🐱スターライナー:CFT:胸騒ぎ ― 2024年04月21日 00:03
スターライナー:CFT:胸騒ぎ
(ボーイングのスターライナーの初の有人飛行に向けて、すべての要素が整っています)
https://arstechnica.com/space/2024/04/all-the-pieces-are-in-place-for-the-first-crew-flight-of-boeings-starliner/
「CFT ミッション用のスターライナー宇宙船は、 2019 年 12 月にプログラムの最初の無人試験飛行で軌道上を飛行したカリプソ という名前の再利用可能な乗組員モジュールで構成されています。」
何となく、胸騒ぎがする。
もちろん、何の根拠もない。
チェックは全て行われ、不具合は修正され、そのテストも行われている。
不安があるとすれば、この機体が「あのOFT-1」を飛んだ、まさにその「カリプソ」であることだけだ。
問題の原因となったソフトウェアを始め、ドッキングベイを覆うカバーやその他のハードウェア(詳細未確認)は改修され、事実上別物になっているとはいえ、同じ機体であることに変わりはない。
やっぱ、胸騒ぎがする・・・。
「地上チームは今週、ボーイング社のスターライナー宇宙船をユナイテッド・ローンチ・アライアンス・アトラスVロケットの頂上に吊り上げ、来月のNASAのベテラン宇宙飛行士2名による国際宇宙ステーションへの試験飛行に向けた打ち上げに向けてすべての準備を整えた。」
「来週、NASA全体の幹部らがケネディ宇宙センターで飛行準備審査を開催する予定」
「NASA の航空宇宙安全諮問委員会 (ASAP) のメンバーは、これらのレビューに参加しています。」
「議会は1968年にNASAに安全問題について助言する独立委員会を設置した。」
「ASAPのメンバーは何年もの間、ソフトウェアの問題やバルブの腐食、そして最近では設計仕様を満たしていない宇宙船やパラシュート内の可燃性物質など、スターライナー計画を悩ませている技術的問題を追跡してきた。」
浮沈子は、アポロ1号の事故を契機に作られたこの独立委員会が十全に機能しなかったために、2度のスペースシャトル事故が起こったことを知っている。
お手盛りの監査システムは、何の役にも立たないのだ。
「NASA の安全文化は次のようなものであると思われるというのが委員会の見解である。」(安全パネル委員長のスーザン・ヘルムズ氏)
「健康で、目の前の仕事に平等です」
ホントかあ?。
まあいい。
「スターライナーの乗組員飛行試験の指揮官であるウィルモア氏は先月アルスに対し、外部の観察者は宇宙船の有人飛行初飛行に完璧を期待すべきではないと語った。」
「そんな期待はしないでください」
「完璧にはならないだろう。でも、悪くもない。そう思ったら行かないよ。」
テストパイロットは、リスクを受け入れるのが仕事だからな。
「CFTミッションは、マーキュリー、ジェミニ、アポロ、スペースシャトル、クルードラゴンに続き、米国製の軌道級宇宙船が宇宙飛行士を乗せてデビュー飛行を行うのは60年以上で6回目」
それがどれだけヤバい話かは、NASAは百も承知だ。
「スターライナーは予定より何年も遅れ、予算を超過しています。」
「SpaceXのクルードラゴン宇宙船は、2020年の初の宇宙飛行士飛行以来、NASAのすべての乗組員ローテーションミッションでステーションに到着している。」
「スターライナーとクルードラゴンを交互に運行し、来年から同駅への6か月間遠征することになる。」
ISSの運用が2030年までとされる中、ISSタクシーとしての運用には後がない。
スターライナーには、相当なプレッシャーが掛かっている。
チャレンジャー事故の際、ホワイトハウスからの圧力があったのかどうかは知らない。
しかし、当時のNASAの「文化」が、状況に屈したことは確かだ。
スーザンヘルムズ(ASAP委員長)が、「安全文化」に言及した所以だな。
「これは試験飛行であり、その点で複雑です。他の試験飛行と同様に、NASAとボーイングは不測の事態や、スターライナー航空機の現在の運用範囲を超える可能性のある飛行状況に備えるべきです」(ヘルムズ氏)
スティーブンクラークが、なぜこの記事を書いたのか。
浮沈子には、その理由が痛いほどわかる気がする。
いや、米国人のトラウマになっているチャレンジャー事故を知る人々は皆、同じ思いでいることだろう。
しかもだ、メーカーであるB社は、スペースシャトルを製造していた当時とは全く別の会社になっている。
(ボーイングの内部告発者が「ボーイング787型機は廃棄すべき」と語る)
https://gigazine.net/news/20240418-boeing-whistleblower-787-should-be-grounded/
「ボーイングのエンジニアであるサレプール氏は2024年4月9日に記者会見を開き、ボーイング777型機とボーイング787型機の製造工程でも安全性が軽視されていたと内部告発」
「787型機は胴体部分が適切に固定されておらず、数千回の飛行で破損する可能性」
「組み立てラインでの部品の取り付け方と固定方法に起因」
「777型機の製造工程にも問題」
「私は自ら名乗り出て、自分で首を突っ込んだのです。しかし、私は自分自身と折り合いがついています。なぜなら、これは多くの人々の命を救うことにつながるからです」(ボーイングのエンジニアで、その製造基準について内部告発をしたサム・サレプール氏)
「私たちはボーイング787型機に全幅の信頼を置いています。提起された問題はFAAの監督下で厳格な技術的検査の対象となっています。この分析によって、ボーイング787型機を含める航空機がその耐用年数を維持することが示されました」(ボーイングの広報担当者)
そのFAAの技術審査を行っているのがB社自身であるということは、広く知られてはいない。
米国の(世界の?)安全は、メーカーの良心を信じるしかないという、迷信にも似た状況に陥っている。
「ボーイングの安全文化が不適切で混乱している」(航空専門家)
幸い、NASAの安全文化は「健康で、目の前の仕事に平等」だそうだ。
そうあって欲しいと願うとともに、ミッションの成功を、心から祈らずにはいられないな・・・。
