🐱原子力推進ロケット再び2023年02月01日 00:09

原子力推進ロケット再び


先週、このニュースがリリースされてからというもの、気になって仕方がない。

(NASAは核熱推進を開発するための軍事計画に参加します)
https://arstechnica.com/science/2023/01/nasa-will-join-a-military-program-to-develop-nuclear-thermal-propulsion/

「NASA​​ は長期的なパートナーである DARPA と協力して、早ければ 2027 年にも高度な核熱推進技術を開発し、実証する予定です。この新しい技術の助けを借りて、宇宙飛行士は深宇宙への出入りをより迅速に行うことができます。これまで以上に、火星への有人ミッションに備えるための主要な機能です。」

「現在、この共同プロジェクトは、この技術を開発するための最も真剣な米国の取り組みです。これには、宇宙機関に関与するよう促している米国議会からの関心という追加の利点があります。」

実は、一度、ブログ記事を書きかけては没にしている。

浮沈子的に未消化な感じがしていて、上っ面をなぞっておしまいにしちまいそうな予感がしているからだ(いつもの事じゃん!?)。

(NASAとDARPA、核熱ロケットエンジンを宇宙で実証へ - 火星有人探査に向け)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230130-2579727/

「米国航空宇宙局(NASA)と国防高等研究計画局(DARPA)は2023年1月25日、「核熱ロケットエンジン」を共同で開発し、早ければ2027年にも宇宙での実証試験を行うと発表した。」

宇宙開発が軍事技術と表裏一体なことは周知だが、こうあからさまだと言葉を失う。

NASAは、数年前から独自に研究開発を進めており(再開?)、今更、ダルパと懇ろにならなくてもいいような気がするんだがな。

まあいい。

核熱ロケットについては、このブログでも数年前に記事にしている。

(原子力ロケットの系譜)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/05/8969108

「推進剤を炉心にぶつけて加熱して膨張させ、勢いよくノズルから噴出させて加速するという核熱ロケットというのがあるらしい。」

当時の鳥嶋さんの詳細な記事からも引用している。

(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/

「米国航空宇宙局(NASA)は2017年8月3日、将来の有人太陽系探査を見据え、新しい「原子力ロケットエンジン」の実現に向けた技術の開発を始めると発表した。」

原子力推進ロケットを語るうえで、この記事は必読と言えよう。

この記事の末尾に、原子力ロケット開発に対する思いが綴られているのが印象的だ。

「今後、有人月・火星探査を行おうとすれば国際共同になることはまず間違いなく、その中で原子力のエネルギー源として利用することになれば、日本が技術的、あるいは平和利用のためのご意見番や歯止め役といった形でかかわることができるかもしれない。」

「・・・原子力を"平和目的のみに利用する"ということが大前提である。」

「私たち人類が、原子力というプロメテウスの火を、正しく安全に使いこなし、ただただ平和のため、未来のために使われることを、そしてそれだけの能力が人類にあることを、心から願いたい。」

まあ、そりゃあそうなんだろうが、そうは言ってもなあ・・・。

中国は、スターリンクを射ち落とす(!?)と言って憚らないし、ロシアはウクライナでドンパチやってて、今にも戦術核兵器が使われそうな雰囲気だし(そうなのかあ?)、原子力が平和目的だけで使われる訳はないのだ。

が、そういった話は、今回の記事の中には出てこない。

浮沈子的に気になったのは、メインの推進システムである核熱推進ロケットではなく、原子炉を宇宙空間に持ち出すことで得られる、有り余る電力をふんだんに使うことが出来る電気推進の方の話だ。

「小型原子炉で発電した電気を使って、イオン・エンジンやプラズマ・エンジンなどの電気推進エンジンを動かす形式の原子力ロケットの構想もある。」(マイナビの初出記事より)

イオンエンジンとプラズマエンジンの違いって、分かりますう?。

いろいろ、ネットで調べたんだが、一番分かりやすく整理されていたのはこれ。

(電気推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%8E%A8%E9%80%B2

<電気推進の種類>
・静電加速型:
・・イオンエンジン:はやぶさ、はやぶさ2、ボーイング702SPバスなど
・・ホールスラスタ:スターリンクなど
・・コロイド推進器:???

