スターリンクはおいくら? ― 2020年09月13日 11:05
スターリンクはおいくら?
気になるスターリンクの価格について記事が上がっている。
(SPACEXのスターリンクにかかる費用の初期の手がかり)
https://www.inverse.com/innovation/spacex-starlink-heres-how-much-it-will-cost-to-subscribe
「つまり、全体として、Starlinkは月額約$ 80のどこかでローンチでき、さらにインストール費用として$ 100から$ 300の追加料金がかかる可能性があります。」
グインショットウェルやイーロンマスクの発言から導き出しており、月額については静止衛星経由の現行サービス(100ドル前後)と比較して、価格競争力があるという裏付けを取っている。
初期費用は、まあ、希望的観測で、現状は10倍以上の価格に設定しないとペイしないだろう。
じゃあ、実際のコストとはどうなんだろうか?。
ファルコン9で、60機ずつちまちま上げているのをベースにして、第1期打ち上げの4408機ベースで考えてみる。
ロケットの打ち上げコストは、簡単のため50億円としよう(たぶん、実際は遥かに安い)。
衛星の価格は不明だが、ライバルのワンウェブの価格が当初5千万円と言われているので、2倍の1億円ということにしておこう(重さが約2倍だからな:テキトー過ぎ!)。
(ソフトバンク大型出資のワンウェブ、まずは6機を打ち上げへ【週刊宇宙ビジネスニュース 1/21~1/27】)
https://sorabatake.jp/3421/
「元々は1機当たり5000万円で製造する予定」
1回の打ち上げで、110億円となるが、このコストは継続的なものだ(月に2回:年間では2640億円)。
今のところネットワークは、地上インフラに依存している(たぶん、2、3年後くらいからクロスリンクされるかも:テキトーです)。
そのアクセスコスト(自前の地上局の設置運営、インターネットエクスチェンジのアクセス費用)は完全に不明だが、以前に孫正義がワンウェブに出資する時に、年間の維持費用が1千万ドル(約11億円)しか掛からないと言っていたので、その10倍の費用(110億円)を積んでおこう(太っ腹!)。
年間コストは2750億円となるが、各国の規制当局へ申請したりする営業諸費用は含まれておらず、宣伝費(必要なのかあ?)などは流動性が高い。
どーせ、ザルな見積もりなので、まるめて3000億円くらいとしておく(全くもって、テキトーです!)。
このコストを、いくつの契約で支えられるかが問題だが、既に地上局として100万人分の許可を得ているから、その数字で割り返してみると年間30万円掛かる(初期費用除く)。
つまり、これでは商売にならないわけだ(価格競争力ないし)。
高速インターネットに接続できないでいる人類は、30億人程度はいると言われているから、実際の顧客は100万人と30億人との間のどこかになる(幅広過ぎ・・・)。
仮に、潜在顧客の0.1パーセント(300万人)を取り込めたとすれば、1人当たりの年間コストは10万円となる。
月額80ドル(年額10万円くらい)で売り込めれば、赤字にならずにとんとんで回すことは可能だ。
これがどういうことかと言えば、スターリンクのビジネスを成立させるには、顧客の獲得が命ということになる。
広く薄く分散している潜在的な顧客を、衛星インターネットアクセスという網ですくえるかどうかがキモだ。
だが、この段階(第1期)の展開で、あまり多くの顧客を取り込もうとすれば、サービスの品質が落ちて客が離れてしまうかも知れない。
どの程度が、キャパシティと品質とのバランスを保てる規模かを見極める必要がある。
第2期(時期的にズレているわけではない)は、いよいよV帯が展開し、衛星数も一気に3倍くらいに増える。
高速低遅延大容量(衛星数が増えるので)となり、サービスの品質は安定し向上する。
地上インフラと、十分競争できるようになる。
加えて、この段階ではインターネットバックボーンとしての活用が期待される(つーか、こっちがメインか)。
バックホール事業が中心となり、携帯などで5Gから飛んできたパケットを、街角のアンテナから衛星に上げてくる。
