おそれ2014年10月21日 10:15

おそれ


(Guinea
Last Updated: October 20, 2014 03:18 GMT)
https://www.internationalsos.com/ebola/index.cfm?content_id=395&language_id=ENG

(Ebola : point de situation au 20 octobre 2014)
http://www.ambafrance-gn.org/Ebola-point-de-situation-au-18,1022

(Liberia Ebola SitRep no. 156
Ministry of Health and Social Welfare
Oct. 18th 2014)
http://www.mohsw.gov.lr/documents/SITRep%20156%20Oct%2018th,%202014.pdf

(EBOLA OUTBREAK UPDATES---October 20, 2014)
http://ogi.gov.sl/content/press-release-44

(Timeline of cases and deaths)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ebola_virus_epidemic_in_West_Africa#Timeline_of_cases_and_deaths

エボラの集計を公表している様々なページを見た。

国名:感染者:死者:集計日
ギニア:1519:862:10月14日
リベリア:4665:2705:10月18日
シエラレオネ:3708:1259:10月20日
ナイジェリア:20:8:10月17日
セネガル:1:0:10月17日
米国:3:1:10月17日
スペイン:1:0:10月17日
合計:9917:4835

ちょっと、電卓叩く手が震えた。

集計上は、まだ1万人の感染者にはなっていない。

しかし、リベリアの増加を見ると、次回の発表で突破することは確実になったわけだ。

10進法で新しい桁になったからといって、何が変わるわけではない。

統計上の意味は全くないし、実体と乖離した感染者の集計に一喜一憂(まあ、一喜はないですが)しても仕方がない。

しかし、7月にこの件に注目した頃は、まだ1000人未満だったから、こんなに直ぐに10倍以上になるなんて、予想もしなかったことは確かだ。

何もしなければ、数万人にはなるが、きっとそのレベルで収まるに違いないと漠然と期待していた。

しかし、実際に国際連合が本気で取り組みだし、対応を始めてみても、感染増加の勢いは止まらない。

今回、リベリアの集計を見て、首都モンロビアがあるモンテセラド郡の爆発的な勢いが、全く衰えていないこと、シエラレオネの首都圏であるウエスタンエリアが、完全に感染爆発の様相を呈していること、ギニアでの首都圏を含む複数の地区での増加が同時進行していることを見て、事態は一向に改善されていないことを確信した。

エボラ対策の効果は、今のところ、全くないといっていい。

ざっくりいえば、1万人の感染者のうちの半分は死んでいて、残りの半分(4分の1)は治った患者、残りが治療中(または放置!)ということなんだろうか。

2500人が、今、この瞬間、苦しんでいる。

それは、死の苦しみだ。

入院中の患者に限れば、致死率は7割になるという。

集計から漏れている死者も多いのだ。

国連は、7割の隔離と7割の安全な埋葬を目指しているというが、埋葬はともかく、感染者の7割を隔離するというのは容易ではない。

2500人という数字は、実は実態とはかけ離れたもので、おそらく1万人がリアルな発症者ということになる。

だから、国連は7000床のベッドが必要だといっている。

しかし、それは、今、この瞬間になければならない数なのであって、3か月後には最低でも10倍(7万床)が必要になるということだ。

エボラというたった一つの感染症のためだけにである。

絶対に実現しない話である。

ということは、発症者の隔離によってこの感染症を終息させることは出来ないということになる。

最早、手遅れなのだ。

しかし、増加のスピードを遅らせることはできる。

有効なワクチンが開発され、量産されて投入されるまでの間、少しでも犠牲者を抑制するため、あるいは、主要3か国以外に飛び火するリスクを低減するために、可能な限りの資源を投下することには意義がある。

というより、それしかできない。

さて、最終的に、エボラの感染者数はどのくらいになるのだろうか?。

放って置けば、その数は1000万人程度になると、浮沈子は何の根拠もなく予想している。

主要3か国には、およそ2000万人が生活している。

その半数が感染し、半数の500万人が死亡する。

生き残った500万人が感染のバリアになって、残りの1000万人への感染を抑止するだろうと考えている(うまくいけば)。

自然終息である。

治療薬の開発が成功すれば、このバリアを増加させることにもなる。

終息までには数年間を要するだろうが、西アフリカ地域に限定することができれば、確実に終息させることが可能だ。

過酷な話だ。

しかし、この地域以外に感染が広がり、ナイジェリアやセネガルのように封じ込めに成功することなく、新たな感染地として定着するようなことがあれば話は別だ。

しかも、その確率は、決して低くはない。

憂慮される地域は、陸続きの周辺諸国(隣接とは限らない)、多数の国民が出稼ぎに行っているインド、中国、そして、人員の往来が多く、表向きは医療大国であるはずの米国や欧州である。

エボラの真のリスクは、交通の発達による人間の往来によって、容易に世界中に拡散しうるという点だ。

人間こそが、エボラの脅威なのである。

我々は、ついついウイルスという眼に見えないものを想像して、あたかもウイルスに意志があるように考え、その恐怖に怯えてしまう。

そうではない。

本当に恐れなければならないのは、そのウイルスを媒介している人間なのである。

潜伏期間や発症後間もない間は、感染者は自由に移動できる。

世界中、どこでも行く事ができる。

そして、それを止めることはできない。

本人だって、感染の事実を知らないケースがあるからだ。

今はまだ、ハイリスク群をある程度絞り込んで、たとえば、感染地域からの帰国者や旅行者などを重点的にチェックできるかもしれないが、世界中で小規模の感染が発生している状況になれば、それもできなくなる。

ありとあらゆる人間の移動を管理するところまで、我々の社会システムは高度化されてはいない。

水際で食い止めることが物理的にできないことは、米国や欧州が証明してくれた(米国で亡くなったリベリア人は、ブリュッセル経由で渡米している)。

混沌の世界が待ち受けているような気がする。

主要3か国では、握手やハグの習慣がなくなってきているという。

どうせ、感染が終息すれば復活するだろうが、浮沈子からすれば妥当な状況だろう。

彼らは、ようやく恐れるべき存在に気付き始めているのだ。

人間である。

ヒトーヒト感染を起こす感染症の場合、おそれるべきは人間である。

人を見たら泥棒と思え。

人を見たら、エボラと思え。

やりきれない状況の中で、彼の国々では、そんな認識が生まれているのではないか。

それが、世界中に広がるおそれが、現実のものになりつつある。

現段階で、1年後にエボラが終息していると断言できる専門家は、おそらく皆無だろう。

1万人の感染者は、今後新たに発生する999万人の感染者の0.1パーセントに過ぎない。

これから感染し、死の恐怖に怯え、死の苦しみを味わうことになる999万人の人々は、今、この瞬間は健康で、自分がエボラに感染するなどとは夢にも思っていないし、泣いたり笑ったりしながら普段どおりの生活を営んでいる。

ひょっとしたら、ブログを書いているかもしれない(!)。

本当の恐怖は、日常に潜んでいる。

自分には関係ないと無関心になり、気付いた時には避け難い状況に追い込まれてしまうということだ。

この項、改めて書く。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック