MCAS以外のバグ満載の737MAXが飛ぶ日は来るのか ― 2020年01月19日 07:23
MCAS以外のバグ満載の737MAXが飛ぶ日は来るのか
(ボーイング社 737MAXプログラム全面書き換え)
https://jp.sputniknews.com/life/202001187026372/
「ボーイング社は737MAXのプログラムソフトを全面的に書き換える。情報筋の話としてABXニュースが報じている。」
全面書き換えということになれば、少なくとも数か月以上の期間が掛ることになる(たぶん)。
別に、ニュース媒体(スプートニク)に偏見があるわけじゃないけど、元記事にリンクが張ってあったので、ABCの記事も当たってみる。
(新しいソフトウェアの問題により、ボーイング737 Maxの返品が遅れる可能性があります)
https://abcnews.go.com/Politics/software-issues-delay-return-boeings-737-max/story?id=68357961&cid=social_twitter_abcn
「ボーイングは、MCASフライトコントロールシステムのソフトウェアを書き直すだけでなく、MAXの両方のクラッシュの原因となったと考えられていますが、フライトコンピューターソフトウェア全体を書き直しました。」
「新しいソフトウェアは、737 Maxの2台の別々のフライトコンピューターが初めて相互に通信することを意図しています。過去には、737の飛行コンピューターの1つは独立して動作し、次の飛行中に他のコンピューターに切り替わります。」
単一のAOA(迎え角)センサーのデータだけ、片方のFCC(フライトコントロールコンピューター)で処理していた言語道断システムだったからな。
ちっとはマシになったはずだったわけだ・・・。
「先週末の監査で、2台のフライトコンピューターが起動時に相互に通信していないことがわかりました。」
あれえ!?。
朝の貴重な時間を使って、いくつかの記事を当たったんだが、2つあるFCCが相互通信しているとかいないとかの情報は見つけられなかった。
(737 FCCピッチ軸増強-デュアルチャンネル、フェイルセーフのコマンド整合性指令)
https://www.satcom.guru/2018/11/737-fcc-pitch-axis-augmentation-command.html
(ボーイング737 MAXの設計におけるボーイングの多くの失敗の概要)
https://feitoffake.wordpress.com/2019/04/06/overview-of-many-failures-by-boeing-in-designing-the-boeing-737-max/
(B737MAX続報 MCAS(失速防止装置)修正プログラムとMCASの補足)
https://ameblo.jp/boumu/entry-12450471979.html
まあいい。
起動時に不具合を起こしたということは、B社内部での確認が十分に行われていなかったということになる(たぶん)。
FAAに持って行く前のチェック体制にも問題がありそうだな。
こういう事態が頻発しているということは、スプートニクの言う通り、全面書き換えが必要かもしれない。
ABCの記事では、書き換えした結果のバグともとれるけどな。
まあ、どうでもいいんですが。
配線の問題(近接し過ぎていて、火災の恐れあり?)もあるので、深刻な状況であることに変わりはない。
外部に漏れている話の他にも、きっと何か問題を抱えているに違いない(テキトーな推測)。
浮沈子は、B787のバッテリー火災の時から、この会社には旅客機を製造する能力がないのではないかと感じていたが、少なくとも組織的問題を抱えていることは事実のようだ。
モグラ叩きのような事態が続くようだと、いつまで経っても737MAXの飛行再開は適わないに違いない。
各航空会社は、少なくとも6月までは飛ばせないと諦めているようだ(今回の不具合の発表前であることに注意)。
昨年のエチオピアの事故の際には、これ程長期間に渡って運行が停止されるとは考えていなかったけどな。
(737MAXは大丈夫なのか)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/03/13/9046782
「MAXの安全性には全面的な自信がある」
「規制当局や顧客は、自国の市場にとって最善と信じる判断を行っている。だがFAAが現時点でさらなる行動を義務付けていないことも重要だ。これまでに得られた情報に基づく限り、運航者に新たな助言を出す根拠は何もない」
「強気のB社だが、ソフトウェアの改修が必要な状況に追い込まれていることも事実だ(適用は4月以降)。」
この時点では、まだFAAの運航停止には至っていなかった。
この直後、墜落した残骸からMCASの誤動作が疑われる事態となり、全世界での運行が停止されたわけだ。
(ボーイング737 MAXにおける飛行トラブル:全機運用停止)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0737_MAX%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB#%E5%85%A8%E6%A9%9F%E9%81%8B%E7%94%A8%E5%81%9C%E6%AD%A2
「現地時間の3月14日、0時30分にハリファックス・ロバート・L・スタンフィールド国際空港に着陸したエア・カナダ7054便(サンフランシスコ国際空港発)を最後に、ボーイング737MAXによる全てのフライトが一時的に消滅することとなった。」
乗客を乗せないフェリーフライトを除き、それ以降、737MAXの運航停止が続いている。
やれやれ・・・。
この調子だと、夏前に運航が再開される見込みはゼロになった(パイロットの移行訓練が発生するしな)。
