原子力ロケットの系譜 ― 2018年10月05日 21:30
原子力ロケットの系譜
宇宙での原子力の話を追っている。
発電して、水を分解して水素や酸素を取り出したり、通信や生命維持に必要なエネルギーを得たりするというのは、まあ、ありがちな話だ。
熱電対を使った原子力電池とかは、外惑星探査の主流になっている。
まあ、木星圏位は、これからは性能が向上した太陽電池に頼ることになる可能性もある。
ロシアとかは、発電用原子炉積んで打ち上げるかもしれないけどな。
しかし、まあ、どちらにしても、放射性元素の崩壊熱を取り出して、何らかの方法で電気に変えて、その電気を利用して細々とした作業を行うという点では大差ない(そうなのかあ?)。
浮沈子が驚いているのは、原子力を使って、ロケットを推進させようとしてきた歴史があるということだな。
直ぐに思いついたのは、イオンエンジンを使った推進剤の加速用の電源として使用する用途だ。
現在は、はやぶさみたいに太陽電池で賄っているが、こいつを原子力発電で置き換えるだけだからな。
しかし、そういうのはむしろ例外で、推進剤を炉心にぶつけて加熱して膨張させ、勢いよくノズルから噴出させて加速するという核熱ロケットというのがあるらしい。
発電とかもするのかもしれないけど、それはメインじゃない。
核分裂する際の熱エネルギーを取り出して、まんま利用しようというわけだ。
温度は数千度にも達するものも構想されている(大洗に見学に行った高温ガス炉(HTTR)は、出口温度で950度くらいだったな)。
もちろん、こういう話は研究レベルの話で、実用化された核熱ロケットは一機もない。
(原子力推進:核熱ロケット推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2#%E6%A0%B8%E7%86%B1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E6%8E%A8%E9%80%B2
「熱ロケット (thermal rocket) の一種で熱源に核反応を利用する」
「核分裂炉又は核融合炉の高熱により直接推進剤(通常は水素)を加熱膨張させ、ノズルから噴出して推進する方式」
浮沈子的には、かなり野蛮な方式に思える。
もう、去年の話なんだが、久しぶりに新しい原子力ロケットエンジンの開発が始まっている様だ。
(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/
「米国航空宇宙局(NASA)は2017年8月3日、将来の有人太陽系探査を見据え、新しい「原子力ロケットエンジン」の実現に向けた技術の開発を始めると発表した。」
「1990年代には、NASAで原子炉を電気推進エンジンの電力源として使う構想もあったが、実現には至っていない。」(TOPAZ2のことか(後述):追加)
例によって、鳥嶋さんの記事は読みやすいな。
浮沈子のブログを何度読んでもピンとこないなら(自分で読んでもよく分らん・・・)、この記事を読むだけで十分な気もする(そんなあ!)。
まあいい。
もう少しだけ引用しよう。
「今回NASAが開発を決めたのは「原子力ロケット」と呼ばれる、原子力を電力源ではなく、推進力として使うものである。」
「臨界状態の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当て、その熱で超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである。こうした方法を「熱核ロケット」ともいう。」
大体この辺までは、浮沈子の理解と概ね一致している(ウィキでは、「核熱」ロケットの表記になっている)。
「NTPプロジェクトでは、原子炉の燃料として低濃縮ウランを考えている。従来は高濃縮ウランが用いられることが多く、新しい挑戦になる。」
2ページ目では、今回の開発の何がユニークなのかを探っている。
実験は電熱器を使ったシミュレーションだったりと、ややショボい感じがしないでもないが、ともあれ、宇宙空間に原子炉をぶち上げる構想に開発費が付いたことは特記すべきだ。
(米BWXT社、NASAから有人火星ミッション用原子炉の設計契約 受注)
https://www.jaif.or.jp/170807-a
「推進システムが軽いため高い出力密度と効率性が期待できることで、これにより航行時間を短縮し、宇宙線による飛行士の被ばく線量を軽減することが可能」
鳥嶋さんの記事では、火星の場合、片道6か月が4か月になるという。
そんなもんで、大丈夫って言って大丈夫なのかあ?。
推進用原子炉による被曝は、十分に遮蔽すれば問題ないとしても、人間が行けるのはせいぜい火星止まりということになる。
「人類が火星に降り立ったり、さらにその先の世界へ飛行したりといったことを考えた際、原子力ロケットはそれを実現するための、唯一の技術かもしれません」
その先の世界に行くには、もう、核熱ロケットじゃダメで、月と同じく3日くらいで火星に着くような怒涛の加速が必要な気がする。
もっと、こう、抜本的な、眼の玉飛び出るような解決方法はないのかあ?。
