最短でも2か月、下手をすれば年内打ち上げは不可能なH2Bの発射台火災の甚大な影響2019年09月15日 22:22

最短でも2か月、下手をすれば年内打ち上げは不可能なH2Bの発射台火災の甚大な影響
最短でも2か月、下手をすれば年内打ち上げは不可能なH2Bの発射台火災の甚大な影響


浮沈子は、打ち上げロケットのファンだが、その興味関心は偏っていて、国産ロケットには全くとっていいほど気が向かない。

だってな、某米国ロケット会社(S社かあ?)みたいなド派手な爆発とか、殆どないからな(ロケットマニアじゃなくて、爆発マニアかあ?)。

特にH2Bは、ISSへの補給機(HTV:こうのとり)専用に開発された特殊なロケットで、低軌道への重量物を打ち上げる以外、何の役にも立たない(そうかあ?:後述)。

それも、2021年にH3が運用を始めればお役御免になってしまう。

計画では、後2回打ち上げればお終いだ。

(H-IIBロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-IIB%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「使用期間 2009年 - 現役(2020年度 退役予定)」

「打ち上げ予定:
・2019年度:
宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機(HTV8)
・2020年度:
宇宙ステーション補給機「こうのとり」9号機(HTV9)」

「H-IIBはHTVだけでなく、静止衛星の打ち上げも想定している。」

まあ、ごちゃごちゃ書いてあるけど、実際の話、H2Bが静止衛星を打ち上げることはない。

失敗すれば、2機の衛星を纏めて失うことになるし、それを担保する信頼性や実績は、打ち上げ回数が少ないことから決して得られないからな。

商業打ち上げを狙うロケットじゃない。

8号機の打ち上げは、発射台の火災により中止となった。

(三菱重、H2B発射中止 日の丸品質に冷や水)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO49682420R10C19A9916M00?n_cid=TPRN0003&s=5

「三菱重工業は11日、基幹ロケット「H2B」8号機の打ち上げを中止した。」

(国営航空の火災事故(?)について書いたばかりなのに、火災繋がりで火が出たロケット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/09/11/9152175

「ロケットの下の方から火が出るのは当たり前の話だが、今回はそういう話ではないらしい。」

「発射台付近で11日午前3時10分ごろ、火災が発生した。」

報道によれば、移動式発射台が燃えたようだ。

「宇宙工学に詳しい大同大学の沢岡昭名誉学長は「エンジンの噴射前に発火しているので、火元は電気系のスパークくらいしか考えられない。燃料に引火すれば爆発的に燃えるので、燃料が漏れたとは非常に考えにくい」と分析する。「あってはならない基本的なトラブルで、場合によっては技術の根幹を疑われかねない」とも指摘する。」

浮沈子は、技術の根幹を揺るがすような話ではないと考えているけどな。

もっとショボイ話に違いない。

動画を見ると、結構長い時間燃えているので、燃焼物が供給され続けている感じだ。

(H-2Bロケット8号機 ML開口部から火災発生 / H-2B rocket F8 fire occurred at launch pad:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=320&v=ymO9bN67jJY

「本動画の無断転載を禁止します。
引用する場合はクレジット
「映像:nvs-live.com」と明記して下さい。
無断使用の場合、相応のご請求をさせていただきます。」

このくらい引用しておけば、請求は来ないだろう。

ML開口部とかあるけど、MLってなーに?。

(種子島宇宙センター:吉信射点:大型ロケット移動発射台 (Yoshinobu Movable Launcher; ML)参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%AE%E5%AD%90%E5%B3%B6%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC#%E5%90%89%E4%BF%A1%E5%B0%84%E7%82%B9

「H-IIA212・222型に対応可能なML3が追加製造され、後にH-IIB用に対応するための改造が行われた。」

「第3移動発射台(ML3)は高さ65.5m、幅22m、奥行き25.4m、総重量約1,100トンとなっている」

(種子島宇宙センターの概要)
http://www.jaxa.jp/countdown/h2bf1/pdf/presskit_tnsc_j.pdf

「(4)大型ロケット移動発射台(Yoshinobu Movable Launcher; ML)/大型ロケット移動発射台運搬台車(通称;ドーリー)
大型ロケット移動発射台は、大型ロケット組立棟内で組み立てられたH-ⅡA及びH-ⅡBロケットを保持し、ロケット発射時には発射台として使用される。H-ⅡAロケットは、大型ロケット組立棟から約500m離れた第1射点まで移動させる。H-ⅡBロケットは、約400m離れた第2射点まで移動させる。移動は、2台の多重輪(タイヤ)方式の移動発射台運搬台車により実施される。移動発射台のH型マストは、推進薬配管、電気ライン、空調用ダクト等のアンビリカルラインを保持するアンビリカルマストとしての機能を有している。
大型ロケット移動発射台は2台あり、うち1台をH-ⅡBロケットの重量に対応できるよう、移動発射台、移動発射台運搬台車について構造や駆動装置等においての補強を行った。」

