🐱ISS:ロシア機冷却液漏出:納得のいく説明と合理的な対策を2023年02月17日 03:10

ISS:ロシア機冷却液漏出:納得のいく説明と合理的な対策を


(ロシアは次のソユーズの打ち上げを延期し、冷却液漏れの評価を待つ)
https://spaceflightnow.com/2023/02/13/russia-delays-next-soyuz-launch-pending-assessment-of-coolant-leaks/

「ソユーズ MS-22 宇宙船は 3 人の乗組員を安全に帰還させることができないと結論付け、次のソユーズ MS-23 を乗組員なしで打ち上げることを選択しました。」

「先週の土曜日、プログレスの貨物船は明らかに関係のない事件で突然クーラントを失いました。破損したソユーズとは異なり、進行状況の問題の原因は、宇宙ステーションのカメラには見えない車両の側面で発生しました。エンジニアは、別の影響が発生したかどうか、つまりコンポーネントが故障したかどうかをまだ知りません。」

「緊急事態の原因が特定されるまで、ソユーズMS-23宇宙船の無人モードでの打ち上げを2023年3月まで延期する決定が下されました。」

「乗組員の生命と健康を脅かすものは何もないことを強調します」

うーん、脅かされているのは明白だと思うんだがな。

乗員が乗れない、しかもぶっ壊れちまったプログレスMS-21(プログレス 82)が離脱できずにくっ付いてて、救命艇としても活用されるソユーズMSー23が打ち上げられないわけだからな。

もちろん、プログレスMS-21が無事に離脱できるかどうかも確認しなければならない。

機器の点検を行ったり、スラスターの噴射が出来るかどうかを試したり、もし仮に、本当に冷却液が漏出しちまってるなら、スラスターの制御装置が加熱して暴走しないかを確認する必要もある。

最悪の場合、ISSに猛スピードで突っ込んでくる可能性もあるからな。

ある程度の健全性が確認できるまでは、離脱させることもできないという判断は正しい。

原因が何であるかを問うことも必要(そうでないと、合理的な対策が取れないからな)だが、現状の把握は最優先だ。

カナダアーム2で確認を行ったことは、NASAブログでも報じられている。

(Roscosmos が Soyuz、Progress Vehicle をレビュー。科学と貨物運用で乗組員は忙しい)
https://blogs.nasa.gov/spacestation/2023/02/15/roscosmos-reviews-soyuz-progress-vehicle-science-and-cargo-ops-keep-crew-busy/

「ロスコスモス ミッション コントロール センターのエンジニアは、2 月 11 日に特定されたプログレス 82貨物宇宙船からの冷却剤漏れを引き続き評価しています。貨物宇宙船は、2022 年 10 月からステーションのポイスク モジュールにドッキングされています。NASA はロスコスモスが画像を収集するのを支援してきましたCanadaarm-2を使用して 82 を進めます。」

「無人ソユーズ MS-23 代替宇宙船の国際宇宙ステーションへの打ち上げ日は検討中です。ソユーズ MS-23 宇宙船は、2 月 19 日日曜日に国際宇宙ステーションに打ち上げられる予定で、12 月に独自の外部冷却ループ リークに見舞われた後、ソユーズ MS-22 宇宙船に取って代わりました。NASAのフランク・ルビオ宇宙飛行士とロスコスモス宇宙飛行士のセルゲイ・プロコピエフとドミトリー・ペテリンは、10月にMS-22に乗って宇宙ステーションに到着し、今年後半にソユーズMS-23宇宙船に乗って地球に戻る予定です.」

「Roscosmos のエンジニアは、Progress 82 宇宙船と Soyuz MS-22 宇宙船の両方からの冷却剤損失の原因を調査し続けています。乗組員は、通常の宇宙ステーションの運用と科学研究を続けています。」

メディアは、微小隕石の衝突が続いたことを否定しているけど、そして、その代わりの説明として、製造に係る問題点を指摘しているけれど、浮沈子的には納得いかない(前回の漏出の調査では、それはないことになってたハズだ)。