「ちなみに原子力ロケットには、熱核ロケット以外にも、核爆弾を宇宙飛行に使う「核パルス推進」という方法もある。ロケットの後方に核爆弾を次々に発射し、爆発させ、その反動で進むというもの」
(原子力推進:核パルス推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2#%E6%A0%B8%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%8E%A8%E9%80%B2
「ロケット後方で核爆発を繰り返し発生させ、その衝撃で推進する方式。オリオン計画やダイダロス計画で研究が行われた。原爆を使用する場合は核分裂パルス推進、水爆を使用する場合は核融合パルス推進ともいう。」
宇宙空間での核爆発は、確か禁じられていたような気がするんだがな。
古き良き時代の構想なんだろう。
オリオン計画とかダイダロス計画が挙げられている。
(オリオン計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E8%A8%88%E7%94%BB
「アメリカにて1950年代 - 60年代にかけて行われた宇宙船の研究計画で、原子力推進宇宙船の、世界で最初の工学的な研究開発計画である。」
「1963年の部分的核実験禁止条約の影響を受け、計画は終わりを迎えた。」
(ダイダロス計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%AD%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB
「英国惑星間協会 (BIS) が1973年から1978年にかけて行った、恒星間を航行する原子力推進宇宙船の研究における航宙計画である。」
怪しげな単段式ロケットを開発している、アランボンドが関わってるしな。
ロクなもんじゃない・・・。
「未来の太陽系内輸送機関として考案されたものとして、ローレンス・リバモア国立研究所でロデリック・ハイド(ロードリック・ハイデ)、J・ナッコールズらが1971年から研究を続けていたレーザー・パルス核融合ロケットがある。」
「1983年にハイドがまとめた設計案によれば、この宇宙船の自重は486トン、パルス周期は毎秒100発で最大推力は3メガニュートンとなっている。太陽系のそれぞれの惑星が地球にもっとも接近している時に最大加速で飛行すれば、火星までは9日、木星までなら約40日、冥王星へも約154日で人員を送り届けることができるという。」
21世紀初頭の現在、レーザー・パルス核融合が成功したという話は聞かない。
荒唐無稽な核パルスロケットで最大加速しても、火星まで9日かかるわけだ。
まあ、どうでもいいんですが。
ウィキを見ると、原子力ロケットの開発の歴史を見ることが出来る。
(Project Pluto)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Pluto
これは、まあ、巡航ミサイル用のラムジェットエンジンだからな。
ロケットじゃない。
1957年1月1日から1964年7月1日まで開発が行われた。
ICBMが高度化し、お役御免になったわけだ。
(Project Rover)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Rover
「核熱ロケットを開発する米国のプロジェクトでした。このプログラムは、1955年から1972年のロスアラモス科学研究所で実行され、原子力委員会とNASAに参加しました。」(自動翻訳のまま:以下、同じ。)
時期的にも、これがスタートのようだな。
少なくとも米国ではそうなるようだ。
「プロジェクト・ローバーは、1955年(自動翻訳訂正)から1964年までのキウイ、1964年から1969年の間に行われたPhoebus、1969年(自動翻訳訂正)から1972年の終わりにはNERVAロケットの打ち切りに伴うPeweeの3段階に分けられる。」
「KiwiとPhoebusの両方がNERVAプログラムの一部となりました。」
(NERVA)
https://ja.wikipedia.org/wiki/NERVA
どうも、開始の時期が曖昧なんだが、キウイ以降の開発をナーバ(Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)と呼んでいるらしい。
プロジェクトローバーの一環ということか。
「1968年末にSNPOは、最新のNERVAエンジンであるNRX/XEは、有人火星ミッションに必要な要件を満たしていると認定した。」
この開発については、鳥嶋さんの記事にも登場している。
「1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている。」
旧ソ連のRD-0410については、あまり詳しい内容は分からない。
(RD-0410)
https://ja.wikipedia.org/wiki/RD-0410
「ソビエト連邦で1965から1980年代に開発され、液体水素推進剤を使用する核熱ロケットエンジン」
