もう一つの史上2位 ― 2018年12月01日 15:55
もう一つの史上2位
コンゴ民主共和国(DRC)北東部のエボラ流行が気になって仕方ない今日この頃。
普通なら、そろそろ勢いが衰え、感染者の監視網も行き届いて、終息の兆しが見え始めてもいいころだ。
事実、今年の春先に同国北西部で発生したエボラ流行は数か月で抑え込まれている。
400人を超える感染者を出し、感染規模で史上2位に躍り出たばかりだが、もう一つの史上2位が見えてきている。
そう、悲しい話だが、死者数でも歴代2位に迫りつつあるのだ。
Latest numbers as of 28 November 2018:
Total cases: 426
- Confirmed cases: 379
- Probable cases: 47
Deaths: 245
- Confirmed: 198
- Probable: 47
認定されている死者数は245人。
(Ebola virus disease:Table: Chronology of previous Ebola virus disease outbreaks参照)
http://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ebola-virus-disease
現在は、推定で1万1千人を超える死者を出してしまった2014-2016年の西アフリカ地域での流行、1976年(280人)、1995年(254人)のDRC(当時のザイール)での2度の流行に次ぐ第4位だ(WHOのリストには2017年以降が抜けているが、死者100人を超える様な大規模流行はない)。
(List of Ebola outbreaks)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Ebola_outbreaks
今の状況が続けば、1995年の流行を抜いて第3位になるのは時間の問題だし、1976年の流行時に達する可能性も高い。
ザイール株は、従来から致死率が高いと言われている。
スーダン株が概ね40パーセントから70パーセント程度であるのに対して、ある程度の規模で発生している事例を見ても、多くは70パーセントから90パーセント程度だ。
もちろん、いくつかの例外はある。
今回は、今のところ60パーセント程度で推移している。
感染者規模が既に史上2位になっていても、死者数で4位に留まっている所以だ。
死者数を追うというのは辛い話だ。
特に、高い致死率のエボラは、十分な治療を受けられたとしても、生存者は半数程度になる。
今までと異なり、治験中のワクチンが投入され、感染者を中心としたリングワクチン接種が広範囲に行われているにもかかわらず、それでも高い致死率を記録し続け、感染の拡大を止められないでいる。
治安上の問題や地域住民の協力が十分に得られないこと、国内の政治的対立など、もっともらしい理由はいくらでも付けられるんだろうが、それらを一朝一夕に解決することは出来ない。
出来るくらいなら、とっくにやっているだろう。
人間の根深い不信や対立のスキを突くように、疫病は蔓延している。
まるで、その愚かさをあざ笑うかのように。
しかし、それはあくまでも人間側の思い込みに過ぎない。
エボラウイルスに意識があったり、戦術や戦略があるわけでもない。
人間は、互いに寄り添い、親しく触れ合って生きる動物だ。
残念ながら、密林の奥に潜む自然宿主のように、エボラと共存して生きることは出来ない。
少なくとも、今のところは。
人間の特性とエボラの特性が合わないという、それだけの話だが、そのために多くの命が失われる。
それを防ぐためには、一時的にせよ、人間としての寄り添いや触れ合いを絶たなければならない。
それが、保守的な生活様式を尊ぶ社会に受け入れがたいというのは、ある意味で当然のことだ。
それを、野蛮だとか遅れているなどとあざ笑うことに意味はない。
愚かなのは、笑っている方だな。
分かってないと呆れられるのが落ちだ。
既に、状況は深刻だ。
時間との戦いが始まっている。
エボラの拡散に防御が追い付けるかどうか。
ワクチンの投与が効果的に働くなら、仮に感染者の周囲で再感染しても、抗体が機能して重症化を避けられたり、死亡率を低下させられるなどのデータが見えて来てもよさそうな話だ。
一時的に死亡率が下がって見えたりするのは、感染確定者の増加速度が死者のそれを上回っているからかもしれない。
いい傾向じゃない。
海外の報道などで伝えられる現地の状況は、楽観的とは程遠い。
公的な保健センターで、注射を介した感染が起こり、埋葬前の死体が奪還され、CDCの専門家は現地から全面撤退し、国連の安全保障監視団は武装勢力に攻撃され、医療スタッフのエボラ感染が続いている。
ボロボロだな。
地域の大都市圏での感染も報告され、放っておけば手が付けられないことになりかねない。
世界は息を潜めて、感染者数に続く死者数における史上2位浮上を見守っている。
MSFはビュテンボに拠点を作ろうと検討しているようだが、そこからアラートが発せられた時は、今回の感染が新たな段階に入ったことになる。
ジリジリと増え続ける今の状況は、嵐の前の静けさかもしれない・・・。