この時期になって、ようやく公開してきたソユーズMS-22の冷却液の漏出個所の画像(なぜ、このタイミングで出したんだあ?)を見ても、何が原因なのかは分からない。

穴の淵のさらなる拡大画像が必要だな。

もし、地上で模擬試験(同じ材料への弾丸などの貫通試験)でも行っているなら、その情報も公開すべきだろう(穴の周囲の形状等の比較写真も欲しいな)。

代替として打ち上げられるソユーズMS-23の外部冷却ループについては、万が一、製造上の問題が起きては困るから、二重三重にチェックをして送り出すという。

(ISSの「プログレスMS-21」補給船から冷却材漏れ、昨年と同様のトラブルか?)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230214-2591888/

「ソユーズMS-22の事故原因は微小隕石の衝突と考えているが、予防措置として、ソユーズMS-23の熱制御システムを『ダブルチェック、トリプルチェック』した」

鳥嶋さんの記事の時点では、ソユーズMS-23の打ち上げ延期の情報は出ていなかったようだ。

「現時点では、プログレスMS-21の状況がISSの飛行計画に変更をもたらすことはない」

「しかし、ソユーズMS-23に追加の試験や部品の交換などが必要となれば、打ち上げの延期は避けられない。そればかりかソユーズそのものがしばらく飛行停止を強いられる可能性もある。あるいは結論がどうあれ、調査が長引くことも考えられる。」

「いずれにしても、その場合には、プロコピエフ氏ら3人の宇宙飛行士の帰還方法、今後のISSの運用計画などをめぐって、さらなる影響と混乱が生じることになろう。」

浮沈子的には、帰還可能な状況になったら、さっさと下ろしてしまうのが一番だと思うんだがな。

微小隕石が当たって、救命艇としての機能が果たせない状況になるなら、ドッキング中は遮蔽版を設けるなど、次善の対策も必要かもしれない(テキトーです)。

浮沈子的には、当初の「減圧」報道が気になって仕方ない。

イベントが発生した際に、排気物品を満載したソユーズのハッチが閉じていたことはテレグラムの投稿で明らかになっている。

NASAのブログでは、ハッチが開いていると明言しているから、それが本当なら、原因が不明のままでわざわざ開いたことになる。

可能性としては、プログレスMS-21の機械船の放熱を、内部冷却ループ(帰還船、軌道船とは、内部冷却ループが繋がっています)を通じて、開放したハッチからISS側へ逃がすという理由が考えられなくもない。

しかし、どこからリークしているのかもわからず、船体の健全性も明らかでない時点では、リスクが大きい対策のような気もする。

今後、同じ様な事象が繰り返される可能性に備えて、ISS側に熱交換器を設けて、内部ループを接続できるようにする必要があるのではないか。

が、まあ、そういう抜本的な対策は行われず、余命僅かなISSの運用中に繰り返されないように、祈るだけに終わる気がするがな・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

「今後打ち上げ予定の宇宙船や補給船に影響を与える可能性があるため、これが他の機体にも共通する事象ではないことを確認する必要があります。打ち上げ準備作業、機体や部品に使用された材料、熱制御システムの組み立てに関して分析を行う予定です」

いままでの長年の運用で、同様の事象が起こったという話は聞かない。

ここにきて立て続けなわけだ。

地上の船(船だから、概ね水上ですが)では、神棚が祭ってあったりするんだが、ISSにそういうのがあるという話は聞かない。

もしあるなら、よーく拝んでおいた方がいいような気がするんだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

それよりも、納得のいく説明と合理的な対策が必要だ。

事態は既に深刻化している(ソユーズの打ち上げが延期されたわけだからな)。

もちろん、もっとシビアな事態の想定や、それに対応するための訓練も受けているだろうけど、トラブルが立て続けに起こって、事態が動的に複雑化していく中で可能な対応は、どんどん限られてくる。

