英国の選択 ― 2017年01月25日 15:45
英国の選択
一度は衛星打ち上げ能力を得た国家が、それを手離し、しかも、公式には有人宇宙飛行も否定し続けているという、にわかには信じられないような話がある。
(イギリスの宇宙開発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%96%8B%E7%99%BA
「英国は軍事・科学両面から独自ロケットを開発し、独自に衛星を打ち上げることに成功し、世界で6番目の衛星打ち上げ国となった。」
「しかし、その後は科学者の米国への流出や、戦後植民地を失い資金が大きく減ったことなどから独自開発の道は諦めざるを得なくなり、アメリカ、ロシア、欧州宇宙機関などとの協力によって宇宙開発を行うようになった。」
「英国は有人宇宙飛行計画の開発に至ったことがなく、欧州宇宙機関の有人宇宙飛行計画に資金を拠出したこともないため、独自資金で有人飛行を行っていない。」
昨日読んだ鳥嶋さんの記事にも、英国の宇宙開発の話が出てくる。
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 3 火星探検へ旅立ったダーウィン - 英国の火星探査機「ビーグル2」)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/003/
「ビーグル2は直径1cmの円盤状をしており・・・」
まあ、明らかに1mの間違いだな。
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 6 俺の屍を越えてゆけ - 欧州初の共同開発ロケット「ヨーロッパ」)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/006/
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 8 空飛ぶ口紅 - 英国初の衛星打ち上げロケット「ブラック・アロウ」(前編))
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/008/
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち
9 空飛ぶ口紅 - 英国初の衛星打ち上げロケット「ブラック・アロウ」(後編)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/009/
初期の宇宙ロケットの開発には、紆余曲折があり、結局、英国は独自の打ち上げロケットから撤退する。
さらに、ESAにおいても、主導的役割を離れ、民間の宇宙開発に補助金を出すに留まっている。
初めに書いたように、有人飛行には否定的だ。
もちろん、英国ゆかりの人々が、数人宇宙に行っているが、国家主導で参加したわけではない。
変わった国だと、浮沈子は思うけど、英国にはそれなりの事情があるんだろう。
「1971年春、英国議会では英国の宇宙開発の将来に関する両院特別委員会が立ち上がり審議が始まった。打ち上げの失敗、開発の遅れと、さらに米国が安価で安定したロケットを運用していることで、何も独自のロケットにこだわらなくては良いのではという声が強くなったのである。」(第9回:以下、同じ)
「その結果が出る前の1971年7月29日、フレデリック・コーフィールド航空宇宙担当大臣は庶民院において、ブラック・アロウ計画を中止すると報告した。」
「米国から良い条件(コストや入手性など)でロケットを入手するための取引材料としてブラック・アロウの開発や打ち上げは続行すべきであるものの、それは最低限にとどめ、米国から良い回答が得られ次第、即座に中止すべきである、といった内容の提言をしている」
現在、世界の衛星打ち上げの半数を占めるESAの中核をなし、欧州のロケット開発をけん引しているフランスとの違いが際立つ。
「シンフォニー事件:
フランスと西ドイツは「シンフォニー」と呼ばれる通信衛星を開発し、打ち上げをNASAに依頼した。」(第6回:以下、同じ)
「ところがNASAは、打ち上げを引き受ける条件として「シンフォニーを商業目的で使わないこと」という要求を出した。」
「シンフォニーは技術試験を目的にした衛星ではあったものの、試験完了後は商業目的で使うことを考えていたため、仏独はこの要求に大いに面食らったという。」
「この背景には、当時の衛星通信事業を国際電気通信衛星機構(インテルサット)が独占していたことがあった。」
「米国はインテルサット以外の衛星通信システムを構築しようとする国からの衛星開発支援や打ち上げ依頼は拒否する」
「最終的に欧州はこの条件を飲み、1974年と1975年に1機ずつ、2機のシンフォニーが米国のロケットによって打ち上げられた。」
この事と関係すると思しき書簡が、ネットに上がっている。
(フランス―ドイツのシンフォニー通信衛星の打上げについての国家航空宇宙局による援助の提供のための条件に関する交換公文(1974年6月21日及び24日にワシントンで調印))
http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_2/2-2-2-12_j.html
ワケワカの外交文書で、字面を追っただけでは分からない。
「この米国への遺恨と、ヨーロッパ・ロケットへの後悔は、欧州にとって「シンフォニー事件」として深く刻み込まれることになった。」(第6回)
英国は、米国と手を組んで打ち上げを有利に進め、仏独を突き放したわけだ(そうなのかあ?)。
ブレグジットの背景には、こんな話が隠れているのかもしれないな。
ヨーロッパであって、ヨーロッパではない、英国のビミョーな立ち位置を感じさせる。
しかし、有人飛行に否定的な英国は、ISSへの拠出はしていない。
この辺りも、ちょっと変わっている。
ついでだけど、第6回には、アリアンロケットの命名の話も出てくる。
「アリアンとはギリシア神話に登場する「アリアドネー」のことである」
