スターリンクV1L14上がる:GPS衛星の異常をきたしたエンジンはマクレガーで現象再現か2020年10月25日 10:30

スターリンクV1L14上がる:GPS衛星の異常をきたしたエンジンはマクレガーで現象再現か
スターリンクV1L14上がる:GPS衛星の異常をきたしたエンジンはマクレガーで現象再現か


(SpaceXはさらに60個の衛星をStarlinkネットワークに追加します)
https://spaceflightnow.com/2020/10/24/spacex-adds-another-60-satellites-to-starlink-network/

JRTIでの1段目(B1060.3)の初回収以外に、特筆すべきことはないかも知れない。

フェアリングの回収が、打ち上げの間隔が短すぎて回収船の配置が間に合わず、着水してからの回収を試みることになったことくらいか(成功したかどうかは未確認)。

記事では、GPS衛星打ち上げ前にタービンポンプを駆動するためのガス発生器の異常圧力のためにスタックしたエンジンの、その後について記されている。

「ターボ機械ガス発生器の予期しない圧力上昇」

「最近の非NASAの打ち上げ中に観察された予期しない動作をよりよく理解するために、エンジンテストで多くの良い進歩を遂げている」

「最も信頼できる原因であると考えられているものを検証するためのテストを続けているため、この時点で調査結果を報告するのは時期尚早です」

「SpaceXがクルードラゴンミッションに割り当てられたファルコン9ロケットの1つのエンジン(クルー1として知られている)と、来月バンデンバーグ空軍からの米欧海洋衛星の打ち上げに指定されたファルコン9ブースターの1つのエンジンを交換する」(バンデンバーグからの打ち上げは、センチネル6A)

ほほう、9分の1の確率で、問題が発生したということか(異常があったかどうかは未確認)。

「交換されたエンジンは、地上テスト中に、10月2日に打ち切られたGPSの打ち上げ中に記録された「早期始動動作」と同様の動作を示した」

「Sentinel-6 Michael Freilich海洋学衛星の打ち上げは、カリフォルニアから11月10日に予定」

「Sentinel-6とCrew-1の間に数日かけて、データのレビューを完了し、パフォーマンスを確認する必要があります。」

GPS衛星の打ち上げは、その後ということになるのかも知れない(未確認)。

「NASAのマネージャーは、10月16日の記者会見で、NASA、米宇宙軍、スペースXのエンジニアが、10月2日のカウントダウン中に表面化したエンジンの問題を共同で調査していると述べました。」

「ケープカナベラルの発射基地でのテストに加えて、スペースXはGPSミッションのためにファルコン9ロケットからエンジンを取り外し、詳細なテストとレビューのためにテキサス州マグレゴーにある同社のテスト施設に戻しました。」

「さまざまなロケットに搭載されているエンジンに応じて、前進するにつれてハードウェアに影響が出るでしょう。GPSミッションは明らかに影響を受けます。NASAクルー1ミッションが影響を受けます。Sentinel-6では、最初の段階にあるエンジンを調べています。私たちは必要なことを実行するつもりですが、今日の時点で、必要なやり直しが必要な場合は何でも実行でき、11月10日の発売日を維持できるようになる道があります。」

GPS衛星打ち上げ用の異常をきたしたエンジンが、マクレガーで同様の現象を再現したかどうかは明記されていない。

後続のセンチネル6Aと、クルードラゴン打ち上げ用のエンジンで、「早期始動動作」時に同様の現象が出たとだけ記載されている。

うーん、ビミョーだ。

「さまざまなロケットに搭載されているエンジンに応じて、前進するにつれてハードウェアに影響が出るでしょう。」(There’s going to be some hardware implications as we move forward, depending on the engines installed on various rockets.)とあるが、中古品じゃない。

GPS衛星用のエンジン(1段目)は新品だからな(B1062.1)。

センチネル6A用(B1063.1)もクルードラゴン用(B1061.1)も新品だ。

コスト削減のために部品を替えたのか、製造工程を変更したのか、作動条件(エンジン制御用ソフトウェア)を変えたのか。

一方で、再使用で飛ばしているスターリンク衛星は、GPS衛星打ち上げがスタックして以降、3回連続で何の問題もなく上がっている。

やれやれ・・・。

詳細は一切分からないが、いずれにしても中古エンジンに問題はなく、新品エンジンにトラブルが出ている点に注目だな。

どーせ、また、NASAや空軍に内緒で、合理化のためにこっそりコストダウンを図ったに決まっている(そうなのかあ?)。

ブロック5は、無断で変更しないということになってたんじゃなかったっけえ?。

まあいい。

ガス発生器やタービンには、不完全燃焼のためにPR-1の炭素が燃え残り、煤が溜まるわけで、再使用の際には大規模な清掃や部品交換をしているのかも知れない(未確認)。

この手間を省ければ、再使用のサイクルやコストを大幅に削減できるわけで、そのためにガス発生器の燃焼条件(燃料供給量や燃焼のタイミング)を変更するというのは大いにあり得る話だ。

