パーセント2015年07月26日 20:37

パーセント


通常なら有り得ない告示のミスが、何故起こったのかを、外部から検証するのは容易ではない。

(窒素分圧計算)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/18/7709718

「高圧則(正確には告示)で定める計算方法を使って、窒素分圧を出そうと苦労してたんだが、単位が間違っているらしい。」

(減圧計算)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/19/7711753

「パーセントではなく、割合(当該不活性ガスの構成比)であることに間違いない。」

(指摘)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/21/7713225

「とりあえず、パーセント単位についての指摘は行った。
賽は投げられ、浮沈子はローマへの反逆者となった。」

(さぼり)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/21/7713289

「というわけで、フィットネスクラブをさぼって、涼しいレストランでコーヒーを頂きながら研究報告を読んでいる。」

潜水士の試験も終わり、この研究報告をじっくりと時間を掛けて読み解く。

(新しい標準減圧表作成に伴う実地調査および検証調査研究:ファイル名200733024A0005.pdfの90ページからを参照)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=200733024A

ここに掲載されている表4-1の中には、「N濃度」という怪しげな表現(窒素は、いつから単原子分子になったんだあ?)があるが、明確に0.790という値が記載されている。

だから、ここを執筆した担当者は、はっきりと濃度は呼吸ガスの組成比で表すということを認識していたに違いないのだ。

しかし、次のページ(91ページ)からを見ると、表4-2以下、表4-8までの全ての表中では、「窒素濃度(%)」という表記になっていて、97ページ以降の補正値の項になっても続く。

この表記は、酸素毒性について記した98ページについても同じだ。

UPTDを計算する式(式H)の中にある濃度は、明らかに組成比(0.210)であるが、表4-10中では「酸素濃度(%)」とある。

同じパターンは、ヘリオックスの計算にも現われ(ファイル名200733024A0006.pdfの113ページからを参照)、121ページ(ファイル名200733024A0007.pdf)まで続く(113ページには、「H濃度」という、セクハラじゃないかと想われるマジヤバの表現もあって、実に楽しい!:もちろん、水素のことでないことは言うまでもないし、そもそも、水素も単原子分子ではない)。

この研究報告中では、濃度はパーセント表示されていることが殆どで、計算式に適用する際にも、あらためて組成比とことわることなく、無造作に割合に置き換えられている。

(パーセント)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88

「パーセント(percent、%)は、割合を示す単位で、全体を百として示すものである。百分率ともいう。」

もちろん、単独で見た時には、決して間違ってはいないし、日常表現としてパーセントを単位とすることについては、全く問題ではない。

しかし、この手の話(減圧理論と減圧表への適用)をする際には、慎重な配慮が必要だ。

面白いデータもある。

166ページ(ファイル名200733024A0009.pdf)には、M値にたいする蓄積した窒素の割合(もちろん、分圧での比較)がどのくらいなら、リスク(危険性評価)がなんぼという表がある(表3-4-2)。

(減圧計算)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/19/7711753

このなかでも取り上げた、M値を元に警告を出すダイコン!。

(世界初、減圧症を予防する「M値警告機能」搭載のダイブコンピュータ・DC Solar IQ1202)
https://oceana.ne.jp/equipment/50362

(取説:第3版:59ページ「M値警告の設定」参照)
http://www.tusa.net/manual/instruments/ins_iq1202_3.pdf

「80%、90%(デフォルト)、95%の 3 段階から選ぶことができます。」

「尚、TUSA では設定 M 値をデフォルトの 90%に設定しておくことをおすすめいたします。警告が厳し過ぎると思われたら 95%を、より安全に潜られたい方は 80%をセレクトすることが出来ますが、警告機能自体を解除することはできません。」

先の表3-4-2を見ると、95パーセントの設定では、「減圧症の危険性ある」となっており、なかなか味わい深いものがある。

もっとも、タバタのダイコンのM値が、どのモデルに準じて作られたものかはわからないし、去年の発売から人柱も建っているだろうから、そのうち何らかの対応があるのかもしれない。

まあ、どうでもいいんですが。

いずれにしても、パーセント単位問題の端緒は、この研究報告に潜んでいたのではないかと浮沈子は見ている。

潜水の世界では、分圧こそ正義(?)であって、濃度というのは水中では役に立たないファクターだと軽んじられている風潮がある(ホントかあ?)。

もちろん、ガスの充填にしたって、濃度を無視しては有り得ないが、調合されて充填済みの混合ガスを吸う立場からしてみれば、この水深で吸ってもいいかどうかを判定しなければ恐くて吸えないわけで、分圧こそ、生死を分ける数字なのだ。

いや、両方大事なんだが、そういう風潮があるのは事実だ。

FO2を語るのはシロウトで、PO2を語るのがプロだとか(ホ、ホントですかあ?)。

FO2の単位は、パーセントでも、組成比(全体を1とする少数)でも、どちらでも構わない。

正確に使い分けてさえ頂ければいいのだ。

ビュールマンの計算では、表計算ソフトを使用して、簡便に減圧スケジュールを描くことが出来る。

表計算ソフトのセルの中に、79をぶち込もうが、0.79をぶち込もうが、100で割ったりするのは、何の造作もない。

その習性(?)が、単位のとり違いとして、最終的に残ってしまったのだとしたら、残念な話だ。

エクセル万能の時代の鬼っ子ということになる(研究報告作成者は、エクセルを使っているらしい:78ページ:ファイル名200733024A0004.pdf参照)。

まあいい。

厚労省からの連絡は、先週はなかった。

潜水士テキストが、どのように改訂されるのかもわからない。

しかし、実害はないし(だれも、告示通りにパーセント単位でなんか計算しない)、そもそも、潜水士の試験にはそんな問題は(たぶん)出っこない。

分かっている人は、何も文句を言わずに、相変わらずしょうがねえな、と思いつつ、構成比を入れて計算してるだろう。

しかし、このまま放置することは許されないし、指摘を上げた以上、どうなるかは気になる。

解釈の余地のない、明確な過誤なので、早急に訂正が求められる。

全世界に、我が国の恥を晒し続けるのは、浮沈子としてもいささか目に余る所業に映る。

まあ、一週間くらいは、このネタでブログを引っ張ることが出来たので、感謝しないわけには行かないが、そろそろ、ネタ切れになりそうだ。

早く、何とかしてくれえ!。

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