考えてみれば当たり前だが、洋上回収地点の海況が打ち上げ条件となる再使用ロケットも面倒だな2020年01月21日 09:34

考えてみれば当たり前だが、洋上回収地点の海況が打ち上げ条件となる再使用ロケットも面倒だな
考えてみれば当たり前だが、洋上回収地点の海況が打ち上げ条件となる再使用ロケットも面倒だな


ファルコン9の再使用では、一部のミッションを除き、ドローン船や頭上にネットを張った高速船が大活躍する。

まあ、初期のドローン船は、1段目が激突したり、倒れて爆発したり、近くに突入したりして悲惨な目に合ってるし、ネット張った高速船は、最近まで失敗の連続だったからな。

(SpaceXは次のStarlinkミッションに向けてロケットを発射します。検討中の発売日)
https://spaceflightnow.com/2020/01/20/falcon-9-starlink-3-static-fire/

「SpaceXは、60台のStarlinkブロードバンド衛星を搭載したFalcon 9を打ち上げる最良の機会を評価していると述べました。」

「SpaceXは、以前に予定されていたように、火曜日にミッションを開始しようとはしていない。」

「SpaceXは、同社の打ち上げチームが「回復地域の極端な天候のために」最高の打ち上げ機会を評価していると述べました。」

浮沈子が、おやっ?っと思ったのは、今までは打ち上げパッド上空の発射条件が整えば、回収船団の派遣を中止して発射していたような気がしていたからな。

「SpaceXは、Falcon 9の第1ステージブースターの推進力のある垂直着陸とロケットのペイロードフェアリングの回復のために、ケープカナベラルの北東の大西洋の位置に船を派遣しました。」

「巨大な網が取り付けられた高速で動く船は、フェアリングをキャッチしようとします。フェアリングは、発射後数分でロケットを半分に分割し、パラシュートで地球に戻ります。」

「Falcon 9ロケットの最初のステージは定期的に何度も再利用され、SpaceXはフェアリングの取得を開始し、昨年は打ち上げコストを削減するためにノーズシュラウドを再利用しました。」

潮目が変わったのを感じる(回収船団だしな・・・。)

再使用のための回収条件を優先して、打ち上げ日程をずらすようになったわけだ。

再使用が、完全にビジネスに組み込まれた証拠だ。

最早、実験ではなく、コスト削減のためのルーチンになったことを意味している(たぶん)。

今回のスターリンク3は、特段のイベントはない。

低反射率の衛星が積まれているという話もないしな(未確認)。

外連味のない、ただの打ち上げに見えるが、そこには本質的な変化が含まれているのかも知れない。

「Starlinkの各衛星の重量は約4分の1トンであり、軌道上での操縦にはクリプトンイオンスラスタを使用します。宇宙船は、ワシントン州レドモンドのSpaceX工場で製造されています。」

「SpaceXは、12のStarlinkミッションを開始したら、今年中旬頃に部分的に完成したStarlink星座でカナダと米国北部への地域ブロードバンドサービスを開始したいと考えています。同社によると、世界中のインターネット消費者向けのStarlinkサービスは24のリリース後に提供されるという。」

先日の秋山さんの記事によれば、我が国も来年辺りからサービスインする予定だそうだ(申請中)。

(スペースX、スターリンク通信網を年内に日本でサービス提供へ 3回目の衛星打ち上げ成功)
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20200107-00157996/

衛星の製造から打ち上げ、地上端末の製造販売、末端の顧客へのサービスの提供まで、垂直統合して商売しようとしている。

巨大な利益が見込める地球低軌道のインターネット衛星ビジネス。

技術的な障壁と、コスト的な障壁の高さから、他社の本格的な参入はない。

ワンウェッブも、ブルーオリジンも、その他有象無象も、インターリンクの成功を指を咥えて眺めているしかない。

ワンウェッブは、既に6機の衛星を打ち上げ、来月には32機を上げる予定だが、その頃には300機を超えるスターリンク衛星が軌道上にあるだろう。

一桁違うペースで打ち上げが続くスターリンクの敵ではない(そうなのかあ?)。

早ければ今年中に始まるという衛星間通信が実現した暁には、高速(光速?)バックボーンとして機能するようになる(実施時期については、来年以降にずれ込む可能性が高い?)。

さらに、低軌道Vバンド衛星が展開するようになると、本格的な通信衛星網としてインフラ化することになる。

この時点での衛星数は、合計で約1万2千。

さらに、3万機の追加を申請していて、計画だけとはいえ、せいぜい数千機止まりの他社の追随を許さない(合計4万2千機)。

それを可能にしているのは、間違いなく再使用ロケットを自前で抱えているということだ。

仮に、規制当局が承認済みの1万2千機だけみても、そのコンステレーションを維持するためには、衛星寿命を5年として、毎年2千400機(毎月200機)上げることになるからな(人類が60年掛けて打ち上げた衛星の数は、せいぜい6千機程度)。

ファルコン9に搭載できる60機の打ち上げを、ほぼ毎週のように行って、初めて達成できる。

そんなことができるのは、スペースXだけということになる。

万が一(!)、スターシップとスーパーヘビー(まとめてBFR?)が2020年代に完成するようなことになれば、一度に400機上げられるようになるからな。

2か月に1度だけ上げれば済んでしまう。

その状態にならないと、最終的な4万2千機のコンステレーションは維持できない(それでも年に21回の打ち上げ)。

スターリンク計画とファルコン9の再使用コストの削減、BFRの完成は、完全にリンクした話だということが分かる。

浮沈子は、スペースXが際物的なフェアリングの回収を本気で行う背景には、BFRが完成するまでの期間が、誰かさんが思ったよりも長くなるという順当な見通しがあると見ている。

もちろん、BFRが本格的に運用されるようになれば、それは無くなる。

リスキーな洋上回収はなく、地上にランディングすることになるからな。

だが、開発の難航が予想される巨大ロケットは、おそらく10年以内に飛ぶことはないだろう。

高空気象だけ観測していればいい時代は先週で終わった(今週のインフライトアボートテストの延期理由も、回収地点の海況だったからな)。

今週からは、沖合の海況によってロケットの打ち上げ日程が決まる時代になった(ISS補給機とかはそんなこと言ってられないだろうけど、あれは標準ではグラウンド回収だしな)。

ファルコン9時代は、当分続くことになりそうだな・・・。

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