石の裏をいくらひっくり返しても、問題の本質は見えてこない737MAXの改修 ― 2019年05月23日 23:34
石の裏をいくらひっくり返しても、問題の本質は見えてこない737MAXの改修
(米国はボーイング737MAXの運航再開を急がず-FAA局長代行)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-23/PRXLTS6JTSEE01?srnd=cojp-v2-overseas
「エルウェルFAA局長代行:技術専門家は「隅々まで調べる」」
カッコつきの表現に引っかかって、原文を確認する。
(U.S. Isn't Rushing Boeing 737 Max Back to Flight, FAA Chief Says)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-05-22/u-s-isn-t-rushing-boeing-737-max-back-to-flight-faa-chief-says
「FAA’s Elwell vows to leave ‘no stone unturned’ in jet’s review」
英語が苦手な浮沈子・・・。
(leave no stone unturned)
https://ejje.weblio.jp/content/leave+no+stone+unturned
「あらゆる手段を講ずる.」
「完全に、そして、徹底的に捜す」
「草の根を分けて捜す」
FAAが2年前に認可した際には、そうしなかったということになる。
生煮えのソフトウェアを使って、空力的欠陥を糊塗しただけでなく、そのこと自体を隠蔽した。
今回は、そのようなことがないように、「隅々まで調べる」ということなんだろう。
が、しかし、それでは何も解決しない。
MCASの作動が異常をきたした原因が何かという点については、新たな情報も上がっている。
(ボーイング737MAX墜落事故、バードストライクが失速制御ソフトの問題を引き起こした可能性)
https://japanese.engadget.com/2019/05/22/737max/
「墜落の根本的な原因となった"仰角センサーの異常な指示値"がなぜ発生したのかはいまだ確定した情報が出ていません。」
「米連邦航空局(FAA)が2回の737MAX墜落事故のうち、2019年3月に発生したエチオピア航空のケースにおいて、離陸直後に機体に鳥が衝突する「バードストライク」によって仰角センサーが破損したことが事故の発端になったとの考えを深めている」
1系統だけのAoAセンサーのデータで尾翼の角度をグリグリすることになってたわけだからな。
その系統がダメになれば、真っ逆さまになるしかない。
今回施される改修の中身は、石の裏に隠れている細かいことはともかく、大筋ではセンサーからの入力が誤っていると判断されたらMCASの介入を止めちゃうということに尽きる。
その判断は、迎え角センサーの値の差とかを機械的に判断することに加え、パイロットがヤバイと思って手動でトリムコントローラーを弾いたりすることも含まれる。
元々、MCASが介入するのは、離陸後に急旋回しながらフラップを収納してフルスロットルでガンガン上昇している時だ。
エンジンの搭載位置を変更したために、MAXシリーズは、この際に機首上げ失速に陥りやすい。
この空力的欠陥を解決するために導入されたわけだ。
水平尾翼の取り付け角度を弄って、機首を下げる方向に動的に制御すればいい・・・。
考えたやつは、上手いことやれると思ったに違いない。
複数の系統の迎え角センサーの値を評価したり、万が一不一致だった場合を詳細に検討して、パイロットに警告を出したり、その場合の対処方法を事前にシミュレーターなどで訓練したり、最悪の場合、トリムコントロール自体を遮断して、古い設計である737の強みを生かして、手動でホイールを回す方法を試してみたり・・・。
ボーイングは、そのどれもやらなかった。
単一の系統のセンサーからの入力で、尾翼の角度を繰り返し変更することにした。
複数(2個)ある迎え角センサーの値を表示する機能はオプション扱いにして、パイロットがその値を評価することを妨げた。
そのセンサーの値が異なる場合の警告もオプション扱いにした。
理由は、安全上の機能ではないから。
やれやれ・・・。
さらに、浮沈子は営業上の理由だと確信しているが、MCASの存在やその機能に関する情報を秘匿して、パイロットに公開しなかった。
今までの737シリーズと同じだといってな。
そうでなければ、機種転換訓練を要求することになり、航空会社やひいては搭乗者に負担を強いることになる。
ロクな審査をしていなかった規制当局についても、このアプローチだったに違いない。
前のと同じだから、さっさと認可してよ・・・。
石の裏には、乗客の命に係わる瑕疵が隠されたままとなった。
今回の改修で、石の裏の瑕疵は、まあ、概ね暴かれることになり、それに対する対応はなされるに違いない。
しかし、737MAXが、空力的欠陥を抱えた航空機であることは変わらない。
