ファームウェアの更新:初代ペトレルで頑張る:いつまで? ― 2020年10月05日 13:34
ファームウェアの更新:初代ペトレルで頑張る:いつまで?
グアムで手に入れた時は既に型落ち。
それ以来、せっせと潜って370時間。
しばらくぶりにファームウェアを更新した。
バージョン72。
シェアウォーターのホームページでは、V71になってるんだが、ブルートゥースでつないで落としたら1つ上がっていた。
なんか得した感じ。
バージョンアップしたりゲージモードにすると、窒素の蓄積とかがリセットされるので潜る直前のタイミングがいいようだが、まあ、連続で潜っている最中でなければ問題はない(たぶん)。
地球の大気で飽和状態だから、宇宙遊泳でもやらなければ支障はないだろう。
ISS船内はほぼ1気圧の21パーセント酸素の空気だ。
船外活動は、純酸素を低圧にして吸っているから、船外活動の際には減圧(!)する必要がある(でないと、減圧症に罹っちまう)。
純酸素を吸っている時のEADは、10m相当(水深で言えばマイナス10m:つまり、水面で空気吸うより窒素の排出を促す)と習う。
高度400kmの宇宙空間では何て言うんだろうな。
まあ、どうでもいいんですが。
今日は、フィットネスの公休日。
良心の呵責を感じないで、大っぴらに爆食できる(爆食とは関係ないんじゃね?)。
昨日は、気分転換に筋トレハーフと軽く350m泳いだあと、床屋に行ってバリカンで3mmに短く刈ってもらった。
その後、せっせと酸素毒性のお勉強。
これって、テック40の範囲なんだが、定量的に細かく計算するのは初めてだ。
やれやれ・・・。
頭はパンク状態で、テクニカルダイビングの呪文2つ(ダイブプランニングとガス交換)は、覚えられそうもない。
呪文だけ覚えてもダメだしな。
アクロニムになっているアルファベットが象徴している本来の意味を理解していなければ、くその役にも立たない。
浮沈子的には、呪文を覚えるだけでも精一杯だ(そんなことでどーする!?)。
いざとなったら、チームメイトを頼ろう(それじゃダメだってば!)。
人頼りのダイビングを続けてきた癖が直らない。
レクリエーショナルレベルでも、認定ダイバーは、その認定の範囲、トレーニングした環境の範囲で、バディ潜水を行うことが出来なければならない。
つーか、そうでなければ認定してはならないのだ(制限付きの認定レベルもありますが)。
認定テクニカルダイバーが、人頼りしていいわけはない。
ダイビングの認定は、一部の指導団体を除いて更新がないからな。
一生もんだ。
が、しかし、ダイバーはいつか陸に上がる日を迎える。
それは、人によって個人差が大きく、一概に何歳とは言えない。
目がかすみ、足元がふらつき、バルブを開けたかどうかも定かではなくなり、バディに向かって危ないせりふを吐くのだ・・・。
あんた、誰?(そんなあ!)。
まあいい。
浮沈子がお世話になっているショップの現地ファシリティのスタッフには、サービスで出されてるお昼のカレーライスを、食べたにも関わらず、俺は食ってないと言い出したら、ダイビングを止めてくれと頼んである。
当日のダイビングフィーを払ってもう一杯カレーを食い(やっぱ食うのかあ?)、以後、タンクを担ぐことはない。
それでも、水から上がることはないだろう。
水泳教室で水に親しむ。
それだって、いつまでも続くわけではない。
先日、水着を脱いで手に持ったまま、プールサイドから更衣室に続く廊下を歩いてきた会員とすれ違った(本当です!)。
やれやれ・・・。
せっせと覚えたテクニカルダイビングの呪文や、水中で安全に純酸素を呼吸するための知識、テクニックも、いつか忘却の彼方に消え去る。
浮沈子が、それを次の世代に伝えることはない。
しかし、いい歳こいて、苦労しながら新たなダイビングにチャレンジしている姿を見せることは出来る。
年寄りの冷や水と思われてもいい。
教える方だって、若いダイバーを育てた方が教え甲斐があるだろうしな。
商売的にも、先がある話だし・・・。
ジジイに教えても、すぐに忘れちゃうし、先がないから投資価値は低い。
それでも、老いらくのダイバーとしての姿を見せ続ける意味はあると信じている。
迷惑を掛けない範囲で、潜り続けられる限りは潜ろう。
講習も、受けられる限りは続けていこう。
いつか、どこかで3歩進んで4歩下がる日が来る(現在は、3歩進んで3歩下がる程度)。
そうなれば、講習を受けても先に進むことは出来なくなる。
その講習を修了することはない。
永遠に・・・。
そこが浮沈子のダイビングにおける地平だ。
ゆるやかな撤退の始まり。
最も厳しいテクニカルダイビングのトレーニングを続けながら、その限界を見極める。
そして少しずつ、ダイビングの世界を閉じていく。
カレーライスを食うだけの生活(そうなのかあ?)。
明日の試験が終わったら、週末のサイドマウントの講習会の準備をしよう。
浮沈子は、認定は持っているので一緒に講習を受けるだけ。
それでも、毎回異なったコンフィギュレーションを試し、器材が変わり、飽きることはない。
先日買ったキャニスターライトのデビュー準備や、ヘルメットの追加の加工も必要だ。
インフレーターホースも、少し短めのに変えてみようか・・・。
汲めども尽きぬダイビングの楽しみ。
おさかなの写真撮ったり、名前覚えたりしないのかってえ?。
そういう面倒くさいことは、得意なダイバーに任せる。
他に覚えることややることが多すぎて、手が(頭も)回らないからな・・・。
グアムで手に入れた時は既に型落ち。
それ以来、せっせと潜って370時間。
しばらくぶりにファームウェアを更新した。
バージョン72。
シェアウォーターのホームページでは、V71になってるんだが、ブルートゥースでつないで落としたら1つ上がっていた。
なんか得した感じ。
バージョンアップしたりゲージモードにすると、窒素の蓄積とかがリセットされるので潜る直前のタイミングがいいようだが、まあ、連続で潜っている最中でなければ問題はない(たぶん)。
地球の大気で飽和状態だから、宇宙遊泳でもやらなければ支障はないだろう。
ISS船内はほぼ1気圧の21パーセント酸素の空気だ。
船外活動は、純酸素を低圧にして吸っているから、船外活動の際には減圧(!)する必要がある(でないと、減圧症に罹っちまう)。
純酸素を吸っている時のEADは、10m相当(水深で言えばマイナス10m:つまり、水面で空気吸うより窒素の排出を促す)と習う。
高度400kmの宇宙空間では何て言うんだろうな。
まあ、どうでもいいんですが。
今日は、フィットネスの公休日。
良心の呵責を感じないで、大っぴらに爆食できる(爆食とは関係ないんじゃね?)。
昨日は、気分転換に筋トレハーフと軽く350m泳いだあと、床屋に行ってバリカンで3mmに短く刈ってもらった。
その後、せっせと酸素毒性のお勉強。
これって、テック40の範囲なんだが、定量的に細かく計算するのは初めてだ。
やれやれ・・・。
頭はパンク状態で、テクニカルダイビングの呪文2つ(ダイブプランニングとガス交換)は、覚えられそうもない。
呪文だけ覚えてもダメだしな。
アクロニムになっているアルファベットが象徴している本来の意味を理解していなければ、くその役にも立たない。
浮沈子的には、呪文を覚えるだけでも精一杯だ(そんなことでどーする!?)。
いざとなったら、チームメイトを頼ろう(それじゃダメだってば!)。
人頼りのダイビングを続けてきた癖が直らない。
レクリエーショナルレベルでも、認定ダイバーは、その認定の範囲、トレーニングした環境の範囲で、バディ潜水を行うことが出来なければならない。
つーか、そうでなければ認定してはならないのだ(制限付きの認定レベルもありますが)。
認定テクニカルダイバーが、人頼りしていいわけはない。
ダイビングの認定は、一部の指導団体を除いて更新がないからな。
一生もんだ。
が、しかし、ダイバーはいつか陸に上がる日を迎える。
それは、人によって個人差が大きく、一概に何歳とは言えない。
目がかすみ、足元がふらつき、バルブを開けたかどうかも定かではなくなり、バディに向かって危ないせりふを吐くのだ・・・。
あんた、誰?(そんなあ!)。
まあいい。
浮沈子がお世話になっているショップの現地ファシリティのスタッフには、サービスで出されてるお昼のカレーライスを、食べたにも関わらず、俺は食ってないと言い出したら、ダイビングを止めてくれと頼んである。
当日のダイビングフィーを払ってもう一杯カレーを食い(やっぱ食うのかあ?)、以後、タンクを担ぐことはない。
それでも、水から上がることはないだろう。
水泳教室で水に親しむ。
それだって、いつまでも続くわけではない。
先日、水着を脱いで手に持ったまま、プールサイドから更衣室に続く廊下を歩いてきた会員とすれ違った(本当です!)。
やれやれ・・・。
せっせと覚えたテクニカルダイビングの呪文や、水中で安全に純酸素を呼吸するための知識、テクニックも、いつか忘却の彼方に消え去る。
浮沈子が、それを次の世代に伝えることはない。
しかし、いい歳こいて、苦労しながら新たなダイビングにチャレンジしている姿を見せることは出来る。
年寄りの冷や水と思われてもいい。
教える方だって、若いダイバーを育てた方が教え甲斐があるだろうしな。
商売的にも、先がある話だし・・・。
ジジイに教えても、すぐに忘れちゃうし、先がないから投資価値は低い。
それでも、老いらくのダイバーとしての姿を見せ続ける意味はあると信じている。
迷惑を掛けない範囲で、潜り続けられる限りは潜ろう。