都市部でも、地上インフラ(バックボーン)との競争が可能になり、莫大な需要を取り込むことが可能になる。
本当の収益事業になるのは、この展開が見えてきてからだろうな。
衛星間通信がものになれば、安心して衛星に上げることができる。
不安定な地上局に依存しない、高速インターネットが出来上がるわけだ。
莫大な利益(年間数兆円規模:みんな火星移民へと消えていくだろうけど)が出るのは、V帯の展開からだろうと見ている。
Ku帯やKa帯では、収支とんとんかせいぜいV帯への投資(スターシップの開発含む)分を稼ぐことができるくらいだろう(年間数千億円規模)。
1万2千機の展開が見えてくれば、その先の4万2千機体制へと進んでいく。
それだけの衛星を展開し、維持していくためにはスターシップレベルの打ち上げ能力を確保しておかなければならない。
既存の打ち上げロケットでは、年間8千機以上(寿命5年とした場合)の衛星など打ち上げられるわけはないからな。
衛星インターネットの需要は、これから先も続くだろう(衛星数で100万機規模)。
地上回線に依存しない接続が当たり前になり、維持費用の安さと安定性から、都市の一部を除いて地上回線が消えていくに違いない(地下とかビルの中とかはどうしようもないからな)。
アマゾン(プロジェクトカイパー)は、潤沢な資金を背景に、その流れに乗ろうとしている。
後出しじゃんけんの旨味を享受しようとしているわけだ(そうなのかあ?)。
遅れているわけではなく、リスク回避のために半歩後ろをついていく。
規模も小さく、撤退の憂き目にあった際の傷を小規模にとどめようとしている。
打ち上げ能力の確保がネックだが、スターリンクのように初めからどえらい数の衛星を上げようとはしていない(申請では3236機)。
スターリンク事業がこければ、いつでも後釜に座るつもりで準備しているが、追いつき追い越そうとはしないだろう。
先行していたワンウェブが、目の前でこけて見せたからな。
自社の通販事業へのアクセスを多様化し、ネットに接続できないでいる潜在的な顧客にアクセスツールを提供しようとしているに過ぎない。
しかし、侮ることはできない。
本業で儲けられるわけだから、価格決定に際しては、戦略的値付けが可能だ。
赤字垂れ流しというわけにはいかないが、コストとんとんで勝負できる。
ニューグレンを飛ばすブルーオリジンは別会社だろうが、カイパー衛星打ち上げに当たっては社内価格で扱うかも知れない(未確認)。
一度は撤退の憂き目にあったワンウェブだが、その潜在力は高いので、異なる切り口から再度チャレンジということもあり得る。
低軌道衛星コンステレーションのアプリケーションは、インターネットだけではないからな。
英国政府は、軍事用GPS衛星としての活用に期待しているようだ。
リアルタイムで地上(海上含む)を撮影して映像を提供すれば、コンシューマー市場に無限の需要を喚起できる。
地上設置カメラとのシームレスな連携、携帯端末との連携など、グーグルマップ2.0的な使い方ができる。
21世紀は、神の目と魔法の杖を万人が持つことになる。
まあ、どうでもいいんですが。
バラ色の未来が、衛星の向こうに見えている。
本当に実現するんだろうか?。
スペースX幹部の発言が、神託のように響く。
(SpaceXがより多くのStarlink衛星を打ち上げ、ベータテストが進行中)
https://spaceflightnow.com/2020/09/03/spacex-launches-more-starlink-satellites-beta-testing-well-underway/
「十分な容量はありません。子供が見たいものや家族が消費したいものを制限することはできません。」
そう、人間の欲望を押さえることは難しいのだ。
低コストで高速なネットワークを求める限り、そしてそれを実現する手段がある限り、衛星インターネットの拡張がが止まることはない。
そのネックとなるのが衛星打ち上げ能力であれば、それを克服するための開発に対する投資は続く。
金は、ウイルスのようなものだからな。
自己増殖できるところに集まるのだ。
スターリンクは、その流れを証明できるのか。
それは、宇宙開発の行方にすら、大きな影響を与えずにはおかないだろう・・・。
