クルマは機械なのか?2015年10月14日 06:57

クルマは機械なのか?


先だって、トヨタKIKAIの記事を書いた。

(トヨタの良心)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/10/09/7832983

今日、トヨタのホームページに、プレス向け資料があったので、ダウンロードしてみた。

(広報資料)
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/download/9837750

ダウンロード規約には、個人利用なら認めるとあるので、一部引用する。

「機械は本来、人間の思想や情熱や知恵が生み出す愛すべき身近な存在です。クルマを人の手が生み出す”機械”と捉え、その美しさ・精巧さ・動きの面白さなど、豊かな魅力を伝えることを目指した「TOYOTA KIKAI」。 このクルマを通して、今まで見えなかったものに気づき、モノに触れる暮らしのよろこびを発見して欲しいとの想いを込めました。 従来のクルマの常識にとらわれない、新しい魅力の提案です。」

浮沈子は、初めサラッと読み流したが、ある疑問が浮かんできて、再度読み直した。

この文章を、浮沈子的に翻訳するとこうなる・・・。

「機械は(いま、)本来(の姿を変え)、人間の思想や情熱や知恵が生み出す愛すべき身近な存在(ではなく、存在自体を秘匿され、日常から遠ざけられた日陰者になってしまったの)です。」

しかし、そうしたモノづくりを行ってきたのは、他ならぬトヨタ自身であり、他のメーカーも含めて世界中の自動車会社がそうしてきたわけだ。

それは、とりもなおさず、我々消費者自身が、それを望んだからである。

だれも、臓物なんて見たくないし、綺麗に化粧された表面と、溢れるパワーと、素直な操縦性だけあればそれでいいのだ。

まして、現代の機械は、機械本来の物理的な動きを規制され、電子頭脳(古っ!)の命令に従って、物理の神様に喧嘩を吹っ掛けるような動きをさせられている・・・。

「クルマを人の手が生み出す”機械”と捉え、その美しさ・精巧さ・動きの面白さなど、豊かな魅力を伝えることを目指した「TOYOTA KIKAI」。」

ここを読んで浮沈子がイメージしたのは、ピタゴラスイッチだな。

(ピタゴラ装置)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%BF%E3%82%B4%E3%83%A9%E8%A3%85%E7%BD%AE

「NHK Eテレの番組「ピタゴラスイッチ」に登場するからくり装置。」

今更、そんな仕掛けを見せて、せっかく作り上げたクルマに対するイメージを覆してどーする?。

100年に渡ってメーカーがやってきたことは、そうした仕掛けをなるべく見せないように、覆い隠すことでしかなかった。

「このクルマを通して、今まで見えなかったものに気づき、モノに触れる暮らしのよろこびを発見して欲しいとの想いを込めました。」

それって、本当に今求められていることなんだろうか?。

物を所有する生活スタイルから、その物が提供してくれるサービスを享受するスタイルへと、大きく変わりつつある現代、構造とか動きとか、そういう仕掛けの部分に価値を見出すことなんてないんじゃないのか。

「従来のクルマの常識にとらわれない、新しい魅力の提案です。」

昔のクルマは、エンジンフードを開けると、目の前にエンジンがあった(いや、今でもあることはあるんですが)。

今のクルマは、メーカーのロゴやシンボルマークが刻印されたエンジンカバーが見えるだけで、臓物は全て隠されている。

そういうのが、高級車のデザインで、臓物剥き出しなんてのは、コスト削減して利ザヤを少しでも稼がなければならない低セグメントのクルマだ。

メカ好きの方は別として、大方の消費者は、内臓剥き出しのクルマには用はない。

用があるのは、妥当な購入価格、少しでもいい燃費とか、うちの車庫に収まる大きさとか、安っぽくない内装とか、たくさん荷物が詰めるトランクや、フルフラットになる後席とかであって、クルマをクルマたらしめているエンジンとかサスペンションとか、ボディ剛性とか、動的バランスではないのだ。

