SCRとCCR2016年01月17日 03:04

SCRとCCR


浮沈子の中では、リブリーザーというのは、酸素リブリーザーを含めて、SCRから始まり、CCRに発展していくものだという固定観念があった(正直言って、今でもあります)。

純酸素とディリュエントガスを混ぜて、酸素分圧一定の混合ガスを製造するCCRこそ、未来のダイビングを担う本命で、SCRというのは、その中途半端(!)な性能と、運用限界から、過渡的な器材だと思っていたわけだ。

ガスの吐出量をコントロールすることで、回路内のガスのFO2を多少コントロールできるとはいえ、基本的には、持ち込んだ混合ガスの構成比を変えることは出来ない。

MODは、たとえばナイトロックスを持ち込めば、その制限値を超えることは出来ない。

須賀次郎氏のブログで、持ち込んだガスを水中で切り替えて、大深度(ここでは、概ね40m以深)で使用することができるという話が出ていて、実際はともかく、ロジカルには可能ということは分かった。

回路を循環させて、必要に応じてガスを吐出すればいいだけの話で、PO2の管理や二酸化炭素の除去はCCRと同じだ。

適切なガスを選択すれば、ボトムタイムの延長という観点からは、必要な性能が得られるだろう。

何より、その物理的にシンプルな構造が堪らない。

基本的には、タンク1本で、何とかする。

サイドマウントとの相性もよさそうだし(ジュルッ:舌なめずりの音)。

(KISS Sidekick:メーカーが、とっくにサイドマウントにしてましたな:追加)
http://www.kissrebreathers.com/sidekick.html

深度に応じたガスをサイドマウントで持ち込んで、切り替えながらロングダイブを楽しむという芸当が出来そうな気がする。

大深度になれば、当然、ベイルアウト用のシリンダーも持ち込むわけだしな。

どんなガスを吸わせられるかは、コンピューター次第という、電脳博打(?)なCCRとは異なり、基本的には由緒正しいタンク内のガスを吸うだけのSCRは、ある意味で正統な呼吸器であるともいえる。

何なら、純酸素も持ち込んで、最終減圧とかに使ってもいい。

オープンサーキットにおける、大深度下でのガスの大量消費というデメリットを回避する観点からは、必要にして十分な器材ではないのか。

PO2一定のメリットは、浅いところでは享受できないが、そこは、ベイルアウト用のナイトロックスや純酸素でカバーすればいい。

SCRは、いわゆるレクリエーショナルダイビング向けだという評価もある。

MODさえ守れば、ハイパーオキシアの危険がないという観点からは、まさしくその通りといえる。

構造が簡単で、価格も安く(CCRの半分くらい?)、手を出しやすいということはあるが、浮沈子的には、玄人好みのコアな器材に見えるな。

弄りたくなる、改造したくなる、遊びたくなる・・・(良い子は、絶対にマネしないでね!)。

一部の機種(エクスプローラーとか)を除いて、専用のタンクでなくても使用は可能なようだ。

特に、キスジェムは、本体をタンクに括り付けるという、目から鱗の逆転の発想である。

(KISS GEM SCR)
http://www.kissrebreathers.com/gem-scr.html

じゃばらホースの長さを調整すれば、何の苦労もなく、サイドマウントにすることが可能だ。

つーか、そのために開発したんじゃないかと思うような器材である。

排気がマウスピースの辺りから視界を遮って出るとか、酸素センサー一つに命預けるという点は、今後の改良に期待だ。

もっとも、何かあったらベイルアウトというのが、これくらい分かりやすい器材はない!。

どっちかっていうと、何かあったらSCRといった方がいいかもしれない程、オープンサーキット寄りの器材である。

これを、デュアル化するという発想も出てくる。

カウンターラングや、ホースの取り回しについては、ひと工夫必要だが、なんでもアリという感じだな。

オープンサーキットダイビングとの相性も抜群だし、何なら、40キュービックフィートの細身のタンクにこいつを付けて、ロングダイブを身軽に楽しむという手もある。

もちろん、リブリーザーであることに変わりはないので、トレーニングとかは専用に用意されているようだ。

BOVへの切り替えが全てともいうがな。

浮力の調整とかは、CCRとほぼ同じとみていいだろう(詳しくは知りません)。

この機種は、そのシンプルさが身上だ。

浮沈子は、泡が出ないという点には、余り拘りがないので、CCRでなくてもその点では構わない。

定量的に出る少ない泡ならば、それ程気にならないかもしれない。

怪しげなガスを吸う気づかいが少なく、ダイブタイムの延長や比較的静穏なダイビングを享受できるSCRは、ひょっとしたら大化けする可能性がある。

CCRは、基本的に不安定な器材だ。

どんなガスを吸わせられるかを、常にモニターし続け、気にし続けなければならない。

オープンサーキットについては、ガス交換を行う際だけ、気遣えばいい。

その代わり、排気ガスをぶちまけるという、構造的な特徴から、大深度でのガス持ちに難がある。

SCRのどっちつかずの特性は、ある意味で、いいとこ取りでもある。

リスク少なく、メリットだけ享受できるわけだ。

もっと、正当に評価されてもいいんじゃないか。

最近では、エクスプローラーのように、凝った仕掛けも出てきているし、SCRとしてのメリットを押し出した機種がもっと出てきてもいいように思う。

どこでも、気軽に使えて、価格もリーズナブルで、トレーニングも簡単で済む。

その一方で、本格的な探検的ダイビングにも使えるということになれば、重宝する器材ということになるんじゃね?。

しかし、これは、浮沈子の現時点での個人的な見解なので、各指導団体やメーカーがそういっているわけではない。

一部の機種(RB80とか)を除いては、今のところ、レクリエーショナルレベルでのメリットを追求しているだけだ。

どんな器材であれ、大深度や閉鎖空間内でのリスクは同じようにある。

そこで、低い故障率や、高いリカバリー性能を引き出すことが出来れば、シビアな環境における運用が可能になるということだ。

その点については、少し調べてみようかという気になっている。

今のところ、未来の潜水器がCCRであるという確信は揺らいでいない。

人間の酸素の消費が、深度にほとんど影響されないという生理的な特性があり、水中で不活性ガスと酸素を、単一混合ガスから分離できないという制約がある限り、純酸素とディリュエントガスを別々に持ち込んで混合するというスタイルは、極めて合理的だ。

エネルギーと膜を使って、酸素を分離することが出来れば、また、新たな潜水器が登場する可能性もある。

さらに、タンクに詰めたガスではなく、水中で調達することが出来るようになれば、ダイビングに革命が起きることは間違いない。

CCRが、そんな人工鰓(えら)の登場までの過渡的な技術であるという点では、浮沈子も異論はない。

それまでの間、SCRだって、活躍の場があっていい。

もちろん、700気圧のタンクが登場すれば、オープンサーキットだって、当分の間は使われるに違いない。

選択肢は、沢山あるというわけだ。

ど・れ・に・し・よ・う・か・な。

いい時代に、ダイビングを楽しむことが出来るようになった。

SCRだって、捨てたもんじゃなさそうだぞ!。

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