(アリアドネー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%BC
「テーセウスがクレータ島の迷宮より脱出する手助けをしたことで知られる。」
「アリアドネーは工人ダイダロスの助言を受けて、迷宮(ラビュリントス)に入った後、無事に脱出するための方法として糸玉を彼にわたし、迷宮の入り口扉に糸を結び、糸玉を繰りつつ迷宮へと入って行くことを教えた。」
まあ、何というか、テクニカルダイビングのラインワークのはしりだな(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
「この物語は「アリアドネーの糸」という言葉となり、混迷から抜け出したり、難問を解決したりするため鍵という意味」(第6回)
フランス人らしい、エスプリということにしておこうか。
英国は、現在でも独自の打ち上げロケットを持たない方針を続けている。
アランボンドのスカイロンには金を出しているようだが、この怪しげな軌道投入用単段宇宙機がものになるかどうかはわからない。
(スカイロン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3
「イギリスの企業リアクション・エンジンズ(REL) により設計されたスペースプレーンである。」
もちろん、リチャードブランソンは、ナイトの称号を持つ英国市民だ。
(リチャード・ブランソン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
「サー・リチャード・チャールズ・ニコラス・ブランソン」
サーを付けなきゃならんのかあ?。
「2004年には「ヴァージン・ギャラクティック」を立ち上げ、宇宙旅行事業にも参入を開始した。」
英国人は、国家の意思とは直接関係なく、宇宙への志向を持ち続けているようだな。
米国もそうだが、国家が主導して宇宙開発に鎬を削るというのは、冷戦時代ならともかく、現在では余り意味がなくなったといえよう。
軍事利用の点では、現在でも競争が続いているが、平和利用については民間主導に代わってきている。
そこに利益があれば、金は集まって来るのだ。
国家は、軍事利用と、宇宙探査などの金にならない無駄飯食いの事業(!)だけに手を出すことになるんだろう。
それでいいではないか。
政府の金の尽きた英国は、早々に宇宙開発から手を引いた。
潜水艦発射核ミサイルシステム(トライデント・システム)も、米国から買ったわけだしな。
我が国は、初期には固体燃料ロケットの独自開発を行っていたが、米国からの技術導入に切り替え、事実上撤退した(そうなのかあ?)。
英国のように、その技術を手放すことはしなかったが、官需に支えられて細々と続けているだけだ。
英国が取った独自の道は、単に金詰りになったからだけなのかもしれない。
熟慮に熟慮を重ねた結果ではなく、やむを得ずそうなっただけかも。
ちょっと悲しい。
まあいい。
女王陛下のロケットが飛ぶことは、おそらく二度とないだろう。
007の世界だけで、ガマンすっかあ・・・。
一度は衛星打ち上げ能力を得た国家が、それを手離し、しかも、公式には有人宇宙飛行も否定し続けているという、にわかには信じられないような話がある。
(イギリスの宇宙開発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%96%8B%E7%99%BA
「英国は軍事・科学両面から独自ロケットを開発し、独自に衛星を打ち上げることに成功し、世界で6番目の衛星打ち上げ国となった。」
「しかし、その後は科学者の米国への流出や、戦後植民地を失い資金が大きく減ったことなどから独自開発の道は諦めざるを得なくなり、アメリカ、ロシア、欧州宇宙機関などとの協力によって宇宙開発を行うようになった。」
「英国は有人宇宙飛行計画の開発に至ったことがなく、欧州宇宙機関の有人宇宙飛行計画に資金を拠出したこともないため、独自資金で有人飛行を行っていない。」
昨日読んだ鳥嶋さんの記事にも、英国の宇宙開発の話が出てくる。
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 3 火星探検へ旅立ったダーウィン - 英国の火星探査機「ビーグル2」)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/003/
「ビーグル2は直径1cmの円盤状をしており・・・」
まあ、明らかに1mの間違いだな。
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 6 俺の屍を越えてゆけ - 欧州初の共同開発ロケット「ヨーロッパ」)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/006/
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち 8 空飛ぶ口紅 - 英国初の衛星打ち上げロケット「ブラック・アロウ」(前編))
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/008/
(宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち
9 空飛ぶ口紅 - 英国初の衛星打ち上げロケット「ブラック・アロウ」(後編)
http://news.mynavi.jp/series/spacetechnology/009/
初期の宇宙ロケットの開発には、紆余曲折があり、結局、英国は独自の打ち上げロケットから撤退する。
さらに、ESAにおいても、主導的役割を離れ、民間の宇宙開発に補助金を出すに留まっている。
初めに書いたように、有人飛行には否定的だ。
もちろん、英国ゆかりの人々が、数人宇宙に行っているが、国家主導で参加したわけではない。
変わった国だと、浮沈子は思うけど、英国にはそれなりの事情があるんだろう。
