有る・余る2016年03月23日 16:42

有る・余る


アル・アマルという名前(アラビア語で「希望」という意味だそうだ)の火星探査機が、こともあろうに、我が国のH2Aで打ち上げられることになったらしい。

(UAEの火星探査機、H-IIAロケットで打ち上げ決定 日本と宇宙探査で協力へ)
http://sorae.jp/030201/20160322_uaemars.html

「UAEの火星探査機「アル・アマル」(Al Amal)はアラブ諸国初の火星探査機。」

「アル・アマル」で検索すると、ベリーダンス・スタジオ関係がいっぱい出てきて、腰周りに自信がありそうなおばちゃん達が、にこやかに笑ってる写真が見られるが、もちろん、何の関係もない(たぶん・・・)。

どんな衛星だろうと、調べてみると、けっこうまともな感じだ。

(Technical Specifications)
http://www.emiratesmarsmission.ae/mars-probe/

「・Weight:1,500 kg including fuel
・Data bandwidth:1.6 mbps at Mars’s closest point to earth
・Dimensions:2.37m wide, 2.90m tall (excluding solar panels)
・Navigation sensors:Star trackers Sun sensors
・Structure:Aluminium frame with lightweight aluminium honeycomb panels
・Thrusters:Four to six large 120-Newton thrusters for acceleration and braking
Eight to 12 small 5-Newton thrusters for delicate manoeuvring
・Solar panels:Three extendable 600W solar panels
・Positioning:Set of internal Reaction Wheels to rotate the probe around three axes
・Antennae:High-gain (directional) antenna with 1.5m dish
Additional non-directional low-gain antennas」

我が国がかつてMーVロケットで打ち上げたのぞみと比べると、3倍近い重量である。

(のぞみ (探査機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AE%E3%81%9E%E3%81%BF_(%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F)

「541kg(打ち上げ時重量)」

この中に、しこたま観測器を積んだ。

「観測機器:
・MIC:火星撮像カメラ
・UVS:紫外光撮像器
・XUV:極端紫外光撮像器
・MDC:ダストカウンター
・EIS:高エネルギー粒子計測器
・ESA:電子エネルギー分析器
・ISA:イオンエネルギー分析器
・IMI:イオン質量分析器
・MGF:磁場計測器
・PWS:プラズマ波動サウンダー
・LFA:低周波波動観測器
・PET:電子温度プローブ
・NMS:中性粒子質量分析器
・TPA:熱プラズマ分析器」

(科学機器:詳細はこちら)
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/nozomi/scienti.shtml

金がない我が国は、1度の打ち上げで、可能な限りの観測を行おうとするわけだな。

UAEとの、本質的な違いを感じる(アル・アマル=有る・余る???)。

のぞみは、残念ながら、火星周回軌道に投入することは出来なかった。

「のぞみは今後、数億年にわたって火星とほぼ同じ軌道をまわり続けると考えられている。」

アル・アマルの動画もある(ロケットは、三菱のじゃありませんが)。

(UAE unveils Mars mission plan:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=Gdn_9GM8rng

聞きやすい英語で、自動翻訳で字幕を流すより理解できそうだ。

仕様によれば、リアクションホイールによる3軸姿勢制御を行うとあるので、火星に着けば衛星の回転は止まるんだろうな。

アラビア語バージョンの動画もあるが、たぶん、同じ内容なんだろう。

(MARSمشروع الامارات مسبار الامل لاستكشاف المريخ :動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=mN2tvIK24zU#t=330.741

解説も、生き生きしているような気がする(もちろん、浮沈子は、さっぱり分かりません)。

搭載される観測器もシンプル(3つ?)で、背伸びしない姿勢がいいな。

(三菱重工、UAEの火星探査機の打ち上げを受注 - 2020年にH-IIAで打ち上げ)
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/22/569/

「主に火星の大気に重点を置いた観測を行うことを目的としており、高い分解能で写真を撮影する高性能デジタルカメラの「EXI」、紫外線で高層域の大気や、酸素や水素の流れを探る「EMUS」、そして赤外線で大気の温度パターンや、氷や水蒸気、塵を探る「EMIRS」の、大きく3種類の観測機器を搭載する。」

ミッション全体も無理のない計画だ。

(Factsheet)
http://www.emiratesmarsmission.ae/mission-journey/

「・Launch date:July 2020
・Cruising distance from Earth to Mars:More than 60 million kilometres
・Cruising time from Earth to Mars:200 days (approx.)
・Arrives in Mars (“Mars Orbit Insertion”):First Quarter 2021
・Orbit shape:Elliptical (oval)
・Orbit period:55 hours
・Altitude of science orbit:22,000-44,000 km
・Science operation begins:Mid-2021
・Primary science operations duration:Two years
・Extended science operations duration:Potential for two further years」

軌道高度も高く、無理して円軌道に入れたりしない。

全てが、緩く、無難な感じだ。

(UAEの火星探査機打ち上げ 日本企業が受注)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160323/k10010452961000.html

「打ち上げの連続成功と、世界のトップレベルを誇る成功率などによる安心感を、評価していただいたと思う」

金がうなっているところは、発想が違うんだろうな。

多少高くても、安心な方がいい(有る・余る???)。

しかし、ハッキリ言って、我が国のロケットが、人様の衛星を、しかも、失敗に終わった自国の衛星と同じような名前を付けたやつを打ち上げるというのは、何とも複雑な気分にならざるを得ない。

我が国は、その2年後に火星の衛星からのサンプルリターンを計画している。

(JAXA探査機、火星の衛星「フォボス」向け2022年に打ち上げ?)
http://sorae.jp/030201/2016_01_04_phobos.html

「JAXA(宇宙航空開発機構)が2022年に火星の衛星「フォボス」に向けて探査機を打ち上げる計画」

「打ち上げには新型ロケット「H3」が利用され、3年後に地球に帰還する予定」

計画通りに実施されるかどうかは不明だ。

(JAXAの「火星の衛星からのサンプル・リターン」計画とは)
http://news.mynavi.jp/series/jaxa_mars/001/

「まだ正式なプロジェクトとして決まったわけではない」

H3だって、どうなるか分からないしな。

もう少し先にならないと、具体的には見えてこないんだろう。

そうか、フォボス狙ってるのか・・・。

ロシアとガチだな。

まあ、どうでもいいんですが。

しかし、少なくともその前に、UAEの火星探査機を打ち上げるわけだ。

まあ、成功させてもらいたいのはやまやまだが、ビミョーな違和感を感じるのは、浮沈子だけなんだろうか・・・。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック