😼欧州大戦争:ザルジニーの見立て2024年11月25日 15:43

欧州大戦争:ザルジニーの見立て


(前線を大きく突破するのは2027年までは不可能だろう=ザルジュニー駐英ウクライナ大使)
https://www.ukrinform.jp/rubric-ato/3930676-qian-xianwo-dakiku-tu-posurunohanianmadeha-bu-ke-nengdarouzarujuni-zhu-yingukuraina-da-shi.html

「戦場でロボットが大量に出現するようになり、彼らは戦場での兵士の移動が不可能になった。」

ここでいうロボットとは、自律兵器としての戦闘ロボットじゃなく、背後で人間が操縦しているドローンのことだろう。

「なぜなら、例えば、ロシア人が1週間で150〜200キロメートル突破するような課題遂行の機会は見当たらないからだ」

ロシア陸軍の教義に、1週間で150〜200キロメートル突破せよ!、つーのがあるのかは知らない。

「ロシア人は現在、戦線を拡大するために深く侵入する準備はできていないとし、そのためには多大なリソースが必要となるが、それはロシアにもはや残っていない」

2023年の反転攻勢に失敗した時、ザルジニーはロシアのリソースを見誤ったからな。

1000kmに渡る戦線を維持する能力がないこと、15万人程度の死傷者を出せば、ロシアは戦争を止めること。

現在では、むしろウクライナ側に戦線維持の能力が欠如していたこと、ロシアが多大なる人的被害を出しながら、戦闘を継続し続けていることが明らかになっている。

ザルジニーは当時、自らその犠牲者の規模を第二次世界大戦規模(ロシアの犠牲者は2000万人)と表現していた。

ロシアは、それだけの人的損耗を覚悟してこの戦争に臨んでいるのだと。

それ以後、クルスクを例外として、ウクライナ軍は撤退に次ぐ撤退を重ねている。

リソースが不足しているのはロシアじゃなくてウクライナだったわけだ。

今、再び、その見立て違いを犯そうとしている。

「そのためには多大なリソースが必要となるが、それはロシアにもはや残っていない」(再掲)

