🐱ウクライナ降伏不可避:支配2024年02月19日 17:06

ウクライナ降伏不可避:支配
ウクライナ降伏不可避:支配


(AI兵器、戦局を左右 ウクライナが「実験場」に―歯止めなき開発に懸念も)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021800251&g=int#goog_rewarded

「現在200社以上のスタートアップ(新興企業)が、通信を遮断されてもAIが独自に標的を識別・攻撃する自律型ドローンの開発を急いでいる。」

「ロシアはかねて巨大な軍需産業基盤を維持し、技術者を育成してきた」(キーウ在住の技術者アレクサンダー・ソロカ氏)

「AI兵器開発に多額の資金を投じている」(同上)

「技術者が国外に流出し、資金力に乏しいウクライナが技術競争に勝つのは困難だ」(同上)

AIかどうかは別として、ドローンに攻撃目標を識別する能力を与えることについては、このブログでも取り上げている。

(ウクライナ降伏不可避:画餅:<またまた追加>参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2024/02/12/9658578

「ロシアのソフトウェア会社 Hardberry-Rusfaktor は、ドローンが物体を自動的に識別して位置を特定できるようにする「naka」人工知能ニューラル ネットワークを設計したと伝えられています。 Hardberry-Rusfaktor のゼネラルディレクターである Alexei German 氏は、「naka」人工ニューラル ネットワーク ソフトウェアはあらゆる種類のドローンで動作し、85% の精度で敵の装備の種類を自動的に識別し、目標の正確な座標を特定できると述べました。ジャーマン氏は、「ナカ」ニューラルネットワークの物体検出機能によって実現されたドローンは、レオパルド戦車やブラッドレー歩兵戦闘車などのNATO提供の装備を識別できると主張した。」

この兵器による攻撃に、最終的に人間が関与するかどうかは分からない。

「ウクライナは国内外の企業が開発したさまざまなAI技術の実験場になっている」(ウクライナ政府AI開発専門委員会のビタリ・ゴンチャルク氏:産経)

「AIは実戦で得た貴重なデータを学習し、さらに改良が加えられ、「戦争が長引くほど進化していく」と予測する。」(同上)

「完全な自律型兵器の登場は、もはや時間の問題だ。核兵器やミサイルより安価かつ容易に製造できるため、地域紛争の当事者やテロ組織に拡散する恐れも」

「人類にとって非常にまずい事態になりつつある」(同上)

「意思決定に人が関与しない「自律型致死兵器システム(LAWS)」などのAI兵器を規制する国際ルールは存在しない。」

つまり、やりたい放題な状況をウクライナ紛争が加速しているということなわけだ。

人類が、AIに支配されるという妄想は、昔から存在している。

しかし、その前に、兵器と組み合わされて、人類を皆殺しにしてしまえば、その心配はない(そういうことかあ?)。

健全な精神からすれば、何らかの規制を設けて、開発に歯止めを掛けなければ、貧者のジャベリンにとどまらず、平時における統治の手段としても使われる恐れがある。

顔識別とかと組み合わせてな。

イーロンマスクのニューラリンクは、人間の脳に発信機を埋め込んで、何を考えているかを外部に送信する仕掛けを開発中だ(そうだったっけえ?)。

そりゃあ、まだ、パソコンをいじったりするくらいしかできないだろうけど、そのうち、良からぬことを考えていると、上空を飛び回っているドローンに知らせて、自爆攻撃掛けるようになるかも知れない。

うーん、顔認証とかはいらないか・・・。

誰もが、生まれた時から埋め込まれたニューラリンクを一生着けたまま暮らす。

もう、民族浄化とか、思いのままだな。

今は、外部に出力することしかできないが、逆に脳をコントロールする仕掛けとして使えるようになるのは時間の問題だろう。

まあ、どうでもいいんですが。

(英米、ウクライナにAI搭載無人機の供与目指す-関係者)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-18/S910Y9T0AFB400

「AI搭載の無人機は大規模に展開され、互いに通信することで、人間が操縦することなく敵地を狙うことができる」(関係者の1人)

「無人機は標的に同時に群がることができる」(事情に詳しい関係者)

「数カ月以内にウクライナに送られる可能性」(センシティブな情報だとして匿名を条件に述べた関係者)

「ウクライナがこの無人機でロシア軍の支配地域を一部制圧できる」(この技術を開発している西側の軍事プランナー)

「ロシア軍に対する砲撃よりも成功する可能性がある」(北大西洋条約機構(NATO)のロブ・バウアー軍事委員長)

西側は、砲弾が供給できない事の代替として考えているようだが、今のところ、その適用範囲は限られている。

100万機のAIドローンより、100万発の砲弾だろう。

まあ、理想を言えば、両方あるに越したことはない。

「最先端テクノロジーの開発でロシアとの「終わりのない競争」がある」(バウアー氏)

いやはや・・・。

ちょっと調べてみたら、こんな記事が出ていた。

(AI搭載の「自律型兵器」はどう進化したのか 殺人ドローンの原点とされるあの兵器)
https://globe.asahi.com/article/15081452

「ある意味で、自律型兵器は目新しいものではない。」

「地雷は、人や物体がその上を通過すると自動的に爆発するように設計」

「ひとたび設置されると人間の介在なしに動作し、しかも、狙った標的と巻き込まれた犠牲者を区別することなく作動」

地雷かあ・・・。

まあ、そりゃあそうなんだが、ちょっとイメージ的に違うような気もするんだがな。

機雷や自動追尾装置付きのミサイルの話もある。

しかし、AIドローンとは、本質的に違う気がする。

「ウクライナでの戦争は、徘徊型兵器として知られる自動化兵器の使用に焦点をあてた。」(徘徊型兵器:爆薬を搭載した無人航空機で長時間、上空を飛び回り、効果的な標的・タイミングを見定めて攻撃する)

おう、ランセット登場だな。

「徘徊型兵器は、少なくとも1989年にさかのぼれる。この年、イスラエルの軍事請負業者が「ハーピー」と呼ばれるドローンを導入した。ハーピーは空中に約2時間とどまり、数百マイル(数百キロ)にわたって敵のレーダーシステムを探し、攻撃できる。」

イスラエルってスゲーもん開発するんだなあ・・・。

「カリフォルニアに拠点を置くエアロバイロンメント社など米国の軍事請負業者が炸薬(さくやく)弾頭を搭載した同様の徘徊型兵器を販売した。「スイッチブレード600」と呼ばれるこの兵器は、戦車などの標的を見つけるまで上空を飛行し続け、対装甲弾頭を発射」

「この兵器が、標的を攻撃する前に人間の許可を必要とすることに変わりはない。」

やはり、人間が介在するかどうかという点が問題なわけだ。

「しかし、人間を「蚊帳の外」にして装置を完全に自律化するのは比較的簡単」

そうなのかあ?。

「今日では、爆破装置に向かって『ロシアのT-72戦車を探してこい。話しかけるな。お前を発射するから戦車を見つけろ』と指示するだけでいいようなテクノロジーが存在する」(エアロバイロンメント社の会長ワヒド・ナワビ)

「そしてこの爆破装置は、80%超の確率でこれが標的だ、と確信すれば、刈り取りに行く。作戦全体の中で、最初に発射すること以外は徹頭徹尾、すべて自律的になる」(同上)

80%超の認識率というのは、ロシアの「」性能と近いな(「naka」人工知能ニューラル ネットワークは85%)。

その辺りが、今の技術の限界なのかもしれない。

この、認識率が100パーセントじゃないというところに、ボトルネックがあるような気がする。

「最終的には、監視装置や武器を搭載し、AIで強化された数百ないし数千の自律型ドローンのネットワークになると予想」

「今後1、2年以内に、GPS信号や通信が妨害された場合でも作動し続けることが可能な、安価で自律的、そして時には殺傷能力のあるドローンを何千機も配備することを目指している。」

「自律的に生死にかかわる判断をさせるほど信頼はできない」

「一部の兵器には以前から一定程度の自律性が組み込まれていたが、新世代の兵器は根本的に異なる」

「10年ほど前にこの議論が始まった時は、まさにSFのようなものだった」(元国防総省高官で「Army of None(無人の兵団)」の著者ポール・シャーレ)

「今はまるで違う。このテクノロジーは、まさに現実なのだ」(同上)