だから、このトヨタのKIKAIが、一般受けすることはない(たぶん)。

もちろん、浮沈子は、そんな評論家的観測とは関係なく、このクルマ「だけ」を見にモーターショーに行く。

しかし、そんな客はトヨタの客ではない。

アクアとか、プリウスとか、そういうクルマを見に行くのがトヨタの客だ。

ホイールベースが、991型のポルシェ911と同じだなんて、数字見ただけでピンとくる客は皆無だろう。

そんなことは百も承知で、トヨタはKIKAIを展示する。

だから、浮沈子はそこにトヨタの良心を感じるのだ。

商売としてのクルマ作りとは別に、作り手としての思いを形にする。

それが共感を生むとは限らない。

逆効果かもしれない。

スピードと、パワーと、カッコ良さに憧れる若者ブランドになりたいところだろうが、社長がレースに出たりしても、86とか作ったりしても、若者は、クルマなんぞには見向きもしない・・・。

スマホとモバゲーだけ・・・。

そんな中で、工作機械が作り出すクルマの向こうに、作り手の思いを見出せというのは困難だ。

まあ、スマホにもモバゲーにも、作り手はいるんだがな。

スティーブ・ジョブズがいなくなっても、アイフォーンは売れ続けている。

人が作りしものは、作り手の思いとは別の価値を見出されて、使い手に選ばれていく。

それは不幸なのか?。

浮沈子の疑問はそこだ。

使い手によって、新たな価値を見出されて愛されることは、好ましいことなのではないのか?。

使い手の幅が広がり、裾野が拡大するにつれて、そういうことは起こるものだ。

その変化を受け入れることによって、もの作りは進化する。

環境に配慮した経済的なクルマという、自己矛盾にも等しい命題を克服しようということにもなる。

それが進歩だし、正しい歩みだ。

メカを剥き出しにして、顰蹙を買うようなアプローチはいかがなものか・・・。

一方で燃料電池車を作り、2020年までに完全自動運転自動車を市販しようとしているメーカーとして、自己矛盾を抱えているようにも見える。

クルマはかつて、人が作り、人が動かす機械だった(過去形かよ!)。

その未来は、工作機械が作り、コンピューターが動かす「何か」になる。

その正体が何なのか、トヨタにも見えていないのかもしれない・・・。

83タルガの課題2015年10月14日 18:42

83タルガの課題
83タルガの課題


すっかりサーキットモードになって走りまくった挙句、今日は筋肉痛で起き上がれない・・・。

文字通り、ミシミシと軋むような痛みだ。

タルガの屋根が軋むのと似ている・・・。

まあいい。

いろいろ、気になる点があるので、重複するが纏めて書いておく。

(その1)まずは、シフトレバーがセンターに戻らないこと。

これは、一昨日、第三京浜を走った後、プレステージに寄って、帰りに環八を走っていて気付いた。

昨日、見てもらった感じでは、シフトレバーを支える部品が割れたようだという。

過大な力を逃がす設計がしてあるということで、ベンツのコンパニオンプレートに似ている。

(その2)ブレーキを踏むと、ガタガタと振動が出る。

袖ヶ浦では、特に気にならなかったので、ガツンと踏めば症状は出ない。

(その3)右の助手席ドアの閉まりが悪い。

ドアキャッチの調整と、ウェザーストリップゴムの収まりを直せばいいらしい。

(その4)空調(送風だけですが)のカラカラ音も何とかしたい。

ベアリングだけならいいが、ファンコイル交換だと高くつくらしい。

不具合といっても、その程度だ。

(その5)メンテナンスとしては、オイル交換を行う。

タイヤは、昨日でだいぶ溶けてしまったが、山はまだあるので、しばらくこのままで行こう・・・。

(その6)改造の課題はいくつかあって、見た目としては、リアをダックテイルに換装するというのがある。

新品見積もりをお願いしている(中古は出そうもないし・・・)。

これは、空力上のバランスとしても、是非やっておきたいところだ。

(その7)バッテリーの軽量化というのもある。

無敵のリチウムイオンバッテリーへの換装だ。

普段使いで乗るには多少不安もあるが、サーキットだけでも換えてみたいところだ。

まあ、その前にやることはあるんだろうが(サスとか)、バッテリーは浮沈子的には是非ともやってみたい。

ドライバーの軽量化が進行しないので(また、増えてしまった・・・)、他力本願である。

その他は、今のところ気になることはない。

エンジンは絶好調だし、サスペンションも今のところ問題はない。

