エア切れ2015年02月03日 13:46

エア切れ
エア切れ


ダイビングの際、50気圧位は呼吸ガス(レクリエーショナルレベルで吸えるナイトロックス:空気含む)を残してエキジットできるよう計画する。

タンクの圧力や、容量、ダイバーの消費量、深度(オープンサーキットでは、深度によってガスの消費が変わるので)、流れ、移動距離その他を考慮して決める。

その他の中には、DPVの有無とかもあるな。

まあいい。

十分な呼吸ガスを持ち込むということ、その範囲内で潜水計画を立て、それを実践することは、ダイビングの基本中の基本である。

だって、生身の人間は、水中で呼吸できないから。

持ち込んだ呼吸ガスを、大事に吸うことになるわけだ。

当然、ダイビング中は残圧の確認を頻繁に行うことになる。

よくある質問で、どのくらいの頻度で確認すればいいのか、というのがある。

指導団体によって異なると思われるが、PADIでは、自分でしっかり管理する必要があるとだけいっていて、具体的に何分に1回とかは指示していない。

(12. 自分の空気の残りは自分で管理を)
http://www.padi.co.jp/visitors/program/skill/allskill.asp

スキルの中では、常に誤差20気圧の範囲で残圧を把握することが求められている。

要するに、自分の呼吸や深度などを総合して、ダイビング中に必要な頻度で確認し、「常に」残圧を把握している必要があるわけだ。

理想をいえば、「常に」残圧計を見ているのがいい。

まあ、そうもいかんだろうが。

少なくとも、ガイドに促がされて、初めてゲージを見るなんて事は、あってはならないことだ(促がされても、見もしないで適当に答える方もいるんですが)。

CCRの場合、残圧の管理もさることながら、現在吸っているガスを把握するという観点から、また、それをコントロールしているコンピューターの正常作動を確認するという点でも、1分から2分の間隔でモニターを確認することが義務付けられている。

180分のダイビングを行ったら、最低でも90回は見ている計算になる。

ポセイドンの場合は、ガスの圧力自体を電気的に管理しているので、モニターには、残圧(の割合)がバーグラフで表示されていて、改めて残圧計を見る必要はない。

というより、いわゆる残圧計は付いていない!。

世も末なのである・・・。

圧電素子に、命預けてるわけだな。

まあ、そうやって、残圧を確認するということは、ガス周りの異常の有無をチェックするということでもある。

平常よりもガスの消費が多いようなら、どこかで漏れがある可能性もある。

浮沈子は、セカンドステージからのリークで、ベイルアウト用タンクのガスをばら撒いてしまったことがある。

器材の整備不良だが、ちゃんとゲージを確認していれば、防ぐことが出来た事態である。

良い子は、ベイルアウト用タンクの残圧も、定期的に確認しましょう!。

持ってきゃいいってもんじゃ、ありません!。

で、こうやって、ちゃんと計画を立て、残圧管理も怠りなく行い、呼吸ガスを十分に持ち込んでいたとしても、突然の器材の故障や思わぬ事態(水中拘束、急なカレントに掴まるなど)が原因で、ガスが不足するということは有り得る。

デコ出し(減圧が必要なダイビングをしてしまった)で、緊急に減圧しなければならなくなった際に、十分なガスがないという事態も考えられる。

だいたい、デコ出しするということは、深いところに行ったか、長時間のダイビングを行っている(あるいは両方の)可能性が高いわけで、それでなくても残圧が少なくなっている。

マーフィーの法則というヤツだな。

1人くらいなら、バディやガイドのガスを吸うということもできるだろうが、グループ全員がデコ出したら、そうもいかない。

残圧の管理は、ダイブプロファイルの管理と切っても切れない関係にあるわけで、漫然とゲージを見ているだけでは、十分な管理を行っているということにはならない。

最近のダイコン(ダイビングコンピューター)は、リアルタイムでNDL(無限圧限界)を時間(分単位)で表示してくれるはずなので、それと併せて管理するようにしなければならない。

サイドマウントで、レクリエーショナルでも長時間の潜水が可能になり、デコ出しの危険性が高くなっている。

まあ、2本差しで潜って、NDLギリギリまで粘るということは、余りないかもしれないが。

で、デコ出しは別にして、器材の故障や、運動量の増加などで消費が激しくなり、いよいよガスがないということになると、バックアップ空気源として、バディのオクトパスから吸うことになる。

