米ロ宇宙開発競争の時代始まる:それとも米国の独り勝ちかあ? ― 2020年04月18日 22:28
米ロ宇宙開発競争の時代始まる:それとも米国の独り勝ちかあ?
息が詰まるような話題ばかりの今日この頃(といっても、例によって呼吸困難ではありませんが)、宇宙開発にとって嬉しい話題がニュースに登場している。
(新世代「ソユーズ」ロケット、初の有人飛行に成功 - 進む次世代機の開発)
https://news.mynavi.jp/article/20200417-1018800/
「ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは2020年4月9日、新世代のソユーズ・ロケットである「ソユーズ2.1a」による、初の有人打ち上げに成功した。」
ロシアネタといえば、鳥嶋さんを置いて他はない。
ソユーズと聞いただけで、それは宇宙船なのか、それとも打ち上げロケットなのかから、大混乱が始まり、貨物機プログレスや打ち上げの度に特別仕様が用意されるソユーズロケットだったりして、もう、はちゃめちゃ・・・。
こんかいも、おもちゃ箱ひっくり返して部屋中にまき散らした浮沈子の頭の中を、きれいさっぱり整理して頂いた。
「これによりロシアは、主力ロケットの近代化と脱ウクライナ化を達成。さらに、次世代の有人宇宙船とロケットの開発も進めているが、課題も多い。」
もう、このパラグラフだけで、「ソユーズ2.1a」の意義というか、なぜ、このバージョンが開発されたかの根幹が分かる。
①主力ロケットの近代化
②脱ウクライナ化
③次世代ロケットの開発
しかし、なお、問題が横たわっていることもにおわせている(ロシアの宇宙開発で、問題がなかったことってあったっけえ?)。
まあいい。
一つ一つ見ていこう。
①主力ロケットの近代化
「従来、ソユーズ宇宙船の打ち上げは「ソユーズFG」というロケットで行われていた。」
宇宙船という時、業界ではもっぱら有人用を指す。
貨物機の場合は、「宇宙機」ともいうが、有人機を含めた概念でもあり、貨物機(無人補給船)は貨物機のままでいいかも知れない。
まあ、どっちかといえば、衛星を打ち上げることが多いからな。
フェアリングや分離機構、場合によっては上段ロケット噛まして、「ペイロード」セットにして飛ばす。
ISSへ荷物を運ぶプログレスなどの場合が、どちらかと言えば特殊な扱いになる。
で、貨物機の方の打ち上げは最近は「ソユーズ2」で行われていたらしい。
「2006年からは「ソユーズ2」という新しいロケットがデビュー。」
ここで、従来の「ソユーズFG」からの脱却を図ろうとしているわけだ。
②脱ウクライナ化
では、なぜ従来のFGではイカンのか?。
「なにより重要なのは、ソユーズFGなどではウクライナ製の飛行制御システムを使っていたが、ソユーズ2では国産化に成功したことである。これまではウクライナから購入金額を釣り上げられたり、またウクライナ危機後には入手しにくくなったりといった問題があった」
ロシアも辛い時期を過ごしていたわけだな。
ウクライナとの関係を巡る事情については、こちらの記事に詳しい。
(33年ぶり! 有人宇宙船「ソユーズ」が"無人"で打ち上げられたわけとは?)