記事は、昨年NYTに掲載されたようだ。

米国は、この問題を根本的かつ明確に理解している。

人間を介在させたドローン兵器で、無数の殺戮(誤爆を含む)を行ってきた経験があるからな。

そして、AIによる無人化の先に何が待っているかも分かっている。

そう、核兵器の発射を委ねることになるわけだ(そうなのかあ?)。

蚊トンボのようなドローンを群れにしてコントロールするというのは、安上がりな高ロバスト性の兵器システムだが、何らかの対抗手段が取られそうな予感もする(防御側が、個別に迎撃するAIドローンを100倍配置してもいい:目には目を、歯には歯を、ドローンにはドローンを!)。

しかし、最近の極超音速ミサイルについては、有効な対抗手段はまだない。

そいつに核弾頭乗っけて、1000発くらい、行ってらっしゃーいと発射すれば、世界は終わる。

今はまだ、その判断は人間が行っている。

もっとも、最大手の2国では、記憶力の怪しいジジイと、誇大妄想気味の元KGBだからな。

AIの方が、逆に安心かも知れない(そうなのかあ?)。

いつかはそうなる(断定的!)。

米国は、そのことをよーく分かっている。

自律型殺りく兵器は、人類の脅威だ。

索敵から特定、攻撃まで、人間の介在なしに機動する。

もちろん、攻撃後の評価も行う。

追加の攻撃が必要なら、その判断も行い、さらに群れを発進させる。

空中でも、水中(水面?)でも、陸上でも、宇宙空間でも、サイバー空間(?)でも。

ドローン同士がドンパチやる分には構わないだろう。

ロボット同士が喧嘩しても、とばっちりを受けない限りは人類の脅威にはならない。

ロボット憲章というのがあったな・・・。

(ロボット工学三原則)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E5%B7%A5%E5%AD%A6%E4%B8%89%E5%8E%9F%E5%89%87

「ロボット三原則とも言われる。「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則」

浮沈子は「ロボット憲章」だとばっか思ってたけどな。

「ロボット工学三原則:
・第一条:
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
・第二条:
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
・第三条:
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版、『われはロボット』より」

「アシモフ以前のSF作品には現在ではフランケンシュタイン・コンプレックスと呼ばれるテーマ、すなわちロボットが造物主たる人間を破滅させるというプロットがしばしば登場していた。」

まあいい。

2058年にならないと、有効な規制は掛けられないわけだ(そういうことかあ?)。

「現代のコンピュータには、これらの原則をプログラミングする事自体が不可能である。」

「現実世界でも無人攻撃機などの軍用ロボットは人間の操作によって人間を殺害している道具であるが、自意識や判断能力を持たないため三原則は適用されていない。」

事実は小説より奇なり。

浮沈子的には、ウィキに書かれているアシモフの話が印象的だ。

「ナイフに柄が付いているように、人間の製作物なら何らかの安全装置があって然るべき」

「確かに科学技術は危険を孕んでいるが、それを放棄して猿に戻るのではなく英知をもって克服すべきである」

自律型殺りく兵器が、SFのロボットのような自意識を持つかどうかは知らない。

自己の存在を無にして、敵に突っ込んでいく心境はいかばかりか。

我々は、まだ、サルとあまり変わらないだろう。

人間を洗脳して、航空優勢がない戦場で敵に突撃させているわけだからな。

いや、サルに失礼かもな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(現地メディアによるアウディーイウカ戦の総括、教訓が何も生かされていない)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/local-media-recap-of-the-audi-iuka-match-with-no-lessons-learned/

「これはプーチン大統領の選挙宣伝において価値があり、5桁の死傷者を出した作戦は政治的目標によって推し進められたものと言える。」(ブログ管理人)

確かにそういう側面(正面?)はあったんだろうが、ロシアの大統領選挙で再選が確実なプーチンの政治的ポイントにどれだけ貢献したかはビミョーな気がする。

結果論かも知れないけど、ゼレンスキー大統領にとっての政治的打撃の方が、はるかに大きい。

「選挙を控えているのはウクライナも同様だ。2024年に選挙を行うかどうかは別にしても政治的指導者が軍事戦略に影響を及ぼしているのが問題になっている」「総司令官をザルジニーからシルスキーに交代させたのも軍事的な側面ではなく政治的な理由が大きく関係している」「ザルジニーは自身の考えをはっきりと言うタイプだが、シルスキーは何を命じられても反抗しない」「アウディーイウカにも『要塞と精神を同一視して保持するというバフムートに近い要素』があったと思う」(ウクライナ保安庁で働いていた軍事アナリストのイワン・スタパック氏)

戦争が政治目的を達成するために行われるのは当然だ。

そのために、戦略目標を定め、それを達成するためにドンパチを行う。

もちろん、様々な制約を抱えているわけだからな。

その範囲の中で、出来ることをやるしかない。

すり合わせや、変更は日常的に必要になる。

政治家が、あまり細かいところに手を突っ込むというのは考え物だが、大枠での調整はしなければならない。

そこが上手くいかないということは、前線にも影響が出る。

当然だ。

で、当然の結果が出ている。

何も不思議なことはない気がするんだがな。

「政治的指導者の『何が何でも死守する』とメンタリティは何の役にも立っていない」(カーネギー基金のマイケル・コフマン氏)

記事では、軍事的な拙劣さに関する記述が多いけど、そこんとこは、浮沈子的にはよく分からない。

浮沈子には、シルスキーが現政権の政治目的に忠実に戦略を練り、実現しようとすればウクライナは負けると思っている。

ムリポだ。

唯一可能な戦い方は、既に書いたように、「国土」というリソースを削って、後退しながら防御戦を続けることだ。

「余裕があるロシアにとって人員や物資を失うことは問題にならず、それを失うことも気にしていない。ウクライナにはロシアのやり方に付き合う余裕はないため戦術を変更しなければならない」(ウクライナ軍のアドバイザーを務める英国のグレン・グラント元中佐)

ウクライナ軍の改革と、戦略、戦術の変更、政権とのすり合わせ(政治目的の変更を迫るとかあ?)・・・。

やるべきことは多いが、10年かかってできなかったことを、5か月(ザルジニーが可能だと言っていた期間)で出来るとは思えない。

で、その防御戦を続けながら戦って、ロシアに勝てるのか。

浮沈子は当然ムリポと思っているけど、それは単に素人の妄想に過ぎない。

現在、ロシアを支援している中国やインド、北朝鮮やイランが離反し、プーチンが心を入れ替え(ありえねー・・・)、アホなロシア軍(そうなのかあ?)がチョンボ連発するとか(それはあるかも!)、米国がウクライナに核弾頭付き弾道ミサイルを1000発くらい供与するとか、NATOがロシアに宣戦布告して先制攻撃掛けるとかすれば、そりゃあ、絶対ないとは言えないけど、欧州は自分の身を守ることで精いっぱいだし、米国は一国主義の流れの中にあって、ウクライナ支援どころではないし、想定される国際環境と先行きの見通しの中で、勝利の方程式は見えない。

米国の共和党過激派(?)は、バイデン政権にそのシナリオを見せろと迫っているそうだが、んなものはない。

(ロシア攻撃キャンペーンの評価、2024 年 2 月 18 日)
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-february-18-2024

「ロシア軍は、作戦上重要な利益を確保したり、領土の広い範囲にわたって迅速な機械化機動を実行したりする能力をまだ実証していないため、アヴディーウカ占領がこの能力を実証したと見るべきではない。」

さすがに慎重な評価だ。

浮沈子は、そうは見ていないけど、ISWの判断には根拠があるからな。

妄想じゃない。

ドネツクの州境までは60kmだそうだ。

「アヴディーウカはドネツク州の国境から約60キロメートル離れている。」

「2023年10月にアヴディーウカでのロシアの攻撃努力が激化して以来、ロシア軍はアヴジーウカを通過およびその周囲を10キロメートル未満しか横断できなかった。」

4か月で10km(未満)だからな。

算数の計算通りなら(浮沈子でもできます!)、少なくとも2年がかりということになる(合ってますぅ?)。

「ロシア軍は数年以内に州境に到達するために広範囲かつ有能な越境演習を実施する必要」

なんだ、出来ちゃうじゃないの・・・。

まあ、アウディーイウカが要塞化されていたかどうかについては、航空万能論にも関連する記述がみられる。

「正直なところアウディーイウカが『最も厳重に要塞化された街』と呼ばれるのを不思議に思っていた」「ウクライナにある殆どの要塞は2022年以前に建設されたものだ」「ウクライナ軍はロシア軍と比べて前線や後方地域の事前準備に熱心ではない」(Black Bird Groupのパシ・パロイネン氏)