人様の呼吸ガスを分けていただくわけで、直ちに浮上だな。

リクツの上では、これで十分なんだろうが、実際のダイビングでは、バディって誰?、どこにいるの?、というトホホな状態になることは珍しくない。

まあ、一応決めておいても、水中は広大で、三次元に広がっており、直ちにオクトパスをゲットできないことも想定される。

マーフィーの法則によれば、そんな時に限ってエア切れするんだな。

トラブルは、最も起きて欲しくない状況で起こる。

そんな時にお役立ちなのが、緊急スイミングアセントという技だ。

(26. エアがなくなったときの対応 - 緊急時の浮上方法)
http://www.padi.co.jp/visitors/program/skill/allskill.asp

レクリエーショナルレベルのオープンウォーターダイビングのいいところは、最後の切り札として、これが出来るという点にある。

物理的なシーリング(天井)があったり、減圧が必要で、仮想的なシーリングがある場合には、この技は使えない。

もちろん、これに頼って、無謀なダイビングをするというのは本末転倒も甚だしいが、いざという時に直接浮上できるというのは有り難い。

「ひとりで浮上しなくてはならないときの「緊急スイミング・アセント」。「アー」と声を出しながら浮上します。」

まあ、何のために声を出しているかという点については、指導団体の講習を受けていただくとしよう。

実際のエア切れでは、既に息が吸えなくなっているので、声出すなんてできっこないじゃん!?、という突っ込みは十分ある。

気道を確保し、浮上に伴う肺の過膨張障害を防ぐために「声を出す」という分かりやすい表現を使っているに過ぎない。

また、スキルの習得に当り、確実に気道が確保されているかを、インストラクターが確認するための便法でもある。

限定水域では、実際の浮上は行わず、水平に泳ぐことによってシミュレーションする。

BCの排気バルブに手を掛け、浮上に伴う浮力の増加を減じることが出来る体制を取って、声を出しながらゆっくりと泳ぐ。

余り速過ぎるのは、ご法度だな。

海洋実習では、実際に浮上することになるわけで、コントロールされた適切な浮上速度(指導団体によって異なると思いますが、最近は1分間に9mというのが流行のようです:PADIは未だに18m)で浮上する。

まあ、概ね3秒間で1mの速度だから、ガンガンに泳がない限り、限定水域でのシミュレーションで、速過ぎるということはないだろうが、そのことは指示しておく必要があるな。

リクツの上では、30秒間、アーと声を出し続けることになるので、結構大変だ(9m泳がなくてはならないので)。

こうして書いてみると分かるとおり、緊急スイミングアセントというのは、せいぜい10m位の深度までしか実用にならないということだ。

それ以上の深度でエア切れした場合のスキルではない。

残圧の管理、バディシステムの維持が、如何に重要かがわかる。

海洋実習では、浮上後にオーラルでBCに空気(ああ、潤沢にある地球の大気!)を吹き込み、スノーケルで水面で呼吸するという技が加わる。

タンクが空になっている想定なのだから、パワーインフレーターを使ったり、レギュレーターを咥えていてはスキル達成にならないというのは当然だな。

エア切れを起こすこと自体があってはならないトラブルだが、その際も予備の空気源(バディのオクトパス)や緊急スイミングアセントで生還できる可能性はある。

サイドマウントで2本差しして、たっぷり残してエキジットするという、安全管理上も好ましい方法もある。

小さいタンクを緊急用に持ち込むという方法もある。

セブでは、ガイドも予備の40cfのタンクを携帯していた(画像参照)。

レクリエーショナルダイビングの安全確保は、少しずつではあるが、確実に進歩している。

器材の信頼性の向上、運用の工夫、そして、ダイバーのスキル向上(たぶん・・・)。

しかし、何より、控えめなダイビングを心がけ、無理をせず、自己の能力を過信することのない態度を養うことが肝要だ。

標語のように何度も書くが、安全なダイビングなんてものはない。

少し危険か、かなり危険か、無茶苦茶危険なダイビングがあるだけだ。

限定水域の実習の際に、このセリフを言ったら、減点になるのかなあ?。

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