静止軌道インターネット衛星きずな ― 2018年02月20日 15:22
静止軌道インターネット衛星きずな
(きずな (人工衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%9A%E3%81%AA_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)
「打上げ日時:2008年(平成20年)2月23日 17時55分」
「設計寿命:5年」
そろそろ10年になる。
フェーズドアレイアンテナについて調べていたら引っかかった。
つーか、すっかり忘れていた。
まだ運用中だとあるが、最新のネタは2014年になってしまった(たぶん)。
(「きずな」で世界最高速3.2Gbpsの衛星伝送に成功)
https://www.nict.go.jp/press/2014/05/12-1.html
「NICTでは、周波数資源の一層の有効利用を進めるため、同一周波数帯域を使った更なる広帯域伝送(例えば4.8Gbps)の実現に向けた検討に取り組みます。」
その後、成功したのかどうかは、NICTのプレス資料では見つからなかった。
地上中継局を経ない通信を実現するため、静止軌道衛星としては最小の遅延なんだろうが、光速を超えての通信は出来ないからな。
こんな記事も見つけた。
(突撃!きずな実験レポート >第29回(2016.03.15):今のところ、最終回?)
http://winds-ets8.jaxa.jp/winds/report/29_201603.html
「さらなる高速化の為に、光を使った衛星通信も実現しつつあります。」
(低軌道衛星と地上との間で1.5ミクロン光による光衛星通信に成功)
https://nict.go.jp/press/2015/06/03-2.html
まあ、これは地上局側が衛星を正確に追尾してレーザー光を送らなければならないので、天文台クラスの設備が必要だがな。
多数の地上局を同時にカバーすることも難しいだろう。
技術試験や実験レベルと、一般大衆が気軽に使えるレベルとの間には雲泥の差がある。
大気の揺らぎがなく、相手がどこにいるかが分かりやすい衛星同士の光通信くらいが関の山かもな。
(「かぐや」も「きずな」もがんばっています!
アポロ疑惑に終止符? 日本の人工衛星、大活躍!)
http://ascii.jp/elem/000/000/136/136213/index-4.html
きずなの場合、衛星側がフェーズドアレイアンテナを持ち、地上局はパラボラのようだ(未確認)。
きずなは、技術試験衛星なので、商用には使えない(不向き:スイッチング能力不足:ウィキより)らしい。
まあ、当初想定された衛星寿命はとっくに過ぎ、商用衛星の目途も付かず、低軌道インターネット衛星コンステレーションの時代を目前に、1周遅れの静止軌道インターネット試験衛星としての役割を終えつつある。
世界は変わりつつある。
実際にサービスが展開されるようになるまでには、時間が掛かる。
数千機の衛星を打ち上げることだけ考えても、1年や2年では間に合わない。
あと1日余りで、スペースXの試験衛星が打ち上げられる一方で、きずなが打ち上げから10年を経過しようとしている。
静止衛星も、これからインターネット接続を普及させようとしている。
(衛星通信システムの最新動向)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000463131.pdf
ちょっと古いが、全体が見渡せるいい資料だ。
適材適所という感じもする。
資料の最後に、ボーイングのKa帯コンステレーションが出てくるが、ちょっと変わっている。
準天頂衛星みたいな、8の字を描く軌道に3機の衛星を配置しようという感じだな。
この他に、低軌道に3000機くらいのVバンド衛星を配置する計画も申請中だ。
きずなが消えていこうとしている中、ようやく衛星を使ったインターネット接続の波(第2の波?)が訪れようとしている。
しかしなあ、やっぱ、アンテナ、デカいよなあ・・・。
(きずな (人工衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%9A%E3%81%AA_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)
「打上げ日時:2008年(平成20年)2月23日 17時55分」
「設計寿命:5年」
そろそろ10年になる。
フェーズドアレイアンテナについて調べていたら引っかかった。
つーか、すっかり忘れていた。
まだ運用中だとあるが、最新のネタは2014年になってしまった(たぶん)。
(「きずな」で世界最高速3.2Gbpsの衛星伝送に成功)
https://www.nict.go.jp/press/2014/05/12-1.html
「NICTでは、周波数資源の一層の有効利用を進めるため、同一周波数帯域を使った更なる広帯域伝送(例えば4.8Gbps)の実現に向けた検討に取り組みます。」
その後、成功したのかどうかは、NICTのプレス資料では見つからなかった。
地上中継局を経ない通信を実現するため、静止軌道衛星としては最小の遅延なんだろうが、光速を超えての通信は出来ないからな。
こんな記事も見つけた。
(突撃!きずな実験レポート >第29回(2016.03.15):今のところ、最終回?)