別に、1週間で150~200km進軍しなくてもいい。

年間でそのくらい進軍できれば上等だ。

東部戦線においては、場所によって異なるけど、1日の進軍速度は300m程度とされている。

平均すればもっと少ないだろう。

ウクライナ軍は、少ないリソースを有効に活用してよく凌いでいる。

問題は、ザルジニーが再度の反転攻勢を見込んでいるという点だな。

「私の試算では、それはおよそ2027年以降のことになる可能性がある」

やれやれ・・・。

2022年のロシアの本格侵攻から1000日余りが経過している。

2027年以降ということは、再反転攻勢への準備は、それとほぼ同期間を要するということなわけだ。

べらぼーめ・・・。

「しかし、経済状況や人口動態を考えると、それが2027年になるのも、誰かがそのような規模の戦争の遂行を主張するようになるのも、まだ確実なことではない」

ウクライナにはその余力はもうない。

そのような戦争準備を整えることはない。

その必要もなくなる。

逆に、ロシアは欧州大戦争に向けて、ザルジニーが指摘したロボット戦争の準備を加速するだろう。

オレシュニク(新型ミサイル)の生産も行う。

「おそらく、ロシアは、ウクライナにおいて現在経済と士気の状態の破綻をもたらす、現在のいわゆる「消耗」戦術を実施していくだろう」

それもまた、「敵失」に過剰に期待し過ぎているのではないか。

ロシア軍はウクライナ戦争において急速に進歩している。

そりゃあ、肉弾戦も厭わないけど、ドローンだって飛ばしているし、ランセットのような徘徊弾薬も飛ばしている。

キンジャールもあるしな。

ウクライナが陣地戦で押されているのは、むしろウクライナの方に柔軟性や防御への対応が欠けているからなのではないか。

軍隊そのものの運用についても、度々問題を指摘され続けている。

人的な余裕のなさ、訓練の不足のまま前線投入せざるを得ない事情、部隊のローテーションの際の戦力低下が悪循環し、多くの場合、そのタイミングで防御を突破されている。

やれやれ・・・。

ロシアは、向こう最低でも10年間は現在の攻勢を続けるだけのリソースを維持していると考えておくべきだ。

維持だけではなく、欧州本体への侵攻に備えて、兵器や弾薬を蓄積し続けるだろう。

ザルジニーはウクライナ紛争初期に、戦場における変化を察知し、どう対応していくかを洞察した。

ウクライナは、現在、それを実現できているだろうか?。

また、今後必要となる「技術的・進化的プロセス」「その後技術的な物質が蓄積」を実現できるだろうか?。

泥臭い現実の戦闘の中で、上手く立ち回ってスマートに大勝利を手にすることはできない。

犠牲を払い、血と肉と骨の代償として、ささやかな勝利をもぎ取るしかないのだ。

ロシア軍にも問題点は山のようにあるだろうが、少なくとも現在のウクライナ戦線において、彼らは戦い方を知っている。

兵士が訓練不足というなら、そのスキルで対応できる戦術を編み出す。

まず兵士ありきで、領土は二の次だなどという寝言は決して言わない。

領土とは、血で贖われた土地だ。

戦に負けて、交渉で取り戻すことはできない。

まあ、例外はある。

(三国干渉)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%9B%BD%E5%B9%B2%E6%B8%89

「1895年(明治28年)4月23日にフランス、ドイツ帝国、ロシア帝国の三国が日本に対して行った勧告である。日清戦争の日本の勝利とそれに伴う下関条約により日本に割譲された遼東半島を清国に返還することを要求する内容」

「勧告の主旨:
日本による遼東半島所有は、清国の首都北京を脅かすだけでなく、朝鮮の独立を有名無実にし、極東の平和の妨げとなる。従って、半島領有の放棄を勧告し誠実な友好の意を表する」

「講和会議の過程で日本は清に対して、開市・開港場での製造業従事権を要求していたものの、日本にはそれを実現させるだけの資金的裏づけがなかった。そこで日本は、秘かにイギリスに対してのみ、この要求の事実を打ち明けて共同経営の誘いを行っていた。これが他の列強に知られたため、この話に与れなかったドイツやロシア、フランスの姿勢をさらに硬化させることになった。」

裏では、いろいろ事情があったようだがな。

「当時の日本陸海軍の実力では列強3国を相手にしてかなうはずがなかった」

「4月29日、イギリス外相のキンバーリー伯爵は駐英日本公使の加藤高明に対し、この件についてイギリスは日本に援助できない旨を伝えた。この前日28日には、ドイツ皇帝が日本の台頭を警戒しロシア皇帝に黄禍論を提言。英米が局外中立を宣言した。」

まあ、どうでもいいんですが。

「打開策のない日本政府は、5月4日の閣議で全遼東半島の放棄を決め、翌5月5日、独仏露の駐日公使に通告した。」

ウクライナ紛争で、欧米のバックアップを受けて、ウクライナがロシアから何らかの譲歩を引き出すことが出来るのかどうかは分からない。

確かにクリミアは、ほぼ無血で手に入れているわけだから、交渉の俎上に乗せやすいということはあるかもしれない。

が、その象徴的な意味(ロシアにとって)を考えると、まあ、どう考えても停戦交渉の中で取り返すということはムリポだろう。

血で贖ったへルソン州との絡み(地峡で繋がってるし)もあるからな。

停戦交渉の中で、ロシアはウクライナ軍の解体的縮減を要求してくるに違いない(未確認)。

そうなると、ウクライナの停戦後の安全保障をどうするかという問題が出てくる。

領土的な譲歩ではなく、その他の停戦条件での譲歩ということになるのかもしれない。

が、それこそプーチンが不退転の決意で死守する項目だからな。

悩ましいところだ。

情勢は、ザルジニーが言うところの2027年以降の「突破のための機会」どころではないわけだ。

ウクライナという国家が生き延びられるかどうかの瀬戸際、戦闘の主体がどうなるかの問題だ。

「誰かがそのような規模の戦争の遂行を主張するようになる」(再掲)

