1段目2本とも回収したいから来月に打ち上げ延期のスターリンク7に見るスペースXの商魂 ― 2020年05月19日 16:06
1段目2本とも回収したいから来月に打ち上げ延期のスターリンク7に見るスペースXの商魂
もう、1段目の再使用は当たり前というより、商売の大前提となっていて、打ち上げスケジュールは発射地点の天候だけでなく、回収地点の天候を考慮しなければ決められなくなっている話については既に書いた。
(考えてみれば当たり前だが、洋上回収地点の海況が打ち上げ条件となる再使用ロケットも面倒だな)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2020/01/21/9204642
「浮沈子が、おやっ?っと思ったのは、今までは打ち上げパッド上空の発射条件が整えば、回収船団の派遣を中止して発射していたような気がしていたからな。」
「再使用のための回収条件を優先して、打ち上げ日程をずらすようになったわけだ。」
今回も、連続した打ち上げのスケジュールをこなすのに、回収地点の天候や動かせない有人機のスケジュール優先ということも重なり、相対的に融通の利く自社のスターリンク衛星の打ち上げを延期するという選択になった。
(SpaceXが搭乗員の打ち上げ後に次のStarlinkミッションを遅らせる)
https://spaceflightnow.com/2020/05/18/spacex-delays-next-starlink-mission-after-crew-launch/
「トロピカルストームアーサーはファルコン9リカバリーゾーンに近づいていたため、SpaceXはファルコン9ロケットの8番目の専用スターリンクミッションの打ち上げ計画を延期しました。」
「SpaceXは、同じドローン船を使用して、5月27日のクルードラゴン宇宙船を発射するファルコン9ロケットの第1ステージを回収する予定です。」
当然といえば当然だが、数年前には考えられない話だからな。
時代は、少なくともスペースXに限って言えば、21世紀的になったわけだ。
じゃあ、こんな時代が今世紀中続くかと言えば、せいぜい10年くらいしか続かないという話になってきている(イーロンマスクは来年だというけど、信じる者は誰もいない・・・)。
スーパーヘビー(次世代の第1段目:ブースター)や、完全再使用のスターシップは、洋上のドローンに着陸(着艦?)するのではなく、打ち上げ地点など、陸上に必ず戻ってきてメンテナンスを受ける。
ああ、メンテじゃなくって、給油だけかもしれないけどな。
ドローン船(OCISLY:オブコースアイスチルラブユーやJRtI:ジャストリードザインストラクション)は、引退ということになるわけだ。
ミスツリーもミスチーフも。
ドローン船の変な名前については、記事が上がっている。
(スペースXのロケット回収船の名前について)
http://kosmograd.info/2018/04/14/asds-name/
「JRtIは「指示をよく読め」号、OCISLYは「もちろんいまもきみを愛している」号」
「ちなみに現在、スペースXは3隻目のASDSを建造しており、マスクさんによると、名前は「A Shortfall of Gravitas」になるという」
へえーっ、知らなかったな。
「「A Shortfall of Gravitas」は直訳すると「厳粛さの不足」というような意味になるので、ちょっと他の名前と合わせて「厳粛さが足らない」とでもすべきだろうか。」
まあ、どうでもいいんですが。
この記事には、気になる記述もある。
「ちなみに「A Shortfall of Gravitas」は完成後、フロリダに配備される予定で、ファルコン・ヘヴィの2機のブースターを、「もちろんいまもきみを愛している」号と共に洋上で回収したり、ファルコン9の第1段回収を交代で担当し、打ち上げ頻度を高めたりできるようになるという」
ヘビーの両脇のブースターを洋上回収するという話は、初耳だな。
(エロン・マスク:新しいSpaceXドローン船、グラビタスの不足、東海岸にやってくる)
https://www.floridatoday.com/story/tech/science/space/2018/02/12/elon-musk-new-spacex-drone-ship-coming-east-coast-port-canaveral/330356002/
「厳しい燃料マージンと重い衛星を含むいくつかのケースでは、スペースコーストに基づく2隻の船があることは、両方が同時に出航し、タンデム海上着陸のホストとなることを意味します。」
