回生ブレーキ2015年11月07日 21:50

回生ブレーキ
回生ブレーキ


初代プリウスのオーナーだった浮沈子は、あのカックンブレーキに泣かされた。

2代目に試乗した時も、それは、全く同じ感触で、ハイブリッドというのはこういうものだと思っていた。

レクサスLS600hに試乗した時に、その自然なフィーリングに驚いた。

なんだ、トヨタもやればできるんじゃん、と思ったものだ。

一番最近に乗ったのはアクアだが、クルマとしての出来が違うのでコメントできない。

ブレーキ以前の話だ。

で、今日は、都内某ポルシェセンターで、パナメーラのプラグインハイブリッドに試乗する。

担当の営業さんに無理いって、前日まで他の営業所に貸し出されていた試乗車に乗った。

バッテリーが、ほぼ空だったので、電気自動車的な運転は殆どできなかったが、アイドリングストップや、クリープなど、その特性の一端を知ることができた。

V型6気筒エンジンにモーターとバッテリーを付けたパワーソースは、過不足なく2トンを超える車体を押し出す。

(ポルシェ パナメーラ S eハイブリッド(2014年4月~生産中))
http://www.carsensor.net/catalog/porsche/panamera/F001/M006G010/

「車両重量 2130(kg)」

重っも!。

すっ飛びだす速さはないが、低速でも扱いやすいエンジンと、モーターのトルクの助けで軽やかに加速する。

「種類 V型6気筒DOHC
過給器 スーパーチャージャー」

スーパーチャージャーが付いていたとは知らなかったな。

この辺りの感じは、この試乗記に詳しい。

(パナメーラS・ハイブリッドに試乗しました 後編)
http://boxster981.hatenablog.com/entry/%E3%83%91%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%A9S%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%81%AB%E8%A9%A6%E4%B9%97%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E5%BE%8C%E7%B7%A8

「その加速感はあくまでもボディサイズからくる重厚感な加速です。メルセデスのSクラス、BMW7シリーズ(いずれも乗ったことないですが)でイメージされる加速感といえばいいでしょうか。」

浮沈子は、Sクラスも7シリーズも乗ったが、まあ、似たようなもんだな。

問題は、この後だ。

ブレーキを踏んだ時に、ちょっとザラついた感触があって、止まる寸前に、カクッと、あのプリウスチックな嫌な感触というか、違和感が来る・・・。

うーん、レクサスの方が一枚上手の仕上がりだな。

しかし、言われてみなければ分からないかもしれない。

担当の営業さんに言ったら、「やっぱ、違和感ありますよね」と、軽く同意していた。

実際、売れてるか聞いてみたが、あまり出てないという。

270kmの最高速、0-100km加速5.5秒は、パナメーラSをやや下回る程度で、ハイブリッドだからといって遜色があるわけではない。

しかしなあ、オプション付けたら1800万円くらいになるクルマで、このブレーキってのはないよなあ。

試乗車は、フルオプションで、2000万円くらいになっている。

海外の高級セダンの中では買いやすい価格帯だが、高級感という点になると、ポルシェはまだ勉強中という感じだ。

もっとも、パナメーラといっても、パワーソースや、仕立てのバリエーションが豊富で、最安の1038万円から、パナメーラ Turbo S エグゼクティブの2981万円まで、3倍近い価格差がある。