停戦後、ウクライナでは大統領選挙が行われる見込みだ。

ザルジニーは、最有力候補とされている。

立候補すれば、ゼレンスキーを破って、必ず当選すると言われている。

誰かって、自分のことじゃないのかあ?。

ウクライナは、自ら停戦を破って、再反転攻勢をかけようとしているのだ(そうなのかあ?)。

もう、米国からの支援はない。

欧州からの支援を頼りに反撃する。

ザルジニーは、確かに運が悪かった。

10月にガザのテロ事件がなければ、もっとうまく立ち回れたかもしれない。

当初想定していたように、アゾフ海に到達し、ロシアの補給線をぶった切って帰ってくることが出来たかもしれない。

3か月じゃなかったとしてもな。

アウディーイウカを失うこともなく、ポクロフシクを脅かされることもなく、ブーレダルを占領されることもなかったに違いない。

クルスク侵攻には反対だったと言われている。

そっちに投入された戦力でもって、東部戦線を守り切っていたかもしれない。

武運拙く更迭されちまったけど、昔の夢よもう一度、などと考えているとしたら哀れだ。

シルスキーはババを引いた。

就任以来、クルスク侵攻以外に手柄はない。

次々と要衝をぶんどられ、惨憺たるありさまだ。

今日、ちょっと関連する記事がたまたま上がったのでリンクする。

(ロシア軍がザポリージャ市への大胆な攻撃準備を進めている可能性)
https://grandfleet.info/european-region/russian-forces-may-be-preparing-a-bold-attack-on-zaporizhia/

「2022年の失敗に鍛えられたロシア軍はドローン、電子戦、滑空爆弾、冷酷な指揮官、使い捨ての歩兵を組み合わせ、戦場で成功するための効果的な方程式を編み出した。かつてのロシア軍は無謀な正面攻撃で大損害を被ったが、現在のロシア軍は敵の最も脆弱な部分を攻撃し、兵站ルートを遮断し、目標を包囲してくる。この攻撃方法は1日1,500人もの人的損害をもたらしているが、ロシア軍は戦場で失うよりも多くの兵士を募集し続けている。」(Economist)

記事は、この後、兵士の募集や訓練の話になるが、ウクライナに取っては厳しい状況が続くと見ている。

つまり、動員できる兵士の数によって、選択できる戦術は異なり、戦場における優劣を決定付けていることになる。

「経済が破綻しない、将来の人口基盤を損なわない、手持ちの資金力で動員可能なウクライナの人的資源は尽きかけており、現在の消耗レベルが続けば数年以内(個人的には1年以内と予想している)に1,000km以上の前線を支えることが出来なくなる可能性が高い」(航空万能論ブログ管理人)

もちろん、ロシアが同様の状況に陥る懸念(期待?)はある。

「同じようにロシアの人的資源供給が「何らかの問題」で低下すれば戦力密度の均衡が保たれるかもしれない。」

タラレバだなあ・・・。

こういう「敵失」に頼らざるを得ない状況では、勝利の方程式を描くことはムリポだろう。

笑っちゃいけないんだろうが、読んでいて思わず爆笑した記述もある。

「司令部から送られてくる新兵の殆どは高齢者でやる気がなく役にたたない。一握りの若い新兵を除けは全員が45歳以上だ。私のところにやって来る50歳以上の新兵は医師の診断書付きで、戦闘部隊ではなくデイケアセンターを管理している気分になる」(第65機械化旅団の大隊指揮官)

やれやれ・・・。

もっとも、記事によればこの部隊は単独で敵(ロシア軍機械化部隊(24輌編成)の単縦陣)を破壊したことがある。

大規模攻撃が懸念されているザポリージャ方面での活躍に期待だな。

浮沈子的に注目したのは、ザルジニーの再反転攻勢計画との関連で、西側で行われている訓練についての記述だ。

「スペインに派遣されたウクライナ人志願兵は「こんな訓練内容では(ドローンが監視する)戦場で生き残ることができない」と改善を訴えたものの、スペイン人教官は「(自分達が学んできた)訓練プログラムを変更することはできない」と拒否したという話で、如何にNATO加盟国の訓練プログラムがドローンの活用や脅威に非対応かを物語っており、必ずしも「国内訓練より海外訓練の方が質が高い」とは言えない」

戦場は常にリアルでビビッドでフレッシュだ。

最先端と言われる兵器や戦術は、そこで試され、残酷に葬られる。

「米軍、英軍、ウクライナ軍の将校らは反攻作戦を練るため何度も机上演習を実施したが、この机上演習は新しいテクノロジーで変質した現代の戦場環境を反映していると言い難く、ウクライナ軍の関係者は『制空権がない第1次大戦の塹壕戦』に『ドローンを始めとする新しいテクノロジー』が組み合わさった戦場をNATOは理解していないと述べた」(Washington Post:2023年の反攻作戦失敗に関する記事の中で)

現在は改善されているのかもな(それも希望的観測?)。

ウクライナにおいて、現状の兵士の供給システムが機能するのはあと1年。

それ以降は、国内産業が破綻するか、将来の人口構成が破綻するか、国家経済が破綻するかのいずれか、または同時な状況が顕在化する。

2027年まではとても持たない。

つまりだな、ザルジニーの発言は、良く言って政治的、有体に言えば嘘八百、単なる妄想に過ぎないと捉えるべきだ(そうなのかあ?)。

もちろん、無意味というわけじゃない。

戦場で勝てないウクライナから欧州が受け取る重要な果実だ。

やがて戦場で対峙することになるロシア軍と渡り合う上で、金よりも宝石よりも貴重なものだ。

が、それを生かせるかどうかは欧州次第だろう。

「(自分達が学んできた)訓練プログラムを変更することはできない」「NATO加盟国の訓練プログラムがドローンの活用や脅威に非対応」「必ずしも「国内訓練より海外訓練の方が質が高い」とは言えない」(再掲)

戦闘理論やテクノロジーは戦力を形成する基盤だが、実装するに当たっては様々な制約を乗り越える必要がある。

そして、それらは動的に変化し続け、理論やテクノロジーが期待する成果を蹂躙し続ける。

ロシアは、戦いながら現実的な方法(兵士の調達方法や突撃による損耗)で凌ぎつつ、理論(戦法?)やテクノロジーを改善し続けてきた。

ウクライナをはじめとする西側も、後者については同じだろうけど、戦場での対応が伴っていない点で、結果(勝敗)に差が生じている。

欧州本体との戦闘が始まったとき、そのことは一層明確化するに違いない。

ウクライナと異なり、航空戦力においてはNATO側は強化されている。

その差が、どれほどの結果をもたらすかは未定だ。

初戦においては、ロシア軍に相当の打撃を与えることが出来るだろう。

しかし、双方の損耗が均衡し、持久戦に持ち込まれれば話は変わる。

残存する兵力と、残存した生産力で、戦場にどれ程の効果をもたらすことが出来るかが勝負だ。

ザルジニーの真価が問われるのは、そっちの方かもしれないな・・・。

🚀ISS:プログレス:異臭と飛沫(今度は船内)2024年11月25日 16:44

ISS:プログレス:異臭と飛沫(今度は船内)
ISS:プログレス:異臭と飛沫(今度は船内)


(ISSに到着したロシアの補給船「プログレスMS-29」で異臭と飛沫を確認)
https://sorae.info/space/20241125-progress-ms-29-issue.html

「日本時間2024年11月25日付で、国際宇宙ステーション(ISS)に到着したロシアの無人補給船「プログレス(Progress)MS-29」の船内で異臭と飛沫が確認された」