https://news.mynavi.jp/article/20190830-886055/
「ソユーズMSの改良点は、まさしくその名のとおり"システム"にある。たとえば、国際宇宙ステーション(ISS)に自動でランデヴー・ドッキングするための「クールス(Kurs)」と呼ばれるシステムが、旧式の「クールスA」から、新型の「クールスNA」へと改良された。」
宇宙船側の問題だが、涙ぐましい話だ・・・。
「旧式のクールスAは、アンテナが可動式、展開式で、もし展開に失敗すればドッキングできなくなる可能性もある。また、クールスAの電子機器を製造しているのはウクライナの企業であり、ロシアにとって入手や使用がしづらいという問題もあった。とくにウクライナ独立後、同社はロシアに対してクールスAの価格を吊り上げるようになり、そのためロシアは、一度使用したクールスAの電子機器を取り外し、スペースシャトルで持ち帰って再使用するといったこともおこなっていたほどである。」
さて、自前の打ち上げロケットを手に入れて、それで満足してはいられない。
③次世代ロケットの開発
「新型宇宙船「フィディラーツィヤ(Federatsiya)」の開発も進んでいる。」
円錐台形のコンサバな宇宙船だが、ソユーズ宇宙船の3人乗りから6人乗りに大型化している。
「月や火星へ飛行できる能力をもつとされ、月へは最大4人を飛ばせるとしている。」
「帰還カプセルのうち、耐熱シールドなどを除く大部分は再使用ができ、運用コストの低減が図られる。」
「現時点で、2023年に無人での試験飛行を、2024年にISSへの無人の試験飛行、そして2025年に初の有人飛行を行うことが計画されている。」
まあ、スケジュールについては、話3年引きくらいに聞いておいた方がいいかも。
「ソユーズ・ロケットもまた、後継機となる「イルティーシュ(Irtysh)」の開発が進んでいる。」
「地球低軌道に約18t、静止トランスファー軌道に約5tの打ち上げ能力をもつ。」
ここにも、ウクライナの影がちらついている。
「ロケットの構成や性能などは、ウクライナが生産していた大型ロケット「ゼニート」に非常によく似ている。ゼニートのエンジンなどはロシア製だったものの、機体全体の生産はウクライナの企業が行っていたため、ウクライナ危機後、ロシアが自由に調達や運用することができなくなった。そこで、このゼニートをロシアの技術で造り直したようなつくりをしている。」
「初打ち上げは2022年の予定」
「将来的には、極東のアムール州に建設されたヴォストーチュヌィ宇宙基地からも打ち上げられるとしている。」
脱ウクライナというトレンドは、将来に渡って続きそうだ。
そして問題点!。
「ロケットも宇宙船も、ソ連時代から次世代機の計画が立ち上がったり、開発が行われたりしたが、なにひとつ実用化できず、こんにちに至っている。」
何しろ金がない。
先立つものがなければ、開発は進まないし、開発のペースが落ちたり途切れたりすれば、人材の育成や世代交代の面でも問題が発生する。
「近年もロケットや衛星の失敗が頻発している。現在もなお、ロシアの宇宙予算は少なく、各プロジェクトに遅れや中止が生じている。」
ああ、そういえば有人打ち上げでも問題起こしたしな。
ロシアの宇宙開発の未来が順風満帆でないことだけは確かなようだ。
「今回のソユーズ2ロケットによる初の有人飛行の成功は、見方を変えれば、いかに新型機の開発に失敗し続けてきたかということを示してもいる。」
逆に言えば、当分、ソユーズ2とソユーズMSで凌いで行けるということなのかもしれない。
枯れた技術に改良を加え、高い信頼性を維持しつつ、高機能化と高可用性を達成する。
しかし、どこかで抜本的に作り変える必要があるんだろうな。
月軌道や惑星軌道に有人宇宙船を進出させるためには、高い打ち上げ能力や高度な有人機能が必要になる。
もはや、ソユーズでは太刀打ちできないわけだ。
その実現が10年掛かろうとも、深宇宙にコミットするためには避けて通れないということになる。
まあいい。
とりあえずは、見かけは変わらずとも衣替えを果たしたソユーズ2の有人打ち上げ成功を祝おう。
余談だが、ソユーズ2.1vのメインエンジンには、かつて月を目指したN-1ロケットのエンジンであるNK-33が使われているという。
(NK-33)
https://ja.wikipedia.org/wiki/NK-33
「N-1計画の中止後も保管されていたNK-33は2010年代以降、ロシアのソユーズ-1(ソユーズ 2.1v)の1段目や、アメリカのアンタレスロケット(5号機まで)の1段目に使用されている。」
既存の技術を使いまわして改良を加え、次世代の技術に繋げていく。
基本だな。
