スピード952016年03月31日 15:44

スピード95
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嬉しいニュース。

(WHO、西アフリカのエボラ熱「緊急事態」を解除)
http://jp.reuters.com/article/health-ebola-who-idJPKCN0WW0BL

「世界保健機関(WHO)は29日、西アフリカでのエボラ出血熱について「緊急事態」に該当するとの宣言を解除した。」

2014年の8月から、1年8か月近くになる。

「他地域への感染リスクも低下し、感染が確認された国々も今は十分な対応を行うことができる」

大変結構な話だが、葬儀の際に手袋を付けて遺体を洗うという話は聞いたことがない。

このブログでも取り上げたことがあるが、喉元過ぎれば熱さを忘れるのだ。

(現実)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/15/7414434

「(エボラ熱の街で 感染の恐怖、拭い去った握手 @グル)
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306040275.html
「エボラは感染者の体液、血液に触れることによって感染する。その流行によって人々の慣習が変わった。人と会っても握手を交わさなくなった。亡くなった人の遺体を手で洗い清めることもしなくなった。取材時も、だれからも握手を求められなかったし、こちらも手を差し出さなかった。」
2000年の流行の際の話である。
「遺体を清める慣習はどうだろう。「残念ながら」とオピラ医師は切り出した。「昔からの慣習はなかなか変えられないようです。すっかり元にもどってしまいました」」」

数年経てば、人々の記憶は遠ざかり、元の木阿弥になるのだ。

浮沈子は、それが必ずしも悪い事とは思わない。

長年受け継がれてきた習慣の中でしか、人間は生きられないのだ。

エボラの流行は、あらためてそのことを教えてくれる。

そして、歴史は繰り返す。

それも、仕方ない。

(Ebola Situation Report - 30 March 2016)
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-30-march-2016

ギニアの新たな感染者は、確定4名可能性3名の、合計7名に増えた(全員死亡)。

首都から遠く離れた地域で、ポツンと赤い火が灯る(画像参照)。

WHOによれば、「感染が確認された国々も今は十分な対応を行うことができる」そうだから、安心して見ていられる(そうなのかあ?)。

これは、繰り返される再発の、単なる始まりではないのか。

頭の中には、無症候キャリアの話がこびりついている。

WHOのレポートでは、精液中に数か月残存するというエビデンスに基づく対応を行っているようだ。

「Not including individuals who have been tested as part of ongoing viral persistence studies, over 350 male survivors in Liberia have used semen screening and counselling services.」

後遺症の治療、長期にわたる監視体制も動き出している。

きっと、大丈夫なんだろうと思いながら、一抹の不安を拭いきれない。

しかし、Public Health Emergency of International Concernの解除というのは、妥当な判断だ。

むしろ、遅過ぎた感もある。

世界は、エボラの恐怖から逃れられた。

それは、間違いない。

浮沈子も、そう思う。

少なくとも、今回は。

しかし、それは、現時点の人間の勝手な評価に過ぎない。

致死性の高い感染症が、国境を越えて伝播するなんて有り得ないという従来の常識が、根本的に覆されたわけだしな。

もう、世界は昨日までと同じではなくなってしまったのだ。

ギニアのド田舎に、ポツンと赤い点がある。

この点から目を逸らして、安穏な毎日を送ることは可能だ。

専門家が、しっかりと見ていてくれる。

何かあれば、また、大きく報道されるだろうし・・・。

遠い遠い、地球の果ての話だし・・・。

そんなことより、衛星ひとみの復旧はどうなったかとか、欧州のテロは本当におさまったのかとか、新型ボクスターの試乗はいつできるのかとか、いつになったらインスピの部品が届くのかということの方が気になる。

日常の中に、エボラは埋もれていく。

埋もれさせていい。

そうでなければ、人間は生きていけないのだ。

遺体を素手で洗ったり・・・。

まあいい。

それが人間というものだと、浮沈子は思い知った。

先に引用した記事の中で、遺体を素手で洗浄するという習慣が復活してしまったことについて、記者はこうも書いている。

「医師の立場からは残念、ということになるのだろう。でも、それは社会の復元力とも言えるのではないだろうか。」

西アフリカ地域は、間違いなく復元しようとしているんだろうな。

初出のロイターの記事にはこうある。

「WHOは、エボラ熱が大流行したギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易の制限についても、その必要はなくなったとしている。」

世界は変わってしまったが、我々は、その世界で生き続けなければならない。

亡くなった11323人の人々のためにも、感染して辛くも生き残った17323人の人々のためにも、残りの73億人の人々のためにも・・・。

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