http://winds-ets8.jaxa.jp/winds/report/29_201603.html
「さらなる高速化の為に、光を使った衛星通信も実現しつつあります。」
(低軌道衛星と地上との間で1.5ミクロン光による光衛星通信に成功)
https://nict.go.jp/press/2015/06/03-2.html
まあ、これは地上局側が衛星を正確に追尾してレーザー光を送らなければならないので、天文台クラスの設備が必要だがな。
多数の地上局を同時にカバーすることも難しいだろう。
技術試験や実験レベルと、一般大衆が気軽に使えるレベルとの間には雲泥の差がある。
大気の揺らぎがなく、相手がどこにいるかが分かりやすい衛星同士の光通信くらいが関の山かもな。
(「かぐや」も「きずな」もがんばっています!
アポロ疑惑に終止符? 日本の人工衛星、大活躍!)
http://ascii.jp/elem/000/000/136/136213/index-4.html
きずなの場合、衛星側がフェーズドアレイアンテナを持ち、地上局はパラボラのようだ(未確認)。
きずなは、技術試験衛星なので、商用には使えない(不向き:スイッチング能力不足:ウィキより)らしい。
まあ、当初想定された衛星寿命はとっくに過ぎ、商用衛星の目途も付かず、低軌道インターネット衛星コンステレーションの時代を目前に、1周遅れの静止軌道インターネット試験衛星としての役割を終えつつある。
世界は変わりつつある。
実際にサービスが展開されるようになるまでには、時間が掛かる。
数千機の衛星を打ち上げることだけ考えても、1年や2年では間に合わない。
あと1日余りで、スペースXの試験衛星が打ち上げられる一方で、きずなが打ち上げから10年を経過しようとしている。
静止衛星も、これからインターネット接続を普及させようとしている。
(衛星通信システムの最新動向)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000463131.pdf
ちょっと古いが、全体が見渡せるいい資料だ。
適材適所という感じもする。
資料の最後に、ボーイングのKa帯コンステレーションが出てくるが、ちょっと変わっている。
準天頂衛星みたいな、8の字を描く軌道に3機の衛星を配置しようという感じだな。
この他に、低軌道に3000機くらいのVバンド衛星を配置する計画も申請中だ。
きずなが消えていこうとしている中、ようやく衛星を使ったインターネット接続の波(第2の波?)が訪れようとしている。
しかしなあ、やっぱ、アンテナ、デカいよなあ・・・。
大洋水深総図 ― 2018年02月20日 23:58
大洋水深総図
かつて船に乗り、今はダイバーとして水中に潜っている浮沈子だが、GEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans)と呼ばれる大洋水深総図のことは知らなかった。
(大洋水深総図)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B4%8B%E6%B0%B4%E6%B7%B1%E7%B7%8F%E5%9B%B3
「モナコ大公アルベール1世の提唱により、1903年に1万8千点の水深データを用いて、海底地形図の初版が作成された」
舶来品に弱い浮沈子は、この記述だけで、なんかこう、権威付けを感じてしまうんだがな。
紆余曲折を経て、1984年に第5版が作成され、1994年にデジタル化された。
海底地形図なんか、グーグルアース見りゃ分かんじゃんとか思ってたんだが、どうやら逆で、グーグルアースがそのデータを基にしているらしい。
(30年に精密な海底地形図 国際チームが計画始動)
http://www.sankei.com/photo/daily/news/180220/dly1802200012-n1.html
「GEBCOは100年以上前から世界の海底地形図作りに取り組んでいるが、これまでに音波などで直接水深を測れたのは全海洋の15%ほど。残りは人工衛星の観測で補っているが精度は低く、信頼性を高めることが課題になっている。」
「海底地形図を作製する国際的な専門家チーム・大洋水深総図(GEBCO)と日本財団は20日、2030年までに世界の精密な海底地形図を完成させる計画を始めたと発表」
宇宙のことは分かっても、地球の海の底は、15パーセントかよ・・・。
人工衛星の観測だって、悪くはないと思うんだが、細かいところは音響測深するしかないだろうな。
海洋資源の開発や津波の進路予想に役立つというが、そういうアプリケーションレベルの話はともかく、海洋については未知の部分が多すぎる。
