怪しい打ち上げNROL-108:ペイロードより気になるロケットの1段目2020年10月26日 10:09

怪しい打ち上げNROL-108:ペイロードより気になるロケットの1段目


ズーマ2かも知れない謎のペイロードを打ち上げるNROL-108。

(ミッションNROL-108)
https://www.elonx.cz/mise-nrol-108/

「開始日: 2020年10月末」

「ロケット:ファルコン9 v1.2ブロック5(おそらくいくつかのグレードが使用されています)」

「SpaceXには現在、無料の新しい第1ステージFalcon 9がないため、中古品を飛ばすことが期待できます。」

ペトルメレチンは、GPS衛星のロケットの問題を解決することが優先だとしている。

「最も早い開始日は10月25日ですが、おそらく少し遅れるでしょう。まず、GPSIII-SV04とCrew-1のミッションを延期したマーリンエンジンの問題を解決する必要があります。」(10月13日コメント)

これまでに書いてきたように(浮沈子のテキトーな妄想ですが)、再使用ロケット(1段目)を飛ばす限り、スターリンク衛星が無事に上がっているのを見る限り、何の問題もない気がするんだがな。

B1060以前の1段目のエンジンは、しかるべく設計され、しかるべくメンテナンスされ、しかるべく打ち上げられる。

(バリアントv1.2ブロック5)
https://www.elonx.cz/prehled-raketovych-stupnu/#block5

程度 タイプ 状態 開始 最後のミッション 次のミッション:
・B1064 FH側 新着 0 - USSF-44
・B1063 F9 新着 0 - センチネル-6A
・B1062 F9 新着 0 - GPSIII-SV04
・B1061 F9 新着 0 - クルー-1
・B1060 F9 アクティブ 3 Starlink v1-14(2020年10月24日) ?
・B1059 F9 アクティブ 4 SAOCOM 1B(2020年8月31日) ?
・B1058 F9 アクティブ 3 Starlink v1-12(2020年10月6日) CRS-21
・B1053 FH側 アクティブ 2 STP-2(2019年6月25日) ?
・B1052 FH側 アクティブ 2 STP-2(2019年6月25日) ?
・B1051 F9 アクティブ 6 Starlink v1-13(2020年10月18日) ?
・B1049 F9 アクティブ 6 Starlink v1-10(2020年8月18日) ?
(破壊されたり、非活性になっているものを除く)

次の打ち上げが決まっているB1058以外では、B1049(6回使用)、B1052(2回)、B1053(2回)、B1059(4回)の4機が使用可能だ(B1051(6回)、B1060(3回)は、今月飛ばしたばかりなので除外)。

B1049は、使用回数が多め(6回)だから、いくら中古品の品質が安定しているとはいえ、国家機関のミッションに使うのは如何なものか。

つーことは、ファルコンヘビーのサイドブースターとして使われたB1052とB1053を改修して使うか、B1059を使うということになるんだが、サイドブースターを再改修して使用したことはないからな。