・電熱加速型(これもプラズマエンジン?):
・・DCアークジェット:一液/二液推進系と推進剤を共有できるため、推進剤としてヒドラジンを用いることが一般的:ロッキードマーチンA2100バスなど
・・レジストジェット:原理はサーマルインクジェットプリンター:かつての偵察衛星など

・電磁加速型(本命のプラズマエンジン!):
・・MPDアークジェット:実験機レベルまでで、商用化はされていないようです(未確認)。

・複合型(大本命のプラズマエンジン!!):
・・VASIMR:比推力可変型プラズマ推進機:研究段階

読み物としては、こんな記事もあった。

(イオンエンジンだけじゃない、電気推進ってなんだ?)
https://fanfun.jaxa.jp/feature/detail/10926.html

「プラスとマイナスに分けてプラスのイオンだけを取り出して加速させるので、その時点では厳密な意味ではプラズマとはいえませんが、加速させた後に電子を与えて電気的に中性な状態に戻すので、その時点ではプラズマに戻ります。その意味では、イオンエンジンはプラズマを吹いているといえます。」

ホールスラスタ(業界の慣例で、長母音にはしないようです:「スラスター」と単独で使う場合は伸ばすみたい)をプラズマエンジンに区分する人もいる。

「ホールスラスタはロシアの天才のモロゾフさんという方が考えたエンジンで、イオンエンジンより燃費は少し落ちますが、同じサイズで10倍以上力が出るというすごいエンジンです。」

ここでも、イオンエンジンと対比して語られている。

「イオンエンジンにはプラスのイオンが反発しあうので、イオンエンジンの噴き出し口のイオンの密度をある一定以上に上げられないという限界があるんですが、ここに電場と磁場を利用してホール電流という方法で電子を漂わせることで、空間電荷の制限を突破して濃いイオンを噴射させることに成功しました。」

電気推進エンジンの用途として考えられている中で、静止衛星のアポジーやペリジーを変化させるのに使うというのがあるけど、推力と比推力とのバランスから考えて、ホールスラスタが適しているとされているようだ。

軌道維持には、もっと低い推力でもいいらしいが、2系統もつのも重量的にネガになるからな。

大推力でありながら、低推力でも燃費のいいホールスラスタが必要かもしれない(2025年くらいに技術試験衛星9号機で検証するようです)。

実用的には、暫くはこれが本命なんだろう。

ちなみに、ボーイングの全電化衛星(702SPバス)はイオンエンジンだ。

記事の中では、イオンエンジンを超低軌道衛星の高度維持に用いる話も出ている。

「イオンエンジンの推力は高度200kmくらいの空気抵抗と同じくらいになるので、本当なら落ちてしまうような低い高度であたかも空気抵抗がないかのように飛ぶことができるんです。」

ゴーチェやつばめがそれなんだが、運用寿命との兼ね合いもあるからな。

この記事は、浮沈子的な理解度に丁度良く書かれていて、読みやすくためになった。

「燃費が良ければ良いほどホールスラスタとも差別化できて、じゃあ木星に行くならμ10シリーズを使いましょうというように使い分けも進んでいくと思います。」

電気推進も、目的に合わせて使い分けていくようになるのかも知れない。

技術試験衛星9号機のホールスラスタ開発に関わった技術者のインタビューも読んだ。

(日本発、長寿命ホールスラスタ)
https://www.satnavi.jaxa.jp/files/project/ETS-9/interview/ETS-9_interview-02.html

「人工衛星を用いた事業において、電気推進衛星では推力が小さいため、サービスインが遅れ、その分の運用コストもかさむので、商用の観点で推力は重要です。 そのため、全電化衛星の推進システムとしては電気推進の中でも大きな推力を発生させるホールスラスタが最適」

「はやぶさイオンエンジンは推力1gfくらいで、よく「1円玉1枚を持ち上げる力」に例えられていました。 それにならうと「いちご(35g)1粒を持ち上げる力」でしょうか。」