その際には、当然センターコアは使い捨てということになるんだろう。
まあいい。
いずれにしても、スペースXはスターリンク7の打ち上げを遅らせて、真っ新のクルードラゴン用の第1段目と、使い古しのスターリンク7用の第1段目の両方を回収するというドケチな選択をした。
浮沈子は、クルードラゴン用だけ回収して、スターリンク7用は使い捨てにするかと思ってたんだがな。
そうではなかった。
そして、それは、同社にとって使い捨てにすることが例外で、回収されることが日常であることを徹底して確認することにもなったわけだ。
フェアリングのダイレクトキャッチについては、まだチャレンジングな要素が大きい。
しかし、落下傘で回収海域に誘導し、着水してから浮いている間に回収することは、ルーチンになりつつある。
そうやって回収したフェアリングを再使用もした。
彼らにとって、使い捨てで打ち上げるのは、次回以降の再使用の予定がなく、廃棄の一環として行う時に限られる。
ああ、もちろん、重いペイロードを上げる時にもそうするかもしれないが、その際も原則的には新品を使い捨てにすることはない。
顧客がそれ相応の金を払えば(空軍みたいに)、新品を使い捨てにすることもあるかも知れないが、それは、あくまでも例外中の例外ということになる。
スターリンク7は、相乗りがなく、自社のペイロードだけを上げるということもあるかも知れない。
その次のスターリンク8では、相乗り衛星の都合もあるだろうから、スケジュールと回収との兼ね合いが出てくるかもしれない。
当然玉突きで、延期になっているわけだからな。
ファルコン9においては、ドローン船の運用が、打ち上げスパンを規制するボトルネックということになる。
A Shortfall of Gravitas(3隻目のドローン船:「貫禄不足」号?)の建造は、暫くの間は、そういう宇宙と海との時代が続くことを意味している。
来年とかにスターシップ(スーパーヘビー含む)による衛星の打ち上げなんて、実現しっこないという何よりの証拠だな。
当然、クルードラゴンは新品のファルコン9で打ち上げられる(そういうことになっているらしい)。
お下がりの第1段目は、暫くの間続くことになるから、それを使用する機会も無くなることはない。
もちろん、カーゴドラゴンも打ち上げられるから、その時代が続く限り、ドローン船の需要は無くなることはない(通常は陸上回収だが、ISSへの打ち上げでも洋上回収してるしな:あの時は、ロングコーストのテストだっけ?)。
フェアリングの回収は、スターシップが出来て、それで衛星や惑星探査機が打ち上げられるようになれば無くなることになる。
ミスツリーやミスチーフは、ドローン船より先に引退するかもしれないな。
まあ、いずれにしても、浮沈子的には10年くらい先の話だと見ている。
ステンレス製の銀ピカの宇宙船が、衛星載せて飛び上がり、ドローン船ではなく、打ち上げ場所に戻ってきて着陸し、燃料だけ入れてすぐにでも上がるなどという話にはならない。
少なくとも、来年だなどという与太話には同意できない。
ひょっとすると、開発だっていつまで続くか保証の限りではないのだ。
一民間企業が、アルテミス計画の僅かの補助金をもらっているとはいえ、アポロ計画並みのロケットと、スペースシャトル以上の再使用性を数年で実現できるとは思えないしな。
その地球低軌道以遠の運用には、宇宙空間での燃料補給という、文字通りの離れ業も要求される。
開発が長期に渡れば、資金ショートのリスクも高まる。
スペースXが厳しい経済状況になれば、明日にでもスペースシップの開発なんて打ち切りになってもおかしくはない。
ただでさえ、ヤバい事態に加えて新型コロナの影響もあるしな。
世界に溢れかえっていた行き場を失っていた金は、宇宙開発から潮が引いたように消えようとしている(たぶん)。
現に、ワンウェブは倒産し、ボーイングのXS-1も消えた(あれは、コロナ以前か・・・)。
浮沈子は、明日、スペースXが消えてなくなったとしても驚かない。
400機を超えるスターリンク艦隊と、数隻のドローン船を残して。
まあ、空軍の打ち上げとかあるだろうから、事業は何処かが引き継ぐことになるんだろう。
ULAとか、ブルーオリジンとか、ノースロップグラマンとかな。
アマゾンは儲かってるみたいだから、消えてなくなることはないが、バージンは風前の灯火だろう。
ラウンチャー1が上がるかどうかは、ビミョーな感じだな。
これも、空軍絡みだからな。
明日の宇宙開発は、それこそ一寸先が闇の状況だ。
結局、国家が潰さない御用企業だけが残って、民間需要は消えてなくなるわけだ。
やれやれ・・・。
