静止軌道宇宙ステーション2018年01月29日 13:50

静止軌道宇宙ステーション


静止衛星が、MEVと呼ばれるサービス衛星とドッキングして、軌道維持や変更、給油(将来的)を受けて延命する話はすでに書いた。

(衛星の寿命)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/01/07/8764682

初めて知ったのはこの記事。

(世界の商業宇宙開発最前線 大貫美鈴の現地レポート 第1回:主役が変わった!スペースシンポジウム)
http://sorae.info/02/2016_08_17_misuzureport.html

MEVを開発しているのは、オービタルATKだが、昨年、ノースロップグラマンが買収する予定と報道されている。

(Northrop Grumman:2010 to present)
https://en.wikipedia.org/wiki/Northrop_Grumman#2010_to_present

「In September 2017, Northrop announced its intention to acquire missile and rocket manufacture Orbital ATK Inc for $9.2 billion: $7.8 billion in cash plus $1.4 billion in net debt. On November 29, 2017, the acquisition was approved by Orbital ATK stockholders.」(2017年9月にノースロップは、ミサイルロケット製造のOrbital ATK Incを現金で78億ドル、純負債で14億ドル加えて92億ドルで買収する意向を発表した。2017年11月29日、買収はOrbital ATK株主の承認を受けた。:自動翻訳のまま:以下同じ)

まあ、どうでもいいんですが。

今のところ、インテルサットだけが、MEVのサービスを受けることになっているようだが、他社は静観の構えなのか(未確認)。

話は変わるが、先日打ち上げられたSES-14には、GOLDというホステッドペイロードが搭載されていた。

(GLOBAL-SCALE OBSERVATIONS OF THE LIMB AND DISK)
http://gold.cs.ucf.edu/

「The GOLD mission launched at 5:20 p.m. EST, Thursday, Jan. 25, as a commercially hosted payload on the SES-14 satellite.」(GOLDミッションは、1月25日午後5時20分(米国時間)午後5時20分、SES-14衛星の商用ホストとして発売されました。)

この手の話は、イリジウムネクストにもあって、一定の条件で、衛星に機器を乗っけて打ち上げて、親衛星から電源・通信等のサービスを受けて運用するという、最近流行りのスタイルだ。

(衛星通信未来の可能性を実現する)
http://www.iridium.co.jp/html/dh/service4

「Aireon社の航空機追跡サービスとその他Hosted Payload任務のサポート」

Aireon社って、イリジウムの関連会社だけどな。

まあいい。

いずれにしても、打ち上げ前にホステッドペイロードを搭載することになる。

軌道に上がっちまったら、手も足も出ない。

MEVのように、追っかけてって、ドッキングして軌道サービスを追加するわけにはいかないのだ。

と、思ってたら、今度打ち上げになるSES-16というヘンタイ衛星(!)があることが分かった。

(SES 16 / GovSat)
https://spaceflight101.com/falcon-9-ses-16/ses-16-govsat/

NATOの軍事通信衛星で、余った機能(?)で政府や企業の通信を行うらしいが、ユニークな機能を持っている。

「When GovSat was announced, SES also introduced a unique capability of the satellite in the form of a special port that would allow the satellite to receive hosted payloads in orbit. No payload for this port was identified, but it can reportedly support 200-Kilogram, 500-Watt payloads that maneuver to dock with the satellite after being released in proximity to it. If, when and where this capability is to be tested remains unknown.」(GovSatが発表されたとき、SESは、衛星がホストされたペイロードを軌道上で受信することを可能にする特別なポートの形で衛星のユニークな機能を導入した。このポートのペイロードは特定されていませんが、近くに解放された後に衛星とドッキングするために操縦する200キログラム、500ワットのペイロードをサポートしていると伝えられます。この能力がテストされる時期と場所は不明のままです。)

つまり、後付けでホステッドペイロードを追加できるというわけだ。

どうやってくっ付けるのかとか、その辺の詳細は不明だ。

衛星サービスとの併用が出来るのかも気になる。

オービタルATKは、いわゆるふつーの衛星も作っているわけだから、自社のMEVサービスを受けやすくするための選択肢を出してくるに違いない。

後付けホステッドペイロードは魅力的だが、衛星サービスを阻害してしまうことになると別の話だな。

打ち上げコストが激減し、通信衛星のトランスポンダー単価が下がり、限られた静止軌道上に超大型衛星がずらりと並ぶことになれば、有効に利用しなければもったいない話だ。

衛星サービスも、後付けホステッドペイロードの対応も、両方できた方がいいだろう。

いってみれば、静止軌道上の無人宇宙ステーションが出来るような感じか。

今時の静止衛星は、運用期間が15年程度となってきているが、給油などのサービスを受けて延命させることが出来れば、ますます複雑化、巨大化する。

トランスポンダーとか、下手したらアンテナや太陽電池パネル、バッテリーとかもコンポーネント化されて、後から交換したり、追加したりできるようになるのかもしれない。

とりあえず、ドンガラの静止衛星を上げておいて、必要に応じて機器を追加していくなどという話も出てくるかもな。

衛星サービスが前提の時代か・・・。

隙間産業的に始まるのかもしれないが、気が付いたらメインストリームになっているかも知れないな。

将来の拡張を見越してドデカイ衛星をいきなり上げて、失敗して泣きを見るより、ミニマムで上げておいて、追加で需要の変化に対応できるようになれば、ビジネスの柔軟性は高まる。

ホステッドペイロードは、本業と異なる機器をくっ付けることを前提にしているんだろうが、本業でも活用したいという話になるかもしれないからな。

いくつの後付けコネクター(?)が付いているかが、衛星の共通仕様になる時代が来るかもしれない。

今は、個別のサービス衛星が、御用聞きのように静止衛星を周ってサービスを提供するコンセプトだろうが、そのうち、サービスステーションみたいなのが出来て、そこで一括して行うようになる可能性もある。

運搬だけ、単機能のサービス衛星にやってもらってな。

打ち上げコストや、ペイロードの重量や大きさの限界、サービス需要と丸ごと再打ち上げのコスト最適化の分岐点など、いろいろ考慮すべき点はある。

やがては、ホスト機能だけの衛星に、様々な後付け機器をくっ付けていく時代になる。

そう、ISSにいろいろな観測機器を付けているような感じで。

やっぱ、見えてくるのは、静止軌道上の無人宇宙ステーションだな。

そこで活躍する宇宙ロボットたち。

これは、SFではない。

打ち上げコストの激減と、打上げ機会の増大がもたらす必然だ。

単純に考えれば、デカい静止衛星を安く上げられるようになるから、そっちの方に行きそうな気もするけど、今や衛星の方がロケットより高価なのは当たり前だからな。

そうそう超巨大衛星を打ち上げるわけにはいかない。

ISSを組み立てて運用しているように、コンポーネント化された機能部品を組み立てていく。

宇宙のインフラとしての静止軌道ステーションだ。

まあ、高緯度地方には、別途対策が必要だがな・・・。

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