気になるスターリンクの価格について記事が上がっている。
(SPACEXのスターリンクにかかる費用の初期の手がかり)
https://www.inverse.com/innovation/spacex-starlink-heres-how-much-it-will-cost-to-subscribe
「つまり、全体として、Starlinkは月額約$ 80のどこかでローンチでき、さらにインストール費用として$ 100から$ 300の追加料金がかかる可能性があります。」
グインショットウェルやイーロンマスクの発言から導き出しており、月額については静止衛星経由の現行サービス(100ドル前後)と比較して、価格競争力があるという裏付けを取っている。
初期費用は、まあ、希望的観測で、現状は10倍以上の価格に設定しないとペイしないだろう。
じゃあ、実際のコストとはどうなんだろうか?。
ファルコン9で、60機ずつちまちま上げているのをベースにして、第1期打ち上げの4408機ベースで考えてみる。
ロケットの打ち上げコストは、簡単のため50億円としよう(たぶん、実際は遥かに安い)。
衛星の価格は不明だが、ライバルのワンウェブの価格が当初5千万円と言われているので、2倍の1億円ということにしておこう(重さが約2倍だからな:テキトー過ぎ!)。
(ソフトバンク大型出資のワンウェブ、まずは6機を打ち上げへ【週刊宇宙ビジネスニュース 1/21~1/27】)
https://sorabatake.jp/3421/
「元々は1機当たり5000万円で製造する予定」
1回の打ち上げで、110億円となるが、このコストは継続的なものだ(月に2回:年間では2640億円)。
今のところネットワークは、地上インフラに依存している(たぶん、2、3年後くらいからクロスリンクされるかも:テキトーです)。
そのアクセスコスト(自前の地上局の設置運営、インターネットエクスチェンジのアクセス費用)は完全に不明だが、以前に孫正義がワンウェブに出資する時に、年間の維持費用が1千万ドル(約11億円)しか掛からないと言っていたので、その10倍の費用(110億円)を積んでおこう(太っ腹!)。
年間コストは2750億円となるが、各国の規制当局へ申請したりする営業諸費用は含まれておらず、宣伝費(必要なのかあ?)などは流動性が高い。
どーせ、ザルな見積もりなので、まるめて3000億円くらいとしておく(全くもって、テキトーです!)。
このコストを、いくつの契約で支えられるかが問題だが、既に地上局として100万人分の許可を得ているから、その数字で割り返してみると年間30万円掛かる(初期費用除く)。
つまり、これでは商売にならないわけだ(価格競争力ないし)。
高速インターネットに接続できないでいる人類は、30億人程度はいると言われているから、実際の顧客は100万人と30億人との間のどこかになる(幅広過ぎ・・・)。
仮に、潜在顧客の0.1パーセント(300万人)を取り込めたとすれば、1人当たりの年間コストは10万円となる。
月額80ドル(年額10万円くらい)で売り込めれば、赤字にならずにとんとんで回すことは可能だ。
これがどういうことかと言えば、スターリンクのビジネスを成立させるには、顧客の獲得が命ということになる。
広く薄く分散している潜在的な顧客を、衛星インターネットアクセスという網ですくえるかどうかがキモだ。
だが、この段階(第1期)の展開で、あまり多くの顧客を取り込もうとすれば、サービスの品質が落ちて客が離れてしまうかも知れない。
どの程度が、キャパシティと品質とのバランスを保てる規模かを見極める必要がある。
第2期(時期的にズレているわけではない)は、いよいよV帯が展開し、衛星数も一気に3倍くらいに増える。
高速低遅延大容量(衛星数が増えるので)となり、サービスの品質は安定し向上する。
地上インフラと、十分競争できるようになる。
加えて、この段階ではインターネットバックボーンとしての活用が期待される(つーか、こっちがメインか)。
バックホール事業が中心となり、携帯などで5Gから飛んできたパケットを、街角のアンテナから衛星に上げてくる。
都市部でも、地上インフラ(バックボーン)との競争が可能になり、莫大な需要を取り込むことが可能になる。
