絶対的危険と相対的安全2016年11月14日 10:24

絶対的危険と相対的安全


テクニカルダイビングのテキストを読み進めている(ちょっとずつ)。

脅し文句の羅列から、ガス量の計算になって、少しは精神的に冷静に読むことが出来る。

しかし、実は、このガス量の計算こそが最もシビアな話になる。

計算間違えて、あるいは想定外の消費があって携行したガス量を上回るような場合は、戻ることはできない。

そこで、予備量をあらかじめ計算して携行する。

まあ、計算間違えたら、予備もクソもないんだがな。

ちゃんと計算できたとして、安全率を掛けておく。

習慣的に1.5倍している。

3分の1ルールとして、言葉だけは知っているけど、なぜ3分の1かはテキストにも書いてない。

そういうもんだと理解するしかない。

それで十分安全かといわれれば、そんな保証はどこにもない。

絶対的な危険があるテクニカルダイビングに、相対的な安全率を適用する。

それが、テックの世界だ。

リスクは、軽減こそされ、無くなることはない。

避けることのできないリスクを負いながら、それを減らす対応を取り続ける。

ゼロには決してならない。

直接水面に浮上することが出来ない以上、対応する手段が尽きれば、永久的障害や死亡のリスクは常にある。

その、潜在するリスクは、受け入れるしかない。

それがいやなら、テクニカルダイビングはできない。

ガス欠は、その最たるもんだな。

そのガス管理の項目を読んでいる。

計算式と、換算表と、問題とにらめっこだ。

水面換算というのを勘違いしていたことに気づく(何を今さら・・・)。

RMVの計算(実際には、SACレートの計算)で、どうも正解が出ないと思った。

先が思いやられる。

しかし、ちゃんと計算できないと、ガスが足りなくなる。

足りなくなれば、予備を使う。

それでも、元を計算違いしていれば、それも使い切る。

ああっ・・・。

もっと、ちゃんと勉強していればよかったと思っても、水中では後の祭りだ。

後悔先に立たず。

まあ、どうでもいいんですが。

テクニカルダイビングでは、予備の器材を携行したりして、バックアップを常に考える。

しかし、自分の頭は一つしかないし、浮沈子の場合、これが最も信頼性に劣る器材だ。

予備の頭は、人様に頼るしかない。

しかし・・・。

それも、当てにならなかったらどーする?。

絶対的な危険に身を晒すのに、相対的な安全しか確保できないわけだ。

酸素のリスクについても、同じことが言える。

守るべき基準内にいるからといって、酸素中毒が起こらないという保証などはない。

それは、他のリスクとの兼ね合いで、どちらを取るかという選択になる。

中枢神経系の酸素中毒はシビアだから、減圧停止が多少伸びても保守的に運用し、水中に長くいるリスクをとることもある。

流れが速かったり、水温が低いなどのストレスが高い場合、別の選択があるかもしれない。

そんなもんは平気だという方は、耐えてください・・・。

やっぱ、ガス管理の項を読んでいても、脅し文句がチラチラ見えてしまう。

やっぱ、やめとこうかなあ・・・。

読めば読むほど味が出てくるテキストだ。

テック目標や、練習問題もこなして、ガス管理(その1)はおしまい。

朝の頭がしゃっきりしている時間帯でないと、この手のややっこしい項目は乗り切れない。

チームダイビング(その1)は、勢いでやってしまったが、これこそ、テクニカルダイビングの神髄かもしれない。

自立したダイバーが、協力し合いながら、勢いに流されることなく、目標を達成するわけだ。

人だよりで、独りよがりで、他のダイバーに迎合し、テキトーに潜っている浮沈子の場合、少し反省しなければならないな。

でもなあ、遊びだからなあ・・・。

自分のペースで、わがまま聞いてもらって、勢いに流されつつ、時々サボりながら潜るのがいいんだけどなあ。

でも、それって、レクリエーショナルダイビングだからこそ許されるということなのかもしれない。

やっぱ、浮沈子向きのダイビングじゃないことだけは確かなようだな。