スペースXのドケチモードが、資金ショートの予兆でなきゃいいんだがな・・・。
もう、1段目の再使用は当たり前というより、商売の大前提となっていて、打ち上げスケジュールは発射地点の天候だけでなく、回収地点の天候を考慮しなければ決められなくなっている話については既に書いた。
(考えてみれば当たり前だが、洋上回収地点の海況が打ち上げ条件となる再使用ロケットも面倒だな)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2020/01/21/9204642
「浮沈子が、おやっ?っと思ったのは、今までは打ち上げパッド上空の発射条件が整えば、回収船団の派遣を中止して発射していたような気がしていたからな。」
「再使用のための回収条件を優先して、打ち上げ日程をずらすようになったわけだ。」
今回も、連続した打ち上げのスケジュールをこなすのに、回収地点の天候や動かせない有人機のスケジュール優先ということも重なり、相対的に融通の利く自社のスターリンク衛星の打ち上げを延期するという選択になった。
(SpaceXが搭乗員の打ち上げ後に次のStarlinkミッションを遅らせる)
https://spaceflightnow.com/2020/05/18/spacex-delays-next-starlink-mission-after-crew-launch/
「トロピカルストームアーサーはファルコン9リカバリーゾーンに近づいていたため、SpaceXはファルコン9ロケットの8番目の専用スターリンクミッションの打ち上げ計画を延期しました。」
「SpaceXは、同じドローン船を使用して、5月27日のクルードラゴン宇宙船を発射するファルコン9ロケットの第1ステージを回収する予定です。」
当然といえば当然だが、数年前には考えられない話だからな。
時代は、少なくともスペースXに限って言えば、21世紀的になったわけだ。
じゃあ、こんな時代が今世紀中続くかと言えば、せいぜい10年くらいしか続かないという話になってきている(イーロンマスクは来年だというけど、信じる者は誰もいない・・・)。
スーパーヘビー(次世代の第1段目:ブースター)や、完全再使用のスターシップは、洋上のドローンに着陸(着艦?)するのではなく、打ち上げ地点など、陸上に必ず戻ってきてメンテナンスを受ける。
ああ、メンテじゃなくって、給油だけかもしれないけどな。
ドローン船(OCISLY:オブコースアイスチルラブユーやJRtI:ジャストリードザインストラクション)は、引退ということになるわけだ。
ミスツリーもミスチーフも。
ドローン船の変な名前については、記事が上がっている。
(スペースXのロケット回収船の名前について)
http://kosmograd.info/2018/04/14/asds-name/
「JRtIは「指示をよく読め」号、OCISLYは「もちろんいまもきみを愛している」号」
「ちなみに現在、スペースXは3隻目のASDSを建造しており、マスクさんによると、名前は「A Shortfall of Gravitas」になるという」
へえーっ、知らなかったな。
「「A Shortfall of Gravitas」は直訳すると「厳粛さの不足」というような意味になるので、ちょっと他の名前と合わせて「厳粛さが足らない」とでもすべきだろうか。」
まあ、どうでもいいんですが。
この記事には、気になる記述もある。
「ちなみに「A Shortfall of Gravitas」は完成後、フロリダに配備される予定で、ファルコン・ヘヴィの2機のブースターを、「もちろんいまもきみを愛している」号と共に洋上で回収したり、ファルコン9の第1段回収を交代で担当し、打ち上げ頻度を高めたりできるようになるという」
ヘビーの両脇のブースターを洋上回収するという話は、初耳だな。
(エロン・マスク:新しいSpaceXドローン船、グラビタスの不足、東海岸にやってくる)
https://www.floridatoday.com/story/tech/science/space/2018/02/12/elon-musk-new-spacex-drone-ship-coming-east-coast-port-canaveral/330356002/
「厳しい燃料マージンと重い衛星を含むいくつかのケースでは、スペースコーストに基づく2隻の船があることは、両方が同時に出航し、タンデム海上着陸のホストとなることを意味します。」
その際には、当然センターコアは使い捨てということになるんだろう。
まあいい。