ロシアでは、その後、TEMというのが開発中らしい。
(TEM (nuclear propulsion))
https://en.wikipedia.org/wiki/TEM_(nuclear_propulsion)
「2009 - プロジェクトが始まりました。」
「2016年3月- 核燃料の最初のバッチを受け取った」
「最初の原子炉試験の予定日は2018年に設定されている。」
米国は、アポロ計画と共に、有人火星探査もぶった切られたからな。
それっきりになった。
その後は、軍事利用を目的とした開発が続く。
(Project Timberwind)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Timberwind
「核熱ロケットの開発を目指したプロジェクトTimberwind。1987年から1991年までの戦略防衛イニシアチブ(スターウォーズ)による資金調達額は総額1億3,900万ドルでした」
その後は、空軍のSpace Nuclear Thermal Propulsion (SNTP) プログラムというのがあった様だ。
「宇宙原子力熱推進(SNTP)プログラムは、大気圏内で動作しない宇宙船の上段を開発することを目的としていました。SNTPは、核兵器上段の飛行試験の目的を達成することができず、1994年1月に終了した。」
参加機関または協力機関が表になっているが、今回NASAの原子炉開発を請け負うBWXT社の元会社(?)であるバブコック&ウィルコックス(B&W)社の名前も出ている。
プロメテウス計画というのもあったらしいが、わずか3年で中止された。
(プロメテウス計画 (NASA))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%83%86%E3%82%A6%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB_(NASA)
「2003年にアメリカ航空宇宙局によって始められた、長期間の宇宙航行ミッションに利用できる原子力発電システムを開発する計画である。」
「1972年にNERVA計画が中止になって以来、NASAにとって初めての原子力推進への本格的な進出であった。」
「しかし、この計画は2005年までで中止」
何ともショボい話だな。
「ボイジャー計画やガリレオのような以前の外惑星探査では、原子力電池が用いられていた。放射性同位体の自然崩壊による熱を利用したそれらとは異なり、プロメテウス計画では小さな原子炉を主な動力源として利用する計画である。」
これだけ読むと、単に原子力電池を置き換えたものに過ぎないような気もするが、イオンエンジン駆動用の電源としての役割もある。
「核電気推進:
電気を発生させる原子炉を搭載した宇宙船の開発。
この電気は、イオンエンジンの運転に使用されます。」
核電気推進(NEP)については、プロメテウス計画の前に、トパーズ2を使って熱電子発電した電気を使うという構想があった様だ。
(NEP Space Test Program Objective:追加)
https://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=19930019535
「NEP宇宙実験プログラムの目的は、1995年12月までにRussion Topaz 2原子炉を搭載したNEP衛星を打ち上げることです.」
(宇宙炉 (03-04-11-03):追加)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-04-11-03
「1991年に開始された熱電子発電の米国とロシアの共同開発計画TOPAZプログラムは、新しい宇宙における原子力利用に関する国際協力の新しい動きとして注目された。」
「燃料を含まない2基のTOPAZ 2が米国、アルバカーキに送られ、米国、ロシア、英国及びフランスの専門家チームによって電気ヒータ加熱地上試験が行われた。」
「その後さらに、地上開発用2基、飛行試験用2基のTOPAZ 2が米国に送られたが、これらの試験が完了する前に、TOPAZプログラムは中止された。」
プロメテウス計画がついえた後、今回のNASAの開発までの間では、具体な計画は見つからなかった。
ロシアの原子力ロケットの、その後の開発についても資料は見当たらない(あんま探してないんですが)。
そのうち、何か見つけたらまた書くかもしれないが、無人探査機や有人機を深宇宙に送り出す手段として、まあ、核爆発(核パルス)はともかく、イオンエンジンの電源とか、核熱ロケットくらいは考えてもいいような気がするな・・・。
(原子力エンジンで宇宙探査 NASAのテクノロジー復活計画 (1/3ページ):追加)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180419/mcb1804190500021-n1.htm
「素材研究や技術開発の大幅な進歩のおかげで、原子炉の重要な部品に関して新たな素材を検討できるようになった」
ブルームバーグの翻訳記事だが、比較的わかりやすく書かれていたので引用してみた。
