空飛ぶ自動車2012年07月25日 02:00

空飛ぶ自動車
空飛ぶ自動車


フレックスレイという、次世代の自動車通信プロトコルがある。ドライブバイワイヤーの実現に欠かせない、高信頼性、高速伝送の仕組みである。

従来の自動車通信はCANという仕様で行われていた。500Eにも採用されていて、オートクルーズコントロールとか、ESPなどの複合デバイス制御を行っている。

(Controller Area Network)
http://ja.wikipedia.org/wiki/Controller_Area_Network

これを、フレックスレイにバージョンアップさせることで、さらに高度な制御を行わせるとともに、自動車の新しい次元を開くことが可能になる。

教習所では、高速走行時に正しい車間距離を取ることを教わる。時速100kmでは約100mである(合ってます?)。実際、そんなに車間距離を取って走っていると、どんどん割り込まれていくので、50mくらいか。

ともかく、前方で事故などが起こった時、安全に停止できる距離が必要なのである。ただし、人間が運転している限りにおいて。

DBW(ドライブバイワイヤー)では、人間の操作を補助的に補うことをさらに進めて、人間が補助的に操作する、真の「自動車」を作ることが可能になる。

車間距離1mで、時速200kmの高速走行を実現することが可能になるかもしれない。

元々、フライバイワイヤーというのが、発想の原点だったのだが、止まると落ちる宿命の航空機(ヘリコ除く)とは異なり、止まっても命取られる心配の少ない自動車では、スタートラインが異なる。

しかし、セスナの巡航速度がせいぜい200kmで、地上最速のロードカーが時速400km以上であることを考えると、同一平面内をひしめきあいながら走行している交通状況は、航空機以上に過酷であるともいえる。

完全自立制御自動車の実現までは、いましばらく時間がかかるとしても、エンジン、ブレーキ、サスペンション、ステアリングを初めとする走行に欠くべからざるデバイスを、高度に連携させ、かつ、効率的に稼動させるためにはDBWの技術は不可欠だし、安全性の向上にも繋がる(総合制御、冗長化しやすいなど)。

個人的には、メカメカしい機構が好みなのだが、「リサーキュレーティングボールが好きっ!」、とかいっても、時代錯誤である(そういう味付けの電動ステアリングを実現したほうが早い!)。

(いまさら聞けない 車載ネットワーク入門)
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/0703/07/news116.html

(次世代車載ネットワーク FlexRayとは?)
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1101/25/news118.html

(欧州でのFlexRay採用事例と取り組み)
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1104/22/news001.html

BMW5シリーズにおける「インテグラルアクティブステアリング」などを見ると、航空機におけるCCVによる「姿勢変更なしの横遷移飛行」そのものである。

(運動能力向上機:概念)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8B%E5%8B%95%E8%83%BD%E5%8A%9B%E5%90%91%E4%B8%8A%E6%A9%9F#.E6.A6.82.E5.BF.B5

サスペンションのジオメトリーなども、アクチュエータによって可変とすることが可能であるため、単なる減衰力のコントロールではなく、積極的にタイヤの接地角度を制御するようになるかもしれない。

(メルセデスベンツ・CLR:宙を舞うメルセデスとして有名!?)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%84%E3%83%BBCLR

([crash] The history of Mercedes Le mans [1999]:動画出ます)
http://www.youtube.com/watch?v=gpHWRvMsLiU&feature=player_embedded

まあ、自動車が空を飛ぶことはないだろうが、航空機の制御技術を越えて、高度な移動体制御を実現する可能性は高い。生きているうちに、どこまで出来るのだろうか。

相反する要求2012年07月25日 09:47

相反する要求
相反する要求


自動車において室内空間を確保しようとすれば、車体が大きくなる。車体を小さくしようとすれば、室内空間は狭くなってしまう。

絶対的な大きさの制約(秋葉原の立体駐車場に入るとか・・・)があるので、根本的には解決が不可能である。

しかしながら、「なるべく」室内空間を確保しながら、「なるべく」コンパクトな車体をつくることは可能であり、従来から、普通の乗用車においても様々な取り組みが行われてきた。

FF横置きエンジンによる「ミニ」の系譜が良い例かもしれない。

(ミニ (BMC))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B_(BMC)

「コンパクトなパワートレイン設計によって、小さな車体にもかかわらず、必要十分な室内空間を確保することに成功している。」(まんま、引用です)。

相反する要求を、高度な技術で実現するという、技術革新の典型例である。

さて、近年は、省エネ省資源の時代である。右を向いても左を向いても、環境性能なくして自動車は語れなくなった。

リッター5キロなんていう500Eなどに乗っている輩は、極悪非道の謗りを免れない。

街中で渋滞しても、高速でぶっ飛ばしても、エアコンをガンガンかけても燃費のいいクルマを作ってくれー、というのが昨今の「相反する要求」の最たるものである。

この前試乗したトヨタのアクアは、リッター40キロだそうである。実測でも、30は行くという。500Eの6倍である。しかも、200万円を切る新車価格!。大変な時代になったものだ。

(トヨタ アクア)
http://autoc-one.jp/toyota/aqua/

作りは安っぽく、すぐにヘタリのきそうな車体はどうしようもないが、所詮、現代のクルマは消耗品である。10年乗って元が取れればそれで十分である。

その時点で、新車に乗り換えればそれでいい。

そうだろうか?。

エンジンやミッションを交換し、足回り全とっかえして、場合によってはフルコン化して乗り続ける、500Eのようなクルマは二度と登場しないのだろうか。

(エンジンスワップ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%97

なんか、ちょっと違うような・・・。

燃費向上と車体の衝突安全性向上も、同時に実現することが困難な要求の一つである。車体を軽く作ることは、ペラペラの外皮を纏うことになり、必要な強度の確保が困難になる。

これに関しては、高張力鋼板、アルミニウムの採用や最近のスーパーカーの定石となった炭素繊維強化プラスチックの採用によって、材料的に解決されてきている。

もっとも、スーパーカーは燃費改善よりも、性能向上が目的ではあるが。

自動車に関する「相反する要求」は多岐に渡る。性能と燃費、排気系における消音と高出力、サスペンションの運動性と乗り心地などなど、枚挙に暇がない。

高い技術でこれらの課題を解決し、最大の相反する要求である、「安くて良いクルマ」(そんなものは、絶対ないのだが)を作り続けて欲しいものだ。