それを、敢えて行うというからには、それに見合うゲインがなければならない。

メリットというか、それに値する目標というか。

やや深い沈船に、たっぷりとボトムタイムを費やして潜る(中には入りませんが)というのが当面の目標だ。

テキストは、まだ65ページで、全体の6分の1程度。

テック40に限って言えば、28パーセント程度だ。

アペンディックスや纏め、問題などもあるので、3分の1は来たことになる。

基礎の基礎。

あと、テクニックと手順、緊急手順、テックダイバーのように考えるで、チャプター1が終わる。

やっとで、ダイブ1に進むことが出来る。

ここまでは、最低限やっておかないとな。

ダイブ1のスキルは、バルブシャットダウンドリルとDSMBの射出以外は、たぶん大丈夫だろう。

やれやれ・・・。

そこから先は、なるようになるさ。

そのための講習だしな。

座学や、トレーニングダイブで、減圧シミュレーションしている分には、大したリスクはない。

ハードなレクリエーションダイブの方が、リスキーなくらいだ。

何たって、ガスは十分過ぎるくらいあるしな。

それに、初日はコンファインドウォーターということになっている。

ジタバタしても、問題は少ないだろう。

たぶん、きっと、おそらく、そして、願わくば・・・。

80ページ2016年11月14日 14:59

80ページ


相変わらず、テックダイブのテキストを読んでいる。

チャプター1が終わった。

問題も全て解き、テック目標にも回答している。

問題をコピペして、表計算ソフトに移し替え、そっちに回答をコピペして、やったつもりになる。

もちろん、ちゃんとテキスト読んで、その中から回答部分を選んでいるので、書き写したりマーカーを塗ったりする手間を省いているだけだ。

ちゃんとマウスも動かしているので、手作業に準じる定着効果はあると期待している(どうだかな・・・)。

まあいい。

ここから、チャプター2に進んでもいいんだが、チャプター1が、基礎中の基礎になっていることもあり、もう一度、チャプター1を読み直すことにしようかと思っている。

脅し文句が書いてあるところも含めて、再度精読する。

問題を解いて分かったつもりになっていても、出題されていない所にも、重要な事例が書かれていたりするので、それを含めて定着させなければならない。

チャプター1については、先に進む毎に、戻って読み直してもいいかもしれない。

いくつかの略語(MOD、Sドリル、KISSの法則など)も、再確認だな。

読んでいて、レクリエーショナルダイビングとの比較をしている箇所があり、それも踏まえて考えると、ダイビングの基礎というのはテクニカルダイビングの方にあって、レクリエーショナルは、限定された環境で、そのサブセットになっていることが分かる。

本来なら、テクニカルダイビングのようにやらなければならないことを、省略したり、簡略化したりして、シンプルにしている。

それはそれで、リスクの軽減にもなっていて、単純に優劣は付けられないんだが、元々はこうだったという話はごろごろある。

むろん、テクニカルダイビング固有の作法というのもあって、リスクを天秤にかけて、より許容できるリスクを取って、そうでない方を捨てている。

チョンボは、命にかかわるので、命にかかわらない方の選択肢は、初めから考えない。

後になって出てくるけど、器材は消耗品として考えられている。

命には代えられないからだ。

あーあ・・・。

もちろん、レクリエーショナルだって、命より大切な器材はない。

だけど、突然壊れた時でも、最悪、直接浮上することが出来るというのは、実に有り難い。

そして、概ねそれで助かるようになっている。

先日のDANの講習会でも出てきたけど、水中のストレスが、精神、身体に及ぼす影響というのは馬鹿にできない。

そのストレスから、正しい選択が出来なくなったり、トラブルの連鎖が始まり、プチパニックが大パニックに発展したりする。

フィン履き忘れて飛び込んだら、次のヤツは、前のヤツのフィンを持って飛び込むのが当然だろう!?(紹介された海猿の事例は、次のヤツもフィン履かずに飛び込んだんだと!)。