石の表に明確に刻まれた欠陥には、目を瞑ってしまうことになる。
それは欠陥ではないというのなら、MCASなんか全面的に止めちまって、認可を取り直せばいいのだ。
きっちりと機種転換訓練を施して、機首上げ失速に対して、常に手動で対応できるようになったパイロットだけに運航させるようにすればよろしい。
そうしない理由は2つ考えられる。
そもそも、そんな空力特性では認可が下りないということ。
もう一つは、航空会社側の理由で、パイロットの養成に時間(と金)が掛かるからということ。
しかし、考えて欲しい。
今回の改修(?)の結果、仮に迎え角センサーの故障が発生した場合(これって、結構あるようです)、シミュレーター(今回の対応でも、義務化はされない模様)で訓練もされていないパイロットは、MCASを遮断された素の737MAX(機首上げ失速しやすい空力的欠陥機)を、マニュアルで操縦することになるわけだからな。
100歩譲って、改修したMCASを残すにしても、せめて操縦資格を持つパイロットは、その際の失速しやすい機体のコントロールに習熟しておいてもらいたいもんだな。
「自信を持って運航停止命令を解除する上で必要なことを全て見つけるのに1年かかるとすれば、それはそれで仕方ない」
本気でそう思っているかどうかは知らないが、リップサービスだとしても、真っ当な規制当局の姿勢だ。
しかし、それは、肝心なところをすっ飛ばした、形の上の話に過ぎない。
どれだけ、システムを弄っても、今回の改修では、センサーの系統を増やすわけでもないし、他のセンサーの情報とマージして複合的に判断するようなロジックにしたわけでもないし(未確認)、最終的にはシステムの介入を諦めて、未熟なパイロットに欠陥機の操縦をほっぽり出すことに変わりはないのだ。
そして、そのような非常事態に際して万全な操縦が可能なパイロットばかりに操縦させるなら、そもそもMCASなんて仕組みは必要ないんじゃないかっていう根源的な疑問も残る・・・。
つまり、システムとしての改善はされたのかもしれないが、マンマシンシステムとしての総合的な安全性は、大して変わっていないのではないか。
それでも、メーカーが規制当局とグルになって、従来機との違いを隠蔽し続けていた今までの状況よりは、遥かにいい。
誤ったデータに基づいて、何度も介入して、操縦桿のスイッチでは解除できない状況に陥り、マニュアルと格闘してMCASのぶった切り方を見つけてホイールと格闘しだした時には墜落寸前という状況だったわけだからな。
論外だ・・・。
そういう、論外な状況でなければ、それでいいのかという話は誰もしていないようだ。
旅客機の搭乗者に過ぎない我々に、選択の余地はない。
ケアンズに行った時にも、いつバッテリーから火を噴くか分からない787(-8?)に乗らざるを得なかったしな(金ないんで、ジェットスターしか使えないしな)。
エコノミーだしな。
金を払ってくれる荷物は、大人しく家畜の餌(機内食ともいう)を食って、タダで見られる映画だけ見て寝てろというわけだ(そうなのかあ?)。
まあいい。
一時は、8月辺りから飛行再開とか言われていたが、ひょっとすると年内は難しいかもしれない。
(【電子版】インドネシア当局、737MAXの運航停止 来年まで継続の可能性示唆)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00517236
「たとえ米連邦航空局(FAA)が737MAXの運航再開を認めたとしても、インドネシアは提案済みの修正項目を検証した結果に基づいて独自に決定を下す」
「パイロットは従来よりも厳格な必須のトレーニングを履修しないと、同機の操縦を認められないようにする」
余りにも当たり前の記事で、この内容が記事になること自体が問題の根深さを象徴している。
つまり、世界の航空当局は、FAA(=ボーイング?)の言いなりで認可し、厳格で必須のトレーニングも受けていない操縦経験の未熟なパイロットに運航を委ねていたということだ。
ったく・・・。
「インドネシアで年内に運航が再開できるかどうか不透明だとし、「われわれが同機を使い続けるかどうか予想がつかない」と述べた。」
まとも過ぎる・・・。
それがふつーというものだろう。
あれだけの不誠実なことをしでかし、多くの乗員乗客の命を奪ったのだ。
刑事責任を追及されてもおかしくない。
そういう報道は、一切出てこないけどな。
「ボーイングの担当者にコメントを求めたが、これまでに返答はない。」
沈黙は金(かね?)か・・・。
(米FAA、6月下旬にも737運航再開許可 国連に報告=関係筋:追加)
https://jp.reuters.com/article/ethiopia-airplane-safety-boeing-idJPKCN1ST2R0
「米連邦航空局(FAA)の当局者は、国連の専門機関、国際民間航空機関(ICAO)に対し、早ければ6月下旬にも米ボーイング(BA.N)の旅客機「737MAX」の米国での運航再開を許可する見通しだと報告した。」
「他国が再開を許可する時期は不明」
「ボーイングは現時点で取材に応じていない。」