「1971年春、英国議会では英国の宇宙開発の将来に関する両院特別委員会が立ち上がり審議が始まった。打ち上げの失敗、開発の遅れと、さらに米国が安価で安定したロケットを運用していることで、何も独自のロケットにこだわらなくては良いのではという声が強くなったのである。」(第9回:以下、同じ)
「その結果が出る前の1971年7月29日、フレデリック・コーフィールド航空宇宙担当大臣は庶民院において、ブラック・アロウ計画を中止すると報告した。」
「米国から良い条件(コストや入手性など)でロケットを入手するための取引材料としてブラック・アロウの開発や打ち上げは続行すべきであるものの、それは最低限にとどめ、米国から良い回答が得られ次第、即座に中止すべきである、といった内容の提言をしている」
現在、世界の衛星打ち上げの半数を占めるESAの中核をなし、欧州のロケット開発をけん引しているフランスとの違いが際立つ。
「シンフォニー事件:
フランスと西ドイツは「シンフォニー」と呼ばれる通信衛星を開発し、打ち上げをNASAに依頼した。」(第6回:以下、同じ)
「ところがNASAは、打ち上げを引き受ける条件として「シンフォニーを商業目的で使わないこと」という要求を出した。」
「シンフォニーは技術試験を目的にした衛星ではあったものの、試験完了後は商業目的で使うことを考えていたため、仏独はこの要求に大いに面食らったという。」
「この背景には、当時の衛星通信事業を国際電気通信衛星機構(インテルサット)が独占していたことがあった。」
「米国はインテルサット以外の衛星通信システムを構築しようとする国からの衛星開発支援や打ち上げ依頼は拒否する」
「最終的に欧州はこの条件を飲み、1974年と1975年に1機ずつ、2機のシンフォニーが米国のロケットによって打ち上げられた。」
この事と関係すると思しき書簡が、ネットに上がっている。
(フランス―ドイツのシンフォニー通信衛星の打上げについての国家航空宇宙局による援助の提供のための条件に関する交換公文(1974年6月21日及び24日にワシントンで調印))
http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_2/2-2-2-12_j.html
ワケワカの外交文書で、字面を追っただけでは分からない。
「この米国への遺恨と、ヨーロッパ・ロケットへの後悔は、欧州にとって「シンフォニー事件」として深く刻み込まれることになった。」(第6回)
英国は、米国と手を組んで打ち上げを有利に進め、仏独を突き放したわけだ(そうなのかあ?)。
ブレグジットの背景には、こんな話が隠れているのかもしれないな。
ヨーロッパであって、ヨーロッパではない、英国のビミョーな立ち位置を感じさせる。
しかし、有人飛行に否定的な英国は、ISSへの拠出はしていない。
この辺りも、ちょっと変わっている。
ついでだけど、第6回には、アリアンロケットの命名の話も出てくる。
「アリアンとはギリシア神話に登場する「アリアドネー」のことである」
(アリアドネー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%BC
「テーセウスがクレータ島の迷宮より脱出する手助けをしたことで知られる。」
「アリアドネーは工人ダイダロスの助言を受けて、迷宮(ラビュリントス)に入った後、無事に脱出するための方法として糸玉を彼にわたし、迷宮の入り口扉に糸を結び、糸玉を繰りつつ迷宮へと入って行くことを教えた。」
まあ、何というか、テクニカルダイビングのラインワークのはしりだな(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
「この物語は「アリアドネーの糸」という言葉となり、混迷から抜け出したり、難問を解決したりするため鍵という意味」(第6回)
フランス人らしい、エスプリということにしておこうか。
英国は、現在でも独自の打ち上げロケットを持たない方針を続けている。
アランボンドのスカイロンには金を出しているようだが、この怪しげな軌道投入用単段宇宙機がものになるかどうかはわからない。
(スカイロン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3
「イギリスの企業リアクション・エンジンズ(REL) により設計されたスペースプレーンである。」
もちろん、リチャードブランソンは、ナイトの称号を持つ英国市民だ。
(リチャード・ブランソン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
「サー・リチャード・チャールズ・ニコラス・ブランソン」
サーを付けなきゃならんのかあ?。
「2004年には「ヴァージン・ギャラクティック」を立ち上げ、宇宙旅行事業にも参入を開始した。」
英国人は、国家の意思とは直接関係なく、宇宙への志向を持ち続けているようだな。
米国もそうだが、国家が主導して宇宙開発に鎬を削るというのは、冷戦時代ならともかく、現在では余り意味がなくなったといえよう。
軍事利用の点では、現在でも競争が続いているが、平和利用については民間主導に代わってきている。
そこに利益があれば、金は集まって来るのだ。
国家は、軍事利用と、宇宙探査などの金にならない無駄飯食いの事業(!)だけに手を出すことになるんだろう。
それでいいではないか。
政府の金の尽きた英国は、早々に宇宙開発から手を引いた。
潜水艦発射核ミサイルシステム(トライデント・システム)も、米国から買ったわけだしな。
我が国は、初期には固体燃料ロケットの独自開発を行っていたが、米国からの技術導入に切り替え、事実上撤退した(そうなのかあ?)。
英国のように、その技術を手放すことはしなかったが、官需に支えられて細々と続けているだけだ。
英国が取った独自の道は、単に金詰りになったからだけなのかもしれない。
熟慮に熟慮を重ねた結果ではなく、やむを得ずそうなっただけかも。
ちょっと悲しい。
まあいい。
女王陛下のロケットが飛ぶことは、おそらく二度とないだろう。
007の世界だけで、ガマンすっかあ・・・。

コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。