SLS(コアステージ)のグリーンランテストは終わったのか:8分間の燃焼が意味するもの ― 2021年03月26日 04:38
SLS(コアステージ)のグリーンランテストは終わったのか:8分間の燃焼が意味するもの
(NASAメガムーンロケットが主要なテストに合格し、打ち上げの準備ができました)
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-mega-moon-rocket-passes-key-test-readies-for-launch
「このテスト中に、チームはコアステージで初めて新しい操作を実行し、いくつかの重要な操作を繰り返し、NASAのアルテミスプログラムの最初と将来のSLSフライトのコアステージの準備ができていることを確認するのに役立つテストデータを記録しました。」
「グリーンランテストシリーズの以前のテストでは、コアステージのアビオニクスシステム、推進システム、および油圧システムの統合された機能とパフォーマンスを評価しました。」
NASAはお役所だからな。
プレスリリースの表現については、細心の注意を払っている。
プラン、ドゥー、シーで言えば、ホットファイア以前のテストは評価済みだが、ホットファイアについては、燃やして見てデータ取りをしたとこまでということだ。
評価はこれからということになる。
(グリーンランの更新:3月18日に全期間のホットファイアが正常に完了しました)
https://blogs.nasa.gov/artemis/2021/03/18/green-run-update-full-duration-hot-fire-successfully-completed-on-mar-18/
「数日中に、エンジニアはデータを精査し、ステージがフロリダにあるNASAのケネディ宇宙センターに配送される準備ができているかどうかを判断します。」
この記事を書いている今現在、その評価がどうだったか、フロリダに出荷可能なのかは報じられていない。
(NASAのムーンロケットは重要なエンジンテストで「A +」を獲得します)
https://spaceflightnow.com/2021/03/18/nasas-moon-rocket-gets-a-grade-after-critical-engine-test/
「エンジンデータに加えて、チームは、ロケットのフライトコンピューター、アビオニクス、および油圧システムが高温火災テスト中にどのように機能するかを監視しました。500を超えるセンサーが、温度、圧力、構造荷重、およびその他のパラメーターに関する情報を収集しました。」
「ハードウェアの非常に詳細な検査を行うので、今後数週間にわたってそれを処理しますが、最初の外観はすべてが完全に機能したことです」
もしも、検査に合格すれば・・・。
「検査、RS-25エンジンの清掃、ロケットの断熱材の潜在的な改修の後、ステニスの乗組員はコアステージをB-2テストスタンドから取り外し、NASAのペガサスバージ内に配置してケネディ宇宙センターに輸送します。」
「NASAが4月中旬にコアステージをステニスから去らせることを目指している」
「4月末までに、KSCに到着することを検討しています」
もちろん、8分間(499.6秒間)の燃焼テストは、外観上は成功したように見える。
エンジンが吹っ飛んだわけでもなく、ステニスのテストスタンドが木っ端微塵になったわけでもない。
前回のように、1分程度で止まっちまったわけでもない。
現段階での成功というのは、その程度の意味しかないのだ(そうなのかあ?)。
500のセンサーの値を評価するのに、どのくらいの時間が必要かは分からない。
隠れた瑕疵を暴くべく徹底したチェックを行った上で、標題にある通りのA+の評価を得ることが可能かどうかは未知数だ。
ひとつ前のテストである燃料注入のカウントダウンでは、途中までしか行かないまま、合格の評価を出して済ませているしな。
SLSのグリーンランは継続中だ。
が、まあ、少なくとも見かけは成功したように見える。
NASAの公式発表や、業界の報道は概ね好意的だ。
(NASAは木曜日に499.6秒間新しいロケットを発射しました
グリーンランテストは、NASAに打ち上げを進めるための青信号を与える可能性があります。)
https://arstechnica.com/science/2021/03/nasa-gets-a-much-needed-win-as-sls-rocket-completes-test-firing/
「車両が停止することなく完全な8分間のテストを通過し、明らかに良好な状態であったことは、NASA、スペースローンチシステムプログラム、およびコアステージの元請業者であるボーイングにとって大きな勝利を表しています。」
「ロケット、特にスペースローンチシステムのような大きなロケットの設計、製造、テスト、飛行は困難です。この車両の設計は2010年に米国上院によってNASAに押し付けられ、この時点に到達するために200億ドル以上を費やしましたが、それでも10年の作業の後にこのような動的テストを完了することは大きな成果です。」
「エンジニアに勝利ラップを取らせてください。」
ちょっとしたトラブルもあったようだな。
「エンジンの1つ周辺のコルク断熱材が発火し、カメラの視界が遮られる前に激しく燃えているように見えたが、エンジニアはその一部が燃え尽きると予想していたと述べた。コルクの下のセンサーが華氏100度を超えることはなかったので、断熱材はその役割を果たしました。」