またかあ?。

もっとも、前回は「外部」で空調の冷媒が漏れ出してたんだがな。

今回は「船内」ということで、一層始末に負えない。

「日本時間2024年11月23日23時31分にISSロシア区画の小型研究モジュール2「ポイスク(Poisk)」にドッキング」

「到着後にロスコスモス(Roscosmos)の宇宙飛行士がISSとプログレスの船内を隔てるハッチを開放したところ、予想外の臭いと小さな飛沫が確認されたため、ハッチが閉じられました。」

予想外の臭いって、なに?。

小さな飛沫って、なに?。

怪しい・・・。

実に怪しい!。

「アメリカの現地時間11月24日午後(日本時間11月25日午前)の時点ではハッチを再び開放するための作業が進められている」

【最終更新:2024年11月25日10時55分】

うーん、現在のところは限られた情報しかないけど、おそらくどこかの配管が破断して、液状の内容物が船内を漂っているんだろう(未確認)。

ロシアの宇宙船と言えば、微小隕石にしこたま愛されているけど(そうなのかあ?)、今回は「船内」だからな。

その言い訳は通用しない!(一応、くぎを刺しておこう:グサ!)。

まあ、どうでもいいんですが。

この件、何か分かったら続きを書く。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(ロシアの宇宙船が宇宙ステーションにドッキング後、宇宙飛行士が悪臭を報告)
https://arstechnica.com/space/2024/11/after-russian-ship-docks-to-space-station-astronauts-report-a-foul-smell/

「この臭いは「有毒」で、ロシアの宇宙飛行士は木曜日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたプログレス宇宙船につながるハッチを直ちに閉じた」(信頼できる独立系ウェブサイト、ロシアン・スペース・ウェブのアナトリー・ザック氏)

「ロシア側の宇宙船に搭乗した宇宙飛行士らは防護服を着用し、ロシア側の宇宙船内で追加の空気洗浄システムを起動したと報告」(同上)

「「スプレーペイント」のような臭いがしたと語った。」(米国側の宇宙船に搭乗したNASAの宇宙飛行士ドン・ペティット氏)

溶剤の臭いだな(未確認)。

「プログレス号から悪臭が放出された原因はすぐには明らかにならなかったが、これまでのロシアの宇宙船も宇宙で漏れを経験している。 直近では、2023年2月に宇宙ステーションに取り付けられたプログレス号の冷却システムの加圧が失われた。」

「日曜日までに、ヒューストンのミッションコントロールのフライトコントローラーは宇宙ステーション内の空気の質が正常レベルであると判断」

「NASAは日曜午後の時点で、乗組員に問題はなく、宇宙飛行士らがポイスクモジュールとプログレス宇宙船の間のハッチを開ける作業を行っていると発表した。」

まあいい。

ロシア宇宙機のトラブルには慣れっこになっている。

環境及び滞在する宇宙飛行士の健康に、今のところ大きな問題が出ていないことは不幸中の幸いだ。

地球低軌道とは言え、宇宙は過酷な環境だ。

変なもんを持ち込まんようにしてもらわんとな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙輸送船がプログレス貨物船に乗って宇宙ステーションに到着)
https://blogs.nasa.gov/spacestation/2024/11/23/space-deilvery-arrives-at-station-aboard-progress-cargo-craft/

「無人のプログレス90宇宙船は、11月23日土曜日の東部標準時午前9時31分に国際宇宙ステーションのポイスクモジュールの宇宙側ポートに到着した。」

「ロスコスモスの宇宙船は、国際宇宙ステーションに搭乗している第72次長期滞在クルーに約3トンの食料、燃料、物資を届け」ることになっているようだ。

燃料(fuel)かあ・・・。

(プログレスMS-29)
https://en.wikipedia.org/wiki/Progress_MS-29

「NASAではプログレス 90として識別」(画像参照)

「11月23日14時31分16秒(UTC)にISSのポイスクモジュールの天頂ポートにドッキングした。 ハッチを開けると、乗組員は有毒な臭いと飛沫の形での汚染の可能性を検知した。乗組員はすぐにハッチを閉じ、ISSシステムが起動して大気中の潜在的な汚染物質を除去した。」