やっぱ、ここは沈黙かな・・・。
(米国はボーイング737MAXの運航再開を急がず-FAA局長代行)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-23/PRXLTS6JTSEE01?srnd=cojp-v2-overseas
「エルウェルFAA局長代行:技術専門家は「隅々まで調べる」」
カッコつきの表現に引っかかって、原文を確認する。
(U.S. Isn't Rushing Boeing 737 Max Back to Flight, FAA Chief Says)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-05-22/u-s-isn-t-rushing-boeing-737-max-back-to-flight-faa-chief-says
「FAA’s Elwell vows to leave ‘no stone unturned’ in jet’s review」
英語が苦手な浮沈子・・・。
(leave no stone unturned)
https://ejje.weblio.jp/content/leave+no+stone+unturned
「あらゆる手段を講ずる.」
「完全に、そして、徹底的に捜す」
「草の根を分けて捜す」
FAAが2年前に認可した際には、そうしなかったということになる。
生煮えのソフトウェアを使って、空力的欠陥を糊塗しただけでなく、そのこと自体を隠蔽した。
今回は、そのようなことがないように、「隅々まで調べる」ということなんだろう。
が、しかし、それでは何も解決しない。
MCASの作動が異常をきたした原因が何かという点については、新たな情報も上がっている。
(ボーイング737MAX墜落事故、バードストライクが失速制御ソフトの問題を引き起こした可能性)
https://japanese.engadget.com/2019/05/22/737max/
「墜落の根本的な原因となった"仰角センサーの異常な指示値"がなぜ発生したのかはいまだ確定した情報が出ていません。」
「米連邦航空局(FAA)が2回の737MAX墜落事故のうち、2019年3月に発生したエチオピア航空のケースにおいて、離陸直後に機体に鳥が衝突する「バードストライク」によって仰角センサーが破損したことが事故の発端になったとの考えを深めている」
1系統だけのAoAセンサーのデータで尾翼の角度をグリグリすることになってたわけだからな。
その系統がダメになれば、真っ逆さまになるしかない。
今回施される改修の中身は、石の裏に隠れている細かいことはともかく、大筋ではセンサーからの入力が誤っていると判断されたらMCASの介入を止めちゃうということに尽きる。
その判断は、迎え角センサーの値の差とかを機械的に判断することに加え、パイロットがヤバイと思って手動でトリムコントローラーを弾いたりすることも含まれる。
元々、MCASが介入するのは、離陸後に急旋回しながらフラップを収納してフルスロットルでガンガン上昇している時だ。
エンジンの搭載位置を変更したために、MAXシリーズは、この際に機首上げ失速に陥りやすい。
この空力的欠陥を解決するために導入されたわけだ。
水平尾翼の取り付け角度を弄って、機首を下げる方向に動的に制御すればいい・・・。
考えたやつは、上手いことやれると思ったに違いない。
複数の系統の迎え角センサーの値を評価したり、万が一不一致だった場合を詳細に検討して、パイロットに警告を出したり、その場合の対処方法を事前にシミュレーターなどで訓練したり、最悪の場合、トリムコントロール自体を遮断して、古い設計である737の強みを生かして、手動でホイールを回す方法を試してみたり・・・。
ボーイングは、そのどれもやらなかった。
単一の系統のセンサーからの入力で、尾翼の角度を繰り返し変更することにした。
複数(2個)ある迎え角センサーの値を表示する機能はオプション扱いにして、パイロットがその値を評価することを妨げた。
そのセンサーの値が異なる場合の警告もオプション扱いにした。
理由は、安全上の機能ではないから。
やれやれ・・・。
さらに、浮沈子は営業上の理由だと確信しているが、MCASの存在やその機能に関する情報を秘匿して、パイロットに公開しなかった。
今までの737シリーズと同じだといってな。
そうでなければ、機種転換訓練を要求することになり、航空会社やひいては搭乗者に負担を強いることになる。
ロクな審査をしていなかった規制当局についても、このアプローチだったに違いない。
前のと同じだから、さっさと認可してよ・・・。
石の裏には、乗客の命に係わる瑕疵が隠されたままとなった。
今回の改修で、石の裏の瑕疵は、まあ、概ね暴かれることになり、それに対する対応はなされるに違いない。
しかし、737MAXが、空力的欠陥を抱えた航空機であることは変わらない。
石の表に明確に刻まれた欠陥には、目を瞑ってしまうことになる。
それは欠陥ではないというのなら、MCASなんか全面的に止めちまって、認可を取り直せばいいのだ。