B1061以降の1段目のエンジンに、これらの改良が加えられ、十分な確認を行わずに実戦投入した可能性はあるな。

んなもん、飛ばしてみなけりゃ分らんだろう?。

有人宇宙船や国家の重要な衛星を飛ばすロケットが、そういう杜撰なことでは困るな(そうと決まったわけじゃありませんが・・・)。

GPS衛星と、後続のロケットのエンジンで異常が出ているというのは由々しき事態だ。

「GPSミッションは明らかに影響を受けます。NASAクルー1ミッションが影響を受けます。Sentinel-6では、最初の段階にあるエンジンを調べています。」(再掲)

偶然とか、たまたま製造上の問題が出たということではないようだな。

中古エンジン(つーか、以前に作られたエンジン)を搭載したスターリンクを躊躇いもなく打ち上げているのは、リスクを取っているからではなく、単に怪しげな変更を加える以前の製造だからかもしれない(もちろん、未確認)。

そう考えると、何となく、全てが納得いく気がするしな・・・。

<以下追加>----------

(スペースXが15回目となるミッションで60基のStarlink衛星を打ち上げ)
https://jp.techcrunch.com/2020/10/25/2020-10-24-spacex-launches-60-more-starlink-satellites-during-15th-starlink-mission-2/

「今回の打ち上げは、Falcon 9の第1段ブースターの2回目の使用となった。」

うーん、3回目なんだけどな・・・。

(最初の段階の概要:B1060の詳細参照)
https://www.elonx.cz/prehled-raketovych-stupnu/

「完了したミッション:
・GPSIII-SV03(2020年6月30日)、JRTIに着陸
・Starlink v1-11(2020年9月3日)、OCISLYに上陸
・Starlink v1-14(2020年10月24日)、JRTIに上陸(今回)」

(SpaceXは、15回目のスターリンクミッション中にさらに60個の衛星を打ち上げます:原文)
https://techcrunch.com/2020/10/24/spacex-launches-60-more-starlink-satellites-during-15th-starlink-mission/

「今回の打ち上げでは、Falcon 9の第1ステージブースターを使用しました。これは、以前の2回、今年の初めの2回で、スターリンク衛星の前のバッチの配信のための9月だけを含みます。」(This launch used a Falcon 9 first stage booster that twice previously, both times earlier this year, including just in September for the delivery of a prior batch of Starlink satellites.)

翻訳の誤りと判明。

やれやれ・・・。

不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか2020年10月25日 23:34

不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか
不調のエンジンはどれか:大胆な予想は当たるか


例によって、何の根拠もないテキトーで当てずっぽうな予想だから、与太話に過ぎない。

そうはいっても、浮沈子的にもっともらしい理屈は付けられる(ホントかあ?)。

1段目の回収の際のパターンを復習してみよう。

(SpaceX Falcon 9 Booster Trajectory:図は、CRS-8(LZ-1への着陸)の時のパターンです)
https://zlsadesign.com/infographic/trajectory/spacex-falcon9-booster-dpl.png

ファルコン9の1段目は、2種類のパターンで着陸する。

一つは、LZ-1(ケープカナベラル)やLZ-4(バンデンバーグ)といった陸上への着陸だ。

この場合、水平方向に逆戻りするためのブーストバックバーンが必要になる。

さらに、超音速で大気圏を落下している機体を減速させるためのリエントリーバーン、最後に着陸寸前に勢いを殺すランディングバーンが行われる。

ブーストバックバーンやリエントリーバーンは、エンジンを3基使うが、ランディングバーンは中央の1基だけ。

ドローン船に着陸する場合には、ブーストバックバーンは行われない。

どちらの場合も、オクタウェブと呼ばれる中央1基とそれを取り巻く8基のエンジンのうち特定の3基が使われるが、最も使用頻度が高いのはド真ん中の1基ということになる。

煤が最も溜まりやすく、メンテナンスの手間やコストがかかり(場合によっては交換か)、再使用へのリードタイムを長くしているのはこのエンジンに決まっている(そうなのかあ?)。

ガス発生器(発生したガスは、タービンを駆動した後は捨てられてしまうから、プレバーナーとは言わないらしい)と、タービンに付いた煤を減らそうと思ったら、まず、このエンジンから手を付けるだろう。

酸素をしこたま送り込んで、燃え残りが出ないようにするとか、燃焼室内の燃焼パターンを改善するなど、工夫の余地はありそうだからな(もちろん、未確認)。

その制御に失敗すれば、燃焼圧力が高くなり過ぎて、タービンに影響が出るかもしれないし、エンジンの損傷にもつながる。

オクタウェブの配置は、エンジンの間に隔壁があって、多少の損傷では他のエンジンに影響が出ないようになっているとはいえ、嬉しい話ではない。

浮沈子が、中央のエンジンが怪しいと睨んでいる理由はほかにもある。

おそらく、何らかの変更を施したエンジンを積んでいると思われる1段目は、GPS衛星打ち上げ用(B1062.1)、センチネル6A用(B1063.1)、クルードラゴン(クルー1)用(B1061.1)のいずれも、打ち上げ中止になっているからな。

