本物が持つ、本物だけが持つ迫力、存在感が、よく出来た模型やレプリカを圧倒する。

1日がかりで、2500円もの入場料を払って見る価値があるかといわれれば、それは人によるだろうとしか言えない。

若いカップルや、家族連れ、理系女子(リケジョっていうのかあ?)もいたようだな。

おじさん一人の淋しいお客の姿もあって、ホッとする(浮沈子だけじゃなかった)。

お盆明けということもあって、がらがらである。

明日は若田さんの公演が夕方からあるので、少しは混むかもしれない。

8Kのシアターは、予告編かと思うくらい短いが、確かに綺麗である。

しかし、それ以上でも、それ以下でもない。

綺麗なだけ。

映像の力というのは、何を見せるかというところに尽きるだろうな。

極地研まで駆り出した日本の展示には、いささか迫力がない。

LE-7エンジンに解説を付け、回収に至ったドラマを前面に出せば、そうとう迫力が出たかもしれない。

日本人て、失敗を大っぴらにすることに慣れてないんだ。

アポロの展示では、13号の二酸化炭素のキャニスターの実物が展示されていた。

知る人ぞ知る、宇宙開発史の中の重要なアイテムである。

(アポロ13号:着陸船の問題点)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD13%E5%8F%B7#.E7.9D.80.E9.99.B8.E8.88.B9.E3.81.AE.E5.95.8F.E9.A1.8C.E7.82.B9

「もう一つの問題は、水酸化リチウム(LiOH)であった。宇宙船内で人間が生存するために必要な物質は、酸素だけではない。飛行士たちが呼吸をするたびに、船内には二酸化炭素(CO2)が放出される。それを除去するためのフィルターに使用されている水酸化リチウムの量は、着陸船内に搭載されている分だけでは、帰還まではとてももたないのである。予備のボトルは船外の格納庫に置いてあり、通常は月面活動をする際に飛行士が取りに行くのだが、今回は船外活動をするだけの電力の余裕がない。ただし、司令船内には十分な予備がある。しかしながらここで問題になってくるのは、司令船の濾過装置は、着陸船とは規格が全く異なっているということであった。」

「司令船のフィルターエレメントは四角形であり、そのままでは着陸船の円形のフィルター筐体に装着することはできない。そのため地上の管制官たちは、船内にある余ったボール紙やビニール袋をガムテープで貼り合わせてフィルター筐体を製作する方法を考案し、その作り方を口頭で飛行士たちに伝えた。こうして完成させた間に合わせのフィルター装置を、飛行士たちは形状や設置状況が似ることから「メールボックス」と呼んだ。」

この話は、浮沈子が大好きな話の一つで、前にも取り上げている。

(人類の地平2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/30/6881870

今回、浮沈子がNASAの展示を見るのは初めてではない。

昔、ワシントンD.C.に行った時に、スミソニアン博物館(航空宇宙博物館)で、アポロ11号の指令船(実物)を見たことがある。

何とも小さいカプセルだったことに感動した。

再突入の際の焦げ跡生々しく、リアルな存在感に圧倒された。

今回も、指令船のレプリカが展示されていたが、模型では、あのリアリティのかけらもない。

パラシュートはホンモノだそうだが、高く吊り上げられていて、隙間だらけの落下傘でしかない。

タイタンロケットの実物を、詳細に写真に収めたこともあって、当時のロケットエンジンの、手作り感満載の細部を見ることができたのは、浮沈子にとって宇宙開発に対する認識を新たにするところとなった。

ネジが緩まないように、ワイヤーを絡めてあったり、配管がぐらつかないようにステーで支えていたり、細かく見ると、実に手仕事なのである。

(タイタン (ロケット))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)

「タイタン (Titan) は、アメリカ合衆国の 大陸間弾道ミサイル(ICBM)、および人工衛星打ち上げロケットである。ICBMとして退役後も衛星打ち上げ用として改良が続けられ、アメリカ空軍の軍事衛星や、大型衛星の打ち上げ用として1959年から2005年まで運用された。」

「計368機が打ち上げられ、その中には1960年代半ばのジェミニ有人宇宙船の打ち上げも含まれる。」

「タイタンは同様に高い成功率で火星や木星や土星や天王星や海王星への探査機を打ち上げた。」

枯れた技術、ICBMとの共用、冷戦の時代を生き抜いたロケットである。

2005年を最後に引退したが、改良を重ね、燃料や構成も変わった。

展示されていたエンジンの年代は不明だが、そう新しいものではないのだろう。

そんな重い歴史を背負ったエンジンと、きらびやかなLE-7Eエンジンを同時に見ると、宇宙開発の裏面史を眺めるような気がする。

初めの方で、古いテレビでアポロについて演説しているJFKの映像が流れていた。

JFケネディの演説は、こっちを流して欲しかったな。

(JFK - We choose to go to the Moon, full length:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=ouRbkBAOGEw

