切り替え、早っ!2016年03月31日 03:19

切り替え、早っ!


もう、さっさと見切りをつけて、2号機のことを考えた方がいいんじゃないか(!)という記事が出た(そうなのかあ?)。

(X線天文衛星「ひとみ」から電波、わずかな手掛かりからの解析)
http://sorae.jp/02/20160329_astroh-2.html

「一方、「ひとみ」の復活が不可能だという結論に至った場合は、「ひとみ」と同じ設計の「ひとみ2」の製作を検討するかもしれない。」

「「ひとみ2」を製造する場合、設計までの研究費がかからないこと、予備の部品を使えることなどから「ひとみ」より短期間で割安に製造できると考えられ、費用対効果は高い。」

もちろん、記事全体は、復旧に向けてあらゆる手段を駆使すべき調(?)になっているが、浮沈子は、さっさと切り替えて、前向きな検討を始めるべきだというのがホンネとみた。

27日に行われた記者会見の映像を見つけた。

(X 線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の状況について:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=ebdLyU3KXyc

報道記事には書かれていないことも、こうして映像を見ると、ハッキリと分かる。

偉い人たちの回答は、組織で決定された手元資料の範囲を逸脱したくないという思いと、具体的なデータは手元にないという制約から、どうしても歯に物が挟まった感じになっている。

質問に対する答えになっていない場合もあるが(たぶん意図的)、集まった記者の方は概ね好意的で、突っ込んだりしないな。

質問する方も、直球の答えを期待していないことがあるのかもしれない。

質問に絡めて、周辺情報を引き出せれば、それでいいのだろう。

記事に書く時にも、「明確な回答はなかった」とか書けるしな・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

最初の2回の受信時での受信局が、内之浦(2度目は勝浦も)ということも分かった。

1度目が3分、2度目が4分だったそうだ。

最後の正常受信がパース近郊のミンゲニュー局であることも確認できた。

ここは、26日の定時通信が出来なかった時の局でもある。

(JAXAの追跡管制網)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/tracking.html

(国内の拠点)
http://track.sfo.jaxa.jp/business_overview/busi_over07.html

(海外の拠点)
http://track.sfo.jaxa.jp/business_overview/busi_over08.html

理事長をトップとする対策本部は、アデオス2の時にも設置されたようだ。

(みどりII)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%81%A9%E3%82%8AII

「2003年(平成15年)10月25日 午前1時15分頃、衛星の太陽電池パドルの発生電力が6kwから1kwに減少し、同日8時55分頃以降、衛星との交信ができなくなり(先代みどりに引き続き)途中で運用を断念した。」

悪夢の再来だな。

SXSは、ヘリウムを完全に失っても、効率は下がるが、同等の低温を冷凍機で実現でき、観測が継続できる仕様であることも分かった。

衛星の回転は、最終的な状態として想定されているようだ。

そうなれば、逆に太陽電池に受光できるという。

回転の向きとか角速度にもよるのではないか。

とにかく、通信が出来ない以上、どうしようもないことが分かる。

やっぱ、早々に、2号機の検討を始めた方がいいだろうな。

参考までに、この映像から新たに分かった事実を加えて、経過を記しておこう。

・3月26日3時2分:
完全な正常状態を確認した最後の受信(内之浦局)

・3月26日4時50:
正常受信(海外局)

・3月26日7時30:
構体内の温度分布に異常をきたしていた受信(解析中:その他は正常)(海外局)

・3月26日9時52分:
定時受信終了、最後の正常受信(ミンゲニュー局)、後のデータ解析からこの時点で次の不具合を確認
「太陽電池パドルの発生電力が想定よりも低い」
「構体内の温度分布が通常と異なる」
「太陽捕捉を示す信号が確認できない」

・3月26日10時42分頃:
米軍戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)がひとみの分解時刻と分析

・3月26日16時40分:
定時受信できず(ミンゲニュー局)

・3月26日17時20分:
米軍戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)がひとみの衛星軌道近傍に5個の物体を確認

・3月26日23時39分:
3分間電波受信(内之浦局)

・3月27日1時21分:
4分間電波受信(内之浦局、勝浦局)

・3月26日4時頃:
衛星軌道の急激な変化を観測

・3月28日22時頃:
内之浦宇宙空間観測所(日本:鹿児島県)で短時間(11秒)電波受信

・3月28日22時20分:
倉敷科学センター(岡山県)にて衛星の明滅を確認(周期約7秒)