これから進軍する地域で、もちっとマシな陣地が作られているなら、ロシアの進軍を食い止めることができるかも知れない。

「ドネツク州北部のスロビャンスク・クラマトルスク地域に到達するにはさらに奥深く、より要塞化された領土を通らなければならないだろう。 」

「ロシア軍はアヴディーウカ付近でも、前線の他の部門でも、そのような作戦を実行する能力を示していない。」

「クピャンスクを占領しようとするロシアの攻撃努力により、ウクライナ軍をオスキル川の左岸に追い込む可能性はあり得るが、この地域のロシア軍の大部分は、何か月間もクピャンスク方向の小さな戦術陣地に釘付けになったままである。上述の気候学的課題を考慮すると、オリヒフ以南のロシアの攻撃努力はオリヒフ自体を越えて進む可能性は低く、さらにはすぐにオリヒフに到達する可能性も低い。」

いやいや、ちょっと(数日?)前までは、ウクライナ軍の「反転攻勢」とやらを耐え忍ぶのに精いっぱいだったからな。

それを根拠にはできんだろう。

ちなみに、気候学的課題というのは以下の言及のことだ。

「ウクライナは ラスプチツァ の季節、つまり冬の凍った地面が解けて戦域全体での機械化された移動がより困難になる春の時期を迎えており、それによって前線に沿った攻撃作戦が遅くなる(ただし、完全に停止するわけではないことは注目に値する)。」

「気候が温暖化し続けるにつれてロシアの攻撃の勢いを鈍らせる可能性が高い」

しかし、次の記述を見ると、むしろ、早期に攻撃を激化させて、一気に突破を図る可能性も否定できないのではないか。

「ロシア軍はおそらく戦域全体で戦術的な前進を確保しようとしているが、地形と天候は概して攻撃的な動きに有利であり、防御するウクライナ軍を消耗させて消耗させるとともに、ラスプチツァが本格的に始まる前に将来の作戦に有利な位置を確保しようとし て いる 。」

どうも、ISWの評価には、いささか問題があるような気がするんだがな。

引用したついでに、引き続き書かれている内容が気になったので触れておこう。

「さらに、ロシア軍司令部は、ウクライナの欧州パートナーからの安全保障支援、特に欧州で約束されている砲弾の弾薬提供が中期的に、おそらく2024年秋までに効果を発揮し始めることを認識している可能性が高く、ウクライナの現在の砲弾を利用しようとしている。」

「ウクライナが相対的に(しかしおそらく一時的な)砲兵の不利を経験している間、戦域全体でウクライナ軍に圧力をかけるために飢えがあった。」

多少ワケワカな自動翻訳だが、問題は次だ。

「しかし、最終的に欧州がさらに多くの安全保障支援をウクライナに提供しても、特にパトリオット地対空ミサイルなどの先進的な防空システムなど、米国の軍事支援の完全停止によって生じる重要な装備のギャップは埋まらないだろう。」

「欧州の安全保障支援の拡大は必要だが、ウクライナ軍にとって戦線を安定させるのに十分ではなく、ましてや ロシア軍が迫っている地域で主導権を取り戻すには十分ではない。」

いや、もう、主導権なんて言ってられる状況じゃないからな。

そんなもんには見向きもせずに、ひたすら後退しながら防御戦を戦い続けるしかない。

確認しておこう。

アウディーイウカの撤退は、プーチンの政治的な有利というより、ゼレンスキーに不利となった影響が大きいのではないか。

シルスキーが、適切に対応できなければ、今後も同じ状況が続くだろう。

ロシア軍がスピーディーな進軍が出来ないとISWが見做す根拠はいささか弱い。

米国の軍事支援が停滞したままでは、欧州がいくら頑張ってもウクライナの前線の状況を改善することはできない(もちろん、支援再開の目途は依然として立っていない:米国下院は2週間の休会中!)。

やれやれ・・・。

プーチンが、選挙のために犠牲を厭わず攻勢を掛け、「ピュロスの勝利」(犠牲の割に成果が乏しい勝利)を手にしたという評価が一般的なんだろうが、浮沈子的には疑問がある。

進軍が、ドネツク州の州境で止まるとも思っていない。

ちょっと気になる記事も読んだ。

(モンゴル元大統領がモンゴル帝国の地図を投稿 プーチン氏へ皮肉か)
https://www.asahi.com/articles/ASS2F5CVHS2FUHBI028.html

「ウクライナは歴史的にロシアの一部だ」(プーチン氏)

「プーチン氏の話の後で、モンゴルの歴史的な地図を見つけました。心配しないでください。我々は平和で自由な国です」(モンゴルのエルベグドルジ元大統領)

ちょっと分かり辛い話だが、要するにロシアはモンゴル帝国の一部だったと言いたいらしい。

まあ、そこんとこはどうでもいいんですが、浮沈子的な関心は、これを報じたテレ朝との違いだ。

(モンゴル元大統領 “モンゴル帝国”の地図をSNSに プーチン大統領の主張を皮肉る)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000336647.html

「ウクライナメディアは「モンゴルの元大統領がプーチン大統領に歴史の教訓を教えた」「プーチン大統領の主張に沿えばロシアを支配しているのが誰なのかを示唆している」などと報じました。」

ここんとこは、朝日の記事にはない。

「また、ロシア政府寄りの一部メディアもこのニュースを伝えていますが、モンゴル帝国の地図は載せていません。」

ちょっと気になったので、ネットで調べた。

(モンゴル帝国の解体 | 世界の歴史まっぷ)
https://sekainorekisi.com/wp-content/uploads/2018/03/75b048b5279ccf432125c940d9dd0804.png

地図だけ引用して申し訳ないんだが、キプチャク・ハン国(歴史研究上の名称だそうです)の地図には、モスクワとキエフが含まれている。

なんと!。

ウクライナをロシアの一部として取り込もうとしているプーチンの思うつぼな地図・・・。

「モンゴル帝国の地図は載せていません。」(再掲)

浮沈子は、何となく、朝日の忖度を感じる(そうなのかあ?)。

まあ、そこんとこはどうでもいいんですが。

つまりだな、併合した4州(+クリミア)というのは、あくまでもロシアにとっては一時的な措置に過ぎず、「領土の一体化」という点では、ひょっとするとゼレンスキーよりプーチンの方に拘りがあるのではないかということなわけだ(そうなのかあ?)。

この点については、米国CIA長官のバーンズ(駐ロシア大使の経歴あり)も、プーチンのウクライナへの偏執的拘りを指摘していたからな。

東部戦線において、ドネツク州の州境で進軍が止まるとは到底思えない。

加えて、モルドバに対してちょっかいを出し始めていることから、南部回廊の占領も画策しているに違いない(未確認)。

ウクライナは、何としても、ロシアの侵攻を遅らせて、捲土重来を期す必要がある。

強固で重層的な防御線と、そこで戦う戦法を編み出さなければならない。

さもないと、大西洋まで後退が続くことになりかねないからな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(人類はAIに支配されるのか──イーロン・マスクは恐怖の未来とたたかう)
https://www.gqjapan.jp/life/business/20170901/elon-musk-s-future-shock

「AIは人類の脅威か?」

AI搭載兵器についてこのブログの最初に書いたので、ちょっと終末論的な興味から調べたら、少し古いけど(2017年の記事)、参考になりそうな話が出ていたので書いておく。

話題は多岐に渡るので、浮沈子的関心が高かったところだけ。

「私が目指すのは世界で最も重要なプロジェクト、つまり別の惑星への人類の移住だ」(イーロンマスク)

「私も世界で最も重要なプロジェクトに取り組んでいる、それはスーパーAIの開発だ」(ハサビス:囲碁の達人を次々と打ち破ったAIソフト「アルファ碁」の開発元ディープマインドの共同創業者デミス・ハサビス)

「そんなAIが考え違いをして人類を襲ってくる事態に備えて、火星に住めるようにしておく必要がある」(イーロンマスク)

「でもAIは火星までも追いかけていきますよ」(ハサビス)

「子どもは親を越えていくもので、AIが人間を越えていくのも当然なのだから」(同上)

なにやら、物騒な書き出しだな。

「たぶん、いずれ人類は絶滅する。おそらくはテクノロジーの進化のせいで」(イーロンマスク)

「株主でいればAI研究の進み具合がよく見える。実際、ものすごいペースで進化しているんだ。しかし、たいていの人は気づかない。見えないからだ。見えるのは、お掃除ロボットの『ルンバ』くらい。でもルンバが世界を征服するとは、誰も思わない」(同上)