まあ、どうでもいいんですが。

水中でなくても、パニクることはあるってことか。

テクニカルの講習で、そんな真似したら、不合格どころか、講習中止になる可能性もあるな。

そのために、チームでプレダイブチェックとか行うわけだが、ヘリからダイブするときは、そういうのはないんだろうな。

イケイケ、ドンドン・・・。

お仕事、ご苦労様です。

まあいい。

しかし、サブセットとはいいながら、レクリエーショナルダイビングは、長い歴史の中で少しずつ変わってきているようだ。

器材の進歩もあるしな。

BCDが出来て、フィンも軽くなって、ウエイトの配置が適正になり、ホリゾンタルの姿勢でトリムを取ってホバリングするというのが最近の流行りだ。

PADIのビデオを見ても、立ち姿勢でフィンを動かして止まっているシーンは見なくなった。

そのうち、煽り足で泳ぐようになるかもしれないな。

勘弁してくれ・・・。

器材の端っこをぶらぶらさせずに、流線形に収めるというのも流行りだ。

先だってのトレーニングブルティンによれば、セルフリライアントが標準スペシャルティになるらしいから、レギュレーターを2つ持ち込むようなダイバーが、サイドマウント以外でも増えてくるかもしれない。

レクリエーショナルダイビングも、テクニカルダイビングにだんだん似てくる。

つーか、既に、PADIでは、リブリーザーを使って、無限圧潜水の範囲内で、水深40mまで運用させている。

潜水時間は、機種にもよるが、ポセイドンならふつーに3時間だ・・・。

それでも、直接浮上できる環境と運用条件でのみ潜る。

どんだけハイテクでも、カッコが似てても、テクニカルダイビングとレクリエーショナルダイビングの垣根は、厳然としてある。

危機管理の考え方も、ダイビングの自由度も、キッチリ線が引かれていて、クロスすることはない。

減圧の有無だけが境目でもない。

閉鎖環境で、水面から40m以上行ったら、それは、仮に水深5mであってもテクニカルダイビングになる。

潜水時間がどんなに短くても、ご法度ということになる。

水平に40mなんて、5分もしないで行けちゃうし、もとろん無限圧の範囲内だろうが、それはれっきとしたテクニカルダイビングだし、テック40では許されていない。

もちろん、水深が40m一瞬でも越えたら、テクニカルだし。

40m以内でも、デコ出ししたらアウトだ。

あーあ。

最近は、40mというのもだんだん怪しくなってきて、CCRのCカードでも30mswとかになっている。

そろそろ、公式に30mまでというのがアナウンスされるかも知れない。

それ以上はご法度で、下手するとヘリウム吸えとか言われそうだ。

作業潜水では、将来的にそうなることは予告されているようなもんだしな。

垣根はだんだん狭くなっている。

そして、それを越えたらテクニカルだということになる。

しかし、そのテクニカルダイビングは、浮沈子の印象では、レクリエーショナルダイビングのような、ちゃらちゃらした世界(!?)とは程遠い、ガチガチで、不自由で、いつ逝ってもおかしくない、M的ヘンタイの世界に見える。

ダイビング業界自体がそうしているわけだから、実際、それなりのリスクがあるんだろう。

テキストの中にも、ケルベロスを飼っているしな。

精神的、身体的適正がなければ、追っ払われることになる。

永久的な障害と死亡のリスクを受け入れ、ルールを遵守する態度を示せなければ、たとえ知識やスキルがいかほどのものであろうと認定されることはない。

チャプター1は、何度読み返してもいいかもしれない。

身体に染みついて、抜けなくなるまで読んだ方がいいだろう。

その上で、このヤバイ世界に足を踏み入れるかどうかを、もう一度考えよう。

飛び降りてから、足ヒレ履くのを忘れたことに気づいても、テックじゃあ生き残れないしな・・・。