(ボーイングのスターライナーの初の有人飛行に向けて、すべての要素が整っています)
https://arstechnica.com/space/2024/04/all-the-pieces-are-in-place-for-the-first-crew-flight-of-boeings-starliner/
「CFT ミッション用のスターライナー宇宙船は、 2019 年 12 月にプログラムの最初の無人試験飛行で軌道上を飛行したカリプソ という名前の再利用可能な乗組員モジュールで構成されています。」
何となく、胸騒ぎがする。
もちろん、何の根拠もない。
チェックは全て行われ、不具合は修正され、そのテストも行われている。
不安があるとすれば、この機体が「あのOFT-1」を飛んだ、まさにその「カリプソ」であることだけだ。
問題の原因となったソフトウェアを始め、ドッキングベイを覆うカバーやその他のハードウェア(詳細未確認)は改修され、事実上別物になっているとはいえ、同じ機体であることに変わりはない。
やっぱ、胸騒ぎがする・・・。
「地上チームは今週、ボーイング社のスターライナー宇宙船をユナイテッド・ローンチ・アライアンス・アトラスVロケットの頂上に吊り上げ、来月のNASAのベテラン宇宙飛行士2名による国際宇宙ステーションへの試験飛行に向けた打ち上げに向けてすべての準備を整えた。」
「来週、NASA全体の幹部らがケネディ宇宙センターで飛行準備審査を開催する予定」
「NASA の航空宇宙安全諮問委員会 (ASAP) のメンバーは、これらのレビューに参加しています。」
「議会は1968年にNASAに安全問題について助言する独立委員会を設置した。」
「ASAPのメンバーは何年もの間、ソフトウェアの問題やバルブの腐食、そして最近では設計仕様を満たしていない宇宙船やパラシュート内の可燃性物質など、スターライナー計画を悩ませている技術的問題を追跡してきた。」
浮沈子は、アポロ1号の事故を契機に作られたこの独立委員会が十全に機能しなかったために、2度のスペースシャトル事故が起こったことを知っている。
お手盛りの監査システムは、何の役にも立たないのだ。
「NASA の安全文化は次のようなものであると思われるというのが委員会の見解である。」(安全パネル委員長のスーザン・ヘルムズ氏)
「健康で、目の前の仕事に平等です」
ホントかあ?。
まあいい。
「スターライナーの乗組員飛行試験の指揮官であるウィルモア氏は先月アルスに対し、外部の観察者は宇宙船の有人飛行初飛行に完璧を期待すべきではないと語った。」
「そんな期待はしないでください」
「完璧にはならないだろう。でも、悪くもない。そう思ったら行かないよ。」
テストパイロットは、リスクを受け入れるのが仕事だからな。
「CFTミッションは、マーキュリー、ジェミニ、アポロ、スペースシャトル、クルードラゴンに続き、米国製の軌道級宇宙船が宇宙飛行士を乗せてデビュー飛行を行うのは60年以上で6回目」
それがどれだけヤバい話かは、NASAは百も承知だ。
「スターライナーは予定より何年も遅れ、予算を超過しています。」
「SpaceXのクルードラゴン宇宙船は、2020年の初の宇宙飛行士飛行以来、NASAのすべての乗組員ローテーションミッションでステーションに到着している。」
「スターライナーとクルードラゴンを交互に運行し、来年から同駅への6か月間遠征することになる。」
ISSの運用が2030年までとされる中、ISSタクシーとしての運用には後がない。
スターライナーには、相当なプレッシャーが掛かっている。
チャレンジャー事故の際、ホワイトハウスからの圧力があったのかどうかは知らない。
しかし、当時のNASAの「文化」が、状況に屈したことは確かだ。
スーザンヘルムズ(ASAP委員長)が、「安全文化」に言及した所以だな。
「これは試験飛行であり、その点で複雑です。他の試験飛行と同様に、NASAとボーイングは不測の事態や、スターライナー航空機の現在の運用範囲を超える可能性のある飛行状況に備えるべきです」(ヘルムズ氏)
スティーブンクラークが、なぜこの記事を書いたのか。
浮沈子には、その理由が痛いほどわかる気がする。
いや、米国人のトラウマになっているチャレンジャー事故を知る人々は皆、同じ思いでいることだろう。
しかもだ、メーカーであるB社は、スペースシャトルを製造していた当時とは全く別の会社になっている。
(ボーイングの内部告発者が「ボーイング787型機は廃棄すべき」と語る)
https://gigazine.net/news/20240418-boeing-whistleblower-787-should-be-grounded/
「ボーイングのエンジニアであるサレプール氏は2024年4月9日に記者会見を開き、ボーイング777型機とボーイング787型機の製造工程でも安全性が軽視されていたと内部告発」
「787型機は胴体部分が適切に固定されておらず、数千回の飛行で破損する可能性」
「組み立てラインでの部品の取り付け方と固定方法に起因」
「777型機の製造工程にも問題」
「私は自ら名乗り出て、自分で首を突っ込んだのです。しかし、私は自分自身と折り合いがついています。なぜなら、これは多くの人々の命を救うことにつながるからです」(ボーイングのエンジニアで、その製造基準について内部告発をしたサム・サレプール氏)
「私たちはボーイング787型機に全幅の信頼を置いています。提起された問題はFAAの監督下で厳格な技術的検査の対象となっています。この分析によって、ボーイング787型機を含める航空機がその耐用年数を維持することが示されました」(ボーイングの広報担当者)
そのFAAの技術審査を行っているのがB社自身であるということは、広く知られてはいない。
米国の(世界の?)安全は、メーカーの良心を信じるしかないという、迷信にも似た状況に陥っている。
「ボーイングの安全文化が不適切で混乱している」(航空専門家)
幸い、NASAの安全文化は「健康で、目の前の仕事に平等」だそうだ。
そうあって欲しいと願うとともに、ミッションの成功を、心から祈らずにはいられないな・・・。
🐱ウクライナ降伏不可避:可決! ― 2024年04月21日 09:01
ウクライナ降伏不可避:可決!
