🚀ISS:ロシアモジュールからの空気漏れ:PrKってどこ?2024年11月14日 14:25

ISS:ロシアモジュールからの空気漏れ:PrKってどこ?
ISS:ロシアモジュールからの空気漏れ:PrKってどこ?


(NASAとロスコスモス、ISSの空気漏れの原因と深刻さで意見が一致せず)
https://spacenews.com/nasa-and-roscosmos-disagree-on-cause-and-severity-of-iss-air-leak/

「主な懸念は、ズヴェズダ サービス モジュールの PrK と呼ばれる、ドッキング ポートとモジュールの残りの部分を隔てる玄関ホールでの小さいながらも継続的な漏れです。」

「ポートにドッキングしているプログレス貨物宇宙船にアクセスする必要がないときは、PrK をステーションの残りの部分から密閉することで漏れに対処」

「チームは亀裂の発生と拡大の原因要因の調査を続けているが、米国とロシアの技術チームは、考えられる根本原因や、これらの漏洩の結果の重大性について共通の認識を持っていない」(元NASA宇宙飛行士で現在は委員会の委員長を務めるボブ・カバナ氏)

「ロシアの技術者らは、亀裂は微小振動による「高周期疲労」が原因だと考えている」

「NASAは、圧力や機械的ストレス、残留応力、モジュールの材料特性、環境への露出など、複数の要因が関係していると考えている」

「9月にNASAの監察総監室(OIG)が発表した報告書では、宇宙ステーションの他の場所では漏れは見られなかった」

「両機関は内部と外部の溶接部に焦点を絞った」

問題は絞られ、特定されているのに、抜本的な解決には至っていない。

そもそも、漏洩している箇所(PrK)というのはどこにあるのか。

(ズヴェズダサービスモジュールの困難なスタート)
https://www.russianspaceweb.com/iss-sm-development.html

ページの下の方にその写真が出ている。

ズヴェズダの後部には、プログレス補給船のドッキングポートがあるんだが、与圧されている円筒形の構造の周囲には、非与圧区画のドーナツ型の集合体区画があるので、外部から見て漏洩か所を示すことはできない(円筒形の2重構造の内側だからな)。

掲載されている写真は、組み立て途中のもので、露出しているPrK与圧区画(中央の茶色い円筒形の部分)が直視できる貴重なシーンだ。

漏れているのは、この円筒形の構造のどこか(内部と外部の溶接部:それってどこ?)ということらしい。

ハッチの位置と漏出個所との関係が分かる図も見つけた。

(Because people asked me: "What's the Prk section you are talking about?" maybe this graph explains it a bit better.)
https://x.com/Ian_Benecken/status/1422510282400751617

「「あなたが言っている Prk セクションとは何ですか?」人々が私にこう尋ねたので、おそらくこの画像はそれをもう少しわかりやすく説明していると思います。」

元の図はロシア語表記なんだが、著者は図の左端にある部分からリークしていることを英語で表している(画像参照)。

ハッチは、PrKの前後にあり、ズヴェズダ側の内側のハッチを閉じて、漏洩の影響を緩和しているということになる。

「緩和」なのかあ?。

他に漏洩か所がなくハッチが十全に機能していれば、少なくとも閉じている限り、漏洩は完全に停止するのではないのかあ?。

「9月27日のブリーフィングで、NASA当局者は、 2019年に初めて検知されたが、今年初めには1日あたり1.7キロの空気損失という、これまでで最高率にまで増加した空気漏れに関する懸念を軽視したとOIGの報告書は述べている。そのブリーフィングで、NASA当局者は、最近の修理作業により、空気漏れ率が3分の1減少したと述べた。」(スペースニュース)

「ポートにドッキングしているプログレス貨物宇宙船にアクセスする必要がないときは、PrK をステーションの残りの部分から密閉することで漏れに対処」(同上:再掲)

まあいい。

「ロシアチームは漏れ箇所の捜索と封印を続けているが、PrKの壊滅的な崩壊は現実的ではないと考えている」(同上:カバナ氏:以下同じ)

「NASA​​はPrKの構造的完全性と壊滅的な故障の可能性について懸念を表明している」

「ロシアは作戦継続が安全だと信じているが、我々が納得できるほど証明できない。米国は安全ではないと信じているが、ロシアが納得できるほど証明できない」

「NASAとロスコスモスの委員会が両機関のリーダーに対し、PrKの「構造的完全性に関する共通理解」を継続的に追求し、その取り組みを支援するために学界や産業界から外部の専門家を招聘するよう共同で勧告した」

「これは工学上の問題であり、優秀なエンジニアなら解決策を見つけ出し、合意できるはずだ」

「宇宙ステーションはまだ新しいわけではない。かなり長い間そこにあった。ある程度の消耗は予想されていたし、我々はそれを目にしている」(約8か月の滞在を終えて10月にクルー8ミッションで地球に帰還したNASAの宇宙飛行士マイケル・バラット氏)