コンゴ民主共和国(DRC)北東部のエボラ流行が気になって仕方ない今日この頃。
普通なら、そろそろ勢いが衰え、感染者の監視網も行き届いて、終息の兆しが見え始めてもいいころだ。
事実、今年の春先に同国北西部で発生したエボラ流行は数か月で抑え込まれている。
400人を超える感染者を出し、感染規模で史上2位に躍り出たばかりだが、もう一つの史上2位が見えてきている。
そう、悲しい話だが、死者数でも歴代2位に迫りつつあるのだ。
Latest numbers as of 28 November 2018:
Total cases: 426
- Confirmed cases: 379
- Probable cases: 47
Deaths: 245
- Confirmed: 198
- Probable: 47
認定されている死者数は245人。
(Ebola virus disease:Table: Chronology of previous Ebola virus disease outbreaks参照)
http://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ebola-virus-disease
現在は、推定で1万1千人を超える死者を出してしまった2014-2016年の西アフリカ地域での流行、1976年(280人)、1995年(254人)のDRC(当時のザイール)での2度の流行に次ぐ第4位だ(WHOのリストには2017年以降が抜けているが、死者100人を超える様な大規模流行はない)。
(List of Ebola outbreaks)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Ebola_outbreaks
今の状況が続けば、1995年の流行を抜いて第3位になるのは時間の問題だし、1976年の流行時に達する可能性も高い。
ザイール株は、従来から致死率が高いと言われている。
スーダン株が概ね40パーセントから70パーセント程度であるのに対して、ある程度の規模で発生している事例を見ても、多くは70パーセントから90パーセント程度だ。
もちろん、いくつかの例外はある。
今回は、今のところ60パーセント程度で推移している。
感染者規模が既に史上2位になっていても、死者数で4位に留まっている所以だ。
死者数を追うというのは辛い話だ。
特に、高い致死率のエボラは、十分な治療を受けられたとしても、生存者は半数程度になる。
今までと異なり、治験中のワクチンが投入され、感染者を中心としたリングワクチン接種が広範囲に行われているにもかかわらず、それでも高い致死率を記録し続け、感染の拡大を止められないでいる。
治安上の問題や地域住民の協力が十分に得られないこと、国内の政治的対立など、もっともらしい理由はいくらでも付けられるんだろうが、それらを一朝一夕に解決することは出来ない。
出来るくらいなら、とっくにやっているだろう。
人間の根深い不信や対立のスキを突くように、疫病は蔓延している。
まるで、その愚かさをあざ笑うかのように。
しかし、それはあくまでも人間側の思い込みに過ぎない。
エボラウイルスに意識があったり、戦術や戦略があるわけでもない。
人間は、互いに寄り添い、親しく触れ合って生きる動物だ。
残念ながら、密林の奥に潜む自然宿主のように、エボラと共存して生きることは出来ない。
少なくとも、今のところは。
人間の特性とエボラの特性が合わないという、それだけの話だが、そのために多くの命が失われる。
それを防ぐためには、一時的にせよ、人間としての寄り添いや触れ合いを絶たなければならない。
それが、保守的な生活様式を尊ぶ社会に受け入れがたいというのは、ある意味で当然のことだ。
それを、野蛮だとか遅れているなどとあざ笑うことに意味はない。
愚かなのは、笑っている方だな。
分かってないと呆れられるのが落ちだ。
既に、状況は深刻だ。
時間との戦いが始まっている。
エボラの拡散に防御が追い付けるかどうか。
ワクチンの投与が効果的に働くなら、仮に感染者の周囲で再感染しても、抗体が機能して重症化を避けられたり、死亡率を低下させられるなどのデータが見えて来てもよさそうな話だ。
一時的に死亡率が下がって見えたりするのは、感染確定者の増加速度が死者のそれを上回っているからかもしれない。
いい傾向じゃない。
海外の報道などで伝えられる現地の状況は、楽観的とは程遠い。
公的な保健センターで、注射を介した感染が起こり、埋葬前の死体が奪還され、CDCの専門家は現地から全面撤退し、国連の安全保障監視団は武装勢力に攻撃され、医療スタッフのエボラ感染が続いている。
ボロボロだな。
地域の大都市圏での感染も報告され、放っておけば手が付けられないことになりかねない。
世界は息を潜めて、感染者数に続く死者数における史上2位浮上を見守っている。
MSFはビュテンボに拠点を作ろうと検討しているようだが、そこからアラートが発せられた時は、今回の感染が新たな段階に入ったことになる。
ジリジリと増え続ける今の状況は、嵐の前の静けさかもしれない・・・。
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