さて、ロシアは向こう3年くらいは食いつないで行けそうだからこの辺にして(そんなあ!)、米国から入ったニュースに移ろう。
(米 有人宇宙船を来月打ち上げへ スペースシャトル以来9年ぶり)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012394151000.html
「NASAは17日、宇宙開発ベンチャー企業「スペースX」が開発中の有人宇宙船「クルードラゴン」に関して、来月27日に宇宙飛行士を乗せた初めての飛行試験を実施すると発表しました。」
NHKにしては、レスポンスが良かったので引用した。
(SpaceX初の有人宇宙飛行、5月27日に打ち上げ。クルーはそのままISSに2~3か月滞在)
https://japanese.engadget.com/jp-2020-04-18-spacex-5-27-iss-2-3.html
「正式な飛行士輸送ミッションはこのDemo-2試験飛行が成功してNASAの承認が下りれば、SpaceXによるISSへの人員輸送定期便として、その第一便がDemo-2クルー帰還から約1か月後に出発する見通しです。」
定期便は、8月か9月からになるという。
(NASA、SpaceXが5月27日を最初のクルーの打ち上げの目標日として設定)
https://spaceflightnow.com/2020/04/17/nasa-spacex-set-may-27-as-target-date-for-first-crew-launch/
「4人の乗組員と共に飛行する宇宙飛行士による2回目のクルードラゴンミッションが8月または9月に開始される可能性」
記事をよく読むと、打ち上げまでにパラシュートテストと、先日のエンジントラブルのレビューが残っている感じだ。
「C-130貨物飛行機からのもう1つのパラシュート落下試験が5月上旬に予定されています。それは、Demo-2の打ち上げ前に計画された最後のパラシュートテストになります。」
「Falcon 9ロケットの最近の打ち上げでのエンジン故障の調査(クルードラゴンの宇宙飛行士を打ち上げるのと同じ設計)も、短期間で完了すると予想」
まあ、長引けば遅れるだけだけどな。
「NASAによると、Demo-2ミッションで飛行中のクルードラゴン宇宙船は、約110日間宇宙ステーションに留まることができます。ハーレーとベンケンの任務の正確な期間は、次回の民間乗務員の打ち上げの準備状況に基づいて決定されると当局は述べた。」
「通常の乗員ローテーションフライトでは、クルードラゴンは、救命ボートおよび返却用の乗り物として最大210日間宇宙ステーションに停泊することが認められています。」
「5月末にローンチできると確信しています。もし私たちが滑れば、おそらく6月になるでしょう。それは多くないでしょう。」
楽観主義が背広着て歩いているようなNASA長官の発言を、まともに聞く気にはなれないけどな。
「SpaceXのCrew DragonとBoeingのStarlinerカプセルは、NASAにステーションを往復するフェリー乗組員のための米国製の船を提供し、乗組員輸送のためのロシアのソユーズ宇宙船への宇宙機関の依存を終わらせます。」
かくも長き不在・・・。
「2011年のスペースシャトルの引退以来」
テストフライトに当たるダグラスハーレーは、最後のフライトとなったSTS-135のパイロットだったという。
(STS-135)
https://ja.wikipedia.org/wiki/STS-135
「乗組員:
・クリストファー・ファーガソン(3)-船長
・ダグラス・ハーリー(2)-パイロット
・サンドラ・マグナス(3)-ミッションスペシャリスト
・レックス・ウォルハイム(3)-ミッションスペシャリスト
※ かっこ内の数字は、今回を含めたフライト経験数。」
この後には、気になる記述もあるけどな。
「エピソード:
シャトルの初飛行であるSTS-1に搭載された星条旗がSTS-135にも搭載されて運ばれ、「米国が再び新たな有人宇宙船を開発して必ず回収しに来る」という意味を込めてハーモニーのハッチに設置された。」
今も、ハーモニーに積まれているんだろうか(未確認:行って見て来たわけじゃないけど、まだあるみたい)。
(File:STS-135ハーモニーのハッチと米国旗-クローズアップ:英語版ウィキのリンクから)
https://en.wikipedia.org/wiki/File:STS-135_Harmony%27s_hatch_with_U.S._flag_-_closeup_-_cropped.jpg
「米国から打ち上げられた次の乗組員が地球に戻すためにそれを回収するまで、船内に残ります。」
そして、ダグハーレーは、その星条旗を自ら回収できるんだろうか。
断トツの宇宙大国としての威信をかけて、自前の有人機を開発してきた米国(オリオン宇宙船とかもあるけどな)。
新規開発に呻吟するロシアを尻目に、決定打を放つことができるんだろうか。
それともCST-100(スターライナー)の二の舞くらって、ISSに辿り着けなかったりするんだろうか(想定外かあ?)。
新型コロナ渦巻く中、米ロの宇宙開発は再び競争の時代を迎えつつあるのかも知れない(そうあって欲しいけどな)。
余談だが、中国は4月9日、虎の子のロケットの打ち上げに失敗した。
(中国、主力ロケット「長征三号乙」の打ち上げに失敗 - 宇宙計画に大打撃か)
https://news.mynavi.jp/article/20200414-1016840/
「ロケットは軌道に乗ることなく、太平洋上空で大気圏に再突入した。グアムでは、再突入したロケットが、流れ星のように空を横切る様子が目撃されている。」
「これまでに124機が打ち上げられており、失敗は7機。また、近年は失敗がほとんどなく、世界でも信頼性の高いロケットのひとつでもあった。」
「長征三号は設計が古くなりつつあることから、新型ロケット「長征七号甲」が開発されたが、2020年3月17日に初の打ち上げを行うも失敗に終わっている。」
「中国にとっては1か月足らずで2回の打ち上げ失敗となり、それも主力ロケットと、その後継機が相次いで失敗」
やれやれ・・・。
まあいい。
長征5号の復活で、中国の宇宙開発は勢いに乗ったと思ってたんだがな。
宇宙競争に参加するのも楽じゃなさそうだな・・・。
息が詰まるような話題ばかりの今日この頃(といっても、例によって呼吸困難ではありませんが)、宇宙開発にとって嬉しい話題がニュースに登場している。
(新世代「ソユーズ」ロケット、初の有人飛行に成功 - 進む次世代機の開発)
https://news.mynavi.jp/article/20200417-1018800/
「ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは2020年4月9日、新世代のソユーズ・ロケットである「ソユーズ2.1a」による、初の有人打ち上げに成功した。」
ロシアネタといえば、鳥嶋さんを置いて他はない。
ソユーズと聞いただけで、それは宇宙船なのか、それとも打ち上げロケットなのかから、大混乱が始まり、貨物機プログレスや打ち上げの度に特別仕様が用意されるソユーズロケットだったりして、もう、はちゃめちゃ・・・。
こんかいも、おもちゃ箱ひっくり返して部屋中にまき散らした浮沈子の頭の中を、きれいさっぱり整理して頂いた。
「これによりロシアは、主力ロケットの近代化と脱ウクライナ化を達成。さらに、次世代の有人宇宙船とロケットの開発も進めているが、課題も多い。」
もう、このパラグラフだけで、「ソユーズ2.1a」の意義というか、なぜ、このバージョンが開発されたかの根幹が分かる。
①主力ロケットの近代化
②脱ウクライナ化
③次世代ロケットの開発
しかし、なお、問題が横たわっていることもにおわせている(ロシアの宇宙開発で、問題がなかったことってあったっけえ?)。
まあいい。
一つ一つ見ていこう。
①主力ロケットの近代化
「従来、ソユーズ宇宙船の打ち上げは「ソユーズFG」というロケットで行われていた。」
宇宙船という時、業界ではもっぱら有人用を指す。
貨物機の場合は、「宇宙機」ともいうが、有人機を含めた概念でもあり、貨物機(無人補給船)は貨物機のままでいいかも知れない。
まあ、どっちかといえば、衛星を打ち上げることが多いからな。
フェアリングや分離機構、場合によっては上段ロケット噛まして、「ペイロード」セットにして飛ばす。
ISSへ荷物を運ぶプログレスなどの場合が、どちらかと言えば特殊な扱いになる。
で、貨物機の方の打ち上げは最近は「ソユーズ2」で行われていたらしい。
「2006年からは「ソユーズ2」という新しいロケットがデビュー。」
ここで、従来の「ソユーズFG」からの脱却を図ろうとしているわけだ。
②脱ウクライナ化
では、なぜ従来のFGではイカンのか?。
「なにより重要なのは、ソユーズFGなどではウクライナ製の飛行制御システムを使っていたが、ソユーズ2では国産化に成功したことである。これまではウクライナから購入金額を釣り上げられたり、またウクライナ危機後には入手しにくくなったりといった問題があった」
ロシアも辛い時期を過ごしていたわけだな。
ウクライナとの関係を巡る事情については、こちらの記事に詳しい。
(33年ぶり! 有人宇宙船「ソユーズ」が"無人"で打ち上げられたわけとは?)
https://news.mynavi.jp/article/20190830-886055/
「ソユーズMSの改良点は、まさしくその名のとおり"システム"にある。たとえば、国際宇宙ステーション(ISS)に自動でランデヴー・ドッキングするための「クールス(Kurs)」と呼ばれるシステムが、旧式の「クールスA」から、新型の「クールスNA」へと改良された。」
宇宙船側の問題だが、涙ぐましい話だ・・・。
「旧式のクールスAは、アンテナが可動式、展開式で、もし展開に失敗すればドッキングできなくなる可能性もある。また、クールスAの電子機器を製造しているのはウクライナの企業であり、ロシアにとって入手や使用がしづらいという問題もあった。とくにウクライナ独立後、同社はロシアに対してクールスAの価格を吊り上げるようになり、そのためロシアは、一度使用したクールスAの電子機器を取り外し、スペースシャトルで持ち帰って再使用するといったこともおこなっていたほどである。」
さて、自前の打ち上げロケットを手に入れて、それで満足してはいられない。
③次世代ロケットの開発
「新型宇宙船「フィディラーツィヤ(Federatsiya)」の開発も進んでいる。」
円錐台形のコンサバな宇宙船だが、ソユーズ宇宙船の3人乗りから6人乗りに大型化している。
「月や火星へ飛行できる能力をもつとされ、月へは最大4人を飛ばせるとしている。」
「帰還カプセルのうち、耐熱シールドなどを除く大部分は再使用ができ、運用コストの低減が図られる。」
「現時点で、2023年に無人での試験飛行を、2024年にISSへの無人の試験飛行、そして2025年に初の有人飛行を行うことが計画されている。」
まあ、スケジュールについては、話3年引きくらいに聞いておいた方がいいかも。
「ソユーズ・ロケットもまた、後継機となる「イルティーシュ(Irtysh)」の開発が進んでいる。」
「地球低軌道に約18t、静止トランスファー軌道に約5tの打ち上げ能力をもつ。」
ここにも、ウクライナの影がちらついている。
「ロケットの構成や性能などは、ウクライナが生産していた大型ロケット「ゼニート」に非常によく似ている。ゼニートのエンジンなどはロシア製だったものの、機体全体の生産はウクライナの企業が行っていたため、ウクライナ危機後、ロシアが自由に調達や運用することができなくなった。そこで、このゼニートをロシアの技術で造り直したようなつくりをしている。」
「初打ち上げは2022年の予定」
「将来的には、極東のアムール州に建設されたヴォストーチュヌィ宇宙基地からも打ち上げられるとしている。」
脱ウクライナというトレンドは、将来に渡って続きそうだ。
そして問題点!。
「ロケットも宇宙船も、ソ連時代から次世代機の計画が立ち上がったり、開発が行われたりしたが、なにひとつ実用化できず、こんにちに至っている。」
何しろ金がない。
先立つものがなければ、開発は進まないし、開発のペースが落ちたり途切れたりすれば、人材の育成や世代交代の面でも問題が発生する。
「近年もロケットや衛星の失敗が頻発している。現在もなお、ロシアの宇宙予算は少なく、各プロジェクトに遅れや中止が生じている。」
ああ、そういえば有人打ち上げでも問題起こしたしな。
ロシアの宇宙開発の未来が順風満帆でないことだけは確かなようだ。
「今回のソユーズ2ロケットによる初の有人飛行の成功は、見方を変えれば、いかに新型機の開発に失敗し続けてきたかということを示してもいる。」
逆に言えば、当分、ソユーズ2とソユーズMSで凌いで行けるということなのかもしれない。
枯れた技術に改良を加え、高い信頼性を維持しつつ、高機能化と高可用性を達成する。
しかし、どこかで抜本的に作り変える必要があるんだろうな。