浮沈子的には、サイドスキャンソナー使った音響測深よりも、衛星からのマイクロ波とか、グレイス(GRACE:Gravity Recovery And Climate Experiment)使った精密重力測定の方に興味があるんだがな。
(GRACEがもたらしたもの)
http://www.geod.jpn.org/web-text/part3_2014/matsuo/index.html
「図2に, GRACEデータをもとに復元された全球重力場の異常分布(フリーエア重力異常図)を示す. この重力異常分布は, その後2009年になると, ESAによるGOCE衛星(Gravity Field and steady-state Ocean Circulation Explorer)によって, さらに精微化される(詳しくは第3部GOCEがもたらしたものを参照).」
グレイス(GRACE)もゴーチェ(GOCE)も、このブログでは既に取り上げている。
(柳の下の3度目の双子)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/01/03/8761400
(宇宙のフェラーリ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/09/18/6985522
どっちも的外れな取り上げ方だが、仕方ない。
衛星を使った海底地形のことについては、いろいろ資料があるが、分かりやすかったのはこれ。
(アルチメーター(高度計)- 人工衛星で海面の起伏をはかる)
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/okubo/ResearchHP/HP9.Altimeter.pdf
「ちょっと変わった人工衛星アルチメータの応用としては,海山の拾い出しがあります.陸上地形にくらべると、広い海の海底地形図はまだまだ不完全で、あちこちに海山の見落としがあります。未知の海山があると、そこでは海面が盛りあがります。逆に海面が盛りあがっている所がみつかれば、そこの海底には海山が隠れている可能性があり,詳しく音響測深で調査をすれば存在するかどうかが確認できます.」
浮沈子には、このくらい雑駁な表現でないと理解できない。
数式とか弱いからな(じゃあ、何が強いんだあ?)。
まあいい。
実際に、海山を発見して登録した話もある。
(はじめて学ぶ海洋学 第9回
-海洋底の特徴―海底地形学)
http://yrg.sci.kumamoto-u.ac.jp/lecture/presen/d2.pdf
「昨年(2009年),海底4000mから火山のような形をした巨大な海山(直径20㎞)を発見し,国際登録した.」
「地図には載っていないが,海山が存在する可能性が高いので調査を行った」
この記事の中にも出てくるが、海底地形図といえば、海洋底拡大説のもとになった大西洋中央海嶺の発見を忘れるわけにはいかない。
(南極から月面まで、ナショジオ100年の地図:地球の活動をあらわにした海底地図)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150128/433463/
「地球物理学者ブルース・ヒーゼンとマリー・サープの研究にもとづいて1968年に作成されたこの海底地図は、プレートテクトニクスの概念を広く知らしめる一助となった。」
大洋水深総図の作成が、ひょっとしたら、地球科学の新たなパラダイムを拓くことに繋がるかもしれない。
われわれは、海の底のことは、何も知らないのに等しいのだ・・・。
かつて船に乗り、今はダイバーとして水中に潜っている浮沈子だが、GEBCO(General Bathymetric Chart of the Oceans)と呼ばれる大洋水深総図のことは知らなかった。
(大洋水深総図)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B4%8B%E6%B0%B4%E6%B7%B1%E7%B7%8F%E5%9B%B3
「モナコ大公アルベール1世の提唱により、1903年に1万8千点の水深データを用いて、海底地形図の初版が作成された」
舶来品に弱い浮沈子は、この記述だけで、なんかこう、権威付けを感じてしまうんだがな。
紆余曲折を経て、1984年に第5版が作成され、1994年にデジタル化された。
海底地形図なんか、グーグルアース見りゃ分かんじゃんとか思ってたんだが、どうやら逆で、グーグルアースがそのデータを基にしているらしい。
(30年に精密な海底地形図 国際チームが計画始動)
http://www.sankei.com/photo/daily/news/180220/dly1802200012-n1.html
「GEBCOは100年以上前から世界の海底地形図作りに取り組んでいるが、これまでに音波などで直接水深を測れたのは全海洋の15%ほど。残りは人工衛星の観測で補っているが精度は低く、信頼性を高めることが課題になっている。」
「海底地形図を作製する国際的な専門家チーム・大洋水深総図(GEBCO)と日本財団は20日、2030年までに世界の精密な海底地形図を完成させる計画を始めたと発表」
宇宙のことは分かっても、地球の海の底は、15パーセントかよ・・・。
人工衛星の観測だって、悪くはないと思うんだが、細かいところは音響測深するしかないだろうな。
海洋資源の開発や津波の進路予想に役立つというが、そういうアプリケーションレベルの話はともかく、海洋については未知の部分が多すぎる。
浮沈子的には、サイドスキャンソナー使った音響測深よりも、衛星からのマイクロ波とか、グレイス(GRACE:Gravity Recovery And Climate Experiment)使った精密重力測定の方に興味があるんだがな。
(GRACEがもたらしたもの)
http://www.geod.jpn.org/web-text/part3_2014/matsuo/index.html
「図2に, GRACEデータをもとに復元された全球重力場の異常分布(フリーエア重力異常図)を示す. この重力異常分布は, その後2009年になると, ESAによるGOCE衛星(Gravity Field and steady-state Ocean Circulation Explorer)によって, さらに精微化される(詳しくは第3部GOCEがもたらしたものを参照).」
グレイス(GRACE)もゴーチェ(GOCE)も、このブログでは既に取り上げている。
(柳の下の3度目の双子)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/01/03/8761400
(宇宙のフェラーリ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/09/18/6985522
どっちも的外れな取り上げ方だが、仕方ない。
衛星を使った海底地形のことについては、いろいろ資料があるが、分かりやすかったのはこれ。
(アルチメーター(高度計)- 人工衛星で海面の起伏をはかる)
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/people/okubo/ResearchHP/HP9.Altimeter.pdf
「ちょっと変わった人工衛星アルチメータの応用としては,海山の拾い出しがあります.陸上地形にくらべると、広い海の海底地形図はまだまだ不完全で、あちこちに海山の見落としがあります。未知の海山があると、そこでは海面が盛りあがります。逆に海面が盛りあがっている所がみつかれば、そこの海底には海山が隠れている可能性があり,詳しく音響測深で調査をすれば存在するかどうかが確認できます.」
浮沈子には、このくらい雑駁な表現でないと理解できない。
数式とか弱いからな(じゃあ、何が強いんだあ?)。
まあいい。
実際に、海山を発見して登録した話もある。
(はじめて学ぶ海洋学 第9回
-海洋底の特徴―海底地形学)
http://yrg.sci.kumamoto-u.ac.jp/lecture/presen/d2.pdf
「昨年(2009年),海底4000mから火山のような形をした巨大な海山(直径20㎞)を発見し,国際登録した.」
「地図には載っていないが,海山が存在する可能性が高いので調査を行った」
この記事の中にも出てくるが、海底地形図といえば、海洋底拡大説のもとになった大西洋中央海嶺の発見を忘れるわけにはいかない。
(南極から月面まで、ナショジオ100年の地図:地球の活動をあらわにした海底地図)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150128/433463/
「地球物理学者ブルース・ヒーゼンとマリー・サープの研究にもとづいて1968年に作成されたこの海底地図は、プレートテクトニクスの概念を広く知らしめる一助となった。」
大洋水深総図の作成が、ひょっとしたら、地球科学の新たなパラダイムを拓くことに繋がるかもしれない。
われわれは、海の底のことは、何も知らないのに等しいのだ・・・。
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