(米下院 ウクライナ支援の緊急予算案 超党派の賛成多数で可決)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240421/k10014428621000.html
「下院は20日、ウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案の採決を行い、賛成311票、反対112票の賛成多数で可決」
「総額およそ608億ドル、日本円にしておよそ9兆4000億円」
(米下院が608億ドルのウクライナ支援法案を可決、ロシア凍結資産の転用も)
https://grandfleet.info/us-related/u-s-house-passes-60-8-billion-ukraine-aid-bill/
「上院でも来週中に採決が行われ、ホワイトハウスに届けられた法案にバイデン大統領が署名すればウクライナ支援法案は成立」
「ウクライナが必要とする装備・物資を米軍在庫から引き出す大統領権限(PDA)に232億ドル、ウクライナが必要とする装備やサービスを米産業界から調達するウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)に138億ドル、米軍による東欧でのプレゼンス強化、軍事訓練、情報共有等の作戦に113億ドル、ウクライナへの直接的な財政支援に78.5億ドル、経済支援やウクライナ周辺の防空・海上防衛強化に32億ドル、ウクライナ支援の監視に2,600万ドルで構成され、直接的な軍事援助額は370億ドル」
「我々が待ち望んでいた結果を受け取った」「これは前線で戦う兵士やロシアのテロに苦しんでいる都市や村々に実感してもらえる非常に重要な支援パッケージだ」と述べ、G7が約束した安全保障に関する2国間協定についても「米国と合意に近づいている」「4月中にバルト三国の国と協定に署名する可能性がある」「北欧諸国(ノルウェーとスウェーデンのこと)も6月までに合意が得られるかもしれない」「ポルトガルとも2国間協定の協議を開始した」(ゼレンスキー大統領)
「これまでに英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、デンマーク、オランダ、フィンランド、ラトビアがウクライナとの2国間協定を締結、この9ヶ国が2024年に提供を約束した軍事支援額は182億ドル以上」
ウクライナはホッと一息だな。
が、問題は西側支援だけじゃないからな。
フランスがウクライナ派兵をぶち上げたり、英国特殊部隊の関与がばらされたりしているけど、ドンパチやってるメインのウクライナ軍が支援を受けてどんだけ戦えるかが問題なわけだ。
昨年の反転攻勢の際にも、西側からの支援は滞ることなく続いていたからな。
少なくとも、10月7日までは。
歯車が狂いだしたのは、ハマスのテロとその後に続くガザ侵攻の影響が明らかになってからだ。
それから半年余り・・・。
ザルジニーの「戦線膠着」暴露記事、米国支援の停滞、動員50万人の衝撃、最高司令官の交代、マリンカやアウディイウカの陥落を経て、ようやく正常状態が見えてきた。
やれやれ・・・。
が、状況は一向に改善する兆しはない。
都市の防空は穴だらけ。
ロシアのミサイルは毎日のように飛んでくるし、前線への空爆も続いている。
その前線は、ロシアがほぼ一方的に前進していて、毎週戦況が更新されている。
砲弾の供給は改善の見込みが立たず(生産能力の問題だからな)、約束した防空システムがいつ届くかも分からず、戦況を塗り替える期待を一身に集めるF-16の提供時期は不透明なままだ(夏ごろと言われてるけど)。
大いに期待されたドニエプル川東岸の戦況は不明なままで、ウクライナ軍が陣地を維持しているのか、放棄して撤退したのかさえ明らかではない。
クリミアは、相変わらずロシアなまま。
大々的に報じられるウクライナ側のピンポイントの攻撃は、「支配地域奪還」への「面」への反撃に繋がってはいないようだしな。
が、しかし、絶体絶命な状況から脱したことだけは間違いない。
バーンズは、年内敗北とまでバラしたからな。
(ウクライナ、追加支援なければ今年末までに敗北も 米CIA長官が警告)
https://www.cnn.co.jp/usa/35218003.html
「極めて現実的なリスクとして、ウクライナは2024年末までに戦場で敗北する可能性がある。あるいは政治的解決の観点から、プーチン(・ロシア大統領)が命令を下す側に立つ恐れもある」
ちょっと注目すべきコメントもある。
「支援パッケージが承認されなくても、当局者らはロシアがウクライナ全土を制圧する公算は小さいとみている。」(西側の諜報(ちょうほう)に詳しいある情報筋)
ほほう・・・。
米国は、ウクライナ情勢に対して、冷静な評価を続けている。
逆に言えば、米国の支援が復活したからと言って、劇的に状況が改善されるわけではないのかもしれない。
年内に、ロシア軍を支配地域から撤退させるなどという話にはならないのだ。
ガザの紛争は、イスラエルとイランの直接対決に拡大し、双方の攻撃の応酬が続いている。
イランからのミサイルの防衛には、米軍が直接参加してるしな。
米国は紅海でも戦闘に参戦しているし、ぶっちゃけ、ウクライナどころではないのだ。
状況が10月7日以前に戻るわけではない。
が、悪い話ばかりでなない。
黒海ではロシア海軍は沈黙し、空軍は多くの航空機とパイロットなどを失い、その戦力を大きく棄損している。
ウクライナの特殊作戦は、目を見張る戦果を上げている。
が、そこに留まっていることこそが問題なわけだ。
当面の焦点は、バフムトの西にあるチャシブヤールの攻防と言われているが、ここを奪取されると、クラマトルスクへの脅威が増大し、ドネツク州の戦況が一気に悪化する懸念が生じる。
だが、仮にそうなったとしても、米国の見立てではロシアがウクライナ全土を支配することにはつながらない。
それは、米国の支援の有無にかかわらずだ(ここ、重要です!)。
ウクライナは、米国マターから欧州マターに完全に切り替わったということなわけだ(そうなのかあ?)。
ウクライナへの支援を律速するのは欧州であり、米国は、支援の規模はともかく、補佐的な立場に移ると言うことなのかもしれない(未確認)。
下院が法案を止めている最中に、ポジションチェンジして、もしトラに備えたということか。
まあいい。
そのトランプ陣営も、ウクライナへの対応を見直し始めているという報道が出ている。
(トランプ氏「ウクライナ存続は米にとって重要」、姿勢変化示唆)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/4KCV5NGA6RMXFEEH4M4HSEVIJI-2024-04-18/
「誰もが同意するように、ウクライナの存続と強さは、われわれよりも欧州にとってはるかに重要であるはずだが、われわれにとっても重要だ!」
が、これを朗報と捉えていいかどうかは分からない。
米国の中長期的スタンスが、一国主義であることは変わらないし、中でもトランプ陣営のスタンスが米国中心主義であることに変化はない。
「ウクライナの存続が米国の重要な安全保障上の利益であることをトランプ氏が初めて認めた発言の1つ」
ロイターの見立てはいかがなものか。
浮沈子的には、むしろ欧州マターとして突き放す姿勢に見える。
ウクライナ紛争は、米国人の中で既にオワコンと化している。
政策担当者の中でさえ、ビビッドな話題ではないのかもしれない。