「与圧部で1000キログラム以上の物資を輸送する。」

「これらの物資には、食料、水、空気などの消耗品のほか、メンテナンスや科学研究用の機器が含まれる。」

つーことは、差し引き2トンが燃料その他なわけだ(そうなのかあ?)。

「与圧部以外の部分には、宇宙船の水、燃料、ガスのタンクが搭載されており、ステーションの資源を補充し、機内の大気を維持している。これらの資源は、自動化されたプロセスを通じてステーションに輸送される。」

・加圧供給量: 1,155 kg (2,546 ポンド)
・燃料: 869 kg (1,916 ポンド)
・水: 420 kg (930 ポンド)
・窒素ガス: 43 kg (95 ポンド)

浮沈子の懸念は、もちろん燃料だな。

(プログレス(宇宙船):)
https://en.wikipedia.org/wiki/Progress_(spacecraft)#Design

「タンカーセクション: ソユーズの再突入モジュールに代わるこの非加圧区画には、非対称ジメチルヒドラジン(UDMH) 燃料と四酸化二窒素( N 2 O 4 ) 酸化剤を含む 2 つのタンクが収容されています。これらのタンクから加圧モジュールの外側を巡ってドッキング ポートのコネクタまでダクトが通っており、自動燃料移送が可能です。この設計により、有毒な推進剤が漏れてステーションの大気が汚染されるのを防ぎます。このセクションには水タンクもあります。」

非対称ジメチルヒドラジンはアンモニア臭、四酸化二窒素が変化した(平衡状態)二酸化窒素は刺激臭とあるから、いずれも今回の漏洩とは無関係と推測される(未確認)。

プログレスの最大積載量の資料も見つけた。

(プログレス補給船)
https://humans-in-space.jaxa.jp/iss/launch/soyuz/progress/

「プログレス補給船の搭載能力」

なお、データはMのみ(M1は割愛:M1は推進剤輸送を強化したモデルであるため)。

・ペイロード(貨物)の搭載能力(上限):2,350 kg
・与圧ペイロードの重量(最大):1,800 kg
・搭載できる水の重量(最大):420 kg
・搭載できる空気、酸素の重量(最大):50 kg
・搭載できる推進剤(最大):850 kg
・ISSでリブーストなどに使用できる余分な推進剤:250 kg

これをMS-29(プログレス90)と比較すると、燃料はほぼプログレス自身が使用する分だけ積んでいることが確認できる(ちょっと多めだけど:リブーストはしないんじゃね?)。

ポイスクのゼニス(天頂ポート)へのドッキングだからな。

画像を見ると、ズヴェズダの後ろ側にはプログレス89がドッキングしている(燃料は950kg)。

まあ、どうでもいいんですが。

「スプレーペイント」のような臭いのする液体が何なのかは不明のままだ。

燃料の可能性は少ないけど、じゃあ、何が漏れたのかが問題だな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(ISSの乗組員、ロシアのプログレス貨物宇宙船から「予期せぬ臭い」を報告)
https://spacenews.com/iss-crew-reports-unexpected-odor-from-russian-progress-cargo-spacecraft/

「この事故は、ISSでのロシアの宇宙船をめぐる一連の問題の中で最新のものだ。これまでの問題としては、2022年12月にISSにドッキング中のソユーズMS-22宇宙船で冷却剤が漏れた事故や、2023年2月にプログレスMS-21貨物宇宙船で発生した事故などがある。ロシアが2021年にISSに追加したナウカモジュールのラジエーターでも、2023年10月に漏れが発生した。」

新しい話は何もないんだが、ジェフファウストが過去ネタを調べてくれたので引用しておく。

「ロシア当局は、ソユーズとプログレスからの冷却剤漏れは微小隕石または軌道上の破片の衝突によるものだと主張したが、この説明は宇宙関係者の多くが懐疑的だった」

ナウカの漏れはそうじゃなかったのかな・・・。

リンクされている当時の記事によれば、元々「2010年に宇宙ステーションに打ち上げられたラスベットモジュールに搭載されていたもので、今年初めにナウカを装備するための一連の船外活動の一環としてナウカに移された」とある。