生産が再開され、納入が開始される時期も不明だ(大量の在庫を抱えているわけだしな)。
基本的に航空機は注文生産だからな。
ANAがスカイマーク向けA380の在庫を引き取ったような話は、例外中の例外だ。
B社の内部文書(メールなど)が公になったことも懸念される。
いってみれば、B社がこれまで規制当局を欺いてきたことが、白日の下に晒されたわけだからな。
だまくらかされていた側(FAA)が、この事態を黙って見過ごすわけはない。
徹底した検査と、不具合の完全な修正を求め、書類の不備を突っつき、上げ足を取り、いちゃもんを付けるようになるのは灯を見るより明らかだ。
運航再開の日は遠のくばかり・・・。
浮沈子は、ある妄想を抱いている。
「一方でエチオピア機の事故で親族を喪った社会運動家のラルフ・ネーダーは6月4日、737MAXが1960年代に設計した機体に改良を加えたものであるとしたうえで、ソフトウェアの問題ではなくエンジンの大型化に伴う構造上の設計不備が問題であると指摘し、ボーイングの幹部の辞任を求めると共に、「絶対に二度と運航してはならない」と737MAXの恒久的な運航停止を主張した。」
このことについては、直後に記事を書いている。
(「絶対に二度と運航してはならない」)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/06/08/9082757
「浮沈子的には、経済効率を出発点として、物理特性を合わせていく手法に不安を感じる。」
「旅客機は金儲けのための道具だ。
それ以上でも以下でもない。」
「経済的利益が正しくもたらされるためにも、ボーイングの真っ当な対応が今ほど求められている時はない。
それが機体の再設計なのか、ソフトウェアの書き換えなのかは分からない。」
延期に次ぐ延期で、航空会社に対する補償が嵩んでいく中、最善の策が機体の再設計となる可能性も出てくるのではないか。
現実的な話とは思えないが、規制当局の態度が硬化し、細かい話で承認がとん挫することを繰り返すようなら、冗談が真実になることだってあるかも知れない。
それは、FAAにとっても、キャリアにとっても、乗客にとっても好ましい話だしな。
だが、その一方、21世紀の航空機は、電子制御によるメカトロニクスにどっぷりと漬かってしまっている。
電子の帝国は、二度と機械の王国に戻ることはないのだ。
電子制御など、薬にしたくてもなかったマクラーレンF1が作られることはない。
(比類なき孤高のクルマ ーー マクラーレンF1(1993〜1997))
https://www.classicandsportscar.jp/feature_issues/2017/03/19/104865/2/
「パワーステアリングはなく、サーボ機構がなく、ABSもない。」
「乾燥した路面でもリアは簡単に流れるので注意してください。湿った路面や濡れた路面だと、本当に流れます」
トラクションコントロール何て、影も形もないのだ。
現代のクルマは、たとえ1億円かけたとしても、そんなことは許されないに違いない。
来年から我が国では、自動ブレーキのないクルマは販売されなくなる。
(自動ブレーキの義務化、国産新型車は2021年11月発売から)
https://response.jp/article/2019/12/18/329917.html
「国内メーカーが2021年11月以降に販売する新型乗用車(軽自動車含む)に、自動ブレーキの搭載を義務付けるという。」
世も末だな・・・。
こうした潮流を勘案すれば、737MAXを一から設計し直し、MCASを廃することなどあり得ない。
B社は、是が非でもMAXをMAXのまま、再飛行させなければならないのだ。
プログラムを最適化し、バグを潰し、配線を見直し、莫大な保証金を払ってでも。
後戻りすることはできない。
そうして、次期737の開発に資源を振り向けていく。
社内では、そういう検討も始まっているに違いない。
しかし、そのポストMAXが電子制御を廃した設計になるとは限らない。
それは、最早、避けようがない。
より洗練された電子制御になり、生煮えで中途半端なMCASのようなものでないことは確かだが、むしろ、パイロットの介入を許さない方向に移行していくだろう。
次の次には、完全電子制御となり、更には自動操縦となり、パイロットの搭乗すらなくなるかもしれない。
操縦士は、地上にいるのだ。
何か、人間が介入しなければならなくなった時だけ、叩き起こされてコンソールの前に座る。
ああ、アイパッドを手に取るだけかもしれないけどな・・・。
(ボーイング社 737MAXプログラム全面書き換え)
https://jp.sputniknews.com/life/202001187026372/
「ボーイング社は737MAXのプログラムソフトを全面的に書き換える。情報筋の話としてABXニュースが報じている。」
全面書き換えということになれば、少なくとも数か月以上の期間が掛ることになる(たぶん)。
別に、ニュース媒体(スプートニク)に偏見があるわけじゃないけど、元記事にリンクが張ってあったので、ABCの記事も当たってみる。
(新しいソフトウェアの問題により、ボーイング737 Maxの返品が遅れる可能性があります)
https://abcnews.go.com/Politics/software-issues-delay-return-boeings-737-max/story?id=68357961&cid=social_twitter_abcn
「ボーイングは、MCASフライトコントロールシステムのソフトウェアを書き直すだけでなく、MAXの両方のクラッシュの原因となったと考えられていますが、フライトコンピューターソフトウェア全体を書き直しました。」
