H3が今年度初号機で飛ばすはずだった衛星がヤバイ!:相方のデータ中継衛星がH2Aで上がるのはなぜ?2020年09月25日 00:17

H3が今年度初号機で飛ばすはずだった衛星がヤバイ!:相方のデータ中継衛星がH2Aで上がるのはなぜ?
H3が今年度初号機で飛ばすはずだった衛星がヤバイ!:相方のデータ中継衛星がH2Aで上がるのはなぜ?


(大容量通信を実現する、宇宙光通信の研究開発状況)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/13/3/13_205/_pdf

コピペできないので、読んでもらうしかないけど、浮沈子がなんとか理解できるぎりぎりのレベルで書いてある(変復調のところはさっぱり分からないけど)。

この記事をとり上げたのは、他の資料では見られなかったJDRS(ジャパニーズデータリレーシステム:まんまや!)の伝送速度が記載されていたからだ(単位はビット/秒)。

「LEOからGEO 1.8G」

「変復調速度 2.5G」

変復調速度ってなーに?。

(ボー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC

「ボーは、搬送波に対する1秒間あたりの変調の回数と定義される。」

人名由来とは知らなかったな。

ああ、ボーレートのことね(懐かし!)。

「転送レートのことをボー・レートと呼ぶような誤った用法が過去には存在し、現在もその名残が見られることがある。その理由は、かつては1回の変調で1ビットを転送するために、変調回数と転送効率が一致するシステムが多かったためである。」

はあ?。

間違ってたってこと?。

「今日では、帯域幅を効率的に利用するために1回の変調に複数のビット(たとえば4ビット)をコード化するのが一般的であり、変調回数と転送レートとは数字的には一致しないことのほうがむしろ多いので、注意が必要である。」

具体には?。

「1回の変調で2ビットが処理されている通信速度1200bpsのモデムは、600ボーである。」

光通信の場合には、1回の変調で1ビット以下の伝送速度になる。

変復調速度以下しか、伝送できない。

ふーん(さっぱりわからん・・・)。

たぶん、符号化率とか関係してるんだろう(誤り訂正とか、しこたま仕込んでおかないとな)。

まあいい。

で、欧州(EDRS)では低軌道地球観測衛星(センチネル衛星)と中継衛星とのクロスリンクが2016年に実用化している(地上とはKaバンド:表1参照)。

米国は、フィーダリンクも含めて光通信を狙っているようだが、我が国は実験レベルに留まっている(雲量が多いため:NICTのフィーダリンク実験は、11Gとか、凄い速度ですが)。

表中では、JDRSは2019年となっているが、こいつが件の先進光学衛星(旧ALOS-3)なわけだ。

(だいち3号)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A13%E5%8F%B7

「2020年(令和2年)度にH3ロケット試験機1号機で打ち上げられる予定」

打上げは、H3だ。

じゃあ、相方の光データ中継衛星ってどーなってると思ったら、ちゃっかりH2Aで上げることになってる。

(光データ中継衛星)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E4%B8%AD%E7%B6%99%E8%A1%9B%E6%98%9F

「衛星間通信にレーザー光を使用する本機では1.8Gbpsでの通信が可能となり、欧州のデータ中継システムEDRS(英語版)と並んで世界最高速度での衛星間通信が可能となる。」

おおっ、ちゃんと通信速度が書いてあるじゃん!。

「光データ中継システムのミッション機器は内閣衛星情報センターのデータ中継衛星に相乗りし、静止軌道上のこだまと同じ位置で運用される。」

相乗りね・・・。

「情報収集衛星が4機体制から8機体制に強化されることに伴い、大容量データを高い抗堪性(秘匿性)を保ちながら即座に地上局へ送信する必要があることからデータ中継衛星が2機体制で整備される予定であり、情報収集衛星用のデータ中継衛星1号機が2020年度に打ち上げられる予定である」

(H-IIAロケット:打ち上げ予定)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-IIA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88#%E6%89%93%E3%81%A1%E4%B8%8A%E3%81%92%E4%BA%88%E5%AE%9A

「2020年(令和2年)度
・データ中継衛星1号機(情報収集衛星用)
・光データ中継衛星」

物理的な衛星は1機だ。

情報収集衛星(=スパイ衛星)のデータを降ろすんだからな。

怪しげなH3じゃ心もとない。

そこに光データ中継衛星が、ちゃっかりと潜り込んだのは正解かもな。

ひょっとしたら、将来はスパイ衛星のデータも、こっそり光通信で受け取るのかもな(未確認)。

浮沈子は、H3が出来たら、H2Aは即引退かと思っていたが、3年くらいは併用される様だ。

実用衛星は、概ねこっちで上げるみたいだしな。

順当だろう。

しかし、1.8Gbpsの先はどうなってるんだろうか?。

(光衛星通信技術の研究)
http://www.kenkai.jaxa.jp/research/society5/opt_communication.html

「ユーザ伝送レートをJDRSの1.8Gbpsの4倍以上に高速化する高効率・高出力光増幅器、さらに将来的には、宇宙探査においてデータ伝送量の向上(月探査データの伝送時には700Mbps以上)の実現を目指しています。 また、本技術が、将来の商用通信衛星での超高速光通信用に活用されることも目指しています。」

スペースレーザーは、S社の専売特許ではない。

世界が指向し、挑戦している革新的技術だ。

高速な変調復調が可能になれば、更に伝送速度は上がっていくだろうし、機器の小型化が進めば多数のチャンネルを開くこともできる。

低レイテンシについては、低軌道コンステレーションに一日の長があるが、そこを追求しなければ静止軌道上の中継衛星は現実的な選択肢の一つだ。

地球観測衛星の膨大なデータを、長時間中継衛星で受け、マルチビームのKaバンドで降ろすというのは現実的な解だろう。

安全保障上の問題もあるから、国際協力がどこまで進むかは分からないが、貴重な静止軌道を上手に使ってもらいたいもんだな。

H3が遅れても、光データ中継衛星(データ中継衛星1号機:情報収集衛星用)は予定通り上がるだろう(未確認:2019年度