「これは、排気がエンジンから運び去られている間、車両がはるかに低い空気圧に上昇する実際の打ち上げでは問題にはならないはずです。」
さすがに、エリックバーガーは慎重だ・・・。
「データレビューの日が待ち受けています」
結論を出すには時期尚早ということだな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(NASAの巨大ロケット「SLS」がエンジン燃焼試験に成功、月への打上げに前進)
https://news.mynavi.jp/article/20210325-1839288/
「コア・ステージの燃焼試験に成功」
「エンジンは、日本時間3月19日5時37分(米東部夏時間18日16時37分)に点火。液体酸素と液体水素を推進剤とするRS-25は、4基あわせて約7117kNもの推力を叩き出しながら、計画どおり8分19秒間の燃焼に成功」
「その間、4基のエンジンを特定のパターンで動かして推力を調整したり、エンジンの出力を109%まで上げたり、スロットルを下げたり上げたりするなど、さまざまな運用条件が確認され、試験の最低条件の目標はもちろん、エクストラ目標もクリア」
「今回の燃焼試験では、SLSの打ち上げを成功させるために必要な、多くのデータを提供してくれました。見たところ、今日の試験はすべて問題なかったと思います。コア・ステージの成績表に『A+』の評価がついたと言えるでしょう」
もろ手を挙げての「成功」評価(?)だが、月着陸(着陸船の開発予算は、要求の4分の1)の時期はおろか、無人での試験打ち上げ(アルテミス1)の時期すら明確にはなっていない。
「今年中に打ち上げることを検討しています」
検討だけならサルでも出来る・・・。
現時点では、ステニスからの出荷証明は出ていない。
楽観的見通しが先行する中、何か問題があったとしてもスルーされる懸念がないとは言えない。
確認しておこう。
ホットファイアによるデータ取得に成功しただけで、評価は進行中だ。
グリーンランテストは終わっていない。
そこから先の話は、全てタラレバの域を出ない。
年内の打ち上げはおそらくないだろうし、2024年の月面着陸は不可能と思える(NASAの当初予定である2028年でも怪しい)。
SLS(コアステージだけじゃなくて、上段やオリオン宇宙船を含めたとーらるのシステム)が使い物になるかどうかは、アルテミス2が終わってみなければ分からないのだ。
万が一、使い物にならなかったら?。
地球低軌道より遠い有人宇宙開発は、墜落激突爆発炎上木っ端微塵のスターシップ/スーパーヘビーに委ねられることになる。
悲劇だ・・・。
いや、喜劇かもな・・・。
(NASAメガムーンロケットが主要なテストに合格し、打ち上げの準備ができました)
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-mega-moon-rocket-passes-key-test-readies-for-launch
「このテスト中に、チームはコアステージで初めて新しい操作を実行し、いくつかの重要な操作を繰り返し、NASAのアルテミスプログラムの最初と将来のSLSフライトのコアステージの準備ができていることを確認するのに役立つテストデータを記録しました。」
「グリーンランテストシリーズの以前のテストでは、コアステージのアビオニクスシステム、推進システム、および油圧システムの統合された機能とパフォーマンスを評価しました。」
NASAはお役所だからな。
プレスリリースの表現については、細心の注意を払っている。
プラン、ドゥー、シーで言えば、ホットファイア以前のテストは評価済みだが、ホットファイアについては、燃やして見てデータ取りをしたとこまでということだ。
評価はこれからということになる。
(グリーンランの更新:3月18日に全期間のホットファイアが正常に完了しました)
https://blogs.nasa.gov/artemis/2021/03/18/green-run-update-full-duration-hot-fire-successfully-completed-on-mar-18/
「数日中に、エンジニアはデータを精査し、ステージがフロリダにあるNASAのケネディ宇宙センターに配送される準備ができているかどうかを判断します。」
この記事を書いている今現在、その評価がどうだったか、フロリダに出荷可能なのかは報じられていない。
(NASAのムーンロケットは重要なエンジンテストで「A +」を獲得します)
https://spaceflightnow.com/2021/03/18/nasas-moon-rocket-gets-a-grade-after-critical-engine-test/
「エンジンデータに加えて、チームは、ロケットのフライトコンピューター、アビオニクス、および油圧システムが高温火災テスト中にどのように機能するかを監視しました。500を超えるセンサーが、温度、圧力、構造荷重、およびその他のパラメーターに関する情報を収集しました。」
「ハードウェアの非常に詳細な検査を行うので、今後数週間にわたってそれを処理しますが、最初の外観はすべてが完全に機能したことです」
もしも、検査に合格すれば・・・。