「新しいソフトウェアは、737 Maxの2台の別々のフライトコンピューターが初めて相互に通信することを意図しています。過去には、737の飛行コンピューターの1つは独立して動作し、次の飛行中に他のコンピューターに切り替わります。」
単一のAOA(迎え角)センサーのデータだけ、片方のFCC(フライトコントロールコンピューター)で処理していた言語道断システムだったからな。
ちっとはマシになったはずだったわけだ・・・。
「先週末の監査で、2台のフライトコンピューターが起動時に相互に通信していないことがわかりました。」
あれえ!?。
朝の貴重な時間を使って、いくつかの記事を当たったんだが、2つあるFCCが相互通信しているとかいないとかの情報は見つけられなかった。
(737 FCCピッチ軸増強-デュアルチャンネル、フェイルセーフのコマンド整合性指令)
https://www.satcom.guru/2018/11/737-fcc-pitch-axis-augmentation-command.html
(ボーイング737 MAXの設計におけるボーイングの多くの失敗の概要)
https://feitoffake.wordpress.com/2019/04/06/overview-of-many-failures-by-boeing-in-designing-the-boeing-737-max/
(B737MAX続報 MCAS(失速防止装置)修正プログラムとMCASの補足)
https://ameblo.jp/boumu/entry-12450471979.html
まあいい。
起動時に不具合を起こしたということは、B社内部での確認が十分に行われていなかったということになる(たぶん)。
FAAに持って行く前のチェック体制にも問題がありそうだな。
こういう事態が頻発しているということは、スプートニクの言う通り、全面書き換えが必要かもしれない。
ABCの記事では、書き換えした結果のバグともとれるけどな。
まあ、どうでもいいんですが。
配線の問題(近接し過ぎていて、火災の恐れあり?)もあるので、深刻な状況であることに変わりはない。
外部に漏れている話の他にも、きっと何か問題を抱えているに違いない(テキトーな推測)。
浮沈子は、B787のバッテリー火災の時から、この会社には旅客機を製造する能力がないのではないかと感じていたが、少なくとも組織的問題を抱えていることは事実のようだ。
モグラ叩きのような事態が続くようだと、いつまで経っても737MAXの飛行再開は適わないに違いない。
各航空会社は、少なくとも6月までは飛ばせないと諦めているようだ(今回の不具合の発表前であることに注意)。
昨年のエチオピアの事故の際には、これ程長期間に渡って運行が停止されるとは考えていなかったけどな。
(737MAXは大丈夫なのか)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/03/13/9046782
「MAXの安全性には全面的な自信がある」
「規制当局や顧客は、自国の市場にとって最善と信じる判断を行っている。だがFAAが現時点でさらなる行動を義務付けていないことも重要だ。これまでに得られた情報に基づく限り、運航者に新たな助言を出す根拠は何もない」
「強気のB社だが、ソフトウェアの改修が必要な状況に追い込まれていることも事実だ(適用は4月以降)。」
この時点では、まだFAAの運航停止には至っていなかった。
この直後、墜落した残骸からMCASの誤動作が疑われる事態となり、全世界での運行が停止されたわけだ。
(ボーイング737 MAXにおける飛行トラブル:全機運用停止)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0737_MAX%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB#%E5%85%A8%E6%A9%9F%E9%81%8B%E7%94%A8%E5%81%9C%E6%AD%A2
「現地時間の3月14日、0時30分にハリファックス・ロバート・L・スタンフィールド国際空港に着陸したエア・カナダ7054便(サンフランシスコ国際空港発)を最後に、ボーイング737MAXによる全てのフライトが一時的に消滅することとなった。」
乗客を乗せないフェリーフライトを除き、それ以降、737MAXの運航停止が続いている。
やれやれ・・・。
この調子だと、夏前に運航が再開される見込みはゼロになった(パイロットの移行訓練が発生するしな)。
生産が再開され、納入が開始される時期も不明だ(大量の在庫を抱えているわけだしな)。
基本的に航空機は注文生産だからな。
ANAがスカイマーク向けA380の在庫を引き取ったような話は、例外中の例外だ。
B社の内部文書(メールなど)が公になったことも懸念される。
いってみれば、B社がこれまで規制当局を欺いてきたことが、白日の下に晒されたわけだからな。
だまくらかされていた側(FAA)が、この事態を黙って見過ごすわけはない。
徹底した検査と、不具合の完全な修正を求め、書類の不備を突っつき、上げ足を取り、いちゃもんを付けるようになるのは灯を見るより明らかだ。
運航再開の日は遠のくばかり・・・。
浮沈子は、ある妄想を抱いている。
「一方でエチオピア機の事故で親族を喪った社会運動家のラルフ・ネーダーは6月4日、737MAXが1960年代に設計した機体に改良を加えたものであるとしたうえで、ソフトウェアの問題ではなくエンジンの大型化に伴う構造上の設計不備が問題であると指摘し、ボーイングの幹部の辞任を求めると共に、「絶対に二度と運航してはならない」と737MAXの恒久的な運航停止を主張した。」
このことについては、直後に記事を書いている。
(「絶対に二度と運航してはならない」)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/06/08/9082757