固くしてもいいんだが、普段乗りが辛くなるので、このままでいく。

袖ヶ浦は、もっと足を固めて、コーナーの踏ん張りを効かせた方が速くなることは分かっている。

サーキットスペシャルにする気はないので、これでいい。

リアヘビーの930を、多少は振り回せるようになった気がする。

いや、振り回されてるだけかも!?(間違いなく、こっちだな)。

サーキット走りの面白さを、少しは分かった気になってきた。

同時に、限界を超えた時の怖さも知った。

2回ほど、リアを流してしまった。

最終コーナーの立ち上がり(これは、ちょっとヤバかったな)と、左複合コーナー(難所です!)で1回ずつ。

前回は、ヘアピンの入り口でおつりをもらった。

今回は、ヘアピンを課題にしたので、他が荒くなったかもしれない。

幸い、スピンには至らなかったが、FRとは異なる振り出しの速さと収束の難しさを味わった(ヒヤヒヤ)。

930には、PSMなどという有難い仕掛けはない。

五感を研ぎ澄まして、アクセルワークに神経を集中するしかないのだ。

もちろん、最大の課題は、ドライバーの技量の向上である。

人車一体。

この言葉が、全てだろう。

ドライビングスクールの先生は、速く走るのは「根性」ではなく、物理の法則を理解した「的確なな操作」だというが、パッションがなければクルマは走らない。

ああ、それと、基礎的な筋力もないと、Gに耐えて身体を支えることができない。

とにかく、横Gが掛かると、昼飯のカツカレー大盛81番(←食券の番号!)が、喉から出てきそうになる。

大胆、かつ華麗(カツカレー)ってかあ?(そんなもん、食ってるから減量できないんじゃない?)。

そんでもって、筋肉痛でフィットネスサボってれば、テキメンに増えるよなあ。

まあ、どうでもいいんですが。

いろいろ弄って楽しめるのも、今のうちかもしれない。

まあ、クルマより、ドライバーの課題が多いということは、良く分かった。

帰りにヘッドライトの飛散防止のテープを剥がすのを忘れて、近所のガソリンスタンドで気付いたことは、ここだけの話である(ハズカシ・・・)。

初飛行前夜2015年10月14日 22:22

初飛行前夜


なんか、カッコ悪いし、当初想定していたカーボンファイバーの主翼じゃなくなったし、生産規模に不安がある中で、いよいよ初飛行が近づいているMRJ。

(MRJ、走行試験が本格化 最高時速、40キロに到達)
http://www.asahi.com/articles/ASHB73V4WHB7OIPE00H.html

「最高時速は、これまでで最も速い約40キロに達した。」

うーん、イマイチだな。

「これまでの最高速度は約30キロだった。」

なんだ、たった10キロ上がっただけで、記事が出るのかあ?。

「初飛行の直前には離陸時とほぼ同じ200キロでの走行試験も行う。」

このくらいの速度で走ったら、記事にしてもいいが、40キロというのはそれにしても遅いな。

「操縦性能やブレーキの利き方などを調べた。」

(MRJ)https://ja.wikipedia.org/wiki/MRJ

「最大離陸重量:
・MRJ70STD:36,850kg
・MRJ70ER:38,995kg
・MRJ70LR:40,200kg
・MRJ90STD:39,600kg
・MRJ90ER:40,995kg
・MRJ90LR:42,800kg
(STD:標準型、ER:航続距離延長型、LR:長距離型)」

ほぼ40トン前後の重量である。

こんなのが200kmで走るんだから、大変なこった!。

もっとも、コーナーリング性能とかは、あんま必要ないんだろうが。

浮沈子は、あまりこの飛行機が好きではない(機首なんか、ボンバそっくりだしな)。

国産旅客機ということで、関心は高いが、きっと売れないに決まってるし、中国やロシアの追い上げもある。

400機余り受注しているらしいが、そんな程度では元は取れない。

「受注数は407機(確定223機、オプション160機、購入権24機)」

「投資回収が始まる目安が累計750機になるという見通し」

ホンダジェットのような、親しみを感じない。

あっちはエンジンを先に開発して、それを積む飛行機を後から作ったようなもんだ。

MRJは、初めから商売することを優先して考えている。

コストを削減するために(たぶん)、主翼の材料もケチった。

「強度確保のためには積層枚数の増加・補強材追加の必要性が判明し、予定したほどの軽量化が望めなくなったためとされている」(ホントかあ?)