まして、巷の人々にとってをや・・・。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
下院が支援法案を通したことで、その関心は一気に下がるだろう。
それこそが、ウクライナにとっての最大の懸念だ。
戦場で勝てないウクライナを、欧州がどう支えていくのか。
ロシアの直接的脅威が増大する中で、どこまで続けていくのか。
ロシアは、軍事的増強の全てをウクライナに投じているわけではない。
来るべき欧州大戦争に備えて、内部留保を蓄え続けている。
(29年にもNATO攻撃態勢整う ロシア巡りドイツ軍総監が危機感)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322157
「ウクライナ侵攻で疲弊するロシア軍が兵力を再編すれば、5~8年で北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃できる態勢が整う」(ドイツ軍のブロイアー総監)
「ロシアは大量の軍需品を生産しているが、全てをウクライナの前線に投入しているわけではない」
「私たちが見据えるのは5~8年後の脅威」
前にも書いたけど、それは欧州側が準備可能なスケジュールの話だ。
対応できない脅威について、表沙汰になることはない。
ポーランドなど、近接する国々は、もっと短期と見込んでいるんだろう。
(「戦争が現実の脅威に」、欧州は準備できていないとポーランド首相が警告)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cz9zqkgw1z5o
「我々は第2次世界大戦終結後で最も重大な瞬間を生きている」
「欧州は「戦前の時代」に突入しており、ロシアの侵攻を受けるウクライナが敗れれば、欧州では誰も安心してはいられなくなる」
欧州は、既にポストウクライナで動き始めている。
ウクライナ紛争をどう終結させ、ロシアとの直接対決を有利に導くかという出口戦略を模索しているわけだ。
ウクライナ支援は、そのための「手段」であって、「目的」ではない。
投資の対象として、可能な限りの見返りを絞り出そうとし始めている。
その最大の利益は「時間」であるに違いない。
浮沈子は、ウクライナの特殊作戦の目的が、必ずしも前線の状況改善につながっていない点にも注目している。
標的とされているA50や戦略爆撃機は、来るべき欧州大戦争においても高い脅威となるターゲットなわけだ。
ウクライナは、欧州のパシリをやらされているのではないのか。
英国の特殊部隊が、黒海における上陸作戦に関与している話もあるしな。
もちろん、双方の利害が一致しているからこその作戦には違いないだろうが、少なくともロシア本土の攻撃目標や高価値目標の選定にNATOが絡んでいることは間違いない。
(英特殊部隊がウクライナで活動とロシア主張、「紛争に直接関与」)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DOZIY3XUXFOINOZZFYCZSLFHVM-2024-04-12/
「英国の特殊舟艇部隊(SBS)がウクライナで活動し、ロシア軍に対する作戦を支援」
「ウクライナの破壊工作部隊を黒海の砂州に上陸させる英特殊部隊の計画を阻止」
「英国防省報道官はロイターのコメント要請に返答していない。」
まあ、どうでもいいんですが。
米国が始めたウクライナ紛争は、欧州が肩代わりして続けることになったようだ。
米国も欧州も、ウクライナがどうなろうと知ったことではないのかもしれない(そんなあ!)。
国家は正義では動かない。
国益で動く。
「ウクライナの存続が米国の重要な安全保障上の利益であることをトランプ氏が初めて認めた発言の1つ」(ロイター:再掲)
浮沈子は懐疑的だが、もしトラになっても米国の支援が続く可能性が出てきたのかもしれない・・・。
(米下院 ウクライナ支援の緊急予算案 超党派の賛成多数で可決)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240421/k10014428621000.html
「下院は20日、ウクライナへの追加の軍事支援のための緊急予算案の採決を行い、賛成311票、反対112票の賛成多数で可決」
「総額およそ608億ドル、日本円にしておよそ9兆4000億円」
(米下院が608億ドルのウクライナ支援法案を可決、ロシア凍結資産の転用も)
https://grandfleet.info/us-related/u-s-house-passes-60-8-billion-ukraine-aid-bill/
「上院でも来週中に採決が行われ、ホワイトハウスに届けられた法案にバイデン大統領が署名すればウクライナ支援法案は成立」
「ウクライナが必要とする装備・物資を米軍在庫から引き出す大統領権限(PDA)に232億ドル、ウクライナが必要とする装備やサービスを米産業界から調達するウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)に138億ドル、米軍による東欧でのプレゼンス強化、軍事訓練、情報共有等の作戦に113億ドル、ウクライナへの直接的な財政支援に78.5億ドル、経済支援やウクライナ周辺の防空・海上防衛強化に32億ドル、ウクライナ支援の監視に2,600万ドルで構成され、直接的な軍事援助額は370億ドル」
「我々が待ち望んでいた結果を受け取った」「これは前線で戦う兵士やロシアのテロに苦しんでいる都市や村々に実感してもらえる非常に重要な支援パッケージだ」と述べ、G7が約束した安全保障に関する2国間協定についても「米国と合意に近づいている」「4月中にバルト三国の国と協定に署名する可能性がある」「北欧諸国(ノルウェーとスウェーデンのこと)も6月までに合意が得られるかもしれない」「ポルトガルとも2国間協定の協議を開始した」(ゼレンスキー大統領)
「これまでに英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、デンマーク、オランダ、フィンランド、ラトビアがウクライナとの2国間協定を締結、この9ヶ国が2024年に提供を約束した軍事支援額は182億ドル以上」
ウクライナはホッと一息だな。
が、問題は西側支援だけじゃないからな。
フランスがウクライナ派兵をぶち上げたり、英国特殊部隊の関与がばらされたりしているけど、ドンパチやってるメインのウクライナ軍が支援を受けてどんだけ戦えるかが問題なわけだ。
昨年の反転攻勢の際にも、西側からの支援は滞ることなく続いていたからな。
少なくとも、10月7日までは。
歯車が狂いだしたのは、ハマスのテロとその後に続くガザ侵攻の影響が明らかになってからだ。
それから半年余り・・・。
ザルジニーの「戦線膠着」暴露記事、米国支援の停滞、動員50万人の衝撃、最高司令官の交代、マリンカやアウディイウカの陥落を経て、ようやく正常状態が見えてきた。
やれやれ・・・。
が、状況は一向に改善する兆しはない。
都市の防空は穴だらけ。
ロシアのミサイルは毎日のように飛んでくるし、前線への空爆も続いている。
その前線は、ロシアがほぼ一方的に前進していて、毎週戦況が更新されている。
砲弾の供給は改善の見込みが立たず(生産能力の問題だからな)、約束した防空システムがいつ届くかも分からず、戦況を塗り替える期待を一身に集めるF-16の提供時期は不透明なままだ(夏ごろと言われてるけど)。