「浮沈子的には、経済効率を出発点として、物理特性を合わせていく手法に不安を感じる。」
「旅客機は金儲けのための道具だ。
それ以上でも以下でもない。」
「経済的利益が正しくもたらされるためにも、ボーイングの真っ当な対応が今ほど求められている時はない。
それが機体の再設計なのか、ソフトウェアの書き換えなのかは分からない。」
延期に次ぐ延期で、航空会社に対する補償が嵩んでいく中、最善の策が機体の再設計となる可能性も出てくるのではないか。
現実的な話とは思えないが、規制当局の態度が硬化し、細かい話で承認がとん挫することを繰り返すようなら、冗談が真実になることだってあるかも知れない。
それは、FAAにとっても、キャリアにとっても、乗客にとっても好ましい話だしな。
だが、その一方、21世紀の航空機は、電子制御によるメカトロニクスにどっぷりと漬かってしまっている。
電子の帝国は、二度と機械の王国に戻ることはないのだ。
電子制御など、薬にしたくてもなかったマクラーレンF1が作られることはない。
(比類なき孤高のクルマ ーー マクラーレンF1(1993〜1997))
https://www.classicandsportscar.jp/feature_issues/2017/03/19/104865/2/
「パワーステアリングはなく、サーボ機構がなく、ABSもない。」
「乾燥した路面でもリアは簡単に流れるので注意してください。湿った路面や濡れた路面だと、本当に流れます」
トラクションコントロール何て、影も形もないのだ。
現代のクルマは、たとえ1億円かけたとしても、そんなことは許されないに違いない。
来年から我が国では、自動ブレーキのないクルマは販売されなくなる。
(自動ブレーキの義務化、国産新型車は2021年11月発売から)
https://response.jp/article/2019/12/18/329917.html
「国内メーカーが2021年11月以降に販売する新型乗用車(軽自動車含む)に、自動ブレーキの搭載を義務付けるという。」
世も末だな・・・。
こうした潮流を勘案すれば、737MAXを一から設計し直し、MCASを廃することなどあり得ない。
B社は、是が非でもMAXをMAXのまま、再飛行させなければならないのだ。
プログラムを最適化し、バグを潰し、配線を見直し、莫大な保証金を払ってでも。
後戻りすることはできない。
そうして、次期737の開発に資源を振り向けていく。
社内では、そういう検討も始まっているに違いない。
しかし、そのポストMAXが電子制御を廃した設計になるとは限らない。
それは、最早、避けようがない。
より洗練された電子制御になり、生煮えで中途半端なMCASのようなものでないことは確かだが、むしろ、パイロットの介入を許さない方向に移行していくだろう。
次の次には、完全電子制御となり、更には自動操縦となり、パイロットの搭乗すらなくなるかもしれない。
操縦士は、地上にいるのだ。
何か、人間が介入しなければならなくなった時だけ、叩き起こされてコンソールの前に座る。
ああ、アイパッドを手に取るだけかもしれないけどな・・・。
インフライトアボートテストで1段目停止後に行う理由とスターライナーが行えないわけ ― 2020年01月19日 13:21
インフライトアボートテストで1段目停止後に行う理由とスターライナーが行えないわけ
ファルコン9は、液体燃料ロケットだ(ケロシンと液体酸素)。
固体燃料を使ったブースターは使わない。
基本的には、アポロを飛ばしたサターン5型と同じだ。
液体燃料ロケットは、燃料の供給を止めれば噴射は止まる。
比較的制御は行いやすいだろう。
固体燃料ロケットは、そうはいかない。
オモチャのロケット花火と、基本原理は同じだからな。
一度火を点けたら、途中で止めるわけにはいかないのだ。
その代わり、高出力を簡単に得られ、エネルギー密度も高い。
バージンギャラクティックが開発しているスペースシップツーのハイブリッドエンジンは、両者のいいとこどりをしている。
酸化剤を火が着いてる固体燃料(とりあえず、最初はちょっと燃やしとかないとな)に吹き付けることで燃焼させ、酸化剤の加減で出力を調整したり、燃焼を止めたりすることができる(正確には知りませんが)。
(ハイブリッドロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
「推力が必要な時には弁を開けることで燃焼室内に液体推進剤を供給し、点火装置を用いて点火する。」
ははあ、点火装置があるのか・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
長らくの疑問だったクルードラゴンの脱出システムが、一段目の燃焼が終わってから起動するというのは、液体燃料ロケットだけで構成されているので、十分な安全性があるからということらしいと分かった(そうなのかあ?)。
これは、何かにそう書いてあったということではなく、浮沈子の妄想に過ぎないことをお断りしておく。
だって、何かあったら燃焼を止めることができるからな。
つーか、何かあったら、燃焼が止まるということになる(何事もなければ、燃え続けてるわけだし)。
それでも、例えば実際にあった2段目の爆発のように、予期せぬ事態が起こればそんなことは言ってらんない。
あらゆる事態に対応できる緊急脱出システムなんて、やはり存在しないのかもな(けん引式でも、けん引ロケットが離脱した後のトラブルは、別途考慮する必要がある)。
ロシアのソユーズは、液体燃料ブースター(つーか、それが1段目という位置づけらしいけど)の燃焼中に緊急脱出に成功している。
まあ、正確には、ブースターの切り離しに失敗しちまったわけだから、似たようなもんかもしれないが、2段目(真ん中のロケット)は1段目と同時燃焼しているから、少なくとも加速中の脱出だったということになる。
(砕け散った「コロリョフの十字架」 - いったいなにが起きたのか?)