パナメーラSとか、今日乗ったパナメーラ S eハイブリッドは、真ん中のグレードということになる。

まあいい。

どのみち、浮沈子には縁のない(円のない?)クルマだ。

他に気付いたのは、リアウインドウが見にくいということ。

ルームミラーに映る変形したウインドウエリアは、小さくて、上の方しか見えない。

セダンとしての設計そのものに、大きな欠陥があるようだ。

カッコだけのクルマなのかもしれないし、そういうところは妥協したのかもしれない。

今日は、それほど活発には走らせなかったが、2トンの重量車を振り回しても仕方ない。

20分ばかり、浮沈子一人で試乗して、お土産の箸置き(ナイフ・フォークレスト:画像参照)と、コップ敷(コースター)をもらって帰る。

500Eに乗り換えたとたん、やっぱ、こっちの方がいいなという、正直な感想・・・。

もちろん、電子の帝国満載のパナメーラS eハイブリッドの方が、現代的で燃費も良く、静かで快適には違いないが、機械の王国に君臨する500Eの敵ではない。

若干軽い車両重量や、5リッターV8エンジンの怒涛の低速トルクの組み合わせは、ややっこしい現代のパワーソースを、軽く跳ねのける。

もちろん、どちらがいいかは明らかで、パナメーラの勝ちなのだが、街道沿いを流す程度の走りでは、フィーリングでは500Eが勝る。

この重っつらしいクルマは、せめて4.8リッターV8NAのGTS、理想を言えば、最低でも4.8リッターV8ターボを積まないと不足だ。

フルパワーで走ることはない。

その、絶対的な余裕が生み出す余力こそが、乗り味を決める。

初めはトルクで押し出しても、後が息切れ気味では仕方ない。

ターボSの570馬力が必要かどうかは、使い方にもよるだろうが、乗り味を極めるなら、不可欠ともいえるだろう。

まあ、こういうクルマを作らせたら、ベンツの右に出るメーカーはいないかもしれない。

高級セダンのトヨタといってもいい。

払った金に見合う満足は約束されている。

ベントレーとかRRは、さらにその上を行くのだろうが、浮沈子には無縁だ。

パナメーラのハイブリッドは、1500まんえんのクルマではない。

ポルシェのセダンじゃなきゃ、どうしてもいやで、プラグインハイブリッドが欲しくてたまらない人が、勢いで買ってしまうクルマだ。

それはそれで、いい選択かも知れない。

浮沈子は買わんけどな。

前にも書いたかもしれないが、パナメーラというクルマ(ハイブリッドに限らず)は、500Eと似ている。

(乗車定員)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/07/05/6500823

「と、ここまで考えた時に、「パナメーラ」のことが頭に浮かんだ。
おんなじじゃん!(乗車定員も4人!)。
500Eとそっくりな構成なのである。違うのは後ろが開くハッチバックになっていることだけだ。
ターボ車は別にして、NAのV8は、排気量、馬力、トルクに至るまで似ている。」

「車両重量も近い。
はっ、とした。
これは、ひょっとして、500Eの再来なのではないか。」

ディメンションとかは違うが、クルマの性格が似ている。

今日、図らずも乗り比べる結果となって、その感を新たにした。

ポルシェが作ったベンツといわれた500Eだが、ポルシェは、もう一度、そのクルマを現代に蘇らせたのかもしれない。

GTSとか乗ったら、一層そう感じたかもしれない。

いろいろ書いたが、パナメーラ、悪い選択ではない。

ポルシェのバッチと、セダンの使い勝手、電子の仕掛け満載の現代のクルマである。

走りについては、どのグレードを選んでも、我が国の高速道路で不足を感じることはない。

500Eにあと10年乗り続けるのは、結構シンドイかもしれないが、新車のパナメーラならわけはない。

パナメーラは、スポーツカーか?。

まあ、ポルシェはそういっているが、信じる者は誰もいないだろう。

たとえ1000馬力のエンジン積んだとしても、このクルマはスポーツカーではない。

500Eがスポーツカーになりえないのと同じく、これは、あくまでもセダン(人間が快適に移動するための椅子かご(セダンチェア))である。

楽ちんだが、興奮はない。

このクルマで興奮するのは、別の用途に使った時だけだろう(子供は、わかんなくていいです!)。

まあ、どうでもいいんですが。

試乗の後、愚弟を誘って、疎開先で03ボクスターに乗る。

確かに、同じポルシェだが、LS600hと86を、同じトヨタと呼ぶのと変わらないわけで、まったく異なるクルマだ。

しかし、そこにあるのは、紛れもないポルシェの乗り味、アクセルに反応し、ハンドルに応え、ブレーキで感動させようとするスポーツカーのテイストだ。

500Eの乗り味は、ベンツのそれではない(少なくとも92年型は)。

スポーツカーになりたかったセダンだ。

リニアな加速、正確なハンドリングを実現する足周り、踏んだら踏んだだけ、キッチリ仕事するブレーキ。

クソ重い車重を抱えて、なんとか食いつこうと追いすがる姿は、壮絶だ。

その同じ感性が、パナメーラにも確かにある。

それを確認できただけでも、今日は収穫だったな。