大いに期待されたドニエプル川東岸の戦況は不明なままで、ウクライナ軍が陣地を維持しているのか、放棄して撤退したのかさえ明らかではない。
クリミアは、相変わらずロシアなまま。
大々的に報じられるウクライナ側のピンポイントの攻撃は、「支配地域奪還」への「面」への反撃に繋がってはいないようだしな。
が、しかし、絶体絶命な状況から脱したことだけは間違いない。
バーンズは、年内敗北とまでバラしたからな。
(ウクライナ、追加支援なければ今年末までに敗北も 米CIA長官が警告)
https://www.cnn.co.jp/usa/35218003.html
「極めて現実的なリスクとして、ウクライナは2024年末までに戦場で敗北する可能性がある。あるいは政治的解決の観点から、プーチン(・ロシア大統領)が命令を下す側に立つ恐れもある」
ちょっと注目すべきコメントもある。
「支援パッケージが承認されなくても、当局者らはロシアがウクライナ全土を制圧する公算は小さいとみている。」(西側の諜報(ちょうほう)に詳しいある情報筋)
ほほう・・・。
米国は、ウクライナ情勢に対して、冷静な評価を続けている。
逆に言えば、米国の支援が復活したからと言って、劇的に状況が改善されるわけではないのかもしれない。
年内に、ロシア軍を支配地域から撤退させるなどという話にはならないのだ。
ガザの紛争は、イスラエルとイランの直接対決に拡大し、双方の攻撃の応酬が続いている。
イランからのミサイルの防衛には、米軍が直接参加してるしな。
米国は紅海でも戦闘に参戦しているし、ぶっちゃけ、ウクライナどころではないのだ。
状況が10月7日以前に戻るわけではない。
が、悪い話ばかりでなない。
黒海ではロシア海軍は沈黙し、空軍は多くの航空機とパイロットなどを失い、その戦力を大きく棄損している。
ウクライナの特殊作戦は、目を見張る戦果を上げている。
が、そこに留まっていることこそが問題なわけだ。
当面の焦点は、バフムトの西にあるチャシブヤールの攻防と言われているが、ここを奪取されると、クラマトルスクへの脅威が増大し、ドネツク州の戦況が一気に悪化する懸念が生じる。
だが、仮にそうなったとしても、米国の見立てではロシアがウクライナ全土を支配することにはつながらない。
それは、米国の支援の有無にかかわらずだ(ここ、重要です!)。
ウクライナは、米国マターから欧州マターに完全に切り替わったということなわけだ(そうなのかあ?)。
ウクライナへの支援を律速するのは欧州であり、米国は、支援の規模はともかく、補佐的な立場に移ると言うことなのかもしれない(未確認)。
下院が法案を止めている最中に、ポジションチェンジして、もしトラに備えたということか。
まあいい。
そのトランプ陣営も、ウクライナへの対応を見直し始めているという報道が出ている。
(トランプ氏「ウクライナ存続は米にとって重要」、姿勢変化示唆)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/4KCV5NGA6RMXFEEH4M4HSEVIJI-2024-04-18/
「誰もが同意するように、ウクライナの存続と強さは、われわれよりも欧州にとってはるかに重要であるはずだが、われわれにとっても重要だ!」
が、これを朗報と捉えていいかどうかは分からない。
米国の中長期的スタンスが、一国主義であることは変わらないし、中でもトランプ陣営のスタンスが米国中心主義であることに変化はない。
「ウクライナの存続が米国の重要な安全保障上の利益であることをトランプ氏が初めて認めた発言の1つ」
ロイターの見立てはいかがなものか。
浮沈子的には、むしろ欧州マターとして突き放す姿勢に見える。
ウクライナ紛争は、米国人の中で既にオワコンと化している。
政策担当者の中でさえ、ビビッドな話題ではないのかもしれない。
まして、巷の人々にとってをや・・・。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
下院が支援法案を通したことで、その関心は一気に下がるだろう。
それこそが、ウクライナにとっての最大の懸念だ。
戦場で勝てないウクライナを、欧州がどう支えていくのか。
ロシアの直接的脅威が増大する中で、どこまで続けていくのか。
ロシアは、軍事的増強の全てをウクライナに投じているわけではない。
来るべき欧州大戦争に備えて、内部留保を蓄え続けている。
(29年にもNATO攻撃態勢整う ロシア巡りドイツ軍総監が危機感)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322157
「ウクライナ侵攻で疲弊するロシア軍が兵力を再編すれば、5~8年で北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃できる態勢が整う」(ドイツ軍のブロイアー総監)
「ロシアは大量の軍需品を生産しているが、全てをウクライナの前線に投入しているわけではない」
「私たちが見据えるのは5~8年後の脅威」
前にも書いたけど、それは欧州側が準備可能なスケジュールの話だ。
対応できない脅威について、表沙汰になることはない。
ポーランドなど、近接する国々は、もっと短期と見込んでいるんだろう。
(「戦争が現実の脅威に」、欧州は準備できていないとポーランド首相が警告)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cz9zqkgw1z5o
「我々は第2次世界大戦終結後で最も重大な瞬間を生きている」
「欧州は「戦前の時代」に突入しており、ロシアの侵攻を受けるウクライナが敗れれば、欧州では誰も安心してはいられなくなる」
欧州は、既にポストウクライナで動き始めている。
ウクライナ紛争をどう終結させ、ロシアとの直接対決を有利に導くかという出口戦略を模索しているわけだ。
ウクライナ支援は、そのための「手段」であって、「目的」ではない。
投資の対象として、可能な限りの見返りを絞り出そうとし始めている。
その最大の利益は「時間」であるに違いない。
浮沈子は、ウクライナの特殊作戦の目的が、必ずしも前線の状況改善につながっていない点にも注目している。
標的とされているA50や戦略爆撃機は、来るべき欧州大戦争においても高い脅威となるターゲットなわけだ。
ウクライナは、欧州のパシリをやらされているのではないのか。
英国の特殊部隊が、黒海における上陸作戦に関与している話もあるしな。
もちろん、双方の利害が一致しているからこその作戦には違いないだろうが、少なくともロシア本土の攻撃目標や高価値目標の選定にNATOが絡んでいることは間違いない。
(英特殊部隊がウクライナで活動とロシア主張、「紛争に直接関与」)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DOZIY3XUXFOINOZZFYCZSLFHVM-2024-04-12/
「英国の特殊舟艇部隊(SBS)がウクライナで活動し、ロシア軍に対する作戦を支援」
「ウクライナの破壊工作部隊を黒海の砂州に上陸させる英特殊部隊の計画を阻止」
「英国防省報道官はロイターのコメント要請に返答していない。」
まあ、どうでもいいんですが。
米国が始めたウクライナ紛争は、欧州が肩代わりして続けることになったようだ。
米国も欧州も、ウクライナがどうなろうと知ったことではないのかもしれない(そんなあ!)。
国家は正義では動かない。
国益で動く。
「ウクライナの存続が米国の重要な安全保障上の利益であることをトランプ氏が初めて認めた発言の1つ」(ロイター:再掲)
浮沈子は懐疑的だが、もしトラになっても米国の支援が続く可能性が出てきたのかもしれない・・・。
🐱スターシップ:MSRへの期待 ― 2024年04月21日 23:33
スターシップ:MSRへの期待
(スペースXの宇宙船はNASAの窮地に陥った火星サンプル帰還ミッションを救う可能性がある)
https://www.scientificamerican.com/article/spacexs-starship-could-save-nasas-beleaguered-mars-sample-return-mission/
「おそらく、パーサヴィアランスをスターシップに乗せて地球に帰還することもできるでしょう」(惑星協会の上級宇宙政策顧問ケーシー・ドライアー氏)
いやあ、そこまで持ち上げなくても(文字通り?)・・・。
この記事は、アルスのロケットリポートからリンクでたどり着いて読んだ。
(ロケットレポート:スターシップは火星サンプルリターンを救うことができる。 2 番目のバルカンには BE-4)
https://arstechnica.com/space/2024/04/rocket-report-starship-could-save-mars-sample-return-be-4s-for-second-vulcan/
「SpaceX は火星サンプルリターンで役割を果たす可能性がある。」
スティーブンクラークは、この件について長文の記事を書いている。
(NASA、火星からサンプルを持ち帰る方法についてより良いアイデアが必要だと語る)
https://arstechnica.com/space/2024/04/nasa-says-it-needs-better-ideas-on-how-to-return-samples-from-mars/
「結局のところ、110億ドルは高すぎるし、2040年までサンプルを返却しないのは容認できないほど長すぎる」(NASA長官のビル・ネルソン氏)
で、初出のサイエンティフィックアメリカンの記事は、スペースX一択の見通しを示したわけだ。
まあ、健全な選択だろうな。
この決定(計画を見直して、民間のアイデアを募る)の背景にあるのは、中国が2030年までに火星サンプルリターンを計画していることがある。
後塵を拝することは許されない・・・。
既に、月面着陸については、中国に先を越されることが確定的になっているからな(そうだっけえ?)。
有人月面着陸に次いで、火星サンプルリターンでも後れを取ることは許されない。
月面は、既に半世紀前に実現しているとか、そういう言い訳は立つだろうし、継続的なアプローチの手法は中国にはないからな。
が、火星サンプルリターンは、人類初だ。
まあ、これだって、ハヤブサやハヤブサ2、オシリスレックスの成果があるから、なんだかんだで矮小化することは出来るかも知れないが、問題は万が一、生命の痕跡とか見つかったりしたら、間違いなく人類史に刻まれることになるからな。
浮沈子的には、その心配はないと思っているけど、生命の前駆体である高分子化合物くらいは見つかる可能性はある。
火星にかつては水があったことは、ほぼ間違いない。
水と、エネルギーと、材料と、反応するための「場」があれば、そして、十分な時間と極めて稀な環境が揃えば、何かが起こる可能性はある。
実際、この地球上ではそれが起こった。
いや、そうじゃないっていう話もあるけど、じゃあ、どういう環境でそれが起こったのか、そのプロセスはどうなのかを説明することは出来ないでいる。
NASAの提案の締め切りは5月と言われている。
つまりだな、これは、言ってみれば出来レースなわけだ。
「そこから実際に導き出せる唯一の結論は、彼らはスターシップが何らかの形でここでの解決策になることを望んでいるということです。」(ドライアー氏)
「「スターシップは[約]5年以内に大量の火星から帰還する可能性がある」とスペースXのCEOイーロン・マスク氏は4月15日、NASAのMSR要請に応えてX(旧Twitter)で指摘した。」
やれやれ・・・。
「人生は、あらゆる見出しを飾るセクシーなテーマです。しかし、より永続的なレベルでは、サンプルが答えることになる太陽系の進化に関する疑問は、それ以上に重要ではないにしても、同等に重要になるでしょう。」(ブラウン大学の惑星科学者ジャック・マスタード氏)
業界は、既に生命の痕跡が発見されなかった時のために、布石を打ち始めている。
つーか、そうしないと、サンプルリターン計画自体がお流れになる可能性があるからな。
科学界の総意として、火星に生命の痕跡がないだろうということが明らかになれば、もう、中国に好きにやらせればいいという話になりかねない(そうなのかあ?)。
エウロパとか、エンケラドゥスといった、中国には手が出せない領域での探査に集中した方が得策という判断になりかねないからな。
ここは、米国の政治的、戦略的な判断になる。
科学界がどうとかいう話じゃない。
その意味では、火星サンプルリターン(MSR)の位置付けはビミョーだ。
重力惑星からのサンプルリターンの栄誉を中国にくれてやるだけならまだしも、万が一生命の痕跡を見つけられたり、万々が一生命そのもの(カルビン君?)を見つけらたりすれば轟沈ものだ。
NASAは、2040年代に回収するという話は受け入れられないという。
それは、中国に確実に先を越されるからだ。
そこはリスクヘッジしたい。
JPLのメンツや、ロッキードマーチンがどうなろうと、知ったことではない(そういうことかあ?)。
科学界の合意形成とかを待っているわけにはいかないからな。
そもそも、そんなもんは当てにならない。
生命やその痕跡があってもなくても、サンプルリターンで先を越されないことが重要だ。
浮沈子は、これは明確な政治的判断だと感じている。
当てにできるのが、イーロンマスク一択というのがやや不安だがな。
しかし、スターシップという選択肢がありながら、それを使わなかった場合のリスクも考慮する必要がある。
国内政治的には、はるかに明確なリスクになるだろう。
選択してもリスキーだし(スターシップは、まだ地球周回軌道飛行に成功していません)、しなくてもリスキーだ。
5月というのは、なかなか含蓄のある日程だな。
早ければ、その時期にIFT-4が実施される可能性がある。
それを見越しているのかどうかは分からないが、成功すれば説得力は増すだろう。
確認しておこう。
パーセベランスを丸ごと回収するかどうかは別として(ありえねー・・・)、NASAの判断としては、
①MSRは継続する
②中国に先駆けて回収する
事だけは確定した。
サンプルの中に、生命やその痕跡の有無は問わない。
それは、米国の国家としての政治判断に違いない。
まあ、もしトラになったらどうなるかという一抹の不安は残る。
10月と言われる選考時期は、正にそれを意識したものだろう。
この話は、ささやかれ始めてから暫くの間、どういう経緯をたどるかをトレースしていたけど、ようやく先が見えてきた感じだ。
つーか、先が見えなくなってきたという先が見えてきたと言うことか(ワケワカ・・・)。
少なくとも、NASAのスタンスは見えてきた。
政権が交代して政治的スタンスが変われば(宇宙開発で中国の後塵を拝することになっても構わん!、とかあ?)、ちゃぶ台返しはあり得る。
つまり、そういうレベルの話なわけだ。
浮沈子的には、費用の点は二次的なものだと見ている。
ドラスティックな政治判断を正当化するためのツールに過ぎない。