なんだ、そんなもんか・・・。

「技術試験衛星9号機の静止軌道投入中に、大電力噴射を実証します。 また、静止軌道に到着してからは、姿勢軌道制御用の小電力モードでの噴射も実証します。」

ホールスラスタの特性については、面白いことが書いてある。

「ホールスラスタでは、空間に広く印可された磁場の中で、生成も加速も渾然一体で行われます。 イオンエンジンのように緻密な構造物でプラズマを制御するのではなく、安定で損失が小さい状態に自然になるよう、ある意味プラズマの自己調整に委ねているイメージです。」

「ただし経験則はあれど、磁場中での電子の輸送すなわち"プラズマの自己調整"のメカニズムは、未だに解明されておらず今でもホットな研究テーマになっています。」

うーん、テキトーだな・・・。

訳は分からなくても、使えればそれでいいわけだ(そうなのかあ?)。

張さんは、いつか中国に帰ってしまうかも知れない。

そうすれば、中国が高い技術力を持って、この業界に参入してくることになる。

スターリンク衛星だって、叩き落とせるようになるかもしれないしな。

(中国研究班がイーロン・マスクの通信衛星「Starlink」爆撃戦略を公開)
https://www.gizmodo.jp/2022/06/chinas-plan-to-bomb-starlink.html

「SpaceX社のStarlinkが国家の安全を脅かした場合、中国はこれを無効化あるいは破壊できなければならない。1基1基の追跡・監視・無効化のケーパビリティを備える必要がある」

既に、スターシールドという、軍事目的を含む、政府向けのサービスも動き始めている。

「Starlinkが「攻撃」目的に使われて、衛星搭載のイオンエンジンで中国の宇宙船や衛星を軌道外にノックアウトされる恐れ」

いやいや、それはホールスラスタで、イオンエンジンとは別物だって言ったって、通じないだろうけどな。

「ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの宇宙物理学者、Jonathan McDowellさんに取材したら、「軍部に属し任務が宇宙戦争の人から見ると、Starlinkはまったく別の厄介な問題なのだ」と言ってました。」

「数基撃ち落としたぐらいじゃ全システム停止は望めないし、SpaceXの手にかかれば、撃墜分を回復するのも時間の問題」

まさに、インターネット衛星の面目躍如な抗堪性(こうたんせい)を持っているわけだ。

「地球低軌道はそのうちSpaceXに占拠され、米軍による支配を同社が支援するかもしれない」

あるある・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

原子力推進ロケットの話は、のーてんきな火星旅行の話だけじゃない。

米軍は、シスルナ空間を自由自在に飛び回りたいわけだし、そのための推進力として、核熱エンジンに注目しているわけだからな。

このネタは、何年か毎に、浮かんでは消える話だ。

今回のダルパとの相乗りにしたって、同じ様なことを別々にやるよりも議会受けがいいからというだけの話かもしれない。

SLSの運用(アルテミス計画)に、膨大な予算を持っていかれるわけだからな(ブロックB1も開発中だし)。

事業統合して、コスト削減に努めているというアピールに違いない(未確認)。

今回の原子力推進ロケットの話だって、いつ立ち消えになってもおかしくはない。

一寸先は闇の宇宙開発。

その先にあるのが、21世紀版スターウォーズだったとしても、浮沈子は驚かないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(NASAが核分裂の熱で火星を目指す「核熱ロケットエンジン」の開発を発表)
https://gigazine.net/news/20230126-nasa-nuclear-engine/

「NASAは、有人火星ミッションの実現のために研究開発を進めていますが、現行のロケットエンジンを使用した場合、地球と火星の往復に3年を要する」

「往復時間を約2年に短縮することを目指しており、航行時間の短縮を見込める核熱ロケットエンジンの開発を進めていました。」

6か月を4か月に縮めるというと、大したことはないような気がするが、火星との会合周期を加味して3年が2年になれば、その効果は大きいだろう。

「DARPAはロケットシステム関連の調達や日程調整、セキュリティの確保などを担当」

研究が進展してきて、具体な話になってきているのかも知れない。

NASAの長官が、2027年とか言い出してるようだしな。

「NASAとDOEが開発を進めている技術はDRACOプロジェクトとは異なる目的に使用される」

エネルギー省と行っている開発がどんなものかは知らない。

宇宙空間でドンパチやるためのダルパとの契約とは無縁であることを願いたいが、核燃料の管理とかはDOEが管轄しているからな。

ダルパの開発の目玉は、何といっても低濃縮ウラン(20パーセント以下)を使用する点だからな。

無関係ではないだろう。

高濃縮ウラン原料の流通は、核兵器の開発に繋がりかねない。

原子力潜水艦など、軍事目的の原子炉に限定しておきたいに違いないのだ。

燃料の流通や、高温かつ高放射線に曝される炉心材料など、原子力推進ロケットの開発環境の整備は今後の課題だ。

我が国では、原子力船を初めとして、この手の話はタブーみたいだしな。

いつまでたっても、その手のロケットが実用化されることはないだろうな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(NASAとDARPAが「核熱ロケットエンジン」の技術開発で協力 将来の有人火星探査も想定)
https://sorae.info/space/20230127-nasa-darpa-ntr.html

「NASAとDARPAは「DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)」プログラムを通じて高度な核熱推進技術を共同開発」

うーん、結局、NASAの開発がDARPAのプログラムに取り込まれたということなのではないか。

情報は主にNASA側からしか出てこないから、一般には軍事利用の話は広まらないしな。

有人火星飛行や月への物資の輸送の話ばっかだ・・・。

「核熱ロケットエンジンは化学推進と電気推進の中間的な性能を有します。DARPAによると、核熱推進の推力重量比は電気推進の約1万倍で、宇宙で使用する場合の比推力は化学推進の2~5倍になるといいます。飛行時間を短縮して宇宙飛行士が負うリスク(宇宙放射線の被ばくなど)を軽減できるだけでなく、月や火星へ効率的かつ迅速に物資を輸送できる可能性もあることから、核熱ロケットエンジンは改めて注目されています。」

ソラエの記事は、それなりにまとまっているし、原子力電池(RTG)や電気推進の話も織り込まれていて、全体を俯瞰するには適した内容となっている。

2017年の鳥嶋さんの記事と併せて読んでおきたい感じだな。

が、しかし、やっぱ、この話のキモは、原子力推進ロケット(特に、核熱ロケット)の開発に当たって、NASAが軍事利用に手を出した点だろう。

いろいろ記事を読み漁って、もやもやが少し晴れた気がする。

気になっていたのは正にその点だ。

同床異夢というやつだな。

そもそも、NASAは、米軍(陸軍と海軍)が行っていた宇宙開発の民生利用を実現するために作られた機関だ。

まあ、そうはいっても、同じ技術の上に立脚しているわけだから、従来から、水面下では、共同開発みたいなことは行っていたに違いないが、大っぴらにはしてこなかったのかも知れない(未確認)。

ナンシーグレースローマン宇宙望遠鏡が、国家偵察局(NRO)のスパイ衛星の払い下げなこともあるしな。

そのスパイ衛星の技術は、20世紀のNASAのハッブル宇宙望遠鏡(1990年の打ち上げ)の開発ともつながっている(どっちが先かは知りませんが)。

NASAは、ロケットの推進技術とは別に、従来から月面などでエネルギー源として使用するための小型原子炉の開発も行ってきている(米国エネルギー省(DOE)との共同開発か?:未確認)。

おそらく、高濃縮ウランの扱いが、懸案事項だったのかもしれない。

宇宙空間に原子力を持ち出す際には、安全性と共に重量の問題は無視できないからな。

しかし、それこそが軍事利用と共通の課題なわけだ(原子力潜水艦とかは、艦齢よりも長い燃料寿命で、核燃料の交換を行わなくて済むしな)。

DARPAの研究が、低濃縮ウラン燃料を使用するという点は、その制約を回避しているわけで、DOEが高濃縮ウラン燃料の使用制限について譲らなかったからかも知れない(未確認)。