・3月29日0時半頃:
チリ・サンチャゴ局で短時間(6秒)電波受信

・日付時刻不明(3月29日までの間):
美星スペースガードセンター(BSGC)の望遠鏡による観測において当初の「ひとみ」の軌道近傍に2つの物体を確認

・日付時刻不明(3月29日までの間):
上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダにおいて当初の「ひとみ」の軌道近傍に1つの物体を確認(ちょっと意味不明だな)

極超音速機2016年03月31日 05:51

極超音速機
極超音速機


(速すぎ! 「マッハ6の極超音速機」をロッキード・マーティンが開発中)
http://sorae.jp/030201/2016_03_29_lo.html

「ロッキード・マーティンCEOのMarillyn Hewson氏は「マッハ6で飛行する極超音速機」の開発への投資を今後も継続する」

以前にも、このブログで取り上げたことがある。

(CSM)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/06/09/7340042

「「CSM(Conventional Strike Missile)は、アメリカ軍が構想中の通常弾頭搭載型打撃ミサイルである。」

核なき世界をうたいあげ、ノーベル平和賞までさっさともらってしまったバラク・オバマだが、その背景にはこういう仕掛けがあったわけだな。

今回のソラエの記事も、それを踏まえて書かれている。

「アメリカ国防総省は「地球上のあらゆる場所に1時間以内で通常爆弾、あるいは核攻撃ができるメソッド」を求めていますが、SR-72は極極音速ミサイル「HSSW」との組み合わせでその性能を実現しようとしています。」

このSR-72には、人間は乗らない。

無人機、つまりドローンである。

ドローンというと、どろ~んと飛んでいるようなイメージがあるが(そうかあ?)、これはマッハ6というとてつもないスピードで飛ぶ。

さらに、そこから極超音速ミサイルも発射するというわけだ。

(Lockheed: 極超音速で飛行可能な攻撃ミサイルの開発構想を発表)
http://www.businessnewsline.com/news/201311190837410000.html

「極超音速で飛行する物体を破壊するためには同等以上の速度を持つ迎撃手段が必要となるため、仮にこうした攻撃ミサイルが実用化された場合には、敵対勢力には迎撃することは不可能になるだろうとも述べている。」

盾と矛、矛盾だな。

「SR-72は2018年に初飛行を行ない、2030年代に実戦配備が行なわれる予定です。」

問題は、マッハ6の無人機から発射されたマッハ6の極超音速ミサイルがマッハ12でちゃんと当たるかどうかだ。

毎秒4kmで飛んでるわけで、亜音速の巡航ミサイルと異なり、通常手段では破壊できない。

大陸間弾道弾が迎撃できる(ことになっている)のは、てっぺん付近で速度が遅くなっているからだ。

しかし、国防総省の要求仕様では、これでも遅過ぎるのだ。

地球の裏側まで1時間で飛ぶには、時速2万キロ(秒速約5.6km)で飛ぶ必要がある。

もちろん、加速もしなきゃならんしな。

やっぱ、衛星軌道から、物理兵器を急降下させるのが一番手っ取り早い。

人工衛星の速度は毎秒8km以上だ。

宇宙と空との境目は、曖昧になってきている。

酸化剤を積み込まずに、高空まで存在する大気中の酸素分子をエンジンに押し込んで燃やす方が効率的だ。

実験的にはともかく、実戦配備はこれからという話だ。

素材が熱に耐えられないのかもしれない。

しかし、考えてみれば、弾道ミサイルの弾頭だって、マッハ20位で落ちてくるわけだから、そういう工夫をすればいいだけの話だ。

しかし、毎回アブレーターを塗布するというのは、実戦兵器としては使えない話だ。

ミサイル側だけなら、そういう対応は可能だ(使い捨てだしな)。

運搬する航空機側や宇宙空間に滞在する衛星の方は、そういう配慮はいらない(マッハ6程度なら、全く問題ない)。

だから、ロッキードマーチンは、開発を継続するんだろう。

ベストバランスで、コスパを上げようというわけだ。

大陸間弾道弾を減らして、可搬型極超音速ミサイルシステムを構築しようとしている。

戦略的な投資なわけだから、長期に安定した収益が得られる。

初期配備だけではなく、更新需要も見込める。

採用されれば、美味しい話だ。

もう少し、速度を上乗せして、要求仕様を満たせるようにすればいい。

地球の裏側から、いつでも精密爆撃が可能になれば、世界中で前面展開している部隊を、撤収させることができる。

コスト削減。

米国の至上命題だ。

SR-72とHSSWの組み合わせというのは、確かに目的に適う・・・。

しかし、もう少し速くしないとだめだな。

現状では、仕様を満たせずに終わってしまう。

さて、どういう展開になるんだろうか?。

(X-37 (宇宙機):追加)
https://ja.wikipedia.org/wiki/X-37_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%A9%9F)#X-37B