宇宙での原子力の話を追っている。
発電して、水を分解して水素や酸素を取り出したり、通信や生命維持に必要なエネルギーを得たりするというのは、まあ、ありがちな話だ。
熱電対を使った原子力電池とかは、外惑星探査の主流になっている。
まあ、木星圏位は、これからは性能が向上した太陽電池に頼ることになる可能性もある。
ロシアとかは、発電用原子炉積んで打ち上げるかもしれないけどな。
しかし、まあ、どちらにしても、放射性元素の崩壊熱を取り出して、何らかの方法で電気に変えて、その電気を利用して細々とした作業を行うという点では大差ない(そうなのかあ?)。
浮沈子が驚いているのは、原子力を使って、ロケットを推進させようとしてきた歴史があるということだな。
直ぐに思いついたのは、イオンエンジンを使った推進剤の加速用の電源として使用する用途だ。
現在は、はやぶさみたいに太陽電池で賄っているが、こいつを原子力発電で置き換えるだけだからな。
しかし、そういうのはむしろ例外で、推進剤を炉心にぶつけて加熱して膨張させ、勢いよくノズルから噴出させて加速するという核熱ロケットというのがあるらしい。
発電とかもするのかもしれないけど、それはメインじゃない。
核分裂する際の熱エネルギーを取り出して、まんま利用しようというわけだ。
温度は数千度にも達するものも構想されている(大洗に見学に行った高温ガス炉(HTTR)は、出口温度で950度くらいだったな)。
もちろん、こういう話は研究レベルの話で、実用化された核熱ロケットは一機もない。
(原子力推進:核熱ロケット推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2#%E6%A0%B8%E7%86%B1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E6%8E%A8%E9%80%B2
「熱ロケット (thermal rocket) の一種で熱源に核反応を利用する」
「核分裂炉又は核融合炉の高熱により直接推進剤(通常は水素)を加熱膨張させ、ノズルから噴出して推進する方式」
浮沈子的には、かなり野蛮な方式に思える。
もう、去年の話なんだが、久しぶりに新しい原子力ロケットエンジンの開発が始まっている様だ。
(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/
「米国航空宇宙局(NASA)は2017年8月3日、将来の有人太陽系探査を見据え、新しい「原子力ロケットエンジン」の実現に向けた技術の開発を始めると発表した。」
「1990年代には、NASAで原子炉を電気推進エンジンの電力源として使う構想もあったが、実現には至っていない。」(TOPAZ2のことか(後述):追加)
例によって、鳥嶋さんの記事は読みやすいな。
浮沈子のブログを何度読んでもピンとこないなら(自分で読んでもよく分らん・・・)、この記事を読むだけで十分な気もする(そんなあ!)。
まあいい。
もう少しだけ引用しよう。
「今回NASAが開発を決めたのは「原子力ロケット」と呼ばれる、原子力を電力源ではなく、推進力として使うものである。」
「臨界状態の原子炉の炉心に、液体水素などの推進剤を当て、その熱で超高温・高圧のガスにし、それを噴射するという単純なものである。こうした方法を「熱核ロケット」ともいう。」
大体この辺までは、浮沈子の理解と概ね一致している(ウィキでは、「核熱」ロケットの表記になっている)。
「NTPプロジェクトでは、原子炉の燃料として低濃縮ウランを考えている。従来は高濃縮ウランが用いられることが多く、新しい挑戦になる。」
2ページ目では、今回の開発の何がユニークなのかを探っている。
実験は電熱器を使ったシミュレーションだったりと、ややショボい感じがしないでもないが、ともあれ、宇宙空間に原子炉をぶち上げる構想に開発費が付いたことは特記すべきだ。
(米BWXT社、NASAから有人火星ミッション用原子炉の設計契約 受注)
https://www.jaif.or.jp/170807-a
「推進システムが軽いため高い出力密度と効率性が期待できることで、これにより航行時間を短縮し、宇宙線による飛行士の被ばく線量を軽減することが可能」
鳥嶋さんの記事では、火星の場合、片道6か月が4か月になるという。
そんなもんで、大丈夫って言って大丈夫なのかあ?。
推進用原子炉による被曝は、十分に遮蔽すれば問題ないとしても、人間が行けるのはせいぜい火星止まりということになる。
「人類が火星に降り立ったり、さらにその先の世界へ飛行したりといったことを考えた際、原子力ロケットはそれを実現するための、唯一の技術かもしれません」
その先の世界に行くには、もう、核熱ロケットじゃダメで、月と同じく3日くらいで火星に着くような怒涛の加速が必要な気がする。
もっと、こう、抜本的な、眼の玉飛び出るような解決方法はないのかあ?。
「ちなみに原子力ロケットには、熱核ロケット以外にも、核爆弾を宇宙飛行に使う「核パルス推進」という方法もある。ロケットの後方に核爆弾を次々に発射し、爆発させ、その反動で進むというもの」
