航空機の安全 ― 2013年04月21日 02:38
航空機の安全
とうとう、B787が飛ぶことになった。
(米連邦航空局:ボーイング「787」の運航再開を承認)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLJ25P6K50XY01.html
「ただ、FAAも国家運輸安全委員会(NTSB)も、1月7日の日本航空 機のボストン空港での発火事故や、その後の全日空 機の日本国内での緊急着陸を招いたとされるバッテリーの不具合については原因を特定していない。」とある。
(ボーイングはいかにして787型機を救ったか)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324309104578434111947978362.html
この記事に、ボーイングの対策の経緯が書かれていて、非常に興味深い。
「幹部は当初、FAAの担当者に対し、コックピットのチェックリストの変更や電池の検査強化、飛行中の電池の監視強化を実施すれば、問題は解決できると説明していた。」
「次に取り掛かったのは電池が内部でショートした原因を特定し、それについてエンジニアリングによる対策を考え出すことだった。」
「専門家は最新の検査を実施してもはっきりした結論が出ないことを認めた。(日米で起きた発火事故では電池がひどく焼け焦げていたため:とある)」
「原因となりうる要因に対応するため、電池内部にさまざまな対策を講じることにした。」
「エンジニアは格納容器が絶対確実な対策になると主張していた。」
FAAとのやり取りの中で、B社は、対応を小出しにしてきたことがわかる。
特に注目したのは、原因が付き止られそうもないことが分かった時、格納容器の導入を見送り、バッテリー単体の対応で済ませようとしたことである。
もちろん、追加の格納容器によって、バッテリーの発火抑制自体に何ら効果があるわけではない。
しかし、機能が失われたバッテリーの二次災害を、ほぼ完全に封じ込め、乗客の安全を高めることは確かである。技術部門からのサジェスチョンもあった。
それを封じ込めて、(手を抜いて?)対策しようとした。
この会社は、何かおかしいのではないか。
「電池に最悪の故障が起きても、航空機が目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明するには大変な努力が必要だった」というくだりには飽きれる。
この航空機にとって、電力の供給は、命綱である。多重の発電機が故障した場合、バッテリーがバックアップとしてあることで、動翼の制御が担保されている。
電気がなければ飛べない飛行機の、重要なバックアップ電源として位置付けられている。
このことは、B社が公開している資料の中でも明記されている。
(Batteries and Advanced Airplanes)
http://787updates.newairplane.com/787-Electrical-Systems/Batteries-and-Advanced-Airplanes#
「The main battery also provides backup power for critical systems during flight in the extremely unlikely event of a power failure.」
「The APU battery supplies power to start the APU, which in turn can start the airplane engines. The APU, and its battery, also serves as part of the multiple layers of redundancy that would ensure power in the rare possibility of a loss of primary sources of power.」
これを読んだ上で、しつこいようだが、先の記事から再度引用する。
「電池に最悪の故障が起きても、航空機が目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明するには大変な努力が必要だった」
この飛行機は、最寄の空港へ3時間かかるルートを飛行することが認められている。
(ETOPS/LROPS:ETOPS-120からETOPS-180へ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ETOPS/LROPS#ETOPS-120.E3.81.8B.E3.82.89ETOPS-180.E3.81.B8
バッテリーに最悪の事態が起きて、in the extremely unlikely eventの際に、provides backup power for critical systemsすることができなくなっても、a loss of primary sources of powerが起こった際にstart the airplane enginesすることができなくなっても、「目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明」しようとすること自体が理解できないし、規制当局が、それを認めたことは、もっと理解に苦しむ。
3時間以内の最寄の空港へダイバートさえしない。
(ダイバート)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88
「機体異常の発生などで緊急に最寄空港に着陸する必要がある場合」には当らないということだ。
そのまま、目的地まで飛ぶ。そういうことになった。
まあいい。
浮沈子は、専門家ではないし、航空機の運行についても知識はない。旅客機に関わるのは、乗客としてである。キャリアの株を持っているわけでもないので、通常料金で利用する。
その立場から見ると、何かおかしいと感じる。
そういえば、先の引用の中で、「日米で起きた発火事故では電池がひどく焼け焦げていたため」原因究明を諦めたとある。
(高松に緊急着陸したB787型機、APUバッテリーに膨らみ)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE91I03Y20130219
「APUバッテリーを構成する8個のリチウムイオン電池のうち、2個に膨らみが認められた。」とある。
2か月前になる。
続報がないので、詳細はわからないが、「ひどく焼け焦げて」いなければ、発火についての何らかの手がかりが得られるのではないか。
「国土交通省の運輸安全委員会は」「APUバッテリーの調査にも着手したという。」とある。
続報を待ちたいところだ。