こっちは経年劣化の可能性もあるけど、何とも言えない。

まあ、どうでもいいんですが。

重要な点は、NASAがこれらの漏洩に対して、ロシアの主張(微小隕石や破片の衝突によるもので、ロシア側の技術的問題ではない)を認めてきているということにある。

既に指摘したけど、今回は「船内」での漏れだからな。

以前の手は使えない。

微小隕石は、プログレスの内部にテレポーテーションしないからなあ(未確認?)。

どーするロシア!?。

ズヴェズダのエア漏れと言い、今回の異臭騒ぎと言い、ロシアモジュールでは様々なトラブルが立て続けに発生している。

何か致命的なことが起こる前に、ISSを廃棄するのが一番だ。

以前にも取り上げたけど、イーロンマスクがSLSをお蔵入りにして、代わりにスターシップの開発一本化するのではないかという報道があった。

(スターシップ:IFT-6:どころじゃない話)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2024/11/19/9733031

ついでに、ISSの廃棄も加速してくれるといいんだがな。

でも、こっちの方は、軌道離脱に必要な宇宙機(USDV:U.S. Deorbit Vehicle)の開発をS社が請け負っているからな。

ISSタクシーであるクルードラゴンや、貨物輸送機のカーゴドラゴンも運用している。

利益相反というやつだなあ。

まあいい。

ロシアはウクライナとの戦争で疲弊し、宇宙開発に予算を回せなくなっていると言われている。

ナウカの移設したラジエーターからの漏れはともかく、ソユーズやプログレスの漏れは、確かにウクライナ侵攻以降に発生しているからな。

それが遠因となっている可能性は否定できない。

ドンパチなんてさっさと終わらせて、まともな宇宙機を作ってもらいたいもんだな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙生物学、技術研究が宇宙ステーションの軌道上向上に伴い一日を締めくくる)
https://blogs.nasa.gov/spacestation/2024/11/25/space-biology-tech-studies-fill-day-as-station-boosts-orbit/

「ロスコスモスの宇宙飛行士イヴァン・ヴァグネルとアレクサンドル・ゴルブノフは月曜日に協力し、土曜日に到着した約3トンの食料、燃料、物資を積んだプログレス90補給船の荷解きを続けた。」

「プログレス90のハッチが最初に開かれた後、乗組員は宇宙船から異臭がすると報告した。地上のフライトコントローラーは通常の手順の一環として空気洗浄装置を作動させ、臭いは貨物宇宙船内の材料から放出されている可能性が高いことを示唆した。」

配管などからの漏洩ではなかったようだが、微小の水滴についての合理的説明がつかないな。

「乗組員は臭いがすぐに消え、貨物移送作業は予定通りに進んでいると報告した。」

「フライトエンジニアのアレクセイ・オブチニン氏は、未来の宇宙船とロボット操縦技術の探究から一日を始め、到着したばかりのプログレス90から水を移送」

あとは窒素ガスか。

「国際宇宙ステーションは、ドッキング中のプログレス89貨物船が月曜日早朝に3分半エンジンを点火した後、今日は軌道をわずかに高く周回している。破片回避操作により、軌道上の基地は、ステーションの飛行経路に近づいている衛星の破片からさらに離れた位置に配置された。」

リブーストではなく、デブリ回避のマニューバのようだ。

NASAブログでは、ISSの業務が滞りなく行われている様子を描写しようとしているわけだが、怪しい臭いと水滴の謎はそのままだ。

「臭いは貨物宇宙船内の材料から放出されている可能性」(再掲)

つまり、それが本当だとすれば、「異臭」を発する材料を使ったか、運んできたことになる。

やれやれ・・・。

当局が原因を究明し、発表するかどうかは分からない。

良く言うじゃないの、「臭い物に蓋をする」って・・・。