運用思想の誤り2013年08月31日 19:50

運用思想の誤り
運用思想の誤り


このプロマネは、根本的な誤りを犯しているのではないか。

(イプシロン打ち上げ中止 「ずれに気付ける人がいなかった」森田プロジェクトマネージャ (1/3ページ))
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/130831/cpc1308311540001-n1.htm

「姿勢データが来ない限り監視をしても意味がない。データが届いた後に監視をするようにタイミングを変える。」

「この遅れをもって飛んでいったとしても飛行には問題なかったと考えている。」

「監視を常に厳しめにやるという思想を徹底していたため不具合に至った。」

「地上、ロケット搭載のコンピューターに設計の誤りは一切ない。監視システムのソフト的問題であり、そういう必要性はない。」

「私としては、現象がすぐに特定できたので、すぐにも打ち上げられるという気持ちだった。」

「ほかにもしっかり特別点検を行い、100%の自信を120%くらいに高めて打ち上げるのが最良」

「はやる気持ちを抑えられなかった」

こういった発言の根本には、いくつかの思い込みがあるように浮沈子には感じられる。

たとえば、誤りのない装置を設計するこが可能であるとか、その設計に基づいて誤りのない装置を製造することが可能であるとか、その装置を、設計者の意図通りに、誤りなく作動させることは可能であるとか、複数の装置を連動させて作動させる時に、最も優秀な装置(反応速度の速い装置)に合わせて、全ての装置が作動すべきであるとか、自動化を行う際には、あらゆることを自動化し、人間の関与する余地を完全に排除しなければならないとか、目標を定めてプロジェクトを推進する際に、日程を遅らせることは、プロマネとして恥であるとか・・・。

「安さ爆発、みんなのイプシロン」にならなかったのは、ロケット側の値をもらえなかった地上システムが参照したロール姿勢値が、異常値であったことによる。

仮に、本当に異常値が出ていて、そんでもって、参照した値が正常値という、今回と真逆なことが起こっていたら、見守っていた何千人という観客の目の前で、ドカンといっていたかもしれないし、その観客に、ロケットの破片が降り注いで、阿鼻叫喚の地獄絵になっていたかもしれないし、あれっ?、なんか北の半島国家の方に飛んでいちゃった!、なんてことになっていたかもしれない(おいおい!)。

(JAXA、イプシロンロケット試験機打上げ中止の原因「0.07秒のズレ」)
http://response.jp/article/2013/08/31/205367.html

(イプシロンロケット試験機打上げ中止の原因究明状況について:元記事)
http://www.rocket.jaxa.jp/news/topics/pdf/20130830.pdf

このロケットは、自動車でいえば、完全自立駆動自動車のようなものだ。

ロボットなのである。

本当なら、ロケットが、自ら計算して答えを出し、発射するかどうかを判定すればよいのだが、そこんとこは、地上側のシステムに頼っている。

ROSE(ローズ)というシステムが、ロケット側の測定結果を取りまとめて、パソコンに伝送するらしい。

んでもって、パソコンの中の判定システムが、○か×かを決めるわけだな。

どこかで、人間の関与を残しておきたいのか。

それとも、ロケット側に全てを委ねることに、何か問題があるのだろうか。

いやはや、何とも、不思議な事件である。

対策にしても、ローズからの結果を貰ったかどうかの判定をせずに、ウエイト時間を延長して対応させようとしているような記述である。

そして、それを、ソフトの問題として切捨て、計算機の誤りではないと、開き直っている。

厳し目にしておいたから、発射が回避されたわけではないのだ。

単なる偶然、予期せぬ動作、運を天ではなく、運用を機械に任せっきりにした運用思想の誤りが表に出たのである。

この、自動発射システムの発想は、ICBMが、将来、テロリストによって運用されることを想起させる。

あるいは、そう、ロケット技術を持った、民間企業とか(何に使うんだあ?)。

彼らが、安心して運用できるように(?)、しっかりとした運用思想に則り、それを実現するための基盤技術、要素技術を磨いておいて貰いたい(そういうことかあ?)。

なにせ、ズブのシロウトが、パソコン操作して打ち上げることになるんだから・・・。

機械も、人間も、ミスを犯す。

機械が得意なことは、機械に任せ、人間が得意なことは、人間に委ね、完全なシステムなど在り得ないという普遍の真理を前提としたインテグレーションを行い、必要な冗長性と、バックアップを備えた堅牢な仕掛けで望んでもらいたい。

全ての仕掛けは、正常な打ち上げの導出と、異常な打ち上げの排除が目的なのである。

まぐれとはいえ、今回は、その意味で、半分成功であったわけだな。

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