NASAは米国のお役所の一つだ。
議会が承認した予算の範囲内で、米国の宇宙における非軍事的プレゼンスを最大化させる使命を負っている。
スターシップが成功すれば、間違いなくそれを使うことになる。
SLSは、有人ミッションに限って、限定的に使われることになるだろう。
それも、2030年代半ばころまでの話だ(浮沈子は、スターシップの有人化はその頃と見ています)。
タラレバの話をしても仕方ないけど、部屋の中のゾウがあまりに影響が大きいからな。
それでも、有人火星探査の実現は困難を極める。
それは、サンプルリターンの比ではない。
火星移民なんて、とてもとても・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
スターシップ絡みでは、エリックバーガーがアルテミス3の見直しについて記事を上げていて、浮沈子的にはそっちの方が面白いんだが、それについては続報を待って、別稿にて書く・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(中国、火星サンプルリターン「天問3号」で2030年目指す–着陸候補地も判明)
https://uchubiz.com/article/new41961/
「中国空間技術研究院(CAST)の研究員は現地時間3月6日、火星の試料(サンプル)を地球に持ち帰る(サンプルリターン)ミッション「天問3号」(Tianwen-3)を2030年にも打ち上げると明かした。」
「2機の「長征5号」(Long March 5:LM-5、Chang Zheng 5:CZ-5)ロケットで着陸船(ランダー)や上昇ロケット、軌道船(オービター)と帰還船を送り込む計画」
「500gのサンプルを採取し、小型ヘリコプターや6本脚のロボットの使用も示唆」
「『Amazonis Planitia(アマゾニス平原)』、『Utopia Planitia(ユートピア平原)』、『Chryse Planitia(クリュセ平原)』への着陸を検討」
「着陸と上昇を安全に進めるためには、大気の渦が頻繁に発生しないクリュセ平原が最適」
検討は、かなり具体的に進行しているようだ。
(中国、火星サンプル帰還ミッションの2030年目標、着陸候補地が明らかに)
https://spacenews.com/china-targets-2030-for-mars-sample-return-mission-potential-landing-areas-revealed/
「中国は天問1号からの火星突入、降下、着陸の経験がある。また、嫦娥5号の月サンプルリターンミッションで、別の天体からのサンプリングと打ち上げも実施した。」
技術的には必要とされる実績を積んでいることになる。
「火星にかつて生命の痕跡があったのかどうかについての答えを与えるのに役立つ可能性がある」
さすがに、現在はいないと見ているんだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
「以前、打ち上げ日は2028年で、サンプルは2031年に返却される予定だと述べていた。2030年の声明は、このミッションが火星の打ち上げ時期に間に合わないことを示唆」
「26 か月遅れる」
火星ミッションは2年毎だからな。
それでも、2040年代になることはないだろう。
「MSRを巡る不確実性は、中国が最初に火星のサンプルを確保し、画期的な分析を試みる可能性があることを意味している。」
スペースニュースの指摘は明快だ。
敢えて言えば、たとえスターシップが飛ぶことになったとしても、タイミング的には間に合うかどうかの瀬戸際、ギリギリ同時期がいいところだろう。
ガチだな・・・。
大どんでん返しとして、米中が協力するというシナリオはないんだろうか・・・。
(スペースXの宇宙船はNASAの窮地に陥った火星サンプル帰還ミッションを救う可能性がある)
https://www.scientificamerican.com/article/spacexs-starship-could-save-nasas-beleaguered-mars-sample-return-mission/
「おそらく、パーサヴィアランスをスターシップに乗せて地球に帰還することもできるでしょう」(惑星協会の上級宇宙政策顧問ケーシー・ドライアー氏)
いやあ、そこまで持ち上げなくても(文字通り?)・・・。
この記事は、アルスのロケットリポートからリンクでたどり着いて読んだ。
(ロケットレポート:スターシップは火星サンプルリターンを救うことができる。 2 番目のバルカンには BE-4)
https://arstechnica.com/space/2024/04/rocket-report-starship-could-save-mars-sample-return-be-4s-for-second-vulcan/
「SpaceX は火星サンプルリターンで役割を果たす可能性がある。」
スティーブンクラークは、この件について長文の記事を書いている。
(NASA、火星からサンプルを持ち帰る方法についてより良いアイデアが必要だと語る)
https://arstechnica.com/space/2024/04/nasa-says-it-needs-better-ideas-on-how-to-return-samples-from-mars/
「結局のところ、110億ドルは高すぎるし、2040年までサンプルを返却しないのは容認できないほど長すぎる」(NASA長官のビル・ネルソン氏)
で、初出のサイエンティフィックアメリカンの記事は、スペースX一択の見通しを示したわけだ。
まあ、健全な選択だろうな。
この決定(計画を見直して、民間のアイデアを募る)の背景にあるのは、中国が2030年までに火星サンプルリターンを計画していることがある。
後塵を拝することは許されない・・・。
既に、月面着陸については、中国に先を越されることが確定的になっているからな(そうだっけえ?)。
有人月面着陸に次いで、火星サンプルリターンでも後れを取ることは許されない。
月面は、既に半世紀前に実現しているとか、そういう言い訳は立つだろうし、継続的なアプローチの手法は中国にはないからな。
が、火星サンプルリターンは、人類初だ。
まあ、これだって、ハヤブサやハヤブサ2、オシリスレックスの成果があるから、なんだかんだで矮小化することは出来るかも知れないが、問題は万が一、生命の痕跡とか見つかったりしたら、間違いなく人類史に刻まれることになるからな。
浮沈子的には、その心配はないと思っているけど、生命の前駆体である高分子化合物くらいは見つかる可能性はある。
火星にかつては水があったことは、ほぼ間違いない。
水と、エネルギーと、材料と、反応するための「場」があれば、そして、十分な時間と極めて稀な環境が揃えば、何かが起こる可能性はある。
実際、この地球上ではそれが起こった。
いや、そうじゃないっていう話もあるけど、じゃあ、どういう環境でそれが起こったのか、そのプロセスはどうなのかを説明することは出来ないでいる。
NASAの提案の締め切りは5月と言われている。
つまりだな、これは、言ってみれば出来レースなわけだ。
「そこから実際に導き出せる唯一の結論は、彼らはスターシップが何らかの形でここでの解決策になることを望んでいるということです。」(ドライアー氏)
「「スターシップは[約]5年以内に大量の火星から帰還する可能性がある」とスペースXのCEOイーロン・マスク氏は4月15日、NASAのMSR要請に応えてX(旧Twitter)で指摘した。」
やれやれ・・・。
「人生は、あらゆる見出しを飾るセクシーなテーマです。しかし、より永続的なレベルでは、サンプルが答えることになる太陽系の進化に関する疑問は、それ以上に重要ではないにしても、同等に重要になるでしょう。」(ブラウン大学の惑星科学者ジャック・マスタード氏)
業界は、既に生命の痕跡が発見されなかった時のために、布石を打ち始めている。
つーか、そうしないと、サンプルリターン計画自体がお流れになる可能性があるからな。
科学界の総意として、火星に生命の痕跡がないだろうということが明らかになれば、もう、中国に好きにやらせればいいという話になりかねない(そうなのかあ?)。
エウロパとか、エンケラドゥスといった、中国には手が出せない領域での探査に集中した方が得策という判断になりかねないからな。
ここは、米国の政治的、戦略的な判断になる。
科学界がどうとかいう話じゃない。
その意味では、火星サンプルリターン(MSR)の位置付けはビミョーだ。
重力惑星からのサンプルリターンの栄誉を中国にくれてやるだけならまだしも、万が一生命の痕跡を見つけられたり、万々が一生命そのもの(カルビン君?)を見つけらたりすれば轟沈ものだ。
NASAは、2040年代に回収するという話は受け入れられないという。
それは、中国に確実に先を越されるからだ。
そこはリスクヘッジしたい。
JPLのメンツや、ロッキードマーチンがどうなろうと、知ったことではない(そういうことかあ?)。
科学界の合意形成とかを待っているわけにはいかないからな。
そもそも、そんなもんは当てにならない。
生命やその痕跡があってもなくても、サンプルリターンで先を越されないことが重要だ。
浮沈子は、これは明確な政治的判断だと感じている。
当てにできるのが、イーロンマスク一択というのがやや不安だがな。
しかし、スターシップという選択肢がありながら、それを使わなかった場合のリスクも考慮する必要がある。
国内政治的には、はるかに明確なリスクになるだろう。
選択してもリスキーだし(スターシップは、まだ地球周回軌道飛行に成功していません)、しなくてもリスキーだ。
5月というのは、なかなか含蓄のある日程だな。
早ければ、その時期にIFT-4が実施される可能性がある。
それを見越しているのかどうかは分からないが、成功すれば説得力は増すだろう。
確認しておこう。
パーセベランスを丸ごと回収するかどうかは別として(ありえねー・・・)、NASAの判断としては、
①MSRは継続する
②中国に先駆けて回収する
事だけは確定した。
サンプルの中に、生命やその痕跡の有無は問わない。
それは、米国の国家としての政治判断に違いない。
まあ、もしトラになったらどうなるかという一抹の不安は残る。
10月と言われる選考時期は、正にそれを意識したものだろう。
この話は、ささやかれ始めてから暫くの間、どういう経緯をたどるかをトレースしていたけど、ようやく先が見えてきた感じだ。
つーか、先が見えなくなってきたという先が見えてきたと言うことか(ワケワカ・・・)。
少なくとも、NASAのスタンスは見えてきた。
政権が交代して政治的スタンスが変われば(宇宙開発で中国の後塵を拝することになっても構わん!、とかあ?)、ちゃぶ台返しはあり得る。
つまり、そういうレベルの話なわけだ。
浮沈子的には、費用の点は二次的なものだと見ている。
ドラスティックな政治判断を正当化するためのツールに過ぎない。
NASAは米国のお役所の一つだ。
議会が承認した予算の範囲内で、米国の宇宙における非軍事的プレゼンスを最大化させる使命を負っている。
スターシップが成功すれば、間違いなくそれを使うことになる。
SLSは、有人ミッションに限って、限定的に使われることになるだろう。
それも、2030年代半ばころまでの話だ(浮沈子は、スターシップの有人化はその頃と見ています)。
タラレバの話をしても仕方ないけど、部屋の中のゾウがあまりに影響が大きいからな。
それでも、有人火星探査の実現は困難を極める。
それは、サンプルリターンの比ではない。
火星移民なんて、とてもとても・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
スターシップ絡みでは、エリックバーガーがアルテミス3の見直しについて記事を上げていて、浮沈子的にはそっちの方が面白いんだが、それについては続報を待って、別稿にて書く・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(中国、火星サンプルリターン「天問3号」で2030年目指す–着陸候補地も判明)
https://uchubiz.com/article/new41961/
「中国空間技術研究院(CAST)の研究員は現地時間3月6日、火星の試料(サンプル)を地球に持ち帰る(サンプルリターン)ミッション「天問3号」(Tianwen-3)を2030年にも打ち上げると明かした。」
「2機の「長征5号」(Long March 5:LM-5、Chang Zheng 5:CZ-5)ロケットで着陸船(ランダー)や上昇ロケット、軌道船(オービター)と帰還船を送り込む計画」
「500gのサンプルを採取し、小型ヘリコプターや6本脚のロボットの使用も示唆」
「『Amazonis Planitia(アマゾニス平原)』、『Utopia Planitia(ユートピア平原)』、『Chryse Planitia(クリュセ平原)』への着陸を検討」
「着陸と上昇を安全に進めるためには、大気の渦が頻繁に発生しないクリュセ平原が最適」
検討は、かなり具体的に進行しているようだ。
(中国、火星サンプル帰還ミッションの2030年目標、着陸候補地が明らかに)
https://spacenews.com/china-targets-2030-for-mars-sample-return-mission-potential-landing-areas-revealed/
「中国は天問1号からの火星突入、降下、着陸の経験がある。また、嫦娥5号の月サンプルリターンミッションで、別の天体からのサンプリングと打ち上げも実施した。」
技術的には必要とされる実績を積んでいることになる。
「火星にかつて生命の痕跡があったのかどうかについての答えを与えるのに役立つ可能性がある」
さすがに、現在はいないと見ているんだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
「以前、打ち上げ日は2028年で、サンプルは2031年に返却される予定だと述べていた。2030年の声明は、このミッションが火星の打ち上げ時期に間に合わないことを示唆」
「26 か月遅れる」
火星ミッションは2年毎だからな。
それでも、2040年代になることはないだろう。
「MSRを巡る不確実性は、中国が最初に火星のサンプルを確保し、画期的な分析を試みる可能性があることを意味している。」
スペースニュースの指摘は明快だ。
敢えて言えば、たとえスターシップが飛ぶことになったとしても、タイミング的には間に合うかどうかの瀬戸際、ギリギリ同時期がいいところだろう。
ガチだな・・・。
大どんでん返しとして、米中が協力するというシナリオはないんだろうか・・・。
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