(原子力推進:核パルス推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2#%E6%A0%B8%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%8E%A8%E9%80%B2
「ロケット後方で核爆発を繰り返し発生させ、その衝撃で推進する方式。オリオン計画やダイダロス計画で研究が行われた。原爆を使用する場合は核分裂パルス推進、水爆を使用する場合は核融合パルス推進ともいう。」
宇宙空間での核爆発は、確か禁じられていたような気がするんだがな。
古き良き時代の構想なんだろう。
オリオン計画とかダイダロス計画が挙げられている。
(オリオン計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E8%A8%88%E7%94%BB
「アメリカにて1950年代 - 60年代にかけて行われた宇宙船の研究計画で、原子力推進宇宙船の、世界で最初の工学的な研究開発計画である。」
「1963年の部分的核実験禁止条約の影響を受け、計画は終わりを迎えた。」
(ダイダロス計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%AD%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB
「英国惑星間協会 (BIS) が1973年から1978年にかけて行った、恒星間を航行する原子力推進宇宙船の研究における航宙計画である。」
怪しげな単段式ロケットを開発している、アランボンドが関わってるしな。
ロクなもんじゃない・・・。
「未来の太陽系内輸送機関として考案されたものとして、ローレンス・リバモア国立研究所でロデリック・ハイド(ロードリック・ハイデ)、J・ナッコールズらが1971年から研究を続けていたレーザー・パルス核融合ロケットがある。」
「1983年にハイドがまとめた設計案によれば、この宇宙船の自重は486トン、パルス周期は毎秒100発で最大推力は3メガニュートンとなっている。太陽系のそれぞれの惑星が地球にもっとも接近している時に最大加速で飛行すれば、火星までは9日、木星までなら約40日、冥王星へも約154日で人員を送り届けることができるという。」
21世紀初頭の現在、レーザー・パルス核融合が成功したという話は聞かない。
荒唐無稽な核パルスロケットで最大加速しても、火星まで9日かかるわけだ。
まあ、どうでもいいんですが。
ウィキを見ると、原子力ロケットの開発の歴史を見ることが出来る。
(Project Pluto)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Pluto
これは、まあ、巡航ミサイル用のラムジェットエンジンだからな。
ロケットじゃない。
1957年1月1日から1964年7月1日まで開発が行われた。
ICBMが高度化し、お役御免になったわけだ。
(Project Rover)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Rover
「核熱ロケットを開発する米国のプロジェクトでした。このプログラムは、1955年から1972年のロスアラモス科学研究所で実行され、原子力委員会とNASAに参加しました。」(自動翻訳のまま:以下、同じ。)
時期的にも、これがスタートのようだな。
少なくとも米国ではそうなるようだ。
「プロジェクト・ローバーは、1955年(自動翻訳訂正)から1964年までのキウイ、1964年から1969年の間に行われたPhoebus、1969年(自動翻訳訂正)から1972年の終わりにはNERVAロケットの打ち切りに伴うPeweeの3段階に分けられる。」
「KiwiとPhoebusの両方がNERVAプログラムの一部となりました。」
(NERVA)
https://ja.wikipedia.org/wiki/NERVA
どうも、開始の時期が曖昧なんだが、キウイ以降の開発をナーバ(Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)と呼んでいるらしい。
プロジェクトローバーの一環ということか。
「1968年末にSNPOは、最新のNERVAエンジンであるNRX/XEは、有人火星ミッションに必要な要件を満たしていると認定した。」
この開発については、鳥嶋さんの記事にも登場している。
「1950~70年代には米国とソ連でさかんに研究され、米国では「ナーヴァ」(NERVA)、ソ連では「RD-0410」といったエンジンが実際に造られ、噴射試験まで行われている。」
旧ソ連のRD-0410については、あまり詳しい内容は分からない。
(RD-0410)
https://ja.wikipedia.org/wiki/RD-0410
「ソビエト連邦で1965から1980年代に開発され、液体水素推進剤を使用する核熱ロケットエンジン」
ロシアでは、その後、TEMというのが開発中らしい。
(TEM (nuclear propulsion))