講習も、受けられる限りは続けていこう。
いつか、どこかで3歩進んで4歩下がる日が来る(現在は、3歩進んで3歩下がる程度)。
そうなれば、講習を受けても先に進むことは出来なくなる。
その講習を修了することはない。
永遠に・・・。
そこが浮沈子のダイビングにおける地平だ。
ゆるやかな撤退の始まり。
最も厳しいテクニカルダイビングのトレーニングを続けながら、その限界を見極める。
そして少しずつ、ダイビングの世界を閉じていく。
カレーライスを食うだけの生活(そうなのかあ?)。
明日の試験が終わったら、週末のサイドマウントの講習会の準備をしよう。
浮沈子は、認定は持っているので一緒に講習を受けるだけ。
それでも、毎回異なったコンフィギュレーションを試し、器材が変わり、飽きることはない。
先日買ったキャニスターライトのデビュー準備や、ヘルメットの追加の加工も必要だ。
インフレーターホースも、少し短めのに変えてみようか・・・。
汲めども尽きぬダイビングの楽しみ。
おさかなの写真撮ったり、名前覚えたりしないのかってえ?。
そういう面倒くさいことは、得意なダイバーに任せる。
他に覚えることややることが多すぎて、手が(頭も)回らないからな・・・。
空中発射ロケット再考:地上施設の不具合や天候不良に泣くフロリダの打ち上げ ― 2020年10月05日 22:47
空中発射ロケット再考:地上施設の不具合や天候不良に泣くフロリダの打ち上げ
先月からの打ち上げ延期が続いている(まあ、発端は先々月末からだがな)。
NROL-44は、8月から延々と延期が続いているし、スターリンクV1L12はさっきも延期された。
GPS-3も延期中。
唯一上がったのは、ワロップスからのシグナス補給船だけ。
米軍がペガサスロケットを維持していたり、XS-1やラウンチャーワンに注目するわけが分かるような気がする。
(LauncherOne)
https://en.wikipedia.org/wiki/LauncherOne#List_of_Launches
「メーカー ヴァージンオービット」
「・高度500km(SSO)へのペイロード:
質量 300キログラム」
「・高度230km(SSO)のペイロード:
質量 500キログラム」
有事の際に、偵察衛星を好きなタイミングで上げられル手段を欲している。
XS-1の開発は中止されたが、ラウンチャーワンは、その運用思想を継ぐものだ。
コンセプト的に精彩を欠くきらいはあるけどな。
(XS-1 (宇宙機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/XS-1_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%A9%9F)
「・マッハ10 (12,250 km/h) 以上の極超音速飛行。
・最短1日のターンアラウンドタイム。10日間で10回の飛行を可能とする。
・低軌道に1800 kgのペイロードを投入。
・1フライト辺りの打ち上げコストを、現在の10分の1となる500万ドルに抑える。
・無人機であること。
・再使用可能な1段目を準軌道飛行の高度で極超音速飛行させ、1つないし複数の上段を用いて衛星を軌道に投入する」
実現すれば、画期的な性能とコストだが、開発は中止、ラウンチャーワンは墜落(エンジンが途中で停止)、米軍は泣く泣く時代遅れのペガサスを維持するしかない。
(ペガサス (ロケット))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%AC%E3%82%B5%E3%82%B9_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)
「LEOへのペイロード 443 kg」
能力的にも不満だし、高頻度打上げには向かない。
「発射は高度12kmの成層圏において行われるため、天候によって発射が制限されないという利点がある。これは打ち上げ時間帯が制限される科学衛星や即応性が求められる衛星の打ち上げにおいて有利になる。」
スターゲイザー(母機)の老朽化の懸念もある。
ストラトローンチを使う案もあったみたいだがな。
(ストラトローンチシステムズ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Stratolaunch_Systems
「ストラトローンチ独自のロケットファミリーの開発作業はすべて2019年1月に終了しましたが、その時点で、同社は艦載機からペガサスXLロケットを打ち上げる計画を継続していると述べました。」
その後の話は聞かない。