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-1/
「4基の第1段機体のうち、ブロークDが分離できず、そして第2段に衝突したか、ロケット全体の姿勢を乱すなどしたという説が有力」
詳細は、鳥嶋さんの5回に渡る力の入った連載をお読みいただきたい。
で、次なる疑問は、もう一方のスターライナーは、なぜインフライトアボートテストを行わないかということだ。
打ち上げに使われるアトラスV N22ロケットは、型式からも分かるように固体燃料ブースターを2基搭載している(N:フェアリングなし、2:ブースター2基、2:上段ロケット(セントール)のエンジン2基)。
本来なら、こっちこそ、インフライトアボートテストで、緊急時の脱出能力を実証しておく必要がある。
でもやらない・・・。
似たような話は、チャレンジャー爆発事故を起こしたスペースシャトルにも当てはまる。
まあ、あっちは、そもそも固体燃料ブースター燃焼中は、緊急脱出手段を持たないという選択だからな。
話にならない。
オリオン宇宙船は同じ様な構成(そもそもSLSはスペースシャトルの部品を寄せ集めて作っている)だが、こっちは、ちゃんとした加速時の緊急脱出試験を行っている。
(オリオンテストの成功により、NASAは火星ミッションに近づきました)
https://www.nasa.gov/press-release/successful-orion-test-brings-nasa-closer-to-moon-mars-missions
「NASAは、テスト宇宙船を簡素化し、パラシュートと関連システムを排除することにより、テストスケジュールを加速し、コストを削減することができました。」
なんだ、パラシュートなしか・・・。
それでも、動画を見ると、SLS代用のピースキーパー(大陸間弾道ロケット)の先端から、けん引用ロケット(カバー付き)に抱えられたカプセルは、明らかに1段目の燃焼中(加速中)の切り離しに成功している。
外連味のない、安全安心の枯れた技術を感じる(けん引ロケットは、使っても使わなくても、毎回使い捨てだけどな:使わないのに捨てちまうのは、使い捨てとは言わない?:まあ、離脱する際にはロケット吹かすから、使ったことになるのかも)。
ピースキーパーの加速力が、SLSに匹敵するかどうかは知らない。
(ピースキーパー (ミサイル))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
「ピースキーパーミサイルは固体ロケットのロケットエンジン三段と液体燃料エンジンによるバス、またはPost Boost Vehicle(PBV)と呼ばれる最終段一段の計4段からなっており、固体ロケットによって宇宙空間まで打ち上げられ、液体ロケットによるバスによって各弾頭をそれぞれの目標位置まで運ぶ」
打ち上げ動画を見る限り、使用されたのは固体燃料を使った1段目だけのようだ(未確認)。
「第1段: チオコール SR118 固体燃料ロケット・モーター 推力:2.2 MN (500,000 lbf)」
(NASAのOrionクルーカプセルエースの大きな安全性テスト)
https://www.space.com/nasa-orion-capsule-abort-test-flight.html
「Peacekeeper大陸間弾道ミサイルの再生された第1ステージモーターの頂上で空に飛びます。」
「52秒後、高度約31,000フィート(9,450メートル)で、カプセルの上部に取り付けられた打ち上げ中止システム(LAS)がギアに蹴り込まれました。 」
「LASの打ち切りモーターが発射され、その400,000ポンド。オリオンを引き上げてブースターから引き離し、その過程で約7 Gの力を与える推力。」
結構厳しい加速力で引き離している。
訓練された宇宙飛行士でなければ、ブラックアウトするかもしれない。
(ブラックアウト (航空・宇宙))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E3%83%BB%E5%AE%87%E5%AE%99)
「プラス方向(体の軸に対し下向き)の大きなGがパイロットにかかった際、心臓より上にある脳に血液が供給できなくなり、完全に視野を失う症状を指す。通常はグレイアウトに引き続いて陥ることが多い。」
「ブラックアウトをきたす高G環境は、脳虚血による失神(G-LOC)に繋がり、大変危険である。」
「戦闘機パイロットや宇宙飛行士が着用する飛行服には、ブラックアウト、グレイアウト、G-LOCと言った症状を防ぐために下半身を空気圧で締め付けて上半身の循環血液量を保つ耐Gスーツが備えられていることが多い。」
NASAの長官は、こういう事態(宇宙飛行士が失神して宇宙船のコントロールができない事態)を想定して、宇宙飛行士が乗っていれば、システムに欠陥があっても人間が何とかするから大丈夫だと言ったんだろうか。
しかも、スターライナーは、データ中継衛星と直ちに接続できず(今のところ、原因不明)、一つ間違えば、大気圏に再突入して燃え尽きてなくなるところだった(未確認)。
頓珍漢もいいところだな(彼は宇宙飛行士でもないし、技術者でもないから仕方ないか・・・)。
で、そのスターライナーが、途中で燃焼を中止できない固体燃料ブースターを2本付けたアトラスV N22で打ち上げられる際に、インフライトアボートテストを行わないのは、金がかかるとか、静的打ち切りテストで十分立証できるとか、そういう話ではなく、単に安全に離脱させることができないからではないかと浮沈子的には見ている(そうなのかあ?)。
NASAは、それでもいいと言ってる。
まあ、ISSに行くと言って打ち上げられたカプセルが、途中でチョンボして戻ってきても、次から人間乗せて飛ばそうという機関だからな。