やっぱ、こっちかな・・・。

スピード952016年03月31日 15:44

スピード95
スピード95


嬉しいニュース。

(WHO、西アフリカのエボラ熱「緊急事態」を解除)
http://jp.reuters.com/article/health-ebola-who-idJPKCN0WW0BL

「世界保健機関(WHO)は29日、西アフリカでのエボラ出血熱について「緊急事態」に該当するとの宣言を解除した。」

2014年の8月から、1年8か月近くになる。

「他地域への感染リスクも低下し、感染が確認された国々も今は十分な対応を行うことができる」

大変結構な話だが、葬儀の際に手袋を付けて遺体を洗うという話は聞いたことがない。

このブログでも取り上げたことがあるが、喉元過ぎれば熱さを忘れるのだ。

(現実)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/15/7414434

「(エボラ熱の街で 感染の恐怖、拭い去った握手 @グル)
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306040275.html
「エボラは感染者の体液、血液に触れることによって感染する。その流行によって人々の慣習が変わった。人と会っても握手を交わさなくなった。亡くなった人の遺体を手で洗い清めることもしなくなった。取材時も、だれからも握手を求められなかったし、こちらも手を差し出さなかった。」
2000年の流行の際の話である。
「遺体を清める慣習はどうだろう。「残念ながら」とオピラ医師は切り出した。「昔からの慣習はなかなか変えられないようです。すっかり元にもどってしまいました」」」

数年経てば、人々の記憶は遠ざかり、元の木阿弥になるのだ。

浮沈子は、それが必ずしも悪い事とは思わない。

長年受け継がれてきた習慣の中でしか、人間は生きられないのだ。

エボラの流行は、あらためてそのことを教えてくれる。

そして、歴史は繰り返す。

それも、仕方ない。

(Ebola Situation Report - 30 March 2016)
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-march-2016

ギニアの新たな感染者は、確定4名可能性3名の、合計7名に増えた(全員死亡)。

首都から遠く離れた地域で、ポツンと赤い火が灯る(画像参照)。

WHOによれば、「感染が確認された国々も今は十分な対応を行うことができる」そうだから、安心して見ていられる(そうなのかあ?)。

これは、繰り返される再発の、単なる始まりではないのか。

頭の中には、無症候キャリアの話がこびりついている。

WHOのレポートでは、精液中に数か月残存するというエビデンスに基づく対応を行っているようだ。

「Not including individuals who have been tested as part of ongoing viral persistence studies, over 350 male survivors in Liberia have used semen screening and counselling services.」

後遺症の治療、長期にわたる監視体制も動き出している。

きっと、大丈夫なんだろうと思いながら、一抹の不安を拭いきれない。

しかし、Public Health Emergency of International Concernの解除というのは、妥当な判断だ。

むしろ、遅過ぎた感もある。

世界は、エボラの恐怖から逃れられた。

それは、間違いない。

浮沈子も、そう思う。

少なくとも、今回は。

しかし、それは、現時点の人間の勝手な評価に過ぎない。

致死性の高い感染症が、国境を越えて伝播するなんて有り得ないという従来の常識が、根本的に覆されたわけだしな。

もう、世界は昨日までと同じではなくなってしまったのだ。

ギニアのド田舎に、ポツンと赤い点がある。

この点から目を逸らして、安穏な毎日を送ることは可能だ。

専門家が、しっかりと見ていてくれる。

何かあれば、また、大きく報道されるだろうし・・・。

遠い遠い、地球の果ての話だし・・・。

そんなことより、衛星ひとみの復旧はどうなったかとか、欧州のテロは本当におさまったのかとか、新型ボクスターの試乗はいつできるのかとか、いつになったらインスピの部品が届くのかということの方が気になる。

日常の中に、エボラは埋もれていく。

埋もれさせていい。

そうでなければ、人間は生きていけないのだ。

遺体を素手で洗ったり・・・。

まあいい。

それが人間というものだと、浮沈子は思い知った。

先に引用した記事の中で、遺体を素手で洗浄するという習慣が復活してしまったことについて、記者はこうも書いている。

「医師の立場からは残念、ということになるのだろう。でも、それは社会の復元力とも言えるのではないだろうか。」

西アフリカ地域は、間違いなく復元しようとしているんだろうな。

初出のロイターの記事にはこうある。

「WHOは、エボラ熱が大流行したギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易の制限についても、その必要はなくなったとしている。」

世界は変わってしまったが、我々は、その世界で生き続けなければならない。

亡くなった11323人の人々のためにも、感染して辛くも生き残った17323人の人々のためにも、残りの73億人の人々のためにも・・・。

やっぱ、爆発?2016年03月31日 17:29

やっぱ、爆発?
やっぱ、爆発?