月軌道や惑星軌道に有人宇宙船を進出させるためには、高い打ち上げ能力や高度な有人機能が必要になる。
もはや、ソユーズでは太刀打ちできないわけだ。
その実現が10年掛かろうとも、深宇宙にコミットするためには避けて通れないということになる。
まあいい。
とりあえずは、見かけは変わらずとも衣替えを果たしたソユーズ2の有人打ち上げ成功を祝おう。
余談だが、ソユーズ2.1vのメインエンジンには、かつて月を目指したN-1ロケットのエンジンであるNK-33が使われているという。
(NK-33)
https://ja.wikipedia.org/wiki/NK-33
「N-1計画の中止後も保管されていたNK-33は2010年代以降、ロシアのソユーズ-1(ソユーズ 2.1v)の1段目や、アメリカのアンタレスロケット(5号機まで)の1段目に使用されている。」
既存の技術を使いまわして改良を加え、次世代の技術に繋げていく。
基本だな。
さて、ロシアは向こう3年くらいは食いつないで行けそうだからこの辺にして(そんなあ!)、米国から入ったニュースに移ろう。
(米 有人宇宙船を来月打ち上げへ スペースシャトル以来9年ぶり)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200418/k10012394151000.html
「NASAは17日、宇宙開発ベンチャー企業「スペースX」が開発中の有人宇宙船「クルードラゴン」に関して、来月27日に宇宙飛行士を乗せた初めての飛行試験を実施すると発表しました。」
NHKにしては、レスポンスが良かったので引用した。
(SpaceX初の有人宇宙飛行、5月27日に打ち上げ。クルーはそのままISSに2~3か月滞在)
https://japanese.engadget.com/jp-2020-04-18-spacex-5-27-iss-2-3.html
「正式な飛行士輸送ミッションはこのDemo-2試験飛行が成功してNASAの承認が下りれば、SpaceXによるISSへの人員輸送定期便として、その第一便がDemo-2クルー帰還から約1か月後に出発する見通しです。」
定期便は、8月か9月からになるという。
(NASA、SpaceXが5月27日を最初のクルーの打ち上げの目標日として設定)
https://spaceflightnow.com/2020/04/17/nasa-spacex-set-may-27-as-target-date-for-first-crew-launch/
「4人の乗組員と共に飛行する宇宙飛行士による2回目のクルードラゴンミッションが8月または9月に開始される可能性」
記事をよく読むと、打ち上げまでにパラシュートテストと、先日のエンジントラブルのレビューが残っている感じだ。
「C-130貨物飛行機からのもう1つのパラシュート落下試験が5月上旬に予定されています。それは、Demo-2の打ち上げ前に計画された最後のパラシュートテストになります。」
「Falcon 9ロケットの最近の打ち上げでのエンジン故障の調査(クルードラゴンの宇宙飛行士を打ち上げるのと同じ設計)も、短期間で完了すると予想」
まあ、長引けば遅れるだけだけどな。
「NASAによると、Demo-2ミッションで飛行中のクルードラゴン宇宙船は、約110日間宇宙ステーションに留まることができます。ハーレーとベンケンの任務の正確な期間は、次回の民間乗務員の打ち上げの準備状況に基づいて決定されると当局は述べた。」
「通常の乗員ローテーションフライトでは、クルードラゴンは、救命ボートおよび返却用の乗り物として最大210日間宇宙ステーションに停泊することが認められています。」