現在のところ、空中発射ロケットの最右翼はバージンオービットのラウンチャーワンだろう。
これは、ペガサスを置き換え得る唯一の選択だ。
打ち上げ能力的にはショボイが、当面の対策としては致し方ないだろう。
民間需要を掬い上げられれば、運用の柔軟性を売りにして商売できるかもしれず、軍事需要を安価に賄える可能性もある。
ペガサスで民間衛星を上げるという選択肢もないわけじゃないだろうが、そういう仕様になっていないのかも知れない。
天候と地上施設に左右されず、高頻度で安価な打ち上げ手段を提供する。
先日読んだズーマ2にしても、突然割り込んだって打ち上げられるのは半年先かもしれない。
こう打ち上げが延期され続けると、空中発射ロケットの意義が見えてくる気がする。
衛星打ち上げロケットの話じゃないが、ICBMとかは、天候がどうだとか言ってられないからな。
一定の損耗を覚悟して、片っ端から上げる。
ギガジンには、終末戦争を防いだ男の話が載っていた。
(30年以上前に人類を核戦争による絶滅から守った1人の男とは?)
https://gigazine.net/news/20191005-nuclear-war-stanislav-petrov/
「1983年9月26日」
「この日、ソビエト連邦のミサイル攻撃警告システムは「LAUNCH(発射)」という言葉を表示しました。これは非常に高い確率で大陸間弾道ミサイルがアメリカからロシアに向けて発射されたことを意味するもの。そして、この警告は次から次に、計5発分表示されることになりました。」
「当時、ソビエト連邦の軍に従事していたスタニスラフ・ペトロフ中佐は、この表示を目にし、決断を迫られました。警告があったことを上に報告すれば報復としてのミサイル発射が行われることになります。ダブルチェックを行う時間や、アメリカと交渉する時間はありません。」
「しかし、ペトロフ中佐と彼のチームは5度にわたって表示された警告を「誤報」だと判断し、上へ報告しませんでした。」
別に、彼と彼のチームがサボタージュしたわけでもなければ、米国のシンパだったわけでもない。
彼らは、与えられた仕事をしただけのふつーの公務員(軍人)だ。
「私はちょうどその時、その場所にいただけです」
(スタニスラフ・ペトロフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95
「0時40分、バンカーのコンピュータは米国からソ連に向けて飛来する一発のミサイルを識別した。ペトロフはこれをコンピュータのエラーだと考えた。何故なら、理論上、米国からの先制核攻撃は、何千発とは言わずとも何百発ものミサイルの同時発射によるソ連側反撃力の殲滅を含むはずだからである。また人工衛星システムの信頼性にも以前から疑問があった。ペトロフはこれを誤警報として退けた」
飛来したミサイルの数が少な過ぎる。
「この後、コンピュータは空中にあるミサイルをさらに4発(1発目と合わせて計5発)識別し、いずれもソ連に向けて飛来しつつあるとした。再びペトロフはコンピュータシステムの誤動作と断定したが、彼の判断を裏付ける情報源は実は何一つなかった。」
「ペトロフは自身の直感を信じ、システムの表示は誤警報であると宣言した。」
「ペトロフが後に述べたところによると、彼のこの重大な決断は、次のような事柄を根拠にしていたという。1つには米国の攻撃があるとすればそれは総攻撃になるはずだと告げられていたこと。5発のミサイルというのは先制としては非論理的に思われた。発射検知システムはまだ新しく、彼から見て未だ完全には信頼するに足りなかったこと。そして地上のレーダーはその後何分間かが経過しても何ら追加証拠を拾わなかったこと」
運命は、一人の男を座るべき時に座るべき椅子に座らせていたわけだ。
この話を持ち出したのは、ICBMの即時発射性からの連想だが、それを探知する衛星システムの信頼性にも関わる。
現在も、衛星によってロケットの発射は監視されているし、緊張が高まれば、より精密な観測が必要になる。
発射したかだけでなく、準備や兆候も見極める必要があるからな。
そして、平和を維持するためには座るべき軌道に、座るべき衛星を配置しておかなければならない。
運命の手に委ねるには、あまりに代償が大き過ぎるからな。
ペトロフだけでなく、多くの危機が冷静な判断によって防がれてきた。
ある意味、人類は幸運だったとも言える。
我々は、ともすれば軍事衛星に批判的になる。
しかし、複雑さを増す世界情勢に的確に対応していくためには、正しい情報の確保が最優先だ。
かつてのソ連のように、中途半端な衛星システムを配備していたのでは、世界の平和は守れない。
常時、衛星を配備しておくに越したことはないが、負担もそれなりに大きくなる。