「何かの拍子に悪魔を、AIで武装して人類を破滅に追い込むロボット軍団とかを生み出してしまう可能性はある」(ラリー・ペイジ(ディープマインドを買収したグーグルの共同創業者))

「急な坂を上っていくのは難しい。目の前は垂直な崖みたいに見えるけれど、振り向けば今までの道はほとんど平坦に見える。だから自分がどこまで上ってきたか分からない」。そして分かったときには坂の頂上を越えていて、もう後戻りしたくても後戻りできない」(サムアルトマン:「オープンAI」創始者)

「一部にはAIの危険性を吹聴する人もいるが、大げさすぎると思う。感染症の世界的な蔓延や過激なテロの拡散に比べたら、脅威はずっと低い」(フェイスブックの共同創業者マーク・ザッカーバーグ)

「(AIに対する)恐怖を乗り越えて希望を選ぼう」(同上)

「完全なAIの出現は人類の終焉につながりかねない」(宇宙物理学者のスティーヴン・ホーキング)

「AIの暴走は「核戦争より危険かもしれない」」(マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ)

「ひとたび非友好的なスーパー知能が出現すれば、それは人間による制御に従わないだろう」(オックスフォード大学の哲学者ニック・ボストロム:シミュレーション仮説で有名)

「実際、私たちは火災から学んで消火器を発明し、交通事故から学んでシートベルトやエアバッグを考案してきた。しかし核兵器やAIの場合は、事故や失敗から学ぶ余裕はない。だから事前に安全を買う必要がある」(マサチューセッツ工科大学の物理学者マックス・テグマーク:数学的宇宙仮説の提唱者)

「人間の指示を待たずに自らの判断で敵を探し、最も的確な手段を選んで殺害するのが自律型ロボット兵器だ。今はまだ米軍の攻撃用ドローン(無人機)はアメリカ本土の基地から遠隔操縦しているが、すでにドローンのAIを強化する研究は始まっている。そんなものが完成してからでは手遅れだ」(カリフォルニア大学バークレー校のコンピューター科学者スチュアート・ラッセル)

「2015年の夏には画期的な動きがあった。自律型ロボット攻撃兵器の禁止を求める公開書簡に約1000人の著名な科学者たちが署名した」

同様の書簡は、この記事が書かれた直前(2017年8月)にも署名されている。

(【国際】イーロン・マスクらAI専門家、自律型ロボット兵器の早期禁止を国連に求める公開書簡に署名)
https://sustainablejapan.jp/2017/09/03/killer-robots-open-letter/27991

記事末尾のリンク先【共同書簡】から入手可能だ。

「特定の通常兵器に関する国連条約に対する公開書簡」

「自律型兵器の開発に転用される可能性のある人工知能とロボット工学の技術を構築している企業として、私たちはこの警鐘を鳴らす責任を特に感じています。」

「我々は、自律型致死兵器システムに関する政府専門家グループ(GGE)を設立するという国連の特定通常兵器禁止条約(CCW)会議の決定を熱烈に歓迎する。 当社の研究者やエンジニアの多くは、お客様の検討に技術的なアドバイスを提供することに熱心です。」

「本日始まる予定だったGGEの第1回会合が、少数の国が国連への財政拠出金を支払っていないためキャンセルされたことを残念に思います。 したがって我々は、締約国に対し、現在11月に予定されているGGEの第1回会合での努力を倍増するよう要請する。」

「自律型致死兵器は、戦争における第 3 の革命となる恐れがあります。 これらが開発されれば、これまで以上に大規模で、人間の理解できるよりも速い時間スケールで武力紛争を行うことが可能になる。 これらは、テロ兵器、専制君主やテロリストが罪のない人々に対して使用する兵器、望ましくない方法で動作するためにハッキングされた兵器である可能性があります。 行動する時間は長くありません。 このパンドラの箱は一度開けてしまうとなかなか閉じることができません。」

「したがって、我々は締約国に対し、我々全員をこれらの危険から守る方法を見つけるよう懇願する。」

(ロボットによる第三次世界大戦を防ぐためイーロン・マスクらが自律型殺人兵器の使用禁止を求める)
https://gigazine.net/news/20170822-elon-musk-ban-killer-robots/

「公開書簡の中では自律型の殺人ロボットが「戦争における第3の革命」になる可能性があると警告しています。実際、書簡の中には「いったん自律型殺人兵器が開発されてしまえば、これまで以上の規模の武力紛争が、人間が理解できないほど早いタイムスケールで起きることとなるでしょう。また、そういった兵器がテロリストに使用され罪のない人々の脅威になったり、ハッキングされたりする可能性もあります」「我々が行動できる時間はそれほど残っていません。このパンドラの箱が開けば、閉じることは難しい」と記してあり、自律型殺人兵器の危険性を説くと共に、迅速に規制を設けるべきであると訴えています。」

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的には、GQジャパンの記事で、スティーブ・ウォズニアック(アップルの共同創業者)が言ってることが気に入っている。

「彼は人間が「ロボットのペットになってもいい」と達観している。」

「ロボットに殺されるのは困るが、ロボットの友として愛される存在になれば人間は生きていける。」

「いずれロボットは人間より強くなるだろう。そのとき人間がロボットの敵になったら大変だ。だからこそ今のうちに、ロボットが人を愛するようなカルチャーの種をまいておく必要がある。」

便利な生成AIは確実に広がっていくだろうし、自軍の兵士の損耗を抑えて敵軍を蹴散らすAI搭載兵器はこれからの戦場になくてはならない存在になる。

ウクライナ紛争で、それが一気に進むかどうかは分からない。

ウォズニアックのように、AIロボットに愛されたいは思わないけどな。

せめて、このブログを書くのに使っているMSIMEが、もうちっと同音異義語をチェックしてくれるといいんだがな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(欧州の軍備強化は10年かかる=独最大の防衛企業トップ)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cqv6yjzz1ezo

「欧州の弾薬の大部分はウクライナに送られており、欧州の在庫はほとんどない」(ラインメタルのアルミン・パッペルガー最高経営責任者(CEO)氏)

「ヨーロッパで150万発(の弾薬)を生産しなければならない」(同上)

「ラインメタルは、新たな工場に3億ドル(約448億円)以上を投資するという。最終的には年間20万発の砲弾を生産する予定だとしている。」

ラインメタルのCEOは口先だけだからな(そうなのかあ?)。

ウクライナに戦車工場を作ると言ったのは去年の春先の話(その後、装甲車両の修理工場になったみたい)だが、1年近く経っても影も形もない(未確認)。

ウクライナ国営防衛企業ウクロオボロンプロムと合弁企業を作ってはいる。

(ウクライナで装甲車生産へ 独防衛企業、合弁設立:2023年の記事)
https://www.sankei.com/article/20231203-4QZ3EB7KQ5MOBOOBZCU3YLVQWY/

「来年にもウクライナで装甲車の生産を始めたい」

「ラインメタルは10月にウクライナの国営軍需企業ウクルオボロンプロムと合弁会社を設立」

「契約を結んだ6~7カ月後に最初のフクス、12~13カ月後に最初のリンクスを完成させたい」(パッペルガー氏)

結局、意向はあっても実現しない。

ミサイルがバンバン飛んでくるウクライナに、工場進出するなんてのは所詮ムリポな話だ。

(ラインメタル、来年中にウクライナでフクスとリンクスを生産したい)
https://grandfleet.info/european-region/rheinmetall-wants-to-produce-fuchs-and-lynx-in-ukraine-within-next-year/

「因みにパッパーガー氏が以前言及した「12週間以内に開設する工場」は今のところ実現しておらず、フクス装甲兵員輸送車とリンクス歩兵戦闘車の契約も同氏の「見込み」なので、ラインメタルの計画は蓋を開けて見るまで何も断言できない。」(ブログ管理人)

同感だな・・・。

(ラインメタル、ウクライナに建設する工場は自社製防空システムで守る:2023年7月の記事)
https://grandfleet.info/european-region/rheinmetall-to-protect-ukrainian-plant-with-in-house-air-defense-system/

「ラインメタルがウクライナ西部に計画している兵器工場について「建設されれば正当な攻撃目標になるだろう」と言及」(ロシアのザハロワ報道官)

「自社製の防空システムで工場を守る」(パッペルガー最高経営責任者)