もう一度、PrK(与圧区画)の画像をよく見てみる。

この後ろ(画像では手前)に、ドッキングシステムが取り付けられているはずだ。

その間には、外側のハッチが設けられている(たぶん)。

それらの取り付けが溶接なのか、ボルト締めなのかは知らない。

与圧区画の構造自体はシンプルな円筒だからな。

記事では高周波疲労と自動翻訳されているが、ハイサイクルファティーギュは、通常、高サイクル疲労と言われているらしい。

(疲労 (材料))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%96%B2%E5%8A%B4_(%E6%9D%90%E6%96%99)

「繰り返し数が10^5回程度以上で発生する疲労破壊を高サイクル疲労(high cycle fatigue)と呼び、10^4回程度以下で発生するものを低サイクル疲労(low cycle fatigue)あるいは塑性疲労と呼ぶ」

「またさらに、10^7回以上の繰り返し数でも疲労破壊が起こる場合があり、このような繰り返し数領域での疲労を超高サイクル疲労(very high cycle fatigue)あるいはギガサイクル疲労(Gigacycle fatigue)などと呼ぶ」

ロスコスモスが想定している繰り返し数がどれ程かは知らない。

NASAは、機械的疲労だけではなく、その他の要因も含めた複合的な原因と見ている。

残留応力が挙げれていたので調べた。

(残留応力)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%8B%E7%95%99%E5%BF%9C%E5%8A%9B

「外力を除去した後でも物体内に存在する応力」

「一般的に、圧縮の残留応力は強度を向上させ、引張の残留応力は強度を低下させる」

「例えば、レーザーを照射して残留応力を付与するレーザーピーニング(英語版)は、タービンエンジンに使用されるファンブレードのような金属部品に有益な圧縮の残留応力を与える。また、スマートフォンのディスプレイに使用されている強化ガラスにも応用され、大きくて薄く、かつ、き裂・擦り傷に抵抗のあるものを実現している」

ほほう、強度向上に資することもあるんだ・・・。

「しかし、意図しない残留応力の発生は構造物の早期破壊を引き起こす場合もある。」

「溶接時に発生する熱は局所的な材料の膨張を発生させる。溶接中は、溶接されている部品が移動したり、溶融金属が膨張を吸収するが、溶接完了時には、ある部分は他の場所以上に早く冷却され、残留応力が残る結果となる。」

溶接部と特定されている漏洩か所では、これが起きているのかもしれないな。

まあ、どうでもいいんですが。

「ロシアチームは漏れ箇所の捜索と封印を続けているが、PrKの壊滅的な崩壊は現実的ではないと考えている」「NASA​​はPrKの構造的完全性と壊滅的な故障の可能性について懸念を表明している」(再掲)

PrKがぶっ壊れちまったら、少なくともプログレスによるISSのリブーストは出来なくなる可能性が高い。

貨物の搬入は、他のドッキングポートから可能だとしても、適正な位置からの加速を与えないと、正常な運用はできないからな。

ズヴェズダ自身にも、リブースト用のロケットエンジンは付いているけど、相当期間使ってないからな(そっちの方がヤバいかも!)。

また、NASA側でもシグナスを使った加速試験の実施や、カーゴドラゴンを使った同様の試験を予定しているけど、実用になるかどうかは知らない。

どっちにしても、「壊滅的崩壊」になれば、ズヴェズダやロシアモジュールだけではなく、ISS全体が危機的状況に追い込まれる可能性もある。

悪いことは言わない。

2030年なんて悠長なこと言ってないで、明日にでもISSを放棄して制御落下させるのがよろしい・・・。

えっ、制御落下の準備はまだ出来てないってえ?。

やれやれ・・・。

アルテミスなんて後回しでも構わないから、S社は制御落下用ロケット(軌道離脱機:USDV)の開発に集中すべきだろう。

当然、スターライナーの開発は自動的に消滅する。

民間宇宙ステーションが構築されるまでの間は、中国の天宮が人類唯一の常設軌道周回有人施設となる。

人類には見上げるものが必要だ(NASA長官だったジェームズ・ブライデンスタイン)。

それがメイドインチャイナでも、何の問題もあるまい?・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(ズヴェズダ (ISS))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BA%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%BA%E3%83%80_(ISS)

「ズヴェズダには16基の小型スラスタと、2基の推進用大型スラスタ、8基のバッテリーが装備されている。2基の推進用大型スラスタを使って ISS の高度を上げることができ、2007年4月25日に実施された。」(記述は英語版も同じ)

その後使われているのかどうかは知らない。

浮沈子的注目は次だ。

「ズヴェズダは著しい騒音が問題となっており、船内では乗員が耳栓をしているのがよく見られる。このため、防音設備を順次運んで設置したため、当初よりは騒音レベルは下がった。」

騒音の発生源が、直前に記載がある二酸化炭素除去装置(ヴォズドゥフ (Vozdukh) システム)かどうかは不明だ(酸素発生装置:エレクトロンシステムの方は、2020年に故障して使われていないようです)。

ズヴェズダの騒音と、PrK溶接部のクラックに関連があるかどうかは知らない。

いずれにしても、長期間宇宙に置かれた材料が、その環境によってどう変化するかというのは未知の部分が大きい。

巷では火星移民とか、与太話が横行しているけど、たった20年くらいでガタが来るようじゃ不安だな・・・。

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