本当の収益事業になるのは、この展開が見えてきてからだろうな。
衛星間通信がものになれば、安心して衛星に上げることができる。
不安定な地上局に依存しない、高速インターネットが出来上がるわけだ。
莫大な利益(年間数兆円規模:みんな火星移民へと消えていくだろうけど)が出るのは、V帯の展開からだろうと見ている。
Ku帯やKa帯では、収支とんとんかせいぜいV帯への投資(スターシップの開発含む)分を稼ぐことができるくらいだろう(年間数千億円規模)。
1万2千機の展開が見えてくれば、その先の4万2千機体制へと進んでいく。
それだけの衛星を展開し、維持していくためにはスターシップレベルの打ち上げ能力を確保しておかなければならない。
既存の打ち上げロケットでは、年間8千機以上(寿命5年とした場合)の衛星など打ち上げられるわけはないからな。
衛星インターネットの需要は、これから先も続くだろう(衛星数で100万機規模)。
地上回線に依存しない接続が当たり前になり、維持費用の安さと安定性から、都市の一部を除いて地上回線が消えていくに違いない(地下とかビルの中とかはどうしようもないからな)。
アマゾン(プロジェクトカイパー)は、潤沢な資金を背景に、その流れに乗ろうとしている。
後出しじゃんけんの旨味を享受しようとしているわけだ(そうなのかあ?)。
遅れているわけではなく、リスク回避のために半歩後ろをついていく。
規模も小さく、撤退の憂き目にあった際の傷を小規模にとどめようとしている。
打ち上げ能力の確保がネックだが、スターリンクのように初めからどえらい数の衛星を上げようとはしていない(申請では3236機)。
スターリンク事業がこければ、いつでも後釜に座るつもりで準備しているが、追いつき追い越そうとはしないだろう。
先行していたワンウェブが、目の前でこけて見せたからな。
自社の通販事業へのアクセスを多様化し、ネットに接続できないでいる潜在的な顧客にアクセスツールを提供しようとしているに過ぎない。
しかし、侮ることはできない。
本業で儲けられるわけだから、価格決定に際しては、戦略的値付けが可能だ。
赤字垂れ流しというわけにはいかないが、コストとんとんで勝負できる。
ニューグレンを飛ばすブルーオリジンは別会社だろうが、カイパー衛星打ち上げに当たっては社内価格で扱うかも知れない(未確認)。
一度は撤退の憂き目にあったワンウェブだが、その潜在力は高いので、異なる切り口から再度チャレンジということもあり得る。
低軌道衛星コンステレーションのアプリケーションは、インターネットだけではないからな。
英国政府は、軍事用GPS衛星としての活用に期待しているようだ。
リアルタイムで地上(海上含む)を撮影して映像を提供すれば、コンシューマー市場に無限の需要を喚起できる。
地上設置カメラとのシームレスな連携、携帯端末との連携など、グーグルマップ2.0的な使い方ができる。
21世紀は、神の目と魔法の杖を万人が持つことになる。
まあ、どうでもいいんですが。
バラ色の未来が、衛星の向こうに見えている。
本当に実現するんだろうか?。
スペースX幹部の発言が、神託のように響く。
(SpaceXがより多くのStarlink衛星を打ち上げ、ベータテストが進行中)
https://spaceflightnow.com/2020/09/03/spacex-launches-more-starlink-satellites-beta-testing-well-underway/
「十分な容量はありません。子供が見たいものや家族が消費したいものを制限することはできません。」
そう、人間の欲望を押さえることは難しいのだ。
低コストで高速なネットワークを求める限り、そしてそれを実現する手段がある限り、衛星インターネットの拡張がが止まることはない。
そのネックとなるのが衛星打ち上げ能力であれば、それを克服するための開発に対する投資は続く。
金は、ウイルスのようなものだからな。
自己増殖できるところに集まるのだ。
スターリンクは、その流れを証明できるのか。
それは、宇宙開発の行方にすら、大きな影響を与えずにはおかないだろう・・・。
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