いずれにしても、スペースXはスターリンク7の打ち上げを遅らせて、真っ新のクルードラゴン用の第1段目と、使い古しのスターリンク7用の第1段目の両方を回収するというドケチな選択をした。
浮沈子は、クルードラゴン用だけ回収して、スターリンク7用は使い捨てにするかと思ってたんだがな。
そうではなかった。
そして、それは、同社にとって使い捨てにすることが例外で、回収されることが日常であることを徹底して確認することにもなったわけだ。
フェアリングのダイレクトキャッチについては、まだチャレンジングな要素が大きい。
しかし、落下傘で回収海域に誘導し、着水してから浮いている間に回収することは、ルーチンになりつつある。
そうやって回収したフェアリングを再使用もした。
彼らにとって、使い捨てで打ち上げるのは、次回以降の再使用の予定がなく、廃棄の一環として行う時に限られる。
ああ、もちろん、重いペイロードを上げる時にもそうするかもしれないが、その際も原則的には新品を使い捨てにすることはない。
顧客がそれ相応の金を払えば(空軍みたいに)、新品を使い捨てにすることもあるかも知れないが、それは、あくまでも例外中の例外ということになる。
スターリンク7は、相乗りがなく、自社のペイロードだけを上げるということもあるかも知れない。
その次のスターリンク8では、相乗り衛星の都合もあるだろうから、スケジュールと回収との兼ね合いが出てくるかもしれない。
当然玉突きで、延期になっているわけだからな。
ファルコン9においては、ドローン船の運用が、打ち上げスパンを規制するボトルネックということになる。
A Shortfall of Gravitas(3隻目のドローン船:「貫禄不足」号?)の建造は、暫くの間は、そういう宇宙と海との時代が続くことを意味している。
来年とかにスターシップ(スーパーヘビー含む)による衛星の打ち上げなんて、実現しっこないという何よりの証拠だな。
当然、クルードラゴンは新品のファルコン9で打ち上げられる(そういうことになっているらしい)。
お下がりの第1段目は、暫くの間続くことになるから、それを使用する機会も無くなることはない。
もちろん、カーゴドラゴンも打ち上げられるから、その時代が続く限り、ドローン船の需要は無くなることはない(通常は陸上回収だが、ISSへの打ち上げでも洋上回収してるしな:あの時は、ロングコーストのテストだっけ?)。
フェアリングの回収は、スターシップが出来て、それで衛星や惑星探査機が打ち上げられるようになれば無くなることになる。
ミスツリーやミスチーフは、ドローン船より先に引退するかもしれないな。
まあ、いずれにしても、浮沈子的には10年くらい先の話だと見ている。
ステンレス製の銀ピカの宇宙船が、衛星載せて飛び上がり、ドローン船ではなく、打ち上げ場所に戻ってきて着陸し、燃料だけ入れてすぐにでも上がるなどという話にはならない。
少なくとも、来年だなどという与太話には同意できない。
ひょっとすると、開発だっていつまで続くか保証の限りではないのだ。
一民間企業が、アルテミス計画の僅かの補助金をもらっているとはいえ、アポロ計画並みのロケットと、スペースシャトル以上の再使用性を数年で実現できるとは思えないしな。
その地球低軌道以遠の運用には、宇宙空間での燃料補給という、文字通りの離れ業も要求される。
開発が長期に渡れば、資金ショートのリスクも高まる。
スペースXが厳しい経済状況になれば、明日にでもスペースシップの開発なんて打ち切りになってもおかしくはない。
ただでさえ、ヤバい事態に加えて新型コロナの影響もあるしな。
世界に溢れかえっていた行き場を失っていた金は、宇宙開発から潮が引いたように消えようとしている(たぶん)。
現に、ワンウェブは倒産し、ボーイングのXS-1も消えた(あれは、コロナ以前か・・・)。
浮沈子は、明日、スペースXが消えてなくなったとしても驚かない。
400機を超えるスターリンク艦隊と、数隻のドローン船を残して。
まあ、空軍の打ち上げとかあるだろうから、事業は何処かが引き継ぐことになるんだろう。
ULAとか、ブルーオリジンとか、ノースロップグラマンとかな。
アマゾンは儲かってるみたいだから、消えてなくなることはないが、バージンは風前の灯火だろう。
ラウンチャー1が上がるかどうかは、ビミョーな感じだな。
これも、空軍絡みだからな。
明日の宇宙開発は、それこそ一寸先が闇の状況だ。
結局、国家が潰さない御用企業だけが残って、民間需要は消えてなくなるわけだ。
やれやれ・・・。
スペースXのドケチモードが、資金ショートの予兆でなきゃいいんだがな・・・。
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