訓練で想定されていた以外の状況が次々と発生し、そういった状況の中で、常に最善の判断が行われるとは限らない。

潔く撤退して、次の機会を待つのがよろしい。

仮にISSが消えてなくなったとしても、地球上の生活が困ってしまうことなどないのだ。

人類の宇宙進出にとっては、重要な橋頭保を失うことになるかも知れないが、既に中国が宇宙ステーションを運用しているからな。

何も心配はいらない(って、それはそれで米国にとっては大問題だろうけどな)。

まあいい。

いずれにしても、今回の事象の発表の仕方とその後の推移を見ていて、不自然な点が多々あり、浮沈子的には納得がいかない。

ここ数日というもの、不眠症に悩まされていて、ああでもない、こうでもないと、妄想を巡らしてしまう。

さすがに、「減圧」という言葉は見られなくなり、「冷却剤漏れ」などという表現に変わってきている。

それは、情報統制が徹底してきた結果かもしれないけどな(ううーっ、また妄想が・・・)。

これで、打ち上げられたソユーズMS-23の冷却液が漏れたりしたら、どーすんだろうな・・・。

🐱H3:静的点火試験成功!?2023年02月17日 21:41

H3:静的点火試験成功!?


今日は、朝から真面目にフィットネス。

昨日、朝一で行って、午後から2回目(ディスタンス、2か月くらいサボってるからな)と、Sプロにポセイドンの件で相談しようと思ってたんだが、体調不良(つーか、昼飯食い過ぎて腹具合がおかしくなった!)のためにパスしたからな。

今朝、朝一の体重測定では、禁断の72kgと出た(そんなあ!)。

昨年の最低体重(62.1kg)から、ほぼ10kgも増えている。

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ!。

で、今日は必死に減量に取り組む(恥も外聞もなく・・・)。

クロストレーナーも、350kcal漕いだ(目標にしてたのは500kcalだったが、疲れてしまって果たせなかった)。

急に増やそうとしても、身体がついていかない。

その代わり、プールでは1500mくらい泳いで、帰宅後の計量では68kg台に戻した(実質、2kg位の減量だな:1日の変動の範囲内)。

で、昼頃、そのクロストレーナーを漕いでいる時に、NHKのニュースでH3が予定通り飛ばなかったことを知った。

(日本のH3ロケットの最初の打ち上げは、打ち上げの直前に中止されました)
https://spaceflightnow.com/2023/02/17/first-launch-of-japans-h3-rocket-aborted-moments-before-liftoff/

「H3 ロケットの 2 つの水素燃料メイン エンジンは、離陸の約 6.3 秒前に点火し、南西日本の種子島宇宙センターの火炎溝から排気ガスを送り出しました。しかし、H3 のデュアル ソリッド ロケット ブースターは、カウントダウンの音がゼロになったときに点灯しませんでした。」

「ロケットの自動カウントダウンシーケンス中に、第1段ロケットシステムが異常を検出し、固体ロケットブースター(SRB-3)の点火信号を送信しなかったため、本日の打ち上げはキャンセルされました」(午後のJAXAの発表)

我が国の報道では、中止なのか失敗なのかで揉めているけど、成功でない事だけは確かだな(S社的に言えば、発射台は壊れていないようだから成功かも知れないけど)。

不具合の原因は不明だが、ちゃんと対策して、再度の打ち上げに臨めばいいだけの話だ。

少なくとも、メインエンジンの点火試験としては成功だったかもしれない(規定推力まで上昇したのかどうかは未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

スティーブンクラークは、よく資料を読み込んでいて、過不足のない解説記事になっている。

浮沈子は、クロストレーナーを漕ぎながら、思わず笑ってしまった(午後のJAXAの発表前でしたが)。

初物だからな。

いろいろなことが起こるのは当然だ。

固体燃料ブースターではないけれど、デルタ4ヘビーも、サイドブースターの点火に失敗し、リフトオフがコールされたにもかかわらず上がらなかったことがあったからな。

ブースターではないけれど、複数のエンジンがクラスター化されているファルコン9自体が、リフトオフできなかったこともある。

失敗と呼びたければそう呼んでもいいけれど、それは本質的な話ではない。

打ち上げ時期が限定されている惑星探査ロケットとかが、ペイロード(探査機)を軌道に送り込めなかったりすれば、それはれっきとした失敗に当たる(予定通りのミッションを遂行できなくなるわけだからな)。

