スペースシャトルの亡霊:アレス4というまんまSLSなロケット構想2020年09月14日 13:00

スペースシャトルの亡霊:アレス4というまんまSLSなロケット構想


NASAは、SLSの次の世代のロケットを画策しているんだろうか?。

与太ブログを書いていると、突拍子もない考えが浮かんできて、自縄自縛に陥る。

まあ、放っておけばやがて忘れる。

ネットを検索してみると、コンステレーション計画の段階で、アレス1という、SRB(スペースシャトルの固体燃料ブースター)の上に、液体燃料の上段とオリオン宇宙船乗せてブッ飛ばす、アナーキーな有人ロケットのプロトタイプとしてテストされたアレス1-Xというプロトタイプの記事が出てきた(NASA+次世代で検索したからな)。

(NASA、次世代試験機打ち上げ)
https://www.jiji.com/jc/v2?id=20090609japanese_astronaut_21

「次世代ロケットの試験機「アレス1―X」を打ち上げた。」

2009年の記事であることに注目だな。

コンステレーション計画は、まだ健在だ。

(NASAの次の宇宙船のために計画されたロケット試験)
https://www.space.com/2806-rocket-tests-planned-nasas-spaceship.html

「ロケットは宇宙飛行士の乗組員を軌道に乗せて国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングするか、月に向かって前進させます。」

ISSへの飛行も、一手に引き受ける構想だ。

この頃は、アレス1-1と言っていたようだな。

「NASAは、最初のAres I-1テストに約3億ドルを投入しました。これには、ケネディ宇宙センター(KSC)のPad 39Bからの2009年4月の打ち上げと、必要に応じて6か月後に2番目のスペースショットが含まれると、Hanleyは付け加えました。」

2度目の打ち上げはなく、コンステレーション計画は翌年(2010年)に潰える。

アレス1は、永遠に日の目を見ることなく消え、代わりにアレスVを有人化したSLS構想が登場する・・・。

と今まで信じていたんだが、ウィキを読むとバリエーションとしてアレス4という構想が登場している。

以下は、英語版のウィキが引用していた記事。

(NASA、新しいスペースカプセルのアーリームーンショットを研究)
https://www.space.com/3392-nasa-studies-early-moon-shot-space-capsule.html

「実際の着陸までのビルドとして、カプセルとサービスモジュールを月面環境のあらゆる場所でテストすることができます...そして、カプセルを月面速度で再入力させることができます。」

まんま、アポロ8号ミッションだが、記事の日付を見ると2007年1月となっている。

マジか!?。

「アレス5のメインステージとアレス1の上位ステージを組み合わせて周囲を可能にするロケットの設計」

ロケットの構成は、細部は不明なものの現在のSLSに酷似している。

「アレス4と呼ばれることもあるアレス5の変種は、オリオンの初期の高速テストを可能にするための1つの選択肢にすぎない」

2021年になってもオリオン宇宙船が上がらないでいることなど、夢想だにしない時期だからな(2011年には、アレス1で上がる予定だった:2014年に上がったのは、テスト用のドンガラ)。

失われた10年・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

アレス1が開発遅延、予算超過、技術課題山積などで断念され、自動的にコンステレーション計画がキャンセルされ、アレス1+アレスVがSLSになるのは2011年(4年後)。

早期の月面着陸を見送ったので、予算もスケジュールも楽になったが、引き出しから出してきたのは古えのアレス4だったわけだ。

やれやれ・・・。

あくまでもスペースシャトルの在庫を使い、その亡霊に悩まされる選択を続ける。

実績あるシステムを組み合わせ、開発期間を短縮し、経費を浮かせ、信頼性を確保し、二度と再使用などという過ちは犯さないぞ・・・。

オリオン宇宙船は再使用だが、カプセルに使われる熱対策用アブレーションシールドは使い捨てだ(丸ごと交換される消耗品)。

SLSの当初の開発期間は2017年までで、現在は4年以上遅れている(浮沈子は2022年まで、あと1年ほど遅れると見ている)。

明確な目標を持たず、開発のための開発を行い、地球近傍小惑星とか、月周回軌道とか、火星とか、月面とか、当面の目標さえも迷走を続ける米国の有人探査。

まあ、多目的で結構なことだが、アレス4に遡るSLS構想について2007年に実質的な検討が始まってから、14年に渡る開発が続いていることになる。

スペースXさえ現れなければ、平和な時代が続いていたのかも知れない。

ファルコン1が打ち上げに成功するのは、2008年になってからの話だ。

まあいい。

NASAが、地上からの打ち上げロケットを自前で開発することは二度とないかも知れない。

そんなもんは、金に糸目を付けさえしなければSLSで当分の間賄えるし、それを上回る民間ロケットが登場すれば、そのサービスを購入すればいいだけの話だ。

公共セクターは議会のお墨付きを得て、金にならない深宇宙探査のためのディープスペーストランスポーター(DST:惑星間宇宙船だな)の開発にでも専念すればいい。

まあ、それだって、民間が手を出してくるに違いないけどな(S社は、そのための会社だし)。

宇宙事業だけではなく、電気自動車、太陽光発電、トンネル会社など、全ては火星移民のためのツールだ(ニューラリンクもそうなのかあ?)。

SLSが退役すれば、スペースシャトルの亡霊は消える(在庫も使い切るだろうし)。

スペースプレーン型宇宙船(X-37B、ドリームチェイサーなど)は残るかも知れないが、それらは新規に開発され、制御システムもスクラッチから書かれているだろう(少なくともHAL/Sでは開発されていないしな)。

ISSは、スペースシャトルが残した遺産として運用が続く。

2028年までの延長が検討されているようだが、それまでSLSが持つかどうかは分からない(NASAの前長官は、その前に退役すると言ってるけどな)。

SLSが先なら、ISSが制御落下されるとき、人々の目の前からスペースシャトルが残した「もの」は全て消え去る(アポロの遺産は月面にあるが、シャトルは何も残らない)。

民間宇宙ロケットや、民間宇宙船が地球低軌道を巡り、NASAは民間から調達したロケットで宇宙にアクセスする。

月や火星に探査機を送るのに、十分な性能を備えたロケットを調達することは可能だ。

ISSの先、月までの有人探査についてはオリオンの独壇場(米国ではね)だが、それもSLSの退役で片が付く可能性もある。

そうすると、2030年代までは持つかもしれない(2020年代に月軌道への民間有人宇宙船の開発はムリポ:スターシップは当面貨物輸送)。

構想から初飛行まで14年以上かかっているが、SLSの運用期間は短い(10年くらい?)。

飛ぶ前から終わりが見えているSLSだが、1970年代の技術を引きずるスペースシャトルの亡霊を断ち切るには、それしかないのかも知れない。

が、待てよ・・・。

再使用という本物の亡霊(形はないからな)は、この先ずっと付きまとうことになるのかも知れないな。

浮沈子は、それが当たり前になると思っているけど、地球の重力井戸からの脱出に巨大なエネルギーが必要だということは未来永劫変わらない。

使い捨てにして、毎回新品でアクセス出来た方が、費用や頻度の問題は別にしても、管理はシンプルだ。

再使用技術が成熟し、偶発的故障レベルに落ち着くまでは、人身御供を要求され続けるかもしれない(そんなあ!)。

その亡霊は、遠い未来まで続くことになる。

宇宙船(有人機)の再使用を切り開いたのはS社ではない。

ファルコン9の1段目は宇宙船じゃないし、クルードラゴンは、まだ再使用飛行をしていないしな。

有人機の再使用を果たしたのは、何十年も昔のスペースシャトルだ。

物理的なつながりはSLSの退役で切れるかもしれないが、その概念の亡霊は付きまとい続けることになる。

何年か先(絶対、来年なんかじゃない!)、スターシップが地球周回軌道から大気圏にダイブする時、我々は、スペースシャトルの亡霊を見ることになるかもしれない(無人で落ちる分には仕方ないか)。

少なくとも、2030年代に有人で飛ぶ時までには成仏していてもらいたいもんだな・・・。

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