(機器異常で「ひとみ」破損か 宇宙ごみ衝突を米軍否定)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/science/article/235014

「宇宙ごみとの衝突が原因ではないとの見方を明らかに」

「搭載機器に異常が起きた可能性が高まった。」

まあ、想定の範囲内だな。

(U.S. military rules out collision as cause of Hitomi satellite’s woes:元記事)
https://spaceflightnow.com/2016/03/29/u-s-military-rules-out-collision-as-cause-of-hitomi-satellites-woes/

「A military spokesperson told Spaceflight Now in an email Tuesday that the Pentagon’s space surveillance network detected no sign of a high-speed collision between Japan’s Hitomi astronomy satellite and another object in orbit late Saturday, when debris blew off the newly-launched observatory and mission control lost contact with it.」

「Mercurio said modeling and analysis by the command’s experts, akin to “rewinding the tape,” led officials to conclude the Hitomi satellite did not collide with another object prior to the appearance of the debris.」

もっとも、10cm以下のデブリは検出不能だから、完全に否定されたとまではいえないんじゃないか。

まあ、でも、きっと、たぶん、おそらく、内部要因で飛び散った可能性が高いな。

浮沈子も、そう思っている(ヤマカン)。

サンケイは、このタイミングで、ワイアードの記事を転載している。

(「ひとみ」に何が…通信が途絶えたエックス線天文衛星、宇宙ゴミと衝突か?)
http://www.sankei.com/wired/news/160331/wir1603310002-n1.html

「たとえひとみが損傷した原因が記録されていなくても、5つの物体の追跡データを調べ、互いが最小距離にあった時点まで軌道をさかのぼれば、原因の究明は可能なはずだ。」

「物体1つひとつの速度を調べれば、小惑星など外部の何かと衝突したか、あるいは、内部で爆発があったかの手掛かりになる(米統合宇宙運用センターは28日、ひとみの分解は協定世界時3月26日01時42分+-11分に起きたと見られるとツイートしている)。」

その結果、内部の爆発の可能性が高くなったということになる。

サンケイのセンスは、抜群だな(軍事ネタ以外には、あまり期待していないけど)。

「With an external cause now ruled out, a fuel or gas leak, a burst battery, or some other explosive event inside the satellite is the likely culprit.」

元記事内でも、burst batteryの可能性が書かれている。

「some other explosive event inside the satellite」の可能性もあるが、やっぱ、第一選択としてはバッテリーだろう。

一体、どんな奴が積まれているんだろうな。

衛星のバッテリーは、リチウムイオン電池と相場が決まっているが、最近は、他のタイプが積まれている可能性もある。

(衛星でイオン液体電池の充放電に成功)
http://www.huffingtonpost.jp/science-portal/lithium-ion-battery_b_6363706.html

「このリチウム電池は、東京大学大学院工学系研究科の中須賀真一(なかすか しんいち)教授らが6月にロシアのヤスネ基地から打ち上げて地球周回軌道に乗った超小型衛星「ほどよし3号」に搭載された。」

(Hodoyoshi 3)
https://en.wikipedia.org/wiki/Hodoyoshi_3

「The satellite also included private/public partnership in the form of Hello Kitty , a popular character of the Sanrio corporation, on the satellite Hosted Payload box.」(画像参照)

ああ、あれかあ!。

(キティ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/13/7413531

「「2014年7月12日(←8月12日の間違い!)、株式会社サンリオは、東京大学の超小型衛星「ほどよし3 号」にハローキティのフィギュアを搭載、衛星の窓から見える地球・宇宙空間と共に一般公募メッセージを撮影、動画で公開する「キティちゃんと宇宙からメッセージ!」キャンペーンを開始した。」

まあ、どうでもいいんですが。

「この電池は、電解系の蓄電池に含まれている溶媒がなく、塩と同じイオン液体を電解液としているため、揮発や引火する心配はない。」

この段階では、あくまでも宇宙空間における試験使用ということだ。

まあ、ひとみは実績重視の国際科学衛星なので、通常のリチウムイオン電池だろう。

バン・・・。

ああっ・・・。