馬小屋2012年07月07日 00:00

馬小屋
馬小屋


「厩舎」という意味のイタリア語、スクーデリア。

その名を冠したレーシングチームが、1929年に誕生する。

アルファ・ロメオのセミワークスとして、ちょうど、ベンツとザウバーみたいな感じで誕生したのだろう。

そのレーシングチームのオーナー兼ドライバーの名は、エンツォ・フェラーリという。

(フェラーリ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA

うーむ、馬小屋で誕生したクルマか。

神宿る車である。

1947年、初の自前の市販車を発売する。

(フェラーリ・125S)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB125S

正確には、フェラーリの名を冠した最初の車ということのようだ。

(Auto Avio Costruzioni 815)
http://en.wikipedia.org/wiki/Auto_Avio_Costruzioni_815

さて、マラネロに本拠を置くフィアット傘下のこの稀有なスポーツカーメーカー(なにしろ、日本などでは一向に流行らない「スポーツカー」だけを作って飯を食っている)は、わずか3000人足らずの社員の小さな会社だ。

その弱小メーカーは、今や世界のブランド、F1界の常連、スポーツカーの代名詞、イタリアの跳ね馬(種馬ではない。by Rocky)となり、最近も「F12ベルリネッタ」を発表して、鼻息が荒い!。

(フェラーリ・F12ベルリネッタ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BBF12%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%BF

この手のメーカーには、どこでも逸話があり、フェラーリにおいても、「エンツォは「12気筒エンジン以外のストラダーレ(市販車)はフェラーリと呼ばない」と公言していた」などといわれている。

今、フェラーリの販売の大部分を占めるV8エンジンのモデルは、フェラーリもどきとなってしまうのだろうか。

さすがにフラッグシップたるF12やFFは12気筒である。これらの車で燃費を云々するのは野暮というものだが、F12はリッター6キロ台である(100キロ走るのに15リッター)。

で、このところ、エンジンの話に凝っているので、12気筒エンジンについても調べてみる。

(V型12気筒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/V%E5%9E%8B12%E6%B0%97%E7%AD%92

(水平対向12気筒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E5%B9%B3%E5%AF%BE%E5%90%9112%E6%B0%97%E7%AD%92

(W型12気筒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/W%E5%9E%8B12%E6%B0%97%E7%AD%92

工作精度や設計技術の向上、加給エンジンの普及や制御機構の進歩によって、12気筒エンジンは、次第にその姿を消しつつある。

おまけに、ダウンサイジングの嵐である。高性能スポーツカーでもV6や直4が当たり前になろうとしている。

スポーツカーといえば、多気筒エンジン、いやしくもスーパーカーを名乗ろうとすれば、12気筒は当然であった時代は、既に過去になった。

水平対向12気筒を積んでいる市販車は皆無である(スポーツカーのもう一つの雄であるポルシェにもない)。

風前の灯であるV12も、少量生産車を除けば、スポーツカーでは、F12、FF、アヴェンタドール、SL位のものだ(おっと、アストンもあった!)。あとは、ゆったり乗れる大型車ばかりである。

W12は、ベントレーがツインターボで搭載している。まあ、コンチGTをスポーツカーと呼ぶべきか、いささか議論の余地があるところではある。

(ベントレー・コンチネンタルGT)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%ABGT

(スポーツカーとは違う味)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/i0000024966.html?word=%A5%D9%A5%F3%A5%C8%A5%EC%A1%BC

12気筒は、限られた車種のみに許された勲章、これまた衰退の道を歩んでいる8気筒の上位に君臨する事実上の最高級の証(16気筒とかありますが)、他の追随を許さないステータスシンボルである。

記号化されたエンジン、現代のアイコン、機械の中の機械、パワーの象徴である。

大排気量こそが大馬力を生み出し、効率よくエネルギーを取り出すために多気筒化を進めてきた技術の系譜は、今や途切れようとしている。22世紀まで自動車用12気筒エンジンが残り続けると考える人は多くないだろう(フェラーリは最後まで作るかもしれないが)。

F1を電気自動車が走るとき、跳ね馬は静かに馬小屋に帰っていくことになるだろう。

最後に、世界一小さい12気筒エンジン(?)の記事をどうぞ。

(世界最小のV12気筒エンジン)
http://jp.makezine.com/blog/2011/12/worlds-smallest-working-v-12-motor.html

正直に告白する。

私は、この動画を見ながら思わず目が潤んだ。

OHVのこの機械が、カシャカシャと音を立てて動いている。クランクシャフトの削り出しのシーンも感動ものだ。

(フェラーリの象徴、V型12気筒エンジンを作るイタリアの職人芸)
http://gigazine.net/news/20100311_ferrari_engine/

オマケに、本物のフェラーリV12エンジンの製造写真。溜息だけしか出てこない。

試乗車2012年07月07日 16:06

試乗車
試乗車


都内某所のポルシェセンターに行ってきた。

今日は、新型(981型)のボクスターのお披露目である。

ジャパンプレミア、本邦初、初日、本物の新型が見られる。

で、「試乗できますか?」と聞いてみたら、まだだという。

(ポルシェジャパン公式サイト)
http://www.porsche.com/japan/

「ポルシェ ニューボクスター デビュー フェア。」と書いてあった(すぐ、見られなくなるので、画像を参照)。試乗車があるとは書いてないが、「普通、あるでしょ?」と聞いてみたら、「型式認定が下りてない」という。

お役所仕事は、これだからダメなんだ。

土、日出勤して、認定しろよ!。

で、月曜日にはナンバーが取れるらしい。

ポルシェジャパンの担当者に、ボーナスが出るのか気になる・・・(かわいそうに)。

展示車は目の覚めるような赤にベージュの内装(穴あきの皮)。センターコンソールあたりのデザインは、まんま911だ(というより、パナメーラか)。メーターのデザインもすっかりリニューアルして、ドイツ車というよりはイタリア車のような趣である。

まあ、ちょっと走らせればドイツ車であることは、直ぐに分かるに違いない。生まれは隠せんのよ。

サイドにくぼみを持たせたので、抑揚のあるデザインになっている。近くに911が斜め向かい合わせで止めてあったが、フロントのデザインが異なる。ボンネットは同じようだが、ライト回りとかのデザインが違う。

リアのダックテイルの造形は、賛否が分かれそうな感じだ。それだけユニークなものになっているのだが、思ったよりイヤミのない、すっきりした感じだった。真横から繁々と見ない限りは気にならない。

ドイツ車の無骨なデザインが、ちょっと色気を添えて気恥ずかしそうに佇んでいる。まだまだ、遠慮を感じる。

気になったのは、ソフトトップリッドがなくなって、横から見ると骨が見えてしまうこと。キャンバス地の微妙な皺のより具合も心配だ。耐久性に問題はないのだろうが、そっと隠していた奥ゆかしさが懐かしい。

おかげで、開閉時間は9秒と短くなった(従来は12秒)。かなり早い。こっちのメリットの方が大きいだろう。

トランクも前後開けてみたが、殆ど変わらない。ホイールベースの拡大の悪影響はないようだ(厳密に計ったわけじゃありませんので、念のため)。

総じて、新し感に満ちた、しかし、デザインの継続性は十分感じられる、好ましい変化だと思った。

あとは、乗ってみなくちゃ分からないし、排気量が元に戻った素のボクスターの試乗ができるかどうかも分からない。987に比べて馬力は増え、車重は逆に軽くなっているという。

(ポルシェ・ボクスター:981型(2012年 - ))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC#981.E5.9E.8B.EF.BC.882012.E5.B9.B4_-_.EF.BC.89

来週当たり、試乗できないかなあ。