「【参 考】
<大型ロケット第1移動発射台(ML1)2t~3t級H-ⅡAロケット対応>
高さ 65.5m/幅 22m/奥行き 21m/総重量 約850t
<大型ロケット第3移動発射台(ML3)2t級H-ⅡA、H-ⅡBロケット対応>
高さ 65.5m/幅 22m/奥行き 25.4m/総重量 約1,100t」

重要なことは、我が国にはH2Bを打ち上げられるML(Movable Launcher)は1台しかないということだ。

これが燃えちまったということは、由々しき事態に違いない。

(~縁の下の力持ち~ ロケット運搬台車について)
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/h3/topics_j.html

「打上げ時の熱損傷を減らす:
現行のH-IIA/B用MLから開口部を広く取ることで、打上げ時の噴流の熱などによる構造体の損傷を抑えます。また、上部デッキにあった推進薬や高圧ガス、水などの配管や機体固定台を無くすことで打上げ後の補修が容易になり、打上げ間隔を短縮することができます。」

新型の発射台の宣伝だが、逆に言えば現行の発射台は熱損傷が大きく、配管の補修が手間だということになる。

「このように様々な工夫を施すことで、打上げ後の設備補修にかかる期間を大幅に短縮することができ、従来約2か月必要であった打上げ間隔を1か月以下に抑えることが出来るようになります。」

つまり、通常打ち上げの熱損傷による設備補修でさえ、2か月の期間を要するわけで、今回のような火災による損傷がどれ程の補修期間を要するかは想像もつかない。

代替の発射台はなく、何としてもML3を直して打ち上げなければならない。

それも、あとたった2回の打ち上げのためにだ。

うーん、痛い話だな。

下手をすると数か月の補修期間を有する可能性もある。

年内の打ち上げが見送られる公算が出てくるかもしれない。

報道では、今月内の打ち上げを匂わせるものも見受けられるが、そう簡単な話ではないだろう。

(【H2B発射延期】日本の信頼損ねぬ対応を)
https://www.kochinews.co.jp/article/308737/

「火災現場を調査した三菱重工業によると、機体や発射台の損傷は軽微とみられ、火災発生から「1週間程度で再度の打ち上げに向けた整備が可能」という。ただ具体的な日程は未定のままだ。」

動画を見ると、明るく輝きながら、何かが溶け落ちているようにも見える。

損傷は甚大とみるべきだな。

浮沈子的予想では、打ち上げは半年くらい先になるかも知れない。

今年度中(2020年3月まで)に上がれば、まあ、上出来の部類だろう。

H2の事故の時もそうだったが、H2Aの開発にエースを持っていかれて、重工の現場態勢が手薄になっていた。

同じ轍を踏んでいるとしたら問題だな(今回はH3の開発)。

今回打ち上げの搭載品の中には、ISSのバッテリーが含まれている。

こうのとりでしか運べない重要部品だ。

こいつの交換スケジュールが狂うと、船外活動のための訓練やらなにやら、運用に対する影響がデカいからな。

実験材料とか、食料とか水などは、他の運搬手段に振り替えることも可能だが、バッテリーはそうもいかない。

廃棄する関係もあるからな。

その辺りのリスケが必要になってくるに違いない。

ショボイ火災だが、その影響は意外にデカい。

いつまでたっても、公式の発表がなされないまま時間だけが過ぎていく。

情けない話だな・・・。

(H-IIBロケット8号機、打ち上げを中止 - 移動発射台から火災が発生:追加)
https://news.mynavi.jp/article/20190911-892617/

「火災発生時の映像を見ると、遠くからでも炎がはっきりと確認でき、かなり激しく燃えたことが分かる。」

「もともと、高熱にさらされる部分であるため、鋼鉄製の構造に、断熱材を塗装している。通常であれば、何かが燃えることは考えにくい場所だ。」

「上部デッキ上に、推進薬・高圧ガス・水等の配管や機体の固定台等の構造を多数配置→噴流で損傷した時の補修が困難」(MLの写真のキャプションより)