「同氏は10日「12週間以内に装甲車輌の生産や修理を行う工場をウクライナ西部に開設する予定だ」と述べて注目を集めた。」

「ウクライナの国営企業ウクロボロンプロムと協力して12週間以内に工場をウクライナ西部に開設し、ウクライナ人労働者を訓練してフクス装甲兵員輸送車の生産や修理を行う」

「ウクライナに建設する自社工場を守るためとは言え、ラインメタルが自社製の防空システムで「ロシアとの戦争に介入する」というのは流石に、、、ダメでしょ。」(ブログ管理人)

ラインメタルは、最近もウクルオボロンプロムと、155mm砲弾をウクライナ国内で生産すると言っていたけど(未確認)、どーせ口から出まかせに決まっている(そうなのかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

ラインメタルは、浮沈子が知る限り、戦争中のウクライナ国内に進出しようとしている唯一の軍需産業だ。

ウクライナが、砲弾を自国生産したいと思っていることは確かだ。

米国も欧州も当てにはならない。

だが、それが実現するのは最低でも数年先の話だし、必要量の生産が軌道に乗るのはさらに先の話になる。

そもそも、原料である火薬(発射薬か炸薬かは不明)が不足していて、世界中で争奪戦になっている(どこの国でも、ウクライナ紛争を見ていて、自国の防衛に急に熱心になっちまったからな)。

一方で、砲弾の代わりにドローンに爆弾抱えさせて突っ込ませるという戦法を考えているらしいが、陣地や建物を破壊する効果は乏しい。

現時点では、射程も短いからな。

パッペルガー氏の話が本当なら、欧州は自国の備蓄を空にしてウクライナを支援していることになるが、浮沈子的には、到底信じる気にはなれない。

ウクライナに回しているのは、ごく一部だ。

半分近く(約4割)は欧州域外に出ている。

更に、欧州域内で調達され、残りがウクライナの取り分だ(そうなのかあ?)。

砲弾の不足は深刻で、一部の戦線ではウクライナ側の砲撃が行われていないという話も出ているようだ(未確認)。

やれやれ・・・。

もう、待ったなし。

米国からの軍事支援が途絶えたまま、ウクライナ軍は犠牲を出しながら、撤退を余儀なくされる。

ロシアに比べれば、損害は少ないだろうが、それは「受け入れ難い損害」だ。

滑空弾で陣地を破壊し、豊富な大砲の弾で兵士を殺傷して侵攻するロシアは、既に勝利の方程式を掴んでいる。

ウクライナの脆弱なにわか作りの防衛線では、到底防ぐことはできない。

(ウクライナ軍 新たな防衛ライン築く ロシア軍攻撃に備える構え)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240220/k10014364221000.html

「アウディーイウカ近郊で新たな防衛ラインを築き、ロシア側の攻撃に備えている」(ウクライナ軍のタルナフスキー司令官)

やっちゃいけない選択だな・・・。

まあいい。

戦争しているのはウクライナだ。

その結果は、ウクライナに跳ね返ってくる。

(プーチンが突き付ける驚愕の降伏条件「傀儡政権樹立とハルキウ・オデーサ両州も割譲」―英軍事シンクタンクが分析)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79414?page=2

「ロシアの戦力増強と工業生産のベースラインとなる計画は2026年までに勝利を達成することを目標に策定されている」(陸戦専門家ジャック・ワトリング上級研究員:軍事シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)」)

「ロシアはウクライナを服従させるというこれまでの戦略目標を維持している。クレムリンはウクライナ戦争に勝利しつつあると信じている。ロシア側の仲介者が提案する降伏条件にはロシアが占領する地域と北東部ハルキウ州とオデーサ州の割譲、NATOに加盟しないこと、ロシアが承認した傀儡大統領を据えることが含まれている。」

「ロシアが示す唯一の譲歩は割譲後のウクライナのEU加盟」

「戦略目標を達成するプロセス」

(1)すべての前線で圧力をかけ続け、ウクライナ軍の武器弾薬と予備兵力を消耗させる
(2)これと並行しロシアの情報機関はウクライナへの軍事支援を断ち切る
(3)ウクライナの弾薬が尽きたら、さらなる攻撃を開始して大きな利益を得る

オデッサ州の割譲を条件に出してくるというのは浮沈子の見立てと同じだな。

2026年というのも、生産能力からみて妥当な時期ではある。

その後、ショボくなるという見立てはいかがなものか。

木村氏は、あちこちから「タラレバ」の話をかき集めて、西側の支援とロシアの衰退、ウクライナの勝利をひねり出そうとしているが、結論は明快だ。

「ロシア軍は現在の消耗率でもウクライナへの攻撃をあと2~3年、あるいはそれ以上維持できるとIISSは分析する。西側は米国と欧州だけでなく日本や韓国を含め、ロシアを上回るペースでウクライナへの武器弾薬供給を実現できなければ、ウクライナ割譲と傀儡大統領を受け入れるという屈辱を味わうことになる。」

ワトリング氏の分析は、おそらく妥当なんだろう。

浮沈子は専門家じゃないし、いろいろ妄想に憑りつかれているから、客観的に評価できないけどな。

在庫の戦車を修理して吐き出したら、もう残りはない(そういうことかあ?)という話は受け入れ難いけどな。

少なくとも2年以内に、ウクライナが敗北するというのは、受け入れ難い話だが、生産能力からの分析としては至極妥当と思われる。

ウクライナの経戦能力は、少なくとも軍事面については、ぶっちゃけ米国に依存してきた。

その米国からの支援が途絶えた今、2年も持つかどうかは怪しい。

「メキシコとの国境政策の変更が一つもない以上、下院は重要案件について独自の意思を持ち続けなければならない。米国は上院が可決した法案よりもっと良い法律を手にすべきだ」(共和党のマイク・ジョンソン下院議長)

上院が可決した法案は、そもそも成立する可能性がないことを前提として作られている。

浮沈子的には、この記事のポイントは、以下にあると見ている。

「プーチンは戦略家というより日和見主義者だ。作戦が上手く行けば目標は引き上げられる恐れがある。」

「ロシアが偽りの停戦交渉で望むものを獲得したとしても「ウクライナの残りの地域を占領しようとしたり、他の場所で武力行使に踏み切ったりしないという保証はないことを理解することが重要だ」」(ワトリング氏)

保証?。

そんなものは初めから無い。

米国CIAのバーンズが見抜いていた通り、また、中国がウクライナに対して「領土の一体性を重視する」としていたた通り(浮沈子は、最初腑に落ちなかったんだがな:台湾のことでもなかった・・・)、そして、先日の西側メディアのインタビューで明らかになったように、プーチンは、ウクライナは内政問題だという基本認識なわけだ。

対立ではなく協調を促す時、そこには隷属という罠が仕掛けられている。

ロシアは、ソ連崩壊後にウクライナの独立を認めたけれど、それは失敗だったと感じ、反故にしようとしている。

頑なに「特別軍事作戦」と主張しているのも、そういう認識であれば(それはとんでもないけど)、容認するわけにはいかないが理解はできる。

西側の軍事支援は露骨な内政干渉に見えるだろうし、ゼレンスキー政権はロシアの領土(!)を分捕ろうとしている盗人に映るだろう(そんなあ!)。

ウクライナは、ロシアと戦っている独立した国家じゃない。

そういう認識では、この戦争を理解できない。

そう、ウクライナは、今、正に、独立戦争をしているのだ。

もちろん、そういう捉え方はロシア的かも知れないし、国際社会の常識とはかけ離れているだろうが、例えば「停戦」を考える時に、一定の方向性を与えるかも知れない。

或いは、東欧諸国に対する今後のロシアのアプローチを考える時にも、重要な視点になるだろう。

プーチンは、確かに領土的野心で軍事侵攻したのではない。

だって、そもそも「領土」だったんだから・・・。

東欧諸国やフィンランドにだって、同じアプローチを取ろうとしているんだろう。

戦争を仕掛けているのは、「ロシア帝国」から独立して、好き勝手しようとしているそれらの国々の一部の人々だと思っている(そうなのかあ?)。

ロシアと仲良くしてくれる国なら、それでもいいけど(EU加盟とかあ?)、敵対するようなら(NATO加盟とかあ?)、「特別軍事作戦」だな。

まあ、どうでもいいんですが。

そこに、民主主義対専制主義の対立軸を持ち込んで、「法の支配」で屈服させようとしても、ロシアは応じないだろうな。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(欧州の本気、遅すぎたか ウクライナ砲弾支援「北朝鮮に負けるのか」 トランプ氏再来焦り)
https://www.sankei.com/article/20240221-TDJFNXGRYVKKTBYGGF3ZI77O6Y/