必要最小限の常時配備と、緊張が高まった際の臨時配備を組み合わせて、ベストミックスにするというのがいいのかも知れない。
空中発射ロケットは、継子扱いだが、そういう運用を考えれば十分検討に値するだろう。
巡航ミサイルを腹一杯抱えて飛び立つ爆撃機の前に、敵情を探る衛星を打ち上げるロケットを抱えて飛び立つ。
まあ、それを爆撃機と誤認して核ミサイルの発射ボタンを押さないように、よくよく注意してもらいたいもんだな・・・。
先月からの打ち上げ延期が続いている(まあ、発端は先々月末からだがな)。
NROL-44は、8月から延々と延期が続いているし、スターリンクV1L12はさっきも延期された。
GPS-3も延期中。
唯一上がったのは、ワロップスからのシグナス補給船だけ。
米軍がペガサスロケットを維持していたり、XS-1やラウンチャーワンに注目するわけが分かるような気がする。
(LauncherOne)
https://en.wikipedia.org/wiki/LauncherOne#List_of_Launches
「メーカー ヴァージンオービット」
「・高度500km(SSO)へのペイロード:
質量 300キログラム」
「・高度230km(SSO)のペイロード:
質量 500キログラム」
有事の際に、偵察衛星を好きなタイミングで上げられル手段を欲している。
XS-1の開発は中止されたが、ラウンチャーワンは、その運用思想を継ぐものだ。
コンセプト的に精彩を欠くきらいはあるけどな。
(XS-1 (宇宙機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/XS-1_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%A9%9F)
「・マッハ10 (12,250 km/h) 以上の極超音速飛行。
・最短1日のターンアラウンドタイム。10日間で10回の飛行を可能とする。
・低軌道に1800 kgのペイロードを投入。
・1フライト辺りの打ち上げコストを、現在の10分の1となる500万ドルに抑える。
・無人機であること。
・再使用可能な1段目を準軌道飛行の高度で極超音速飛行させ、1つないし複数の上段を用いて衛星を軌道に投入する」
実現すれば、画期的な性能とコストだが、開発は中止、ラウンチャーワンは墜落(エンジンが途中で停止)、米軍は泣く泣く時代遅れのペガサスを維持するしかない。
(ペガサス (ロケット))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%AC%E3%82%B5%E3%82%B9_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)
「LEOへのペイロード 443 kg」
能力的にも不満だし、高頻度打上げには向かない。
「発射は高度12kmの成層圏において行われるため、天候によって発射が制限されないという利点がある。これは打ち上げ時間帯が制限される科学衛星や即応性が求められる衛星の打ち上げにおいて有利になる。」
スターゲイザー(母機)の老朽化の懸念もある。
ストラトローンチを使う案もあったみたいだがな。
(ストラトローンチシステムズ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Stratolaunch_Systems
「ストラトローンチ独自のロケットファミリーの開発作業はすべて2019年1月に終了しましたが、その時点で、同社は艦載機からペガサスXLロケットを打ち上げる計画を継続していると述べました。」
その後の話は聞かない。
現在のところ、空中発射ロケットの最右翼はバージンオービットのラウンチャーワンだろう。
これは、ペガサスを置き換え得る唯一の選択だ。
打ち上げ能力的にはショボイが、当面の対策としては致し方ないだろう。
民間需要を掬い上げられれば、運用の柔軟性を売りにして商売できるかもしれず、軍事需要を安価に賄える可能性もある。
ペガサスで民間衛星を上げるという選択肢もないわけじゃないだろうが、そういう仕様になっていないのかも知れない。
天候と地上施設に左右されず、高頻度で安価な打ち上げ手段を提供する。
先日読んだズーマ2にしても、突然割り込んだって打ち上げられるのは半年先かもしれない。
こう打ち上げが延期され続けると、空中発射ロケットの意義が見えてくる気がする。
衛星打ち上げロケットの話じゃないが、ICBMとかは、天候がどうだとか言ってられないからな。
一定の損耗を覚悟して、片っ端から上げる。
ギガジンには、終末戦争を防いだ男の話が載っていた。
(30年以上前に人類を核戦争による絶滅から守った1人の男とは?)