https://en.wikipedia.org/wiki/TEM_(nuclear_propulsion)
「2009 - プロジェクトが始まりました。」
「2016年3月- 核燃料の最初のバッチを受け取った」
「最初の原子炉試験の予定日は2018年に設定されている。」
米国は、アポロ計画と共に、有人火星探査もぶった切られたからな。
それっきりになった。
その後は、軍事利用を目的とした開発が続く。
(Project Timberwind)
https://en.wikipedia.org/wiki/Project_Timberwind
「核熱ロケットの開発を目指したプロジェクトTimberwind。1987年から1991年までの戦略防衛イニシアチブ(スターウォーズ)による資金調達額は総額1億3,900万ドルでした」
その後は、空軍のSpace Nuclear Thermal Propulsion (SNTP) プログラムというのがあった様だ。
「宇宙原子力熱推進(SNTP)プログラムは、大気圏内で動作しない宇宙船の上段を開発することを目的としていました。SNTPは、核兵器上段の飛行試験の目的を達成することができず、1994年1月に終了した。」
参加機関または協力機関が表になっているが、今回NASAの原子炉開発を請け負うBWXT社の元会社(?)であるバブコック&ウィルコックス(B&W)社の名前も出ている。
プロメテウス計画というのもあったらしいが、わずか3年で中止された。
(プロメテウス計画 (NASA))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%83%86%E3%82%A6%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB_(NASA)
「2003年にアメリカ航空宇宙局によって始められた、長期間の宇宙航行ミッションに利用できる原子力発電システムを開発する計画である。」
「1972年にNERVA計画が中止になって以来、NASAにとって初めての原子力推進への本格的な進出であった。」
「しかし、この計画は2005年までで中止」
何ともショボい話だな。
「ボイジャー計画やガリレオのような以前の外惑星探査では、原子力電池が用いられていた。放射性同位体の自然崩壊による熱を利用したそれらとは異なり、プロメテウス計画では小さな原子炉を主な動力源として利用する計画である。」
これだけ読むと、単に原子力電池を置き換えたものに過ぎないような気もするが、イオンエンジン駆動用の電源としての役割もある。
「核電気推進:
電気を発生させる原子炉を搭載した宇宙船の開発。
この電気は、イオンエンジンの運転に使用されます。」
核電気推進(NEP)については、プロメテウス計画の前に、トパーズ2を使って熱電子発電した電気を使うという構想があった様だ。
(NEP Space Test Program Objective:追加)
https://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=19930019535
「NEP宇宙実験プログラムの目的は、1995年12月までにRussion Topaz 2原子炉を搭載したNEP衛星を打ち上げることです.」
(宇宙炉 (03-04-11-03):追加)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-04-11-03
「1991年に開始された熱電子発電の米国とロシアの共同開発計画TOPAZプログラムは、新しい宇宙における原子力利用に関する国際協力の新しい動きとして注目された。」
「燃料を含まない2基のTOPAZ 2が米国、アルバカーキに送られ、米国、ロシア、英国及びフランスの専門家チームによって電気ヒータ加熱地上試験が行われた。」
「その後さらに、地上開発用2基、飛行試験用2基のTOPAZ 2が米国に送られたが、これらの試験が完了する前に、TOPAZプログラムは中止された。」
プロメテウス計画がついえた後、今回のNASAの開発までの間では、具体な計画は見つからなかった。
ロシアの原子力ロケットの、その後の開発についても資料は見当たらない(あんま探してないんですが)。
そのうち、何か見つけたらまた書くかもしれないが、無人探査機や有人機を深宇宙に送り出す手段として、まあ、核爆発(核パルス)はともかく、イオンエンジンの電源とか、核熱ロケットくらいは考えてもいいような気がするな・・・。
(原子力エンジンで宇宙探査 NASAのテクノロジー復活計画 (1/3ページ):追加)
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180419/mcb1804190500021-n1.htm
「素材研究や技術開発の大幅な進歩のおかげで、原子炉の重要な部品に関して新たな素材を検討できるようになった」
ブルームバーグの翻訳記事だが、比較的わかりやすく書かれていたので引用してみた。
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