「5月末にローンチできると確信しています。もし私たちが滑れば、おそらく6月になるでしょう。それは多くないでしょう。」
楽観主義が背広着て歩いているようなNASA長官の発言を、まともに聞く気にはなれないけどな。
「SpaceXのCrew DragonとBoeingのStarlinerカプセルは、NASAにステーションを往復するフェリー乗組員のための米国製の船を提供し、乗組員輸送のためのロシアのソユーズ宇宙船への宇宙機関の依存を終わらせます。」
かくも長き不在・・・。
「2011年のスペースシャトルの引退以来」
テストフライトに当たるダグラスハーレーは、最後のフライトとなったSTS-135のパイロットだったという。
(STS-135)
https://ja.wikipedia.org/wiki/STS-135
「乗組員:
・クリストファー・ファーガソン(3)-船長
・ダグラス・ハーリー(2)-パイロット
・サンドラ・マグナス(3)-ミッションスペシャリスト
・レックス・ウォルハイム(3)-ミッションスペシャリスト
※ かっこ内の数字は、今回を含めたフライト経験数。」
この後には、気になる記述もあるけどな。
「エピソード:
シャトルの初飛行であるSTS-1に搭載された星条旗がSTS-135にも搭載されて運ばれ、「米国が再び新たな有人宇宙船を開発して必ず回収しに来る」という意味を込めてハーモニーのハッチに設置された。」
今も、ハーモニーに積まれているんだろうか(未確認:行って見て来たわけじゃないけど、まだあるみたい)。
(File:STS-135ハーモニーのハッチと米国旗-クローズアップ:英語版ウィキのリンクから)
https://en.wikipedia.org/wiki/File:STS-135_Harmony%27s_hatch_with_U.S._flag_-_closeup_-_cropped.jpg
「米国から打ち上げられた次の乗組員が地球に戻すためにそれを回収するまで、船内に残ります。」
そして、ダグハーレーは、その星条旗を自ら回収できるんだろうか。
断トツの宇宙大国としての威信をかけて、自前の有人機を開発してきた米国(オリオン宇宙船とかもあるけどな)。
新規開発に呻吟するロシアを尻目に、決定打を放つことができるんだろうか。
それともCST-100(スターライナー)の二の舞くらって、ISSに辿り着けなかったりするんだろうか(想定外かあ?)。
新型コロナ渦巻く中、米ロの宇宙開発は再び競争の時代を迎えつつあるのかも知れない(そうあって欲しいけどな)。
余談だが、中国は4月9日、虎の子のロケットの打ち上げに失敗した。
(中国、主力ロケット「長征三号乙」の打ち上げに失敗 - 宇宙計画に大打撃か)
https://news.mynavi.jp/article/20200414-1016840/
「ロケットは軌道に乗ることなく、太平洋上空で大気圏に再突入した。グアムでは、再突入したロケットが、流れ星のように空を横切る様子が目撃されている。」
「これまでに124機が打ち上げられており、失敗は7機。また、近年は失敗がほとんどなく、世界でも信頼性の高いロケットのひとつでもあった。」
「長征三号は設計が古くなりつつあることから、新型ロケット「長征七号甲」が開発されたが、2020年3月17日に初の打ち上げを行うも失敗に終わっている。」
「中国にとっては1か月足らずで2回の打ち上げ失敗となり、それも主力ロケットと、その後継機が相次いで失敗」
やれやれ・・・。
まあいい。
長征5号の復活で、中国の宇宙開発は勢いに乗ったと思ってたんだがな。
宇宙競争に参加するのも楽じゃなさそうだな・・・。
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