今回は、そういうクリティカルな話じゃない(たぶん)。

岡田プロマネは、予備期間とされている3月10日までに上げたいと言っているようだが、原因の究明と適切な対策の方が優先だろう。

打上げ再試行の時期は、それからでなければ決められっこない。

まあ、どうでもいいんですが。

H3は、エンジンの開発における遅延で、2年間遅れている。

ここで、多少時間を掛けたとしても、大きな支障が生じるわけじゃない(未確認)。

慌てずに、じっくりと煮詰めて再度の打ち上げに臨むべきだろう(年内くらいに上がれば上等じゃね?)。

外野は、早くうち上げろとせかしているようだが、そして、商業的にはその方がアピールするんだろうけど、拙速で打ち上げに臨んで、正真正銘の失敗になっちまったら元も子もないからな。

出だしでケチがついたことは確かだが、こういう話はいくらでもあるのだ。

浮沈子は、H3のコンセプトや存在意義、将来的な展望についてはあまり評価していないけど、目の前にある現物が無事に上がってもらいたいという気持ちは強い。

アルスのエリックバーガーが、打ち上げ前はSLSを散々こき下ろしていたくせに、上がっちまったら、あっさり宗旨替えしたこともあったしな(そうなのかあ?)。

打ち上げロケットファンとしては、上がったもん勝ちなわけだ(そういうことかあ?)。

ロケットも、ペイロード(ALOS3)も、もちろん、発射台も健全だと言われている。

挑戦や冒険に失敗はつきものだ。

S社を見習えとは、口が裂けても言えないけれど(トーゼンです!)、H3が、発射台で爆発炎上木っ端微塵を3回くらい繰り返しても、浮沈子は許そうと思っている(アモス6は実際そうなったし、スターシップは何回爆発したっけな・・・)。

そういう精神的土壌を育てない限り、この国の宇宙開発が世界に伍していくことはないだろう。

4回、5回ともなれば、何やってんだ!、という話になるかも知れないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(H3ロケット初号機現地取材 - 異常を検知し打ち上げは中止に、エンジン起動から約6秒の間に何が起きた?)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230218-2595919/

「SRB-3は固体ロケットなので、点火したらもう何があっても飛んで行ってしまう。」

突っ込んで悪いんだが、ロケットはふつー固体だ(燃料が固体なのでそう呼ぶ)。

(固体燃料ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BA%E4%BD%93%E7%87%83%E6%96%99%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「単に固体ロケットとも呼ばれる。」

まあいい。

「液体エンジンならもし異常が見つかっても、止めることができるからだ」

エンジンも概ね固体だけどな(液体ロケットと呼ぶことはあるようだが、液体エンジンという呼称はない!:この件は、ここまでにしよう・・・)。

「2022年11月に実施した「実機型タンクステージ燃焼試験」(CFT)では、SRB-3は非搭載だったものの、今回と同じ機体・同じ射点にて、LE-9エンジンの25秒間の燃焼を行い、正常に終了していた。CFTと違う条件の部分で問題が起きたのかどうか、という点が1つのポイントになるかもしれない。」

SRB-3の点火信号を送る信号線が繋がってなかったに違いない(そうなのかあ?)。

搭載機器の異常を検知するシステム(第1段制御用機器:詳細不明)が作動したということなので、そもそも点火信号は送られていなかったようだな(資料には、赤字で「着火信号未送信」とある)。

「この機器のログを解析することで、それほど時間はかけずに場所の特定はできるはずだが、その原因次第で対策内容は大きく変わってくる」

岡田プロマネは、メインエンジンは正常に立ち上がったと言っているが、うーん、怪しい・・・。

苦労して開発にこぎつけ、CFTをクリアしたことからの発言なんだろうが、解析は終わっていないからな。

専門家の話として、合否を判定するプログラムの設定値の誤りの可能性も指摘されている(あるある・・・)。

センサーの異常で、判定用のデータが正しく送られていない可能性だってある(SLSの3番エンジンとかな)。

浮沈子的には、成功だとか失敗だとかについては、初物ということもあっておおらかに見ているんだが、年度内の打ち上げに拘って拙速に陥ることがないようにしてもらいたいもんだ。

「今回の打ち上げの予備期間は3月10日まで。これを過ぎると、また関係各所との協議が必要になってしまうので、目標としていた2022年度内の打ち上げは難しくなる。天候による延期の可能性なども考慮すると、2週間程度で対策を完了させ、まずは3月早々にも再打ち上げを目指すのではないだろうか。」