とうとう、B787が飛ぶことになった。
(米連邦航空局:ボーイング「787」の運航再開を承認)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLJ25P6K50XY01.html
「ただ、FAAも国家運輸安全委員会(NTSB)も、1月7日の日本航空 機のボストン空港での発火事故や、その後の全日空 機の日本国内での緊急着陸を招いたとされるバッテリーの不具合については原因を特定していない。」とある。
(ボーイングはいかにして787型機を救ったか)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324309104578434111947978362.html
この記事に、ボーイングの対策の経緯が書かれていて、非常に興味深い。
「幹部は当初、FAAの担当者に対し、コックピットのチェックリストの変更や電池の検査強化、飛行中の電池の監視強化を実施すれば、問題は解決できると説明していた。」
「次に取り掛かったのは電池が内部でショートした原因を特定し、それについてエンジニアリングによる対策を考え出すことだった。」
「専門家は最新の検査を実施してもはっきりした結論が出ないことを認めた。(日米で起きた発火事故では電池がひどく焼け焦げていたため:とある)」
「原因となりうる要因に対応するため、電池内部にさまざまな対策を講じることにした。」
「エンジニアは格納容器が絶対確実な対策になると主張していた。」
FAAとのやり取りの中で、B社は、対応を小出しにしてきたことがわかる。
特に注目したのは、原因が付き止られそうもないことが分かった時、格納容器の導入を見送り、バッテリー単体の対応で済ませようとしたことである。
もちろん、追加の格納容器によって、バッテリーの発火抑制自体に何ら効果があるわけではない。
しかし、機能が失われたバッテリーの二次災害を、ほぼ完全に封じ込め、乗客の安全を高めることは確かである。技術部門からのサジェスチョンもあった。
それを封じ込めて、(手を抜いて?)対策しようとした。
この会社は、何かおかしいのではないか。
「電池に最悪の故障が起きても、航空機が目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明するには大変な努力が必要だった」というくだりには飽きれる。
この航空機にとって、電力の供給は、命綱である。多重の発電機が故障した場合、バッテリーがバックアップとしてあることで、動翼の制御が担保されている。
電気がなければ飛べない飛行機の、重要なバックアップ電源として位置付けられている。
このことは、B社が公開している資料の中でも明記されている。
(Batteries and Advanced Airplanes)
http://787updates.newairplane.com/787-Electrical-Systems/Batteries-and-Advanced-Airplanes#
「The main battery also provides backup power for critical systems during flight in the extremely unlikely event of a power failure.」
「The APU battery supplies power to start the APU, which in turn can start the airplane engines. The APU, and its battery, also serves as part of the multiple layers of redundancy that would ensure power in the rare possibility of a loss of primary sources of power.」
これを読んだ上で、しつこいようだが、先の記事から再度引用する。
「電池に最悪の故障が起きても、航空機が目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明するには大変な努力が必要だった」
この飛行機は、最寄の空港へ3時間かかるルートを飛行することが認められている。
(ETOPS/LROPS:ETOPS-120からETOPS-180へ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ETOPS/LROPS#ETOPS-120.E3.81.8B.E3.82.89ETOPS-180.E3.81.B8
バッテリーに最悪の事態が起きて、in the extremely unlikely eventの際に、provides backup power for critical systemsすることができなくなっても、a loss of primary sources of powerが起こった際にstart the airplane enginesすることができなくなっても、「目的地以外で着陸したり、緊急着陸したりする必要はないことを証明」しようとすること自体が理解できないし、規制当局が、それを認めたことは、もっと理解に苦しむ。
3時間以内の最寄の空港へダイバートさえしない。
(ダイバート)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88
「機体異常の発生などで緊急に最寄空港に着陸する必要がある場合」には当らないということだ。
そのまま、目的地まで飛ぶ。そういうことになった。
まあいい。
浮沈子は、専門家ではないし、航空機の運行についても知識はない。旅客機に関わるのは、乗客としてである。キャリアの株を持っているわけでもないので、通常料金で利用する。
その立場から見ると、何かおかしいと感じる。
そういえば、先の引用の中で、「日米で起きた発火事故では電池がひどく焼け焦げていたため」原因究明を諦めたとある。
(高松に緊急着陸したB787型機、APUバッテリーに膨らみ)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE91I03Y20130219
「APUバッテリーを構成する8個のリチウムイオン電池のうち、2個に膨らみが認められた。」とある。
2か月前になる。
続報がないので、詳細はわからないが、「ひどく焼け焦げて」いなければ、発火についての何らかの手がかりが得られるのではないか。
「国土交通省の運輸安全委員会は」「APUバッテリーの調査にも着手したという。」とある。
続報を待ちたいところだ。
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