衛星の寿命2018年01月07日 12:37

衛星の寿命


基本的知識のおさらいから。

(運用していた人工衛星が寿命を迎えるのは、どのような理由から?)
http://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/68.html

「一般に人工衛星の寿命をもっとも左右する要因は、その軌道と姿勢を保持するために搭載する燃料の量です。」

「なお、バッテリや太陽電池の耐久性なども寿命を左右しますが、たいていの場合燃料が底を尽きて運用は停止となります。」

こんな記事が出て、ちょっと調べた。

(Intelsat S.A. orders Mission Extension Vehicle 2 to increase life span of Intelsat spacecraft)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/orbital-sciences-corp/intelsat-s-orders-mission-extension-vehicle-2-increase-life-span-intelsat-spacecraft/

「The MEV is designed to dock with these satellites and then provide life-extension services such as orbital maintenance and attitude control functions. The MEVs each have a planned design life of some 15 years. During that time, they are capable of carrying out numerous dockings and repositionings.」(MEVは、これらの衛星とドッキングし、軌道保守や姿勢制御機能などの寿命延長サービスを提供するように設計されています。MEVの設計寿命は約15年です。その間、彼らは多数のドッキングと再配置を行うことができます。:自動翻訳のまま)

以前別の記事で、消費された推進剤(姿勢制御用ロケットの燃料など)を補給するというコンセプトが紹介されていたな。

浮沈子は、衛星とかについてはあまり詳しくは知らない。

昔の通信衛星とか、地球観測衛星は、本体をくるくる回して姿勢を整え、アンテナをモーターで逆回しして地上の基地と交信するという感じだった。

(姿勢制御)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%BF%E5%8B%A2%E5%88%B6%E5%BE%A1

「スピン安定方式は、主な姿勢制御を1軸方向で機体を回転させることでジャイロ効果(ジャイロ剛性)によりぶれを防ぐ方式である。」

「機体全体を1軸で回転させる「単一スピン安定方式」が基本であるが、アンテナやセンサなどを回転させたくない用途では、宇宙機本体とは逆回転させることで実質は回転させない「二重スピン安定方式」もある。」

「いずれも潮汐力安定化のような方法で、残る2軸を安定化させることが一般的である。」

潮汐力安定化については、割愛する。

「ゼロモーメンタム方式は3軸、または冗長性を得るために4軸といった方向のリアクション・ホイールを内蔵することで、姿勢制御を行う」

最近の気の利いた衛星(!)は、みんなこれなんだろうな。

各種センサーを駆使して、自分の姿勢と、本来あるべき姿勢との差を計算し、リアクションホイールなどのデバイス(アクチュエイター)に指示を出す。

リアクションホイールも万能ではない。

(リアクションホイール)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AB

「配置:
宇宙機は自転に対して3軸方向の姿勢制御が求められることが一般的であり、この場合、3軸3基、または4軸4基のリアクションホイールが搭載されることになる。」

「4軸4基は3軸3基よりも冗長性がある。」

なんか、RAID構成のハードディスクのような話だ。

「長期間に渡って同一方向にモーメントが蓄積されるとやがてはリアクションホイールの回転が限界に近づき、そのままでは「飽和」して制御が破綻する。」

「この蓄積されたモーメントを解消するために、多くの宇宙機ではリアクションホイールとは別の姿勢制御システムを備えている。(ホイールの減速と共にその反作用をジェット噴出などで相殺する)」

「最も一般的なものには一液式ロケットがあり、二液式も採用されている」

「このような蓄積されたモーメントを解消する操作は「アンローディング」(Unloading) と呼ばれる。」

「アンローディングの回数が増えるとそれだけ噴射ガスの元となる燃料が消費される」

今回の発表で紹介されたコンセプトでは、衛星にドッキングして、姿勢制御や推進機能を付加するわけだな。

「Orbital ATK is working to produce a fleet of these spacecraft which will service satellites that have been damaged, need refueling or to be moved to a different location – the MEVs can provide all of these services.」(軌道ATKは、破損している衛星を修理給油を必要とするか、別の場所に移動するだろうこれらの宇宙船の艦隊を生成するために取り組んでいる - MEVsは、これらのサービスのすべてを提供することができます。)

MEVは、修理・給油と移動の両方が出来るということになる。

このビジネスが成功するかどうかは、サービス衛星の価格にも絡んでくるだろう。

多くのトランスポンダーと山のような燃料を積んだ巨大超重量級衛星と、修理・給油・曳航などのサービス衛星のコンビが、これからの衛星ビジネスのメインストリームになっていくんだろうか。

年間、20機くらいの静止衛星。

その軌道に、サービス衛星という新しいカテゴリーが登場する。

「MEV-1 is currently scheduled to launch later this year (2018).」

年内の打ち上げを予定しているようだ。

一種の隙間産業なんだが、この技術はいろいろな影響がある。

現在15年程度と言われる、既存の衛星の寿命が飛躍的に伸びれば、衛星打ち上げ頻度が減ったりすることも考えられる。

静止軌道衛星のサイズに、2極分化が起こるかもしれないな。

サービス衛星も、タンカーとか、修理専門とか、タグボート専用とか。

宇宙開発もロボットが行うようになる時代の、先ぶれかもしれない。

今後の展開に注目だな。

打ち上げロケットに、直ちに影響を与えることはない。

せいぜい、100機くらいしか稼働していいない静止衛星の世界で、それを超えるサービス衛星というのは考えづらいからな。

宇宙デブリを除去したりする衛星も、サービス衛星の一種と考えることも出来る。

宇宙空間が、フロンティアではなく、業務空間として整備され管理されていく。

その一部として、様々なタイプのサービス衛星が投入されていくんだろう。

楽しみだな・・・。

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