原因をキッチリ調べて、ちゃんと対策をすることが最優先だ。

「だいち3号には2年も待ってもらっているので、1日も早く宇宙に届けたい。しかし1日を慌てることで何かを失うのも良くない。衛星のプロマネとも相談して進めていきたい」

健全な態度だな。

ちょっと安心した・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(H3ロケット打ち上げ「失敗」? いえ「中止」です! 実は“まだ飛んでいない” その定義)
https://trafficnews.jp/post/124481/2

「ロケットの目的は、積荷である宇宙機(人工衛星や人工惑星、有人宇宙船などを総称した用語)を目指す軌道に送り届けることです。」

・成功=打ち上げの結果、宇宙機を目指す軌道に送り届けることができた。
・失敗=打ち上げの結果、何らかの原因で宇宙機の軌道投入に失敗した。
・部分的成功(部分的失敗)=宇宙機を軌道投入したが、目的の軌道ではなかった。または、複数機の打ち上げで一部の宇宙機の軌道投入に失敗した。

「今回の事態は、このなかにはありません。成功も失敗も“打ち上げ後”に決まるものですから、そもそも打ち上がっていない以上、「天候不順による打ち上げ中止(あるいは延期)」や「設備トラブルによる打ち上げ中止」と同様に、「ロケット側の不具合による、発射直前での打ち上げ中止」というのが最も順当な言い方ではないか」

一部に、今回の打ち上げについて「失敗」という話が出ていることから、少し丁寧に見てみようと思った。

この話題で、こんなに盛り上がったことについては、浮沈子的には「大成功」だと思っているけどな。

まあ、どうでもいいんですが。

引用した記事も、肝心なところはぼやけている。

ロジカルなポイントはただ一点だけ。

「失敗」は評価。

「中止」は行為。

土俵が違う。

中止されたことは事実には違いないから、大方のメディアが中止と報じている(後述)のは妥当だ。

失敗か成功かというのは、行為の結果に対する評価だから、結果が出る前から成否を論じるのは気が早いというわけだな。

メディアの観点からの視点も提示されている。

(国産ロケットH3の打ち上げは「失敗」である)
https://www.newsweekjapan.jp/nishitani/2023/02/h3.php

「2月18日付の朝刊各紙の見出し」

<朝日新聞> 新型「H3」打ち上げ中止
<毎日新聞> H3発射直前で中止
<読売新聞> H3打ち上げ直前中止
<日経新聞> H3打ち上げ「中止」
<産経新聞> H3打ち上げ中止
<東京新聞> H3ロケット発射できず

中止という表現についても、いささか問題はある。

「天候不順による打ち上げ中止(あるいは延期)」や「設備トラブルによる打ち上げ中止」(再掲)の事例では、中止という行為には明確な原因があって、そこに人間の判断が加わり、納得づくで行為に至らない「決断」が不可欠だ。

今回の事例で、中止か失敗かという話が出てくる背景の一つ(あまり意識はされてませんが)には、この、人間の決断の欠如があるのではないか。

何らかの危機的不具合があって、制御装置が勝手に作動したが、よく分からないから調べているなどという態度は、許せん!。

機械のせいにして、責任逃れをしているんじゃないのかあ?。

「失敗」と報道して、懲らしめてやる・・・。

「失敗」と表現した通信社の記者がそう考えたかどうかは知らない。

「今回は点火後に何らかの異常事態が発生し、爆発や墜落といった最悪の事態を回避するために、発射直前で打ち上げを「中止」する装置が作動したのだという。でも、打ち上げようと思っていたロケットを打ち上げることができなかったのだから、「失敗した」と形容するのが妥当だろう。」

「「中止」という言葉には、悪天候で取りやめたという程度の軽やかさ、大したことないよ、次はできるよ、という感じがある。やろうと思えばできたけど敢えてやめた場合にも、「中止」という言葉は使われる。」