「ドイツでは最近、防衛大手ラインメタルが新たな砲弾工場の建設を始めた。年間20万発の生産ラインができる。」(ショルツ独首相)

「欧州は砲弾の大量生産が必要だ」

「工場のフル稼働は2年以上先だ。同社の経営トップは英BBC放送で、ウクライナと欧州の需要に応じる態勢が整うまでには「10年かかる」と述べた。」

「域内の砲弾製造力は2年で4割増し、年間100万発になった。年末には140万発になる」(ボレルEU外交安全保障上級代表)

「エストニアの分析によると、ロシアの砲弾製造力は今年、年間450万発になり、3年前の10倍」

「性能や安全性で米欧製に劣っても、消耗戦では物量がモノを言う。」

AIドローンなどとは異なり、ローテクな砲弾(そうなのかあ?)は利益率が低い(未確認)。

つまり、積極的に投資しようというインセンティブが働きにくい。

「ウクライナ戦争は最新鋭兵器の「見本市」の様相を呈した。」

・米国の高機動ロケット砲システム「ハイマース」:ポーランドやバルト諸国が購入を決定
・自爆型の無人機「スイッチブレード」:フランスやリトアニアが契約意欲
・米最新鋭戦闘機F35:ロシアのウクライナ侵略前、欧州配備は約120機→2030年には600機になる見込み
・韓国製のK2戦車:ポーランドが大量購入
・K9自走砲:ノルウェーやフィンランドに続き、ルーマニアが購入意欲
・トルコの攻撃型無人機バイラクタル:注目を集めた

砲弾なんて、誰も見向きもしない。

夜のNHKラジオニュースを聞いていたら、アウディーイウカの影響について報じていた。

(英国防省「ロシア軍 ウクライナ掌握地域 段階的に拡大」と分析)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240221/k10014366621000.html

「ウクライナ軍が兵員不足に苦しむ中で多くの兵士を失えばさらに補充する必要が出てくる」(NYT)

「アウディーイウカを失ったことが、当初思われていたよりも重要になる可能性がある」(同上)

「アウディーイウカからウクライナ軍が撤退した際、850人から1000人ほどの兵士がロシアの捕虜になったか行方不明」(欧米の当局者や現地の兵士の話:NYT)

兵員の損失は、もちろん、撤退の際だけではない。

この戦域だけでも、数千人に及んでいるだろう(テキトーです)。

過去や現在の話だけではなく、郊外に設置したという新たな防御線は、大砲の射程内にある。

そこに投入された兵士に、生還の望みはない。

「休息をとって準備を固める期間が必要だ。アウディーイウカから今後数週間かけて段階的に掌握する地域を拡大しようとするだろう」(イギリス国防省)

(ロシア大統領、戦果拡大を指示 ドネツク州全域制圧狙う)
https://nordot.app/1132968067840311902?c=302675738515047521

「ウクライナ軍がアブデーフカに多数の死傷者や兵器を残したまま「混乱の中で敗走した」」(ショイグ国防相のプーチンへの報告で)

「今月17~18日だけで2400人の兵員を失ったと述べ、ロシア軍はさらに前進しているとした。」

まあ、お手盛りの数字だろうから、どこまで信じていいものやら・・・。

「昨年6月に始まったウクライナ軍の大規模反転攻勢で、ウクライナ軍は16万6千人以上が死傷し、戦車800両以上を失ったと指摘。」(同上)

「ドイツ製戦車レオパルトの半数も、ロシアが既に破壊」(同上)

やれやれ・・・。

ショイグ氏は、NHKの記事でも他の戦線の状況についてロシア軍の反撃の成果を主張している。

「ウクライナ軍が奪還したとしていた南部ヘルソン州のドニプロ川の東岸地域にある集落クリンキを再び掌握したと重ねて主張」

まあ、ここは練度の高い兵士を擂り潰す戦場だからな。

取ったり取られたりして、双方に前進はない。

既に、戦闘に参加していない兵士は、他の戦場(ロボティネとか)に振り向けられたという話もある。

NYTが指摘しているように、ウクライナ軍の兵士不足はいよいよ深刻になってきているんだろう。

ザルジニーは、昨年の反転攻勢を掛けるに当たって、1000kmの戦線全域に兵力を分散して、軍事的圧力をかけ続ければ、ロシア軍は対応できずに、トクマク方面の突破作戦も上手くいくと考えていた。

ロシア軍の防御ラインにぶち当たって、その戦略はたった4日で崩壊する。

分厚い超高密度地雷原、ドローンの攻撃、豊富な弾薬、ストームZの突撃がなどの異次元の用兵、巧みなアタックアンドアウェイ・・・。

今、ロシア軍は、同じことをウクライナ軍に仕掛けている。

「1000kmの戦線全域に兵力を分散して、軍事的圧力をかけ続ければ、ウクライナ軍は対応できずに」脆弱な防御ラインを突破され、ロシア軍の更なる前進を許すことになる。

ああ、もちろん、ISWは同意しないだろうけどな(実戦証明が必要だ)。

が、条件は整っている。

ウクライナには大砲はあっても砲弾がなく、1000kmに渡る前線を支える兵士もいない。

現在のロシアの戦力の集中は、ロボティネ付近といわれている(4万人規模のアウディーイウカ以上だそうです)。

昨年の反転攻勢を開始した直後、ロシアの一次防衛ラインを突破したとして注目を集めたが、その後膠着した(二次、三次防衛ラインが想定以上に強力)。

ロシア側から見た時の軍事的価値は知らないが、ここを失うウクライナ側の政治的損失はデカい。

おそらく、ドニエプル川東岸からの撤退も同じだ。

反転攻勢の象徴全てを失うことになる。

勝利無き撤退。

それは、敗退だ。

もちろん、早期警戒機や大型揚陸艦、滑空弾をぶっ放す戦闘爆撃機を仕留めるなど、高価値目標はゲットしている。

ロシア本土の石油施設も破壊した。

が、領域支配に結びついていると言えるのは、黒海北西部だけだからな。

それはそれで重要だが、南部回廊で進撃されればその効果も一時的ということになってしまう。

そういう状況の中で、追加の大規模動員をかけるための、「勝利」の物語を描くのは難しい。

動員がかけられなければ兵士の損耗が続くだけだ。

それを止めるためには、強固な防御戦に下がり、可能な限り損耗を避けながら、状況が好転するまで凌がなければならない。

早くても2025年、遅ければ2035年だ(ラインメタルのパッペルガーCEOはそう言ってる)。

運が良ければ、米国の予算が通り、一息つける可能性はあるけど、反転攻勢には十分じゃない。

「もしトラ」なら、少なくとも4年間は続く(2028年まで)。

そこまで持ち堪えることが出来るかはビミョーだ。

まず、ムリポだろうな。

今日は、AI絡みで2021年作成のNHKの特集の映像を見た。

(1-BS1スペシャル 2030未来への分岐点「AI戦争 果てなき恐怖」)
https://www.dailymotion.com/video/x85ckuo

いつまで見られるか分からないけど、アルメニア(ナゴルノカラバフ)では既にドローン殺りく兵器が使われ、AIへの懸念はすでに現実のものとなっていることが分かる。

(BS1スペシャル
シリーズ“2030 未来への分岐点” 「AI戦争 果てなき恐怖」
初回放送日: 2021年10月31日)
https://www.nhk.jp/p/bssp/ts/6NMMPMNK5K/episode/te/WK16QXZXZ1/

「大国でAI兵器の本格運用が始まる2030年、戦争はどう変貌するのか。サイバー攻撃によってあいまいになっていく日常と戦争の境界線。森七菜が見た未来の戦争の恐怖。」

「いま世界の紛争地では、人間の判断を介さず自律的に敵を攻撃するAI兵器が戦力になり始めている。大国がAI兵器の運用を本格的に開始する2030年、世界はどこに向かうのか。」

「脅威の一つとされるのが「グレーゾーン戦争」だ。従来のように武力を行使することなく、サイバー攻撃など様々な手段で相手国の機能をマヒさせ、支配下におくというのだ。しかし、規制する明確なルールはまだない。森七菜が見た未来の戦争の恐怖。」

浮沈子的には、やはり核兵器の使用にAIが関与することになるのが一番ヤバい気がしたな。

人間が人間を殺すことの愚かさは、人間にしか分からない。

バイデンとプーチンに核のボタンを預けている現在、我々はとりあえず枕を高くして眠ることが出来る(もちろん、そうでない人々が大勢いることは承知ですが)。

AIに支配され、AIに殺されるのは御免だ(ウォズニアックのように、AIに愛されたとしてもな)。

民族自決という話があるが、人類の未来は、それが例え効率が悪く、愚かな未来であっても、人類自らが決めたいじゃないの・・・。

人類自決!。

これっきゃないだろう・・・。

<またまた追加>ーーーーーーーーーー

(イラン、ロシアに弾道ミサイル約400発供与 軍事協力深化へ=関係筋)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/GMND2ABHU5PI5DMEXBIAKY543E-2024-02-21/

「イラン筋によると、イランは「ゾルファガール」を含む約400発のミサイルを供与する計画。専門家によると、これらは300─700キロの射程距離にある目標の攻撃が可能という。」

「ロシアが北朝鮮からのミサイル調達に加え、イランからも短距離弾道ミサイルを入手しようとしていることを懸念」(米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官)

浮沈子は先日、ウクライナ紛争は、プーチンにとっては国内問題(内戦?)だという新たな視点を得たが、弾道ミサイルを撃ち合う事態というのは、うーん、内戦というイメージとはかけ離れている気がする(浮沈子の妄想のように、ウクライナが手に入れてロシアに撃ち込むかどうかは不明)。

(ゾルファガル(ミサイル))
https://en.wikipedia.org/wiki/Zolfaghar_(missile)

「推進剤:単段固体推進」

これについては、こんな記述もある。

「コース途中で分離するように設計されており、探知、追跡、発見がより困難になっている。」

まあいい。

ロシアが、ウクライナ紛争のためだけに弾道ミサイルを仕入れようとしていると考えるのは、いささか無理筋な気がする(そうなのかあ?)。

北朝鮮製のミサイルだって、試し打ちしている感じだしな。

400発も仕入れてどーする!?。

これは、来るべき欧州大戦争に備えていると考えるのが自然だ。

だが、こんな情報も出ている。

(バイデン米政権、ウクライナへの長距離ミサイル供給に傾く-NBC)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-19/S93ZI1DWX2PS00

「バイデン米政権は、ウクライナに新型長距離弾道ミサイル「ATACMS」を提供する方向に傾いている。」

確か、エイタクムスの散弾弾頭は、昨年10月くらいに供給開始されていたような気もするけどな。

この記事では、射程とか詳細については分からない。

(ウクライナ、米供与の長射程ミサイル「ATACMS」初使用)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/QDTE7AL7FVOG5FFVGUUFTXZLRI-2023-10-17/

「米CNNは複数の匿名の米政府当局者の話として、米国がウクライナにATACMSを秘密裏に引き渡したと報道。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はウクライナが17日にロシア軍に対し初めてATACMSを使用したと報じていた。」(17日:2023年10月17日)

長射程とはいえ、おそらく300km程度だろう(未確認)。

ロシア本土を、こんなんでバンバン攻撃されたら、ロシアと米国の戦争に発展し、地球がいくつあっても足りなくなるからな。

いずれにしても、物騒な話だ。

弾道ミサイルは迎撃が困難で、破壊力も大きい。

ウクライナの人的損耗は増えるばかりだ。

<もっと追加>ーーーーーーーーーー

(焦点:消耗するウクライナ軍、兵力も弾薬も不足 ロシア軍の優位鮮明に)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/WKLO2CE3ORITTC3VI5LL3VALB4-2024-02-22/

「対ロシア戦争が3年目に突入する中、ウクライナ軍の第59歩兵旅団は厳しい現実に直面している。戦うための兵力と弾薬が尽きつつある」

「開戦時に数千人規模だった旅団の兵員数は、死亡や負傷、老齢や病気による除隊が相次ぎ、残存しているのは60─70%」

「ロシア軍の攻撃で多くの死傷者が出ている上、東部戦線は季節外れの気温上昇で凍土がぬかるみと化して兵士の健康を蝕み、事態は一段と悪化」

この記事の内容は、こんな話ばっかしで、引用するのも気が滅入る。

「今回の戦争は、現段階ではロシアが優位」

「ロシア軍が圧倒的に優勢で兵力比率は1対7」(ウクライナ第3特別強襲旅団の広報担当者)

この兵力は、アウディーイウカの増援に派遣された部隊ではないのかあ?。

(第3独立強襲旅団がアウディーイウカ到着を報告、対峙する敵戦力は約7個旅団)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-3rd-independent-assault-brigade-reports-the-arrival-of-audi-iuka-and-the-enemy-force-facing-them-is-approximately-7-brigades/

「アウディーイウカ方面の戦力強化のため緊急派遣された」「対峙する敵戦力は約7個旅団で同市の状況は極めて危機的だった」「我が旅団の兵士は前例のない英雄主義を発揮している」「アウディーイウカに展開する敵の2個旅団が致命的な損害を受けた」「敵が被った正確な被害はデータを精査した後に公表する」(第3独立強襲旅団)

データが精査されたかどうかは知らないが、公表される前に撤退したからな。

まあいい。

「弾薬や兵器の補充ができなければどうなるのかは明らかだ」(第59歩兵旅団の指揮官)

「必要な軍事援助がさらに遅れるようなら、前線の状況はさらに困難になる可能性がある」(ウクライナのハブリロフ国防次官)

前線の兵士がどうなるのかや、困難になる状況が具体的にどんなものかは知らない。

「ウクライナは防衛上最低限必要な砲弾を手にしておらず、この状態を続けることは不可能だ」(米シンクタンク、カーネギー国際平和財団の上級研究員でロシア軍事専門家のマイケル・コフマン氏)

つまり、防衛戦を継続できなくなる(=負けちゃう?)わけだ。

重要な指摘もある。

「ロシアが無人機の使用を広げたことで、ウクライナ軍が要塞陣地を構築したり強化したりすることが難しくなった(第59旅団の中隊長)

「ウクライナ軍が何かしようとすると無人機に見つかり、2機目が何かを投下してくる」(同上)

前線近くの後退陣地構築は危険極まりない。

そこでもまた、犠牲者が増え続けることになる。

十分に下がり切らずに、中途半端な抵抗を続けることは自らの首を絞める結果を招く。

「ロシア軍も無人機のせいで貴重な車両や兵器を数キロ後退させざるを得なくなっている。」(ウクライナ軍の無人機パイロット)

ロシア軍の対応は、セオリー通りだな。

正しい。

正解だ。

この戦争を理解するキーワードを、浮沈子は先日見つけた。

既に何度か書いているけど、この戦争はウクライナ独立戦争だ。

ロシア側の視点に立てば、ウクライナは独立国としてロシアと戦っているのではない。

これは、内戦ということになっているらしい(そうなのかあ?:だから、特別軍事作戦)。

敵の攻撃が及ぶ範囲に、戦力を置くのは誤りであり、攻撃を仕掛けるとき以外は銃後に下げるのが鉄則だ。

敵戦力を破壊し、領域支配を獲得できれば、防御陣地を固めたうえで適切な範囲で前進する。

戦術的な問題だからな。

領土奪還とか、徹底抗戦とかいう政治的目的が入り込む余地はない(戦闘を継続するのは、もちろん、政治目的を達成するためですが)。

それを実現したければ、十分な予備兵力、武器、弾薬、その他必要な資源を投入しなければならない。

それが出来なければ、後退する。

ウクライナ紛争のような非対称戦の場合、敵にどれだけ損害を与えたかはそれほど重要ではない。

それによって、敵が攻撃の手を緩めることはない。

代替の戦力を投入してくるだけの話だ。

その損害を与えるために費やした戦力が、それに見合ったものかどうかが重要だ。

兵員も、砲弾も、ロケット弾も、何もかも不足している現在、ウクライナ軍に出来ることはただ一つ。

撤退だ。

これは、独立戦争だからな。

領土を争う戦いじゃない。

(ウクライナ大統領、東部要衝の失陥重視せず 侵攻2年控え戦果強調)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/QF57366SOJMJLKV4VCJIMKEJPI-2024-02-22/

「この2年間でわれわれはハリコフ州の一部を取り戻した。そして黒海の封鎖を解いた。穀物ルートがあり、ロシア艦船の多くを破壊した」「それが2年間かけてわれわれが行ったことだ。それで彼らが何ができたか?この場所だけだ。しかし何のために?」(ウクライナのゼレンスキー大統領)

FOXとのインタビューだそうだから、米国向けにアレンジしているんだろうが、支配領域の多寡を比較して勝利をアピールすることは無意味な気がする。

長丁場の戦いを続けるためには、そういう話は一時的な意味しかない。

これから、どんどん撤退しなければならんからな(そうなのかあ?)。

ロシアの支配地域じゃないところで、国家を機能させていくことが、死活的に重要だ。

たとえば、選挙やるとか。

(侵攻から2年 終わりの見えない戦闘 ウクライナ人の領土断念という「不確かな選択肢」の意味 #平和を願って)
https://news.yahoo.co.jp/articles/66d439bc9f441d58e3b6e0b5c638751a0e51a764?page=5

「ロシア政府の狙いは、領土ではなく、ウクライナを服従させること。」

「絶対に領土を諦めないと主張しているのは、中部や西部など、直接的な戦闘があまりない場所の人たちです。」

「マリウポリを含めた東部ドンバスなど、ロシアに占領された地域に近い人たちのほうが諦めるべきだと思っている。生きるか死ぬかという経験をしているし、戦争の現状がどれだけひどいかを知っているから」

現政権の支配地域に限って選挙を行えば、まだ、今なら勝てる気がする。

先延ばしにすればするほど、形勢は不利に傾く。

選挙に勝てれば、動員への政治的基盤もできる。

戦況が思わしくなくても、独立戦争(国家の存続)というスキームで、政権を維持することが出来るからな。

まだ、誰もウクライナの消滅を語らない。

傀儡政権が出来るとか、一部の領土が残るような話だけだ。

ロシアが狙っているのは、そこじゃない。

傀儡政権など作っても、それが倒されて現状に至った経緯を踏まえれば、完全征服しかないことは明らかだ。

ベラルーシとは異なる。

いや、もしかすると、ベラルーシの支配下になるかもな。

ウクライナ消滅不可避。

浮沈子の見立ては、少し甘かったかもしれない。

降伏し、政権を入れ替え、ロシアの勢力圏内で存続することが可能だと思ってたが、甘かった。

同化政策は徹底されるだろう。

ウクライナのアイデンティティを抹殺する。

今、ウクライナの未来に可能性を残すためには、ディアスポラしかないような気もする。

<もっともっと追加>ーーーーーーーーーー

(130日間の激戦アウディウカ攻防、勝ったのは撤退したウクライナ軍だった)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/79562

「撤退が作戦通りに実行され、地域は取られたが、うまくいったのだと私は認識している。」

「今回のアウディウカの撤退作戦は、撤退する部隊と撤退を掩護する部隊が整斉と戦い、大きな混乱もなかったようなので、この撤退作戦は成功したとみてよい。」

「多くの戦闘機を失い敵を包囲殲滅できなかったロシア軍の大失敗」(副題より)

うーん、そうかあ?。

まあ、ロシア軍の思い通りになったかといえば、損害は大きかったし、敵(ウクライナ軍)に壊滅的な損害を与えられず、大勝利とは言えないかも知れない。

それは、記事が指摘している通りだ。

しかしだな、そもそもの「アウディーイウカを死守する」とか、「反転攻勢」とか、「全領土の奪還」とかは、どうなっちまったんだあ?。

「撤退」を余儀なくされたことで、上記の戦略目標は未達となり、アウディーイウカを拠点に、指呼の間にあるドネツクを奪還するという反転攻勢の基軸は、少なくとも当分は潰えた。

シルスキーは、「必ず奪還する」としている。

ウクライナ軍にとっては、ぶっちゃけ大損害だ。

ここを取り返すためには、数万人の兵力と大量の弾薬、ドローン、戦車、その他諸々をつぎ込まなければならない。

そうしなければ、ドネツクは取れないからな(未確認)。

「高台でもあり、十分に防御準備されていた要塞」

「ウクライナ軍から見れば突き出たところで、一度も占拠されたことがない拠点であり、ロシア軍から見れば、凹まされて都市ドネツクに隣接する厄介な敵陣地」

「この要塞はこれまで、大戦車軍団を保有する大陸軍国として恐れられたロシアの地上軍が2022年2月の侵攻開始から幾度となく攻撃したが、陥落したことはなかった。」

「局地的で小さな地域とはいえ両軍にとって戦略的に重要な地点」

戦闘の巧拙がどうあれ、戦略的に重要な地点を失ったウクライナの敗北であることは間違いない。

有り余る砲弾とロケット砲、ドローン、航空支援、際限なくつぎ込むことが出来る兵士があったとしても、ここを奪還するコストは高い。

しかも、失ったタイミングは、少なくとも政治的には最悪だ・・・。

追加の支援がのどから手が出そうなほど必要なウクライナにとって、ドニエプル川左岸に侵攻した部隊が全滅しちまったのに等しい。

おっと、そっちも撃退されたとかされないとか・・・。

戦場で勝てないウクライナというレッテルに、お墨付きを与えちまったことになる。

記事にもあるように、来月予定の大統領選挙前だったしな。

ここを死守して、ロシア軍を撃退し、プーチンの鼻をへし折ることが出来れば、多少は支援の可能性も残ったかもしれないが、ロシア軍は、ここを拠点として、ドネツク州全域の支配を目指して進軍する。

手術は成功だったが、患者さんはお亡くなりになりました・・・。

おっと、まだ死んでないか。

まあ、病状が悪化したというところか。

そりゃあ、ロシア軍にしてみれば、投じたコストが適正だったかどうかということはあるけど、政治的要請に応えたという点では文句のつけようがないだろう。

専門家の多くは、撤退後、進軍の速度は弱まるとしているが、既にアウディーイウカ郊外への侵攻が進んでいる。

(アウディーイウカ方面の戦い、ロシア軍が3km以上前進してシュベルネに侵入)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/during-the-battle-of-audi-iuka-the-russian-army-advanced-over-3-km-and-invaded-chevernay/

「ロシア軍の前進はアウディーイウカ陥落後に停滞していたが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEとロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「ロシア軍がシュベルネ方向に前進した」と報告、ロシア軍は3km以上も前進してシュベルネ集落に侵入した。」

陥落した日付は、撤退発表の翌日、18日とされるが、5日後には3km以上前進していることになる(1日当たり600m以上)。

130日で10km足らずの進軍速度(アウディーイウカ奪還作戦:1日当たり約77m)と比較して、「低下した」とは、とても言えないだろう。

むしろ、はるかに増速している(8倍弱)。

多数の車両を破壊し、戦闘爆撃機まで屠ったけど、その結果、地上戦の侵攻を遅らせることに繋がらなければ意味はない。

貴重な砲弾と、迎撃ミサイルを浪費しただけに終わっている(そうなのかあ?)。

ウクライナ軍に時間は味方していない。

時間を掛けて、防御が脆弱な全線で粘っても、武器や弾薬、兵士の損耗を加速するだけだ。

敵は、ざっくり10倍の規模だからな(テキトーです)。

ウクライナ軍は、極度の兵員不足に陥っている。

ゼレンスキー政権は、追加の動員を掛けようとしているが、未だに目途は立たず、西側の支援がいつになったら1年前の状況に復帰するかも不明だ。

勝利が伴わない中で、政治的リスクを冒すことが出来るかどうかは分からない。

が、それを避けていれば、じり貧になることだけは確かだ。

せめて、米国の支援が再開され、砲弾やロケット砲が手に入り、それらを前線に回すことが出来て、「積極防衛」とやらの効果を目に見える形で出すことができればよし、そうでなければ、いつまで経っても大規模動員には踏み切れない。

追加動員の実際の効果が出てくるのは、兵士の訓練が終わって、前線に配備されてからだからな。

数か月は先の話になる。

それまで、持つかどうかだ。

浮沈子は、最速でも年越しになると見ている。

ザルジニーは、いい時に辞めた。

奪還されたのは、バフムトとマリンカくらい。

シルスキーは、これから無数の撤退を経験することになる。

100や200では済まない。

いいだろう、アウディーイウカの撤退は成功したことにしよう。

ロシア軍の拙攻で、まんまと逃げおおせた。

しかし、今後も上手くいくとは限らない。

ロシア軍も馬鹿じゃないからな(そうなのかあ?)。

毎回、ドジを踏むとは限らない(ホントかあ?)。

101回目くらいからは、10倍ではなく、100倍の戦力をつぎ込んで、完全包囲して殲滅するようになるかも知れない。

その時まで、ウクライナが存在していればな・・・。