https://gigazine.net/news/20191005-nuclear-war-stanislav-petrov/
「1983年9月26日」
「この日、ソビエト連邦のミサイル攻撃警告システムは「LAUNCH(発射)」という言葉を表示しました。これは非常に高い確率で大陸間弾道ミサイルがアメリカからロシアに向けて発射されたことを意味するもの。そして、この警告は次から次に、計5発分表示されることになりました。」
「当時、ソビエト連邦の軍に従事していたスタニスラフ・ペトロフ中佐は、この表示を目にし、決断を迫られました。警告があったことを上に報告すれば報復としてのミサイル発射が行われることになります。ダブルチェックを行う時間や、アメリカと交渉する時間はありません。」
「しかし、ペトロフ中佐と彼のチームは5度にわたって表示された警告を「誤報」だと判断し、上へ報告しませんでした。」
別に、彼と彼のチームがサボタージュしたわけでもなければ、米国のシンパだったわけでもない。
彼らは、与えられた仕事をしただけのふつーの公務員(軍人)だ。
「私はちょうどその時、その場所にいただけです」
(スタニスラフ・ペトロフ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95
「0時40分、バンカーのコンピュータは米国からソ連に向けて飛来する一発のミサイルを識別した。ペトロフはこれをコンピュータのエラーだと考えた。何故なら、理論上、米国からの先制核攻撃は、何千発とは言わずとも何百発ものミサイルの同時発射によるソ連側反撃力の殲滅を含むはずだからである。また人工衛星システムの信頼性にも以前から疑問があった。ペトロフはこれを誤警報として退けた」
飛来したミサイルの数が少な過ぎる。
「この後、コンピュータは空中にあるミサイルをさらに4発(1発目と合わせて計5発)識別し、いずれもソ連に向けて飛来しつつあるとした。再びペトロフはコンピュータシステムの誤動作と断定したが、彼の判断を裏付ける情報源は実は何一つなかった。」
「ペトロフは自身の直感を信じ、システムの表示は誤警報であると宣言した。」
「ペトロフが後に述べたところによると、彼のこの重大な決断は、次のような事柄を根拠にしていたという。1つには米国の攻撃があるとすればそれは総攻撃になるはずだと告げられていたこと。5発のミサイルというのは先制としては非論理的に思われた。発射検知システムはまだ新しく、彼から見て未だ完全には信頼するに足りなかったこと。そして地上のレーダーはその後何分間かが経過しても何ら追加証拠を拾わなかったこと」
運命は、一人の男を座るべき時に座るべき椅子に座らせていたわけだ。
この話を持ち出したのは、ICBMの即時発射性からの連想だが、それを探知する衛星システムの信頼性にも関わる。
現在も、衛星によってロケットの発射は監視されているし、緊張が高まれば、より精密な観測が必要になる。
発射したかだけでなく、準備や兆候も見極める必要があるからな。
そして、平和を維持するためには座るべき軌道に、座るべき衛星を配置しておかなければならない。
運命の手に委ねるには、あまりに代償が大き過ぎるからな。
ペトロフだけでなく、多くの危機が冷静な判断によって防がれてきた。
ある意味、人類は幸運だったとも言える。
我々は、ともすれば軍事衛星に批判的になる。
しかし、複雑さを増す世界情勢に的確に対応していくためには、正しい情報の確保が最優先だ。
かつてのソ連のように、中途半端な衛星システムを配備していたのでは、世界の平和は守れない。
常時、衛星を配備しておくに越したことはないが、負担もそれなりに大きくなる。
必要最小限の常時配備と、緊張が高まった際の臨時配備を組み合わせて、ベストミックスにするというのがいいのかも知れない。
空中発射ロケットは、継子扱いだが、そういう運用を考えれば十分検討に値するだろう。
巡航ミサイルを腹一杯抱えて飛び立つ爆撃機の前に、敵情を探る衛星を打ち上げるロケットを抱えて飛び立つ。
まあ、それを爆撃機と誤認して核ミサイルの発射ボタンを押さないように、よくよく注意してもらいたいもんだな・・・。
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