なるほど、そういう見方(つまり、程度の問題?)もあるのか。

「客観的にどういう言葉で表すのが適切かを追求した共同通信の記者には、むしろあっぱれと言いたい。」

新鮮な見方だな。

もう一つは、成功か失敗かの判断基準をどこに置くかということだ。

定時定刻に予定通りに打ち上げられることを基準に置けば、明らかに失敗であり、議論の余地はない(もちろん、衛星も予定軌道にピタリと投入される)。

それ以外は、大失敗か、ふつーの失敗か、部分的失敗ということなわけだが(そうだったっけ?)、打ち上げることすらできなかったということは、それ以上の大失態(みっともない、ハズカシイ、だらしない、風上にも置けない、恥さらし、エトセエトセ・・・)であり、失敗よりもたちが悪いという評価基準になる(そんなあ!)。

むしろ、爆発炎上木っ端微塵になってくれた方が、評価的には上位になるに違いない(そうなのかあ?)。

それを期待して、毎回ファルコン9の打ち上げを楽しみにしている浮沈子的には、打ち上げ成功&1段目回収もドローン船の「Xマーク」のど真ん中などというのはサイテーだ(んだ、また金太郎飴かよ・・・)。

見世物としての打ち上げとして見た場合は、成功であれ失敗であれ、結果が出ることが重要なわけで、中止なんていう中途半端な状況は、失敗以下の評価ということになる。

まあ、どうでもいいんですが。

成功の評価基準を定刻打ち上げに置けば、天候不良などによる延期もまた、失敗の部類に入るに違いない。

軍事衛星の打ち上げでは、それさえ許されない場合を想定して、ペガサスなど、航空機からの発射手段を確保しているからな。

定刻に上がるかどうかを基準とすれば、失敗と中止は同じ土俵に上がり、評価と行為というボタンの掛け違いは解消される。

アロス3は、既に2年も待たされている衛星だからな。

その評価基準を持ち込むのは酷だろう。

税金を投入して、一般の国民には効果が分りづらい打ち上げロケット事業(浮沈子的には、見世物以外の意味はない!?)を行うなら、もう少し、その辺りを丁寧に「事前に」説明する必要があると感じる。

スクラブ(中断)されてから、いろいろ説明されても、全てが言い訳に聞こえるからな。

ニューズウィークの記事では、気になるくだりもある。

「まったく同じ現象がたとえばアメリカや中国あたりで起きていたら、われわれはどう反応するだろうか。
「ああ、今回は『失敗』したのだな」
と捉えるのが普通だ。」

SLS(アルテミス1)なんて、何べん失敗したかということになる(発射台に運ばれてからの期間も、半年くらい掛かったしな)。

発射台から整備棟に戻されたこともある。

しかし、それらを失敗と報じているメディアは、内外含めて見た記憶がない(SLSを蛇蝎の如く嫌っていたエリックバーガーですら、打ち上げ中止自体を「失敗」とは報じていなかった)。

その見方は、メディアとしてもふつーではない。

H3の先日の打ち上げ中止(中断)を「失敗」と形容することは、なかなかユニークだと感じる。

ほほう、そういう見方もあるのかと、感心させられた。

ミッションの成功基準は、当事者にとっては、業界の常識通り、衛星を所定の軌道に投入することだろうけど、一般的な見方の中には、定時に打ち上げが行われる点に置かれる場合もあるのだと。

まあ、確かに、現地に見物に行っている人たちは、がっかりするだろうし、残念だし、多少はムカつくかもしれないな(浮沈子なら、ブチ切れるかも:爆発してもいいから上げろよ!)。

衛星打ち上げ事業としても、中途半端な状況であることは間違いない(やむを得ないとは思うけど:次回打ち上げ予定が出るまでは、宙ぶらりんだしな)。

アウトリーチの観点からも、今回は「失敗」事例として整理した方がいいかも知れない。

「失敗」報道で盛り上がって注目を集めたからいいや、という態度ではまずかろう?。

一般人からすれば、莫大な予算を投じて行われる宇宙開発は、物価高騰と大増税の中で厳しい目線で見られている(たぶん)。

軍備拡張と、共通の技術基盤に立っていることもあるしな(そこは、評価が分かれるところかも)。

打ち上げ中止、再度のチャレンジで、どれだけの税金が投じられるのかは知らない(名目上は変わらなくても、実質的なコストは掛かっているからな)。

この国の常識的には、事を荒立てずに暖かく見守る中止という表現が並ぶ中、失敗という評価を得たということを、当事者には重く受け止めてもらいたい・・・。