「検査、RS-25エンジンの清掃、ロケットの断熱材の潜在的な改修の後、ステニスの乗組員はコアステージをB-2テストスタンドから取り外し、NASAのペガサスバージ内に配置してケネディ宇宙センターに輸送します。」
「NASAが4月中旬にコアステージをステニスから去らせることを目指している」
「4月末までに、KSCに到着することを検討しています」
もちろん、8分間(499.6秒間)の燃焼テストは、外観上は成功したように見える。
エンジンが吹っ飛んだわけでもなく、ステニスのテストスタンドが木っ端微塵になったわけでもない。
前回のように、1分程度で止まっちまったわけでもない。
現段階での成功というのは、その程度の意味しかないのだ(そうなのかあ?)。
500のセンサーの値を評価するのに、どのくらいの時間が必要かは分からない。
隠れた瑕疵を暴くべく徹底したチェックを行った上で、標題にある通りのA+の評価を得ることが可能かどうかは未知数だ。
ひとつ前のテストである燃料注入のカウントダウンでは、途中までしか行かないまま、合格の評価を出して済ませているしな。
SLSのグリーンランは継続中だ。
が、まあ、少なくとも見かけは成功したように見える。
NASAの公式発表や、業界の報道は概ね好意的だ。
(NASAは木曜日に499.6秒間新しいロケットを発射しました
グリーンランテストは、NASAに打ち上げを進めるための青信号を与える可能性があります。)
https://arstechnica.com/science/2021/03/nasa-gets-a-much-needed-win-as-sls-rocket-completes-test-firing/
「車両が停止することなく完全な8分間のテストを通過し、明らかに良好な状態であったことは、NASA、スペースローンチシステムプログラム、およびコアステージの元請業者であるボーイングにとって大きな勝利を表しています。」
「ロケット、特にスペースローンチシステムのような大きなロケットの設計、製造、テスト、飛行は困難です。この車両の設計は2010年に米国上院によってNASAに押し付けられ、この時点に到達するために200億ドル以上を費やしましたが、それでも10年の作業の後にこのような動的テストを完了することは大きな成果です。」
「エンジニアに勝利ラップを取らせてください。」
ちょっとしたトラブルもあったようだな。
「エンジンの1つ周辺のコルク断熱材が発火し、カメラの視界が遮られる前に激しく燃えているように見えたが、エンジニアはその一部が燃え尽きると予想していたと述べた。コルクの下のセンサーが華氏100度を超えることはなかったので、断熱材はその役割を果たしました。」
「これは、排気がエンジンから運び去られている間、車両がはるかに低い空気圧に上昇する実際の打ち上げでは問題にはならないはずです。」
さすがに、エリックバーガーは慎重だ・・・。
「データレビューの日が待ち受けています」
結論を出すには時期尚早ということだな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(NASAの巨大ロケット「SLS」がエンジン燃焼試験に成功、月への打上げに前進)
https://news.mynavi.jp/article/20210325-1839288/
「コア・ステージの燃焼試験に成功」
「エンジンは、日本時間3月19日5時37分(米東部夏時間18日16時37分)に点火。液体酸素と液体水素を推進剤とするRS-25は、4基あわせて約7117kNもの推力を叩き出しながら、計画どおり8分19秒間の燃焼に成功」
「その間、4基のエンジンを特定のパターンで動かして推力を調整したり、エンジンの出力を109%まで上げたり、スロットルを下げたり上げたりするなど、さまざまな運用条件が確認され、試験の最低条件の目標はもちろん、エクストラ目標もクリア」
「今回の燃焼試験では、SLSの打ち上げを成功させるために必要な、多くのデータを提供してくれました。見たところ、今日の試験はすべて問題なかったと思います。コア・ステージの成績表に『A+』の評価がついたと言えるでしょう」
もろ手を挙げての「成功」評価(?)だが、月着陸(着陸船の開発予算は、要求の4分の1)の時期はおろか、無人での試験打ち上げ(アルテミス1)の時期すら明確にはなっていない。
「今年中に打ち上げることを検討しています」
検討だけならサルでも出来る・・・。
現時点では、ステニスからの出荷証明は出ていない。
楽観的見通しが先行する中、何か問題があったとしてもスルーされる懸念がないとは言えない。
確認しておこう。
ホットファイアによるデータ取得に成功しただけで、評価は進行中だ。
グリーンランテストは終わっていない。
そこから先の話は、全てタラレバの域を出ない。
年内の打ち上げはおそらくないだろうし、2024年の月面着陸は不可能と思える(NASAの当初予定である2028年でも怪しい)。
SLS(コアステージだけじゃなくて、上段やオリオン宇宙船を含めたとーらるのシステム)が使い物になるかどうかは、アルテミス2が終わってみなければ分からないのだ。
万が一、使い物にならなかったら?。
地球低軌道より遠い有人宇宙開発は、墜落激突爆発炎上木っ端微塵のスターシップ/スーパーヘビーに委ねられることになる。
悲劇だ・・・。
いや、喜劇かもな・・・。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。