ボンバ(ルディア)やエンブ(ラエル)の市場に割って入ることができるのかどうか。

価格では中国やロシアには敵わないだろうし、販売網ではカナダとブラジルには大きく離されている。

「主な競合機の受注状況(2013年6月現在)。
中国商用飛機:ARJ 202機
中国商用飛機:C919 380機
イルクート:MS-21 241機
スホーイ:SSJ 244機
エンブラエル:E-Jet 2713機
ボンバルディア:CRJ 1855機」

話にならんな・・・。

メンテナンスや販売では、ボーイングと提携する話もあったと記憶しているが、その後どうなっているかは知らない。

「YS-11の教訓からボーイングとカスタマーサポート契約を、SAABとプロダクト・サポート契約を結んでいる。」

もちろん、エンジンはP&Wにおんぶにだっこだ。

「エンジンに関しては、2015年2月12日に米大手プラット・アンド・ホイットニー社がサポートサービスを提供すると発表した」

エンジンくらい、国産で出来なかったのかなあ。

もっとも、世界中に売るわけだから(たぶん)、売った先でメンテナンスサービスが出来なければ話にならないけどな。

航空機産業は、戦後、結局根付かなかった。

防衛関係の細々とした需要と、外国企業の下請けに甘んじてきた。

今回のプロジェクトMRJが、流れを変えることができるのかどうか。

国家予算を400億円もつぎ込み、他社の航空機を使いたいに決まってるビッグキャリアを脅して買わせたり、経産省もなりふり構わないが、その心は、今度こそ、航空機産業を根付かせたいということなんだろう。

運用コストが安い小型ジェットが飛べば、地方空港も復活するかもしれないしな。

そんな期待を一身に担って、MRJは飛び立とうとしている。

やっぱ、問題は飛んだ後なんだろう。

YSー11も飛んだが、後が続かなかった。

初飛行に向けて、地上滑走試験を繰り返している今、飛んだ後のことまで考えなくてもいいのかもしれないが、目標の1500機を売りまくって稼ごうというんだから、如何に飛ばし続けることができるかが勝負の分かれ目だ。

初めから勝負にならないんじゃないかと浮沈子は見ているんだが、販売の仕方次第では、売れないこともないかもしれない。

何かと抱き合わせで売るとか。

ボーイングと組んで、主力機とセットで売ってもらうとか。

儲けは少なくなるかもしれないが、継続して売り続けることは出来るし、売り辛いマーケットにも展開できる。

鉄道や、高速自動車道路などの社会資本の整備が進んでいない新興国にも、航空機は入りやすい。

点と点で結べば、効率的にネットワークが作れる。

アジアを中心に、世界中に売りまくりたいんだろう。

(民間航空機に関する市場予測 2015-2034)
http://www.jadc.jp/files/topics/98_ext_01_0.pdf

この資料は、ちょっと要約できないが、世界の航空機需要は、今後20年で倍増する。

それを賄うためにも、我が国の製造業は貢献すべきだし、国産機で商売できるに越したことはない。

まあ、あまり期待できないけどな。

航空機産業の裾野は広い。

スピンオフした技術は、自動車や製造機械などにも及んでいくに違いない。

航空機は下請けだっていいから、そっちの関連技術の方でも頑張ってもらいたいもんだ。

そうすると、だんだん下々の方にも恩恵が下りてきて、83タルガが200kmオーバーで第1コーナーに突っ込めるようになるかもしれない(現在、140km)。

まあ、どうでもいいんですが。

83タルガの重量は、たかだか1.2トンに過ぎない。

40トンの航空機とは比較にならない。

カーボンブレーキとかが安く作れるようになれば、考えてもいいかな(今は、数百万円かかるようだ)。