🐱アリアン6:遅延の影響に注目な理由2023年05月14日 08:19

アリアン6:遅延の影響に注目な理由


(欧州のロケットの遅延により、おそらく一部のミッションがSpaceXの航空会社に移管されることになるだろう)
https://www.elonx.cz/odklady-evropskych-raket-nejspis-povedou-k-presunu-nekterych-misi-na-nosice-spacex/

「このロケットは2020年にデビューする予定だったが、開発は依然として遅れており、最新の情報によると、この空母の最初の打ち上げは来年になる見通しだという。」

「欧州委員会が一度きりの合意の一環としてアメリカの民間企業の一つに頼ることを計画している」

「バルカンは運用開始から最初の 2 年間、すでに多忙な打ち上げスケジュールを立てており、さらに、実績のないロケットであるため、よりリスクの高い選択」

まあ、ファルコンシリーズ(ファルコンズ:スペースXのファルコン9とファルコンヘビー)のお出ましになることについては、誰がどう考えても妥当だろうけど、浮沈子的関心は欧米がこれほど注目している理由だ。

(アリアン 6 ロケットは 2024 年の春までにデビューする予定です)
https://arstechnica.com/science/2023/05/the-ariane-6-rockets-debut-will-slip-into-2024-the-question-is-how-far/

「アリアン 6 は約 4 年遅れ、さまざまなレベルの再利用とコスト競争力で新世代のロケットと競合することになります。これには、Rocket Lab の Neutron ロケット、United Launch Alliance の Vulcan、SpaceX の Starship、Blue Origin の New Glenn、Relativity Space のなどが含まれます。テラン R、日本の H3 ロケットなど。」

H3がライバルとして挙げられているのは心強いが、もちろん、アリアンの競争相手としては不足だろう(半分程度の打ち上げ能力だし)。

ニュートロン、テランRについても同様だ。

真のライバルになるのは、バルカンとニューグレンくらいか(もちろんスターシップも)。

欧米のメディアが、その遅れによりファルコンズに油揚げをさらわれそうなことを取り上げているのは、アリアンの開発経緯があるからに他ならない。

米ソの打ち上げ独占を許さず、欧州独自の打ち上げ能力を持ちたいという切なる願いがあったからこその開発になった。

旅客機も同じだったけどな。

一時は、民間打ち上げを独占した形だったが、スペースXの台頭でその牙城を崩され、今またロケットの更新に失敗して、油揚げが怪しくなっている・・・。

ロシアのウクライナ進行に伴う措置が、決定的な影響を与えていることも否めない。

泣きっ面に蜂か・・・。

大西洋を挟んだイジーハダチとエリックバーガーの記事には、ビミョーな差を感じる。

イーロンXには、余裕のアルスに対して、切羽詰まった感がある(記事の初めにあるように、未確定の事案について敢えて言及しているしな)。

アリアン6は、多少遅れたとしても確実に飛ぶだろう。

アルスの記事にあるように、それほど革新的なわけではないからな。

「アリアン 6 ロケットが 2014 年に考案されたとき、欧州はその設計に十分な革新を加えていなかったという批判もある。ブースターは主にアリアン 5 技術のアップデートであり、大きな一歩ではなく、コスト削減を目的としている。」

まあいい。

それは、単なる(そして、宇宙開発にはつきものの)よくある遅延に過ぎない。

短期のビジネスチャンスがどうなるかに関わらず、欧州は独自の打ち上げ手段を維持することは間違いないのだ。

問題は、そうして出来上がったアリアン6の競争力自体にある。

巨大な打ち上げ能力を持つスターシップはおろか、現行のファルコンズに対しても十分な競争力を持つとは言えない。

せいぜい、対等か、やや下回る程度だ。

バルカンと同じくらいだろうな。

価格的には、おそらく勝負にならない(その点でもバルカンと同程度)。

S社は、他社を確実に周回遅れにしている。

しかも、スターシップが成功すれば、ほぼ永遠に(価格競争力は、文字通り桁違いになるしな)、しかも数周の周回遅れにすることになる(そうなのかあ?)。

対抗することができるのは、2段目の完全再使用に成功したニューグレンくらいだろう(規模はやや小さいので、若干不利だけどな)。

こっちは、実現可能性の方が問題だ。

今世紀中に出来上がるかも怪しい(そんなあ!)。

まあ、どうでもいいんですが。

ライバルとしてH3が登場しているのは、社交辞令的リップサービスかも知れない。

予定通り成功していたとしても、打ち上げ能力(約半分)と価格(未定?)の点では競争力のかけらもなく、製造能力については、目標が年間6機という桁違いに低い数字だからな。

その点では、アリアン6のライバルといえるかもしれない(エアバスの製造能力もその程度)。

政府系衛星の打ち上げを主たる顧客として開発されているわけで、その点ではバルカンなどと同じ系譜だ。

堅実な開発(墜落激突爆発炎上木っ端みじんとかは、まずない!:バルカンは、先日、2段目の開発ステージで爆発しましたけど)と、そこそこの経済性、高信頼性を維持しつつ、漸進的な改良を続ける。

打ち上げロケットなんて、使い捨てで沢山だ。

高価な衛星を、それなりの価格で確実に上げてくれればそれで十分・・・。

民間の需要は、ついでに取り込んでくれれば、規模の経済の恩恵で、政府系衛星の打ち上げ価格の低減につながるかもしれないから、まあ、頑張ってね・・・。

そっちがメインじゃない。

ファルコンズは、逆方向のアプローチだからな。

しょっぱなから、発想が異なる。

が、同じ山に登るのに、異なる道を歩んでいるだけとも言える。

物理の神様は公平だ。

スターシップという巨大な打ち上げ需要との相乗効果で、急速に経験値を上げ、再使用ロケットとしての不動のポジションを獲得したファルコンズは、神の衣の裾に口づけることができたと言える。

スターシップが、それに続くことができるかは分からない。

その新たなアプローチが、ロケット業界の慣例を打ち破って、民間需要主導の流れを導くことになるのかも不明だ。

アリアン6のリリースの遅れは、単にそれにとどまる話ではないかもしれない。

官から民への大きな変化の象徴として、ファルコンズに乗り換えられようとしているのかもしれない。

それ自体は単発の出来事で、遅ればせながらリリースされれば、アリアンに対する官需は戻ってくる。

が、期待される民需は、永遠に戻ってこないかもしれない(スターシップの開発との時間的競争だな)。

焦りの欧州と、余裕の米国(蚊帳の外の日本?)。

アリアンの遅れでファルコンズが飛ぶということの背後に、ジャーナリズムが注目している理由は、それが時代の流れを反映しているということなのかもしれないな・・・。

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