「射点に設置されているガス検知器に反応は無かったため、燃料のリークは可能性が低い。」

「H-IIBで使われる移動発射台(ML3)はH-IIB専用」

「今回の打ち上げの予備期間は10月末までとなっており、まだ時間はある。」

既述したように、熱損傷の補修には最低2か月を要する。

合理的に考えれば、予備期間中の再打ち上げはあり得ない。

突貫工事で1か月以内に再打ち上げしたら、H3用にMLを新規開発・製造した理由はウソだったことになるからな・・・。

(H2Bロケット 24日打ち上げで調整:追加)
http://www.news24.jp/nnn/news16343880.html

「火災が起きたのはロケットの噴煙の温度を測る計測器が埋め込まれていた場所の付近」

「計測器周辺で発生した静電気により発火した可能性」

来週24日に打ち上げる方向で、関係機関が調整に入っているそうだが、大丈夫なのかあ?。

打ち上げ中止から2週間。

原因の究明とその対策は十分なのか。

慌てて打ち上げなくてもいいような気もするんだがな。

それとも、何かやんごとなき事情があって焦ってるのかもな・・・。

(発射台の火災、液体酸素に引火 ロケット冷却用、濃度高まる:追加)
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019092001001419.html

「設置していたH2Bロケットのエンジン冷却に使う液体酸素の濃度が高まったのが原因だったことが関係者への取材で20日分かった。液体酸素は通常風で拡散するが、当時は風が弱く濃度が高まったことで近くにあったものが引火しやすくなったらしい。」

「火災は、ロケットの底部分で発生。液体酸素が高濃度になった後、静電気などで着火した可能性があるという。ロケット発射時に炎や噴煙を逃がす発射台の穴部分で、骨格部分を防護している断熱材にも燃えた跡があった。」

高濃度酸素環境では、通常燃えないはずの断熱材も燃えるということか。

しかし、記事の表題は頂けないな(酸素は燃えません!)。

(発射台で火災発生の「H2B」24日未明に打ち上げへ:追加)
https://www.yomiuri.co.jp/science/20190920-OYT1T50258/

「三菱重工業は20日、大型ロケット「H2B」8号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県)から24日午前1時30分頃に打ち上げると発表した。」

「再打ち上げに必要な対策を終えたという。」

対策って、扇風機でも回すのかな(滞留する酸素拡散のため?)。

(H-IIBロケット8号機による宇宙ステーション補給機「こうのとり」8号機(HTV8)の打上げ日について:追加)
https://www.mhi.com/jp/notice/notice_190920.html

「調査の結果、推進薬充填作業中にエンジンの排出口から滴下している酸素が、開口部の耐熱材に吹きかかり続けることで、発生した静電気が発火源となり延焼した可能性が高いことを確認しました。」

「是正対策を実施し、機体・設備については健全性確認を完了いたしました。」

各社の報道では断熱材とあるが、MHIの発表では耐熱材となっている。

(断熱材:追加)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%AD%E7%86%B1%E6%9D%90

「熱抵抗が高い(熱伝導率の低い)素材が用いられることが多い。」

(耐熱材料:追加)
https://www.ihi.co.jp/ia/research/04/index.html

「⑤熱伝導率が高い。」

言葉としては似ているようだが、性質としては真逆のものもあるようだ。

移動発射台に使われていた「耐熱材」が如何なるもので、施された対策が何なのかは分からない(やっぱ、扇風機?)。

それが功を奏するかどうかは、打ち上がってみないと分からないな・・・。

(発射台火災、液体酸素が原因=H2Bロケット、24日未明に再挑戦9/20(金) 19:17配信:追加)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190920-00000137-jij-sctch

「三菱重工によると、エンジンを冷やすための液体酸素が垂れ、移動発射台の開口部にある耐熱材に掛かり続けた。その後、静電気が起きて発火し、耐熱材の下にある断熱材に延焼したという。」

この部分は、時事通信の元記事にはなく、配信後に追加されたようだが、分かり辛い話だ。

(発射台火災、液体酸素が原因=H2Bロケット、24日未明に再挑戦
2019年09月20日19時15分:追加)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019092001156&g=soc

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