きっちりと機種転換訓練を施して、機首上げ失速に対して、常に手動で対応できるようになったパイロットだけに運航させるようにすればよろしい。
そうしない理由は2つ考えられる。
そもそも、そんな空力特性では認可が下りないということ。
もう一つは、航空会社側の理由で、パイロットの養成に時間(と金)が掛かるからということ。
しかし、考えて欲しい。
今回の改修(?)の結果、仮に迎え角センサーの故障が発生した場合(これって、結構あるようです)、シミュレーター(今回の対応でも、義務化はされない模様)で訓練もされていないパイロットは、MCASを遮断された素の737MAX(機首上げ失速しやすい空力的欠陥機)を、マニュアルで操縦することになるわけだからな。
100歩譲って、改修したMCASを残すにしても、せめて操縦資格を持つパイロットは、その際の失速しやすい機体のコントロールに習熟しておいてもらいたいもんだな。
「自信を持って運航停止命令を解除する上で必要なことを全て見つけるのに1年かかるとすれば、それはそれで仕方ない」
本気でそう思っているかどうかは知らないが、リップサービスだとしても、真っ当な規制当局の姿勢だ。
しかし、それは、肝心なところをすっ飛ばした、形の上の話に過ぎない。
どれだけ、システムを弄っても、今回の改修では、センサーの系統を増やすわけでもないし、他のセンサーの情報とマージして複合的に判断するようなロジックにしたわけでもないし(未確認)、最終的にはシステムの介入を諦めて、未熟なパイロットに欠陥機の操縦をほっぽり出すことに変わりはないのだ。
そして、そのような非常事態に際して万全な操縦が可能なパイロットばかりに操縦させるなら、そもそもMCASなんて仕組みは必要ないんじゃないかっていう根源的な疑問も残る・・・。
つまり、システムとしての改善はされたのかもしれないが、マンマシンシステムとしての総合的な安全性は、大して変わっていないのではないか。
それでも、メーカーが規制当局とグルになって、従来機との違いを隠蔽し続けていた今までの状況よりは、遥かにいい。
誤ったデータに基づいて、何度も介入して、操縦桿のスイッチでは解除できない状況に陥り、マニュアルと格闘してMCASのぶった切り方を見つけてホイールと格闘しだした時には墜落寸前という状況だったわけだからな。
論外だ・・・。
そういう、論外な状況でなければ、それでいいのかという話は誰もしていないようだ。
旅客機の搭乗者に過ぎない我々に、選択の余地はない。
ケアンズに行った時にも、いつバッテリーから火を噴くか分からない787(-8?)に乗らざるを得なかったしな(金ないんで、ジェットスターしか使えないしな)。
エコノミーだしな。
金を払ってくれる荷物は、大人しく家畜の餌(機内食ともいう)を食って、タダで見られる映画だけ見て寝てろというわけだ(そうなのかあ?)。
まあいい。
一時は、8月辺りから飛行再開とか言われていたが、ひょっとすると年内は難しいかもしれない。
(【電子版】インドネシア当局、737MAXの運航停止 来年まで継続の可能性示唆)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00517236
「たとえ米連邦航空局(FAA)が737MAXの運航再開を認めたとしても、インドネシアは提案済みの修正項目を検証した結果に基づいて独自に決定を下す」
「パイロットは従来よりも厳格な必須のトレーニングを履修しないと、同機の操縦を認められないようにする」
余りにも当たり前の記事で、この内容が記事になること自体が問題の根深さを象徴している。
つまり、世界の航空当局は、FAA(=ボーイング?)の言いなりで認可し、厳格で必須のトレーニングも受けていない操縦経験の未熟なパイロットに運航を委ねていたということだ。
ったく・・・。
「インドネシアで年内に運航が再開できるかどうか不透明だとし、「われわれが同機を使い続けるかどうか予想がつかない」と述べた。」
まとも過ぎる・・・。
それがふつーというものだろう。
あれだけの不誠実なことをしでかし、多くの乗員乗客の命を奪ったのだ。
刑事責任を追及されてもおかしくない。
そういう報道は、一切出てこないけどな。
「ボーイングの担当者にコメントを求めたが、これまでに返答はない。」
沈黙は金(かね?)か・・・。
(米FAA、6月下旬にも737運航再開許可 国連に報告=関係筋:追加)
https://jp.reuters.com/article/ethiopia-airplane-safety-boeing-idJPKCN1ST2R0
「米連邦航空局(FAA)の当局者は、国連の専門機関、国際民間航空機関(ICAO)に対し、早ければ6月下旬にも米ボーイング(BA.N)の旅客機「737MAX」の米国での運航再開を許可する見通しだと報告した。」
「他国が再開を許可する時期は不明」
「ボーイングは現時点で取材に応じていない。」
やっぱ、ここは沈黙かな・・・。
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