専用品として使い続けることになるんだろう。

ということで、使用される1段目はB1059で決まりということになる(テキトーです:どうやら当たりのようです:追加参照)。

もっとも、打ち上げ時期は事実上未定(半年以内)だから、新しい1段目が建造されるのかも知れない。

また、打ち上げたばかりのB1060(3回)のメンテナンスを待って上げる可能性もある(B1051は6回と回数が多いので除外)。

いずれにしても、再使用品(B1060以前)を使う限りは、安心して飛ばせることになるだろう(たぶん)。

逆に、それで上げることができるということなら、浮沈子の見立てが正しい可能性が高まる(そうなのかあ?)。

自社事業のスターリンク衛星の打ち上げを行い、リスクを取って実績を積むのではなく、単に、弄っていない安定バージョンのエンジンで飛ばしているだけ・・・。

まあいい。

近々の打上げが決まっているペイロードでは、SXM-7というラジオ中継衛星の1段目も未定だ。

(ミッションSXM-7)
https://www.elonx.cz/mise-sxm-7/

「開始日: 2020年11月6日」

早やっ!。

「ロケット: ファルコン9 v1.2ブロック5(不明な第1段階)」

これは、B1060のメンテナンスが終わってから12月にずれ込んで上げることになるんだろうな(未確認)。

こうしてみると、S社の打ち上げは、1段目を如何にスムーズに再使用するかという点に掛かっていることが分かる。

メンテナンスコストやリードタイムを可能な限り削りたいというインセンティブは、十分過ぎる程存在する。

ガス発生器の圧力異常は、そういった外部環境の中で、ギリギリまで追い込んだ運用を行おうとしたツケが出たのではないか。

センターエンジンのメンテナンスを軽減し、可能なら1か月以内に再使用に持ち込みたい。

そうすれば、スターリンクは2機体制で回せるし、ファルコンヘビーのサイドブースター以外では、2機ないし3機の1段目を用意しておくだけでいい。

消耗品の2段目と、実験的回収レベルに留まっているフェアリングは造り続けなければならないが、基本的に1段目は再使用で回せる(クルードラゴンやカーゴドラゴンもあるけど)。

美味しい商売だな・・・。

NASAや空軍などの政府機関の打ち上げに再使用ロケットを回せるようになれば、新規の1段目の建造は最小限に抑えられる。

他社が追随できない今のうちに、盤石のビジネスモデルを築いておきたいわけだ。

何年か後に、他社が1段目の再使用で追いついてきたころには、スターシップの運用が見えてきているに違いない。

常にゲームチェンジャーであり続け、同じ土俵での競争はしない。

まあ、まだ、完全再使用の実験段階だろうが、少なくとも1段目の再使用については、メタン燃料でフルフロー二段燃焼サイクルエンジンであるラプターのメリットを最大限に生かして1000回の再使用が軌道に乗っているに違いない(競合他社は、せいぜい10回程度か)。

2段目であるスターシップの再使用が安定的に実現するのは、少なくとも10年先の話だ。

それまでは、ファルコン9とマーリンエンジンを使い続けることになる(有人飛行では代替手段はないからな)。

10年間、すす払いを続けることを考えると、改善出来ることがあれば、可能な限り早い段階から取り組んだ方が長期的利益が見込めるしな。

効果が高いセンターエンジンの燃焼改良は、その取り組みの一つに違いない(テキトーです)。

NROL-108が中古品の1段目で上がる時、真実の片鱗がちらりと見えることになるかもしれない・・・。

<以下追加>----------

(忙しい月を締めくくるためのSpaceXのミステリースパイ衛星打ち上げ)
https://www.teslarati.com/spacex-mystery-spy-satellite-launch-busy-october/

「更新:公開時間の前後に、Next Spaceflightは、Falcon 9 B1059が実際にNROL-108の打ち上げに割り当てられたことを報告しました。」

再使用ロケットが割り当てられ、新品がスタックしているのを尻目にあっさりと打ち上げられれば、エンジン改造説の信憑性は高まるな・・・。

(SpaceXによるFalcon9 Block5の発売| NROL-108)
https://www.spacelaunchschedule.com/launch-schedule/launch-details.php?id=2103

「金・2020年10月30日午後8時EDT」

日本時間だと31日の朝9時ということになる。

まあ、打ち上げ自体に目新しいところはない(LZ-1に降りるくらいか)。

どーせ、フェアリングの投棄や衛星のデプロイのシーンは映さないしな。

第2段を点火したあたりで、中継は終わる(未確認:1段目の着陸シーンは映すだろう)。

明日辺り、静的点火試験(スタティックファイアテスト)を行うかも知れない。

このクソ忙しいさ中に打ち上げを突っ込み、新品じゃなきゃいやだのすっぱったのと言ってたくせに、その新品のロケットがスタックして飛ばない事態になって、背に腹は代えられないとあっさり中古品での打ち上げに同意する変わり身の早さは、さすがスパイ衛星を一手に打ち上げている機関だけのことはある。

新品の打ち上げがスタックしている中で、スターリンクを遠慮会釈なくバンバン上げている効果が出てきたわけだな(そうなのかあ?)。

新品でも中古品でも、スパイ衛星を軌道に送りこむロケットがいいロケットというわけだ。

実に正しい選択だな・・・。