そんなことは、当たり前だと思うかも知れないが、それなりの理由があると見ている。

念のためとか、安全を最優先とか言う理屈は一見もっともらしいが、実は中央のエンジンに不具合が出れば、1段目の回収が出来なくなり、再使用を前提としたビジネスモデルが崩壊してしまうからというのが本音ではないのか。

S社は、海に落ちたフェアリングを拾いに行くほどのケチな会社だ。

打ち上げスケジュールも、少なくとも1段目の回収が困難だと分かっていれば、射点の天候がいくら良くても先送りにしている。

打ち上げっぱなしのそこいらのロケットとは、全く異なる運用が前提となっているのだ。

だから、回収に支障を来す中央のエンジンの不具合は、会社として容認できないわけだ。

エンジン9基をクラスター化して打ち上げるファルコン9は、1基くらいのエンジンが止まってもミッションを成功させることができると言われている(2基までは行けるという話も:後述)。

ペイロードを打ち上げて、回収だけできなくてもいいということなら、とっくの昔に打ち上げていたかもしれない(そうなのかあ?)。

打ち上げは成功しても、S社のミッションとしては半分だけの成功ということになる。

再使用によるコスト削減が果たせなければ、ミッションは半分失敗ということになる。

中央のエンジンに不具合が起こっているということは、S社の打ち上げビジネスにとっては死活問題ということになる。

そんなリスクは冒せないからな。

打上げを見送るのは当然と言える。

それを正当化できるのは、回収に支障を来す可能性が高いエンジンの不調ということになり、したがって、1基だけということなら、最も可能性が高いエンジンは中央のそれという結論だ。

風が吹けばS社が儲かる・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

いろいろ調べていく中で、面白い記事を見つけた。

(ファルコン9~再飛行が可能な最初の軌道クラスのロケット~)
https://tiisys.com/blog/2019/06/10/post-26765/4/

「Falcon 9は最初の段階で最大2つのMerlinエンジンを失い、それでもその任務を完了することができます。」

5ページからなる記事の3ページ目の記述から、この記事が2015年の6月頃に書かれていることが分かる。

「宇宙ステーションへの8番目のFalcon 9とDragon貨物ミッション、現在この日曜日に予定。」

飛行中に失敗した唯一の事例となるCRS7は、6月28日日曜日の打ち上げである。

そう思ってこの記事を読むと、なかなか味わい深いものがあるな。

現在、プロトタイプを開発中のスターシップ/スーパーヘビーは、1段目のスーパーヘビーが28基(まあ、これから何度か変わるかも知れませんが)、2段目のスターシップが6基(真空専用エンジンは、そのうち3基)のクラスターを形成する。

スーパーヘビーの28基のうち、中央に配置される8基はジンバルが付いているが、周囲の20基は固定だと言われている。

そのうち何基かがぶっ壊れても、スターシップを所期の軌道に送りこむことはできるんだろう。

もっとも、ラプターエンジンは、再使用に当たってすす払いをする必要はないからな(たぶん)。

今回のように、無理くり燃焼条件を弄ることもない。

人類史上唯一飛行したフルフロー二段燃焼エンジン。

完成度は今一のようだが、とりあえず給水塔やスプレー缶を飛ばしただけでも大したものだ。

年内には、先っぽと羽根を付けたスターシップのプロトタイプを空中に放り投げるかもしれない。

んでもって、地べたに叩きつけられてお釈迦か・・・。

まあいい。

新品エンジンを積んだファルコン9のスタックが続く中、浮沈子の妄想が確かならば、中央エンジンの燃焼条件を再度見直して従来の設定に戻せば、直ぐにでも打ち上げは再開できるはずだ。

そうしないのは、おそらく、その変更にNASAや空軍も一枚噛んでいるからかもしれない。

何の断りもなく、そんな変更をS社が勝手に行うとは考えづらいからな。

煤が溜まり辛く、なおかつ、異常な燃圧が起きない最適な燃焼条件を確定することができ、その制御に成功すれば、GPSもセンチネル6Aもクルードラゴンも最適な形で上がる。

最も早く上がりそうなのは、センチネル6Aと見られている(現状では11月10日予定)。

その数日後(11月15日以降)に、成果を評価したうえでクルードラゴンを上げる。

GPS衛星は、その後となる公算が高い(11月下旬以降)。

面白いのは、12月に予定されているCRS21が、再使用の1段目(B1058.4)を使って上げる予定となっていることだな(5回くらいは再使用されると見られるカプセルの方は新品)。

(ミッションCRS-21)
https://www.elonx.cz/mise-crs-21/

「開始日: 2020年12月」

「ロケット: Falcon 9 v1.2ブロック5(すでに使用されている第1ステージB1058.4)」

「一次貨物: 食料と備品の供給を運ぶドラゴン2宇宙船(おそらく番号C208.1)」

新品ロケットは怪しいが、再使用ロケットは安心して上げられるという、洒落にならない状況が生まれている。

今回のGPS衛星打ち上げのロケット不良の原因については、やがて公表されると思われる。

この与太記事が、瓢箪から出た駒になるか、ただの屑に終わるかは、いずれ分かることだ・・・。