日傘と宇宙望遠鏡の怪しい関係:宇宙ビジネスの正しい展開方法をS社に学ぶ?2020年04月30日 19:02

日傘と宇宙望遠鏡の怪しい関係:宇宙ビジネスの正しい展開方法をS社に学ぶ?


ISTロケットの打ち上げを妨害され、大むくれのホリエモン。

(MOMO5号機の打ち上げは一旦白紙へ、再開の見通しは極めて不透明な状況に)
https://news.mynavi.jp/article/20200430-1026696/

「今日すごく嫌なことされたので大樹町民やめます」(前日4月28日のツイッターより)

「インターステラテクノロジズ(IST)は4月28日、5月2日~6日に実施予定だった観測ロケット「MOMO5号機」の打ち上げを延期すると発表」

「同社は5号機の打ち上げを成功させ、MOMOの本格的な事業化・量産化に繋げる考えだった。そこで収益を上げつつ、ZEROの開発を進める予定」

つまり、MOMOの収益でさらに儲けが期待できるZEROを開発するという、健全な企業精神なわけだ。

「今回の食い違いは、「安心」と「安全」の対立にも見える」

「この「しこり」を解消できるか、それとも大きくなってしまうのか。両者の関係に生じた微妙な変化がやや気になるところだ。」

うーん、この構図、どっかで聞いたことがあるような気がしていたんだが、さっきスペースフライトナウを眺めていて、ああ、これかと思い出した。

(SpaceX、Starlinkの打ち上げで衛星減光サンシェードを来月デビューさせる)
https://spaceflightnow.com/2020/04/28/spacex-to-debut-satellite-dimming-sunshade-on-starlink-launch-next-month/

「SpaceXは新しい遮光パネルを試して、宇宙飛行士や天文学者から宇宙船が見えなくなるようにします。」

「SpaceXは、米国およびその他の国における科学の進歩に取り組んでいます」

「私たちは世界中の施設に干渉しないように最善を尽くします。」

スターリンクの試験衛星群(最初の2機の次に打ち上げられた60機のヘンタイ:もとい、編隊のこと)以来、衛星が太陽光を反射して天体観測に悪影響を与える話は、散々報道されてきた。

浮沈子は、天文学者の世迷言など放っておけばいいと思っていたが、S社は熱心にその改善に取り組んでいる(ように見える)。

はて、随分お人好しな企業だと思ったが、それにはワケがあった。

「SpaceXは、スターリンクのインターネットビジネスから、スターシップの開発に資金を提供すると述べています。」

いや、もちろん、スターリンクはS社にとってのドル箱になるだろうが、別に天文学コミュニティーに媚を売る必要はないんじゃないかあ?。

「Starshipには、衛星、ペイロード、乗組員、貨物をさまざまな軌道や地球、月、または火星の着陸地点まで輸送する機能があります」

「Starshipのペイロードエンベロープは、他の既存のロケットよりも大幅に大きくなっています。」

「その直径は約30フィート(9メートル)になり、Starshipは、ミラーを折り畳んでペイロードフェアリング内に収める必要なく、大きな望遠鏡を打ち上げることができます。」

ははあ、天文学コミュニティーは、S社にとって、将来の大切な顧客ということなわけだ。

仮に、黒色塗装やサンシェードの効果が限られていたとしても、問題に積極的に取り組む姿勢を見せることで「お客様」に好印象を売ることができる(そういうことかあ?)。

「これにより、宇宙望遠鏡を少なくとも軌道に運ぶことができ、おそらくこれまでよりも桁違いに低コストです」

何十年も前から構想、計画されながら、未だにいつになったら打ち上げられるかの目途も立たないJWSTを意識した、辛らつな表現だな。

(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%96%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1

「2003年の時点では、2010年に観測活動を終えることになっていたHSTの後継機として2011年打ち上げが予定されていた。」

「2017年9月末には、各種機器の統合が想定より遅れていることから、さらに2019年3~6月に遅れる見込みであることが公表された」

「2018年6月、音響試験中に発見された異常により、ネジの緩みがあったことが明らかになったため、打ち上げは2021年3月30日に再延期されることになった」

打上げは、アリアン5で行われる予定だが、そのフェアリングに収めるために、複雑な折り畳み構造となっていることが開発を難航させ、大幅な遅れの一因になっていることは周知だからな。

天文観測の妨害となっているスターリンク衛星を成功させれば、天文学コミュニティーにとっても大きな恩恵が待っているという構図なわけだ(そうなのかあ?)。

もうちっとタカビーに出てもいいかも知れないが、ここは商売優先だからな。

将来の大切なお客様のご機嫌を取っておくに越したことはない。

まあ、どうでもいいんですが。

ワンウェブの破産を受けて、今や独走態勢を気付きつつあるスターリンク。

この業界で、唯一の成功を収めるかどうかは、全世界が注目するところだ。

スターシップの開発に成功するかどうかということは、スターリンクの成功を確実なものにするという点でも重要だからな。

一度の打ち上げで400機のスターリンク衛星を上げる巨大ロケット。

将来の1万2千機のヘンタイ(編隊です)を構築するには、ファルコン9を毎週上げても足りない(衛星寿命5年として、維持だけでも毎年2400機を上げ続けなければならず、ファルコン9だと40回の打ち上げとなる:初期配備も必要だしな)。

1回当たりの打ち上げコストがファルコン9を下回ると言われるスターシップがなければ、スターリンクが実現するインターネットサービスの恩恵も限られたものになってしまう。

スターシップは、同社にとって、火星移民という稀有壮大な目的を達成するために不可欠のツールだしな。

スターシップに稼いでもらわなければ、それも実現不可能になる。

天文学コミュニティーに媚を売るのは、そりゃあイーロンマスクの天文学的な関心もあるんだろうが、商売上の理由の方が大きいに違いない。

あわよくば、その天文観測衛星(宇宙望遠鏡)の製造だって請け負いたいに決まっている(未確認)。

仮に、JWSTが成功し、折り畳み方式がものになると分かれば、直径9mのシュラウドの中に、展開すれば直径100m位になる宇宙望遠鏡を仕込むことができるかもしれない(未確認)。

折り畳み衛星を作り、高密度実装して宇宙空間で展開するノウハウは、同社の十八番だしな。

天文学コミュニティーに対して、モーレツ売り込みを掛ける下地はできている。

30m望遠鏡なんて、既に時代遅れかもしれない。

(30メートル望遠鏡)
https://ja.wikipedia.org/wiki/30%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1

「2019年7月~8月、建設工事が開始された直後に、ハワイ人およびオハナがプウ・フルフル前のマウナケア・アクセス道路を封鎖するなどの実力行使に出たため、建設が中断している」

その後の実態はよく分らない。

「知事と彼の政権の他の人々は望遠鏡の建設をめぐって死の脅威を受けました。」(英語版ウィキより)

穏やかな話じゃない。

そういう懸念もある地上観測なんて見切りをつけて、同じ予算で10倍の集光能力を持ち、天候に左右されず、いつでも観測可能な宇宙望遠鏡を10台くらい確保できると丸め込まれたらどーする!?。

浮沈子だって、心が動かされる気がするな。

ゆくゆくは、月の裏側とか火星の上などに設置することが可能になるかも知れないしな(火星上には、余りメリットがないような気もするけど)。

まあ、どうでもいいんですが。

こういう壮大な妄想の翼を羽ばたかせた後に、ISTの記事を読み返すと、地元との関係についても異なるアプローチが必要なのではないかという気がする。

「今まで町からの広報が少なかったかもしれない」

「ISTの活動をよく理解してもらうために、今後は開発プロセスなども可能な限り町民と共有し、安心してもらえる環境を作っていきたい」

行政が考えそうな、消極的、後ろ向きの発想に思える。

(大樹町)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%A8%B9%E7%94%BA

「基幹産業は酪農、漁業である。」

有人ロケットに町民を乗せて飛ばすのはしばらく先になるかも知れないが、牛一頭丸ごと載せて無事に回収するとか、そういう夢のある共生ミッションを推進するなど、価値の共有が大切なのではないか(宇宙空間に出ると、牛乳が美味しくなるかどうかは知りませんが)。

まあ、浮沈子の浅知恵などより、いい考えがあるに違いない。

IST側も、行政の誘致に乗っかるだけではなく、地元との価値の共有を一層図る必要がある気がする。

今回の打ち上げ延期は残念だが、それはとりもなおさず、新型コロナの状況を理解することなく、大樹町に押しかけてしまう我々自身の責任でもある(浮沈子は行ったことないですが)。

ロケットで稼いで、より大きなロケットを作ることが、地元の利益に直結しなければ理解は得られないだろう。

精神論だけじゃなくって、形になるものが必要だからな。

21世紀は宇宙開発が国威発揚のツールから、民間主導の利益追求産業に移行する過渡期だ。

同時に、宇宙軍の創設に見るように、戦争の舞台としてあからさまになっていく時代でもある。

もともと、軍事技術として発達してきた歴史もあるしな。

金儲けという健全な動機を持ち込むことができれば、平和利用の分野が大いに拡大することになる。

その意味でも、ISTと大樹町にはいい関係を保ってもらいたいものだ。

(軌道投入ロケット ZERO)
http://www.istellartech.com/technology/zero

「開発コードネーム「ZERO」は100kg以内のペイロードを高度500km程度の軌道上に投入します。」

牛一頭はちょっと無理みたいだな(仔牛くらいか)。

スペースも少し小さい(高さ1.3m、直径1.2mの円筒形)。

回収方法を工夫しないと、往還機としての運用は難しいだろう。

エレクトロンのように、ヘリコプターでキャッチするとかしないとな・・・。

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