そのくせ、クルードラゴンのパワードランディングにいちゃもんを付け、パラシュート対策に不満たらたらで、座席数さえ削ってきた(スーパードラコの燃料計バルブのチョンボで爆発したのは自業自得!)。
まあ、それぞれ、もっともな理由があるんだろうが、スターライナーのインフライトアボートテストを行わない言い訳はどうなってるのかは知らない(単に、浮沈子が知らないだけかも)。
オリオンは、代役のロケットとはいえ、実証試験を行っているからな。
同じだと思うのは、浮沈子だけなんだろうか?。
ISSタクシーで使われる宇宙船は、1段目の加速中に緊急離脱しなければならなくなった場合は、どちらも一か八かになる(そういう環境で試験してないからな)。
オリオンは、一応、大丈夫ということになっている。
ソユーズは、2回も実証して見せたしな(1回目は、乗員が負傷したらしい)。
少なくとも2回目には、見事に緊急脱出に成功している。
コンバットプローブン(実戦証明済)なわけだ。
打ち上げロケットなどの信頼性が高く、失敗する可能性が十分低ければ、緊急脱出システム自体のリスクとの比較考量(トレードオフ)となる。
ファルコン9については、少なくとも実績十分とは言えないだろう(ブロック5になってからは、まだ20回程度だしな)。
アトラスVだって、N22仕様で飛んだのは1回だけだ。
まぐれだったかもしれないしな(そんなあ!)。
ISSタクシーの打ち上げは、最初のうちは博打だ。
信頼性は、数をこなす中でのデータ収集や、改良に掛かっている。
精一杯、リスクを減らす観点からも、事前の十分なテストを行い、適切に評価する必要がある。
明日(今夜遅く?)は、そんな感じの背景を思い浮かべながら、クルードラゴンのアボートテストを眺めることになる。
地球の裏側からな・・・。
(Why have SpaceX, Boeing & Blue Origin ditched abort towers?:動画出ます:追加)
https://www.youtube.com/watch?v=0MaeHNU2660
「打ち切りシステムの発売に関しては、商業宇宙業界で新しい傾向があります。乗組員の車両にアボートシステムを搭載している3つの商業会社はすべて、過去にアボートシステムを支配していた古典的な打ち上げアボートタワーを捨てました。」
「SpaceXのクルードラゴンとボーイングのスターライナーカプセルは、どちらも固体ロケットモーターではなく液体燃料のアボートモーターを使用しています。」
「スペースX、ボーイング、ブルーオリジンの搭乗員が乗る車両のタワーを中断させる設計上の考慮事項についてお話します。また、ボーイングとスペースXが一体ではなく液体モーターを使用する理由を評価します。」
結論から言えば、プッシュ型にしたのは脱出システムをシンプルに統合したいため(ブルーオリジンのニューシェパードは、観光用の窓を確保するためですが)、液体にしたのはISSに長期間(最大210日)接続しておくためだそうだ(固体燃料は、宇宙での長期保管に向かないので)。
クルードラゴンは、元々は宇宙船のパワードランディング目的だったけどな。
クルードラゴンのスーパードラコは、有人飛行の1回だけ使用し、貨物輸送に転用される際には使用されない(たぶん)。
スターライナーは、脱出システムをサービスモジュールに搭載しているため、毎回投棄することになる。
ファルコン9は、液体燃料ロケットだ(ケロシンと液体酸素)。
固体燃料を使ったブースターは使わない。
基本的には、アポロを飛ばしたサターン5型と同じだ。
液体燃料ロケットは、燃料の供給を止めれば噴射は止まる。
比較的制御は行いやすいだろう。
固体燃料ロケットは、そうはいかない。
オモチャのロケット花火と、基本原理は同じだからな。
一度火を点けたら、途中で止めるわけにはいかないのだ。
その代わり、高出力を簡単に得られ、エネルギー密度も高い。
バージンギャラクティックが開発しているスペースシップツーのハイブリッドエンジンは、両者のいいとこどりをしている。
酸化剤を火が着いてる固体燃料(とりあえず、最初はちょっと燃やしとかないとな)に吹き付けることで燃焼させ、酸化剤の加減で出力を調整したり、燃焼を止めたりすることができる(正確には知りませんが)。
(ハイブリッドロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
「推力が必要な時には弁を開けることで燃焼室内に液体推進剤を供給し、点火装置を用いて点火する。」
ははあ、点火装置があるのか・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
長らくの疑問だったクルードラゴンの脱出システムが、一段目の燃焼が終わってから起動するというのは、液体燃料ロケットだけで構成されているので、十分な安全性があるからということらしいと分かった(そうなのかあ?)。
これは、何かにそう書いてあったということではなく、浮沈子の妄想に過ぎないことをお断りしておく。
だって、何かあったら燃焼を止めることができるからな。
つーか、何かあったら、燃焼が止まるということになる(何事もなければ、燃え続けてるわけだし)。
それでも、例えば実際にあった2段目の爆発のように、予期せぬ事態が起こればそんなことは言ってらんない。
あらゆる事態に対応できる緊急脱出システムなんて、やはり存在しないのかもな(けん引式でも、けん引ロケットが離脱した後のトラブルは、別途考慮する必要がある)。
ロシアのソユーズは、液体燃料ブースター(つーか、それが1段目という位置づけらしいけど)の燃焼中に緊急脱出に成功している。
まあ、正確には、ブースターの切り離しに失敗しちまったわけだから、似たようなもんかもしれないが、2段目(真ん中のロケット)は1段目と同時燃焼しているから、少なくとも加速中の脱出だったということになる。
(砕け散った「コロリョフの十字架」 - いったいなにが起きたのか?)