8分40秒辺りで、決め台詞が出る。

「We choose to go to the moon.」

「我々は月に行く決断をした。」

「We choose to go to the moon. We choose to go to the moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard, because that goal will serve to organize and measure the best of our energies and skills, because that challenge is one that we are willing to accept, one we are unwilling to postpone, and one which we intend to win, and the others, too.」

「我々は月に行く決断をした。我々は60年代のうちに月に行き、それ以上のことを達成する決断をした。たやすいから行くのではない、困難だからこそ行くのだ。このゴールが我々の意思力と能力を組織化し測るには最良だから行くのだ。このチャレンジを我々は甘んじて受け入れ、立ち止まることを望まず、勝利への意思を持っているからこそ行くのだ。」

JFKの演説は、韻を踏んでいて聞いていて心地よく、人々を鼓舞する。

危ない政治家だな。

それでも、彼の元でアポロ計画は始まり、マーキュリー、ジェミニとステップを刻んでいった。

今は、火星である。

火星だってえ?。

冗談じゃあない!。

今回の宇宙博では、解説する専門家がいなかった。

バイトのにいちゃんとねえちゃんがいるだけで、モニターに画像が出ていないとクレームしても、対応することすら出来なかった。

人を馬鹿にした博覧会である。

おこちゃまにはちょうどいいかもしれないが、真っ当なオトナ向けの展示ではない。

それでも、ホンモノの展示物が多く、浮沈子は大いに満足できた。

映像や、まがい物なら、ネットでいくらでも手に入る世の中になった。

本物が持つ迫力、存在感、歴史の中の重みに触れただけでも(手は触れていません!)満足だ。

520円で解説してくれる機械を借りたのだが、無駄金に終わったとだけ言っておこう。

はやぶさの試料は、列を成してまで見る価値はない。

8Kシアターも、見なくていい。

NASAの展示だけでも、金を払う価値はあるな。

スミソニアンとか行くのは面倒だし。

もっと掘り下げて、人間が宇宙へ行く意味とか、なぜ月ではなくて火星なんだとか、真っ向勝負で取り上げて欲しかったな。

JAXAの人とかいたら、有人宇宙開発の意義は何なんだと、雪隠詰めにしてやろうと思ってたのに・・・。

まあいい。

「たやすいから行くのではない、困難だからこそ行くのだ。」

JFKは、そういって、米国人を挑発した。

ソ連という強力なライバルがいて、宇宙の覇権を唱えていた時期だったことは置いておくとして、莫大な予算を宇宙開発につぎ込んで米国の優位を保とうとした。

そして、現在は、莫大な金額をロシアに払って、宇宙飛行士をISSに送り迎えしてもらっている。

自前の有人ロケットが何時になったら実現するのかは、明確には分からない。

2020年までには何とかしないと、ソユーズは引退する。

中国に頼んで、送り迎えしてもらうしかない。

まあ、それまでには何とかなるんだろうが。

宇宙博。

中途半端な展示で、手抜きの運用だが、見所は満載だ。

見に行く人の目が問われる。

だが、宇宙開発の未来は、見えてこない。

少なくとも、宇宙エレベーターの模型とか、月の地下開発の俄か作りのジオラマとか見ても、これが宇宙開発の未来とはとても思えない。

能代でやってた、垂直離着陸機の成れの果てを展示していたが、あんなもん、良く取ってあったと感心する。

とっくの昔にプロジェクトは終了していて、今後復活する目処もない。

お先真っ暗な我が国の宇宙開発である。

ISSの後始末を押し付けられたり、ドリームチェイサーの尻拭いさせられたり、米国の後を付いていくと、碌な事にはならないと思うんだが。

会場には、なんとルノホート3号(打ち上げられなかった)の模型も展示されていた。

(ルノホート計画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%88%E8%A8%88%E7%94%BB

「ルノホート3号 (vehicle 8ЕЛ№205)は1977年の月着陸を目指して製造された。しかしながら予算と打ち上げ機が確保できなかったために打ち上げられることはなかった。NPOラボーチキン博物館が所有している」

今回展示されていたのは、レプリカだが、ムーンポルシェ(月面車を、浮沈子はそう呼ぶ)のはす向かいにあると、なんか対抗心が沸いてくるな。

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙開発の歴史といっても、たかだか100年の期間である。

空想科学小説に始まって、火星探査まで、ほぼNASAとJAXAだけの視点での展示だったが、ソ連とかの資料がもっとあると、また別の歴史が語られることになるだろう。

最近では、ESAの鼻息も荒い。

それにつけても、米国の民間企業(スペースXとか)の勢いは凄まじい。

今回は、スペースX関係の展示はなかったが、ビゲローの宇宙ホテルの模型と、ドリームチェイサーの模型が展示されていた。

ESA関係の展示は皆無だ。

これほど偏った宇宙博を催した主催者の責任は軽くない。

次回は、もっとしっかりとした運営で、人類の宇宙開発を俯瞰した取り組みをしてもらいたいもんだな。

そしたら、浮沈子は、再びのこのこと出かけていくことだろう。