効率から考えれば、宇宙利用においてこそ、高濃縮ウラン燃料の使用が求められるはずだ。

技術的要請と政策との兼ね合いで、折衷案が動き出している形だ。

RTGだって、プルトニウムの管理上、DOEから供給されているわけだが、他に選択の余地がないしな。

三つ巴の様相を呈しているのかも知れない。

まあいい。

この辺りの事情が表沙汰になるのかは分からい。

高濃縮ウラン燃料が、民間企業(スペースXとかあ?)含めて、バンバン流通する事態は、米軍やNASAにとっては美味しい話でも、DOEにとっては悪夢に違いない。

まあ、月面開発が進んで、核融合燃料(ヘリウム3)が無尽蔵に手に入るようになれば、こんな話はチンケに映るのかも知れない。

月面で水爆作って、地球に向けて打ち込む時代はもうすぐだな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

一応、中国が月面開発に成功して、ヘリウム3の採掘に成功した暁に、地球に向かって核兵器ぶっ放す可能性についても調べた(そういうことかあ?)。

(先進プラズマ研究開発)
https://www.qst.go.jp/site/jt60/5248.html

「01:核融合について簡単に教えて下さい。」

「地球上の核融合」

「重水素と重水素の反応や重水素とヘリウム3では10億度程度にしなければなりません。」

10億度かあ!(JT-60はプラズマ温度5.2億度の世界記録とある)。

うーん、ちっと高いなあ・・・。

ヘリウム3で核爆弾を作る(核融合反応を起こす)のは簡単ではないようだ。

材料としても、重水素がいるみたいだしな。

「最後の重水素とヘリウム3の反応は中性子が出ないのが特徴です。反応で発生するのは荷電粒子(電気を帯びた粒子=ヘリウム4と軽水素のイオン)だけですが、この荷電粒子から直接効率良く電気を発生できる可能性があることが長所です。」

「ただし、重水素と三重水素の反応と比べるとやはり高温が必要なことと、ヘリウム3が地球上には存在しないことが難点です。つまり、現時点では実現できません。しかし、ヘリウム3は月の地面には豊富に埋まっていることが分かっていますので、いつか宇宙開発が進み、月からヘリウム3を掘り起こして持ち帰れるようになった未来には可能性が出てきます。」

「もちろんまだまだずっと先のことですが、地球の海からの重水素と月の大地からのヘリウム3とで核融合エネルギー=太陽のエネルギーを生み出す、そう考えるとわくわくしませんか。」

浮沈子的には、兵器利用の可能性を考えると、あんまわくわくしないけどな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙望遠鏡をひっくり返すとスパイ衛星になる? 『ゼロからわかる宇宙防衛』)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190812-00138034

「ハッブル宇宙望遠鏡は同じキーホール系列のスパイ衛星「KH-11」と形状の相似を指摘されることが多い。」

記事では、ハッブルの運用上のトラブルを、軍事衛星で培った技術で克服する話が紹介されている。

宇宙開発は、どちらが先ということではなく、混然一体となって進展しているというエピソードだ(そうなのかあ?)。

こういう裏取引(?)ではなく、大っぴらに共同開発する時代になったわけだな。

核熱推進(NTP)について、コンパクトにまとめているページも見つけた。

(核熱推進について知っておくべき6つのこと)
https://www.energy.gov/ne/articles/6-things-you-should-know-about-nuclear-thermal-propulsion

1. NTPシステムは核分裂によって動かされている
2. NTP システムは化学ロケットよりも効率的です
3. NTP システムは起動時に使用されません
4. NTP システムはより大きな柔軟性を提供します
5. NTP システムは DOE の支援を受けて開発されました
6. NTPシステムは低濃縮ウランの使用に焦点を当てています

2017年のNASAの開発再開当初から、DOEは低濃縮ウランの使用をサジェストしていたようだ。

「DOE は NASA と協力して、NTP システムにウラン濃縮をあまり必要としない新しい燃料を使用する実現可能性のテスト、開発、評価を支援しています。」

「高度に濃縮された燃料の使用に伴うセキュリティ関連のコストを削減するのに役立つ可能性」

まあいい。

どーせ、お役所同士の縄張り争い(業界用語では、協力関係ともいう?)なんだろう(そうなのかあ?)。

低濃縮ウランは、ロシアでも開発されている。

(焦点:米の次世代小型原子炉、燃料調達で「ロシア問題」に直面)
https://jp.reuters.com/article/nucklear-idJPKBN2RG050

「大半の原発で燃料に利用されるウランの濃縮度は5%程度なのに対し、HALEUは最大20%まで高められている。ところが、現在のところHALEUを商用販売しているのは、ロシア国営原子力企業・ロスアトム傘下のテネックスしかない。」

なんと・・・。

宇宙開発の名のもとに、米国での高純度低濃縮ウラン(HALEU)の製造販売に弾みをつけようということなわけだな(そういうことかあ?)。

需要自体は、小型モジュール式原子炉(SMR)の方が、はるかに多いからな。

「持続的かつ市場主導型のHALEUの供給態勢を確立させるインセンティブを早急に与える行動が、不可欠なことは分かっている」

2つの話は、繋がっている。

NTPがSMRの起爆剤になるかどうかは知らない。

「米政府が予算を拠出して開発されているSMRは、10基のうち9基がHALEUを燃料に想定している」

HALEUの供給体制の充実は避けて通れない課題だ。

「SMRは使用済み燃料の処理回数が少なくて済むため、従来型原子炉よりも3倍効率が高まる。」

「HALEU使用のSMRの採算分岐コストを示す均等化発電原価(LCOE)は60メガワット時と、従来型原子炉の97メガワット時より低い。」

従来型原発に取って代わるかも知れない話だ。

「テラパワーとX-エナジーは、米政府からコストを共有する形で2028年までに2基の試験用原子炉を建設する契約を結んでいる。」

燃料の供給が伴わなければ、時間切れになることも懸念されている。

NASAが、2027年という実証時期を明示した背景には、HALEUの供給を巡る思惑もあるのかも知れない(つーことは、単なるリップサービスなのかも知れない)。

宇宙開発は、宇宙だけを見ていたのでは分からないからな。

だって、宇宙だけで宇宙開発してるわけじゃないし(開発は、概ね地上で行われています)。

「供給問題を解決するため、米政府は核兵器用の高濃縮ウランを商用に「ダウンブレンド」して供与する方法も検討中」

「ダウンブレンド率を加速させる機会は、常に考慮されている」

核兵器級高濃縮ウランの在庫を過剰に取り崩すことになれば、安全保障上のリスクにつながりかねない(DOEとして、それは避けなければならない)。

タイトロープだなあ・・・。

ロシアのウクライナ侵攻は、こんなところにも大きな影響を及ぼしている。

「西側諸国の対ロシア制裁では、主に原子力産業に及ぼす影響の重大さに配慮してロスアトムは対象から除外されてきた。」

それだって、いつどうなるか分かったもんじゃない。

「X-エナジーやテラパワーといったSMR開発を手がける米企業は、やはりロシアのサプライチェーンに頼る気はない。」

当然だろうな。

ニワトリが先にせよ、卵が先になるにせよ、SMRは実現していくことになるだろう。

原子力推進ロケットは、おそらく、この話とは関係なく、技術的要素が律速することになる(確立された技術だけじゃないからな)。

もしかしたら、高純度ウラン燃料の話になる可能性だってある(そうなのかあ?)。

この時期に、DARPAとNASAの連携の話が出たのは、裏でDOEが糸を引いていたからに違いない。

なんか、起爆剤になる話はないのかあ?。

これなんか、どーでしょうねえ?。

いーんじゃね?。

核燃料の供給に於いて、軍事、民生の両方に係るDOEこそ、陰の主役なわけだ。

浮沈子のこの妄想が正しければ、NASAの発表にある2027年のエンジン実証試験なんて話は、無きに等しい。

燃料のひっ迫から(SMRに持っていかれちまうに決まってるしな:そうなのかあ?)、中止か、良くて延期に追い込まれるに相違ない。

月面からの核攻撃の方が、リアリティがありそうなくらいだ・・・。