https://news.mynavi.jp/article/soyuz-1/
「4基の第1段機体のうち、ブロークDが分離できず、そして第2段に衝突したか、ロケット全体の姿勢を乱すなどしたという説が有力」
詳細は、鳥嶋さんの5回に渡る力の入った連載をお読みいただきたい。
で、次なる疑問は、もう一方のスターライナーは、なぜインフライトアボートテストを行わないかということだ。
打ち上げに使われるアトラスV N22ロケットは、型式からも分かるように固体燃料ブースターを2基搭載している(N:フェアリングなし、2:ブースター2基、2:上段ロケット(セントール)のエンジン2基)。
本来なら、こっちこそ、インフライトアボートテストで、緊急時の脱出能力を実証しておく必要がある。
でもやらない・・・。
似たような話は、チャレンジャー爆発事故を起こしたスペースシャトルにも当てはまる。
まあ、あっちは、そもそも固体燃料ブースター燃焼中は、緊急脱出手段を持たないという選択だからな。
話にならない。
オリオン宇宙船は同じ様な構成(そもそもSLSはスペースシャトルの部品を寄せ集めて作っている)だが、こっちは、ちゃんとした加速時の緊急脱出試験を行っている。
(オリオンテストの成功により、NASAは火星ミッションに近づきました)
https://www.nasa.gov/press-release/successful-orion-test-brings-nasa-closer-to-moon-mars-missions
「NASAは、テスト宇宙船を簡素化し、パラシュートと関連システムを排除することにより、テストスケジュールを加速し、コストを削減することができました。」
なんだ、パラシュートなしか・・・。
それでも、動画を見ると、SLS代用のピースキーパー(大陸間弾道ロケット)の先端から、けん引用ロケット(カバー付き)に抱えられたカプセルは、明らかに1段目の燃焼中(加速中)の切り離しに成功している。
外連味のない、安全安心の枯れた技術を感じる(けん引ロケットは、使っても使わなくても、毎回使い捨てだけどな:使わないのに捨てちまうのは、使い捨てとは言わない?:まあ、離脱する際にはロケット吹かすから、使ったことになるのかも)。
ピースキーパーの加速力が、SLSに匹敵するかどうかは知らない。
(ピースキーパー (ミサイル))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
「ピースキーパーミサイルは固体ロケットのロケットエンジン三段と液体燃料エンジンによるバス、またはPost Boost Vehicle(PBV)と呼ばれる最終段一段の計4段からなっており、固体ロケットによって宇宙空間まで打ち上げられ、液体ロケットによるバスによって各弾頭をそれぞれの目標位置まで運ぶ」
打ち上げ動画を見る限り、使用されたのは固体燃料を使った1段目だけのようだ(未確認)。
「第1段: チオコール SR118 固体燃料ロケット・モーター 推力:2.2 MN (500,000 lbf)」
(NASAのOrionクルーカプセルエースの大きな安全性テスト)
https://www.space.com/nasa-orion-capsule-abort-test-flight.html
「Peacekeeper大陸間弾道ミサイルの再生された第1ステージモーターの頂上で空に飛びます。」
「52秒後、高度約31,000フィート(9,450メートル)で、カプセルの上部に取り付けられた打ち上げ中止システム(LAS)がギアに蹴り込まれました。 」
「LASの打ち切りモーターが発射され、その400,000ポンド。オリオンを引き上げてブースターから引き離し、その過程で約7 Gの力を与える推力。」
結構厳しい加速力で引き離している。
訓練された宇宙飛行士でなければ、ブラックアウトするかもしれない。
(ブラックアウト (航空・宇宙))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E3%83%BB%E5%AE%87%E5%AE%99)
「プラス方向(体の軸に対し下向き)の大きなGがパイロットにかかった際、心臓より上にある脳に血液が供給できなくなり、完全に視野を失う症状を指す。通常はグレイアウトに引き続いて陥ることが多い。」
「ブラックアウトをきたす高G環境は、脳虚血による失神(G-LOC)に繋がり、大変危険である。」
「戦闘機パイロットや宇宙飛行士が着用する飛行服には、ブラックアウト、グレイアウト、G-LOCと言った症状を防ぐために下半身を空気圧で締め付けて上半身の循環血液量を保つ耐Gスーツが備えられていることが多い。」
NASAの長官は、こういう事態(宇宙飛行士が失神して宇宙船のコントロールができない事態)を想定して、宇宙飛行士が乗っていれば、システムに欠陥があっても人間が何とかするから大丈夫だと言ったんだろうか。
しかも、スターライナーは、データ中継衛星と直ちに接続できず(今のところ、原因不明)、一つ間違えば、大気圏に再突入して燃え尽きてなくなるところだった(未確認)。
頓珍漢もいいところだな(彼は宇宙飛行士でもないし、技術者でもないから仕方ないか・・・)。
で、そのスターライナーが、途中で燃焼を中止できない固体燃料ブースターを2本付けたアトラスV N22で打ち上げられる際に、インフライトアボートテストを行わないのは、金がかかるとか、静的打ち切りテストで十分立証できるとか、そういう話ではなく、単に安全に離脱させることができないからではないかと浮沈子的には見ている(そうなのかあ?)。
NASAは、それでもいいと言ってる。
まあ、ISSに行くと言って打ち上げられたカプセルが、途中でチョンボして戻ってきても、次から人間乗せて飛ばそうという機関だからな。
そのくせ、クルードラゴンのパワードランディングにいちゃもんを付け、パラシュート対策に不満たらたらで、座席数さえ削ってきた(スーパードラコの燃料計バルブのチョンボで爆発したのは自業自得!)。
まあ、それぞれ、もっともな理由があるんだろうが、スターライナーのインフライトアボートテストを行わない言い訳はどうなってるのかは知らない(単に、浮沈子が知らないだけかも)。
オリオンは、代役のロケットとはいえ、実証試験を行っているからな。
同じだと思うのは、浮沈子だけなんだろうか?。
ISSタクシーで使われる宇宙船は、1段目の加速中に緊急離脱しなければならなくなった場合は、どちらも一か八かになる(そういう環境で試験してないからな)。
オリオンは、一応、大丈夫ということになっている。
ソユーズは、2回も実証して見せたしな(1回目は、乗員が負傷したらしい)。
少なくとも2回目には、見事に緊急脱出に成功している。
コンバットプローブン(実戦証明済)なわけだ。
打ち上げロケットなどの信頼性が高く、失敗する可能性が十分低ければ、緊急脱出システム自体のリスクとの比較考量(トレードオフ)となる。
ファルコン9については、少なくとも実績十分とは言えないだろう(ブロック5になってからは、まだ20回程度だしな)。
アトラスVだって、N22仕様で飛んだのは1回だけだ。
まぐれだったかもしれないしな(そんなあ!)。
ISSタクシーの打ち上げは、最初のうちは博打だ。
信頼性は、数をこなす中でのデータ収集や、改良に掛かっている。
精一杯、リスクを減らす観点からも、事前の十分なテストを行い、適切に評価する必要がある。
明日(今夜遅く?)は、そんな感じの背景を思い浮かべながら、クルードラゴンのアボートテストを眺めることになる。
地球の裏側からな・・・。
(Why have SpaceX, Boeing & Blue Origin ditched abort towers?:動画出ます:追加)
https://www.youtube.com/watch?v=0MaeHNU2660
「打ち切りシステムの発売に関しては、商業宇宙業界で新しい傾向があります。乗組員の車両にアボートシステムを搭載している3つの商業会社はすべて、過去にアボートシステムを支配していた古典的な打ち上げアボートタワーを捨てました。」
「SpaceXのクルードラゴンとボーイングのスターライナーカプセルは、どちらも固体ロケットモーターではなく液体燃料のアボートモーターを使用しています。」
「スペースX、ボーイング、ブルーオリジンの搭乗員が乗る車両のタワーを中断させる設計上の考慮事項についてお話します。また、ボーイングとスペースXが一体ではなく液体モーターを使用する理由を評価します。」
結論から言えば、プッシュ型にしたのは脱出システムをシンプルに統合したいため(ブルーオリジンのニューシェパードは、観光用の窓を確保するためですが)、液体にしたのはISSに長期間(最大210日)接続しておくためだそうだ(固体燃料は、宇宙での長期保管に向かないので)。
クルードラゴンは、元々は宇宙船のパワードランディング目的だったけどな。
クルードラゴンのスーパードラコは、有人飛行の1回だけ使用し、貨物輸送に転用される際には使用されない(たぶん)。
スターライナーは、脱出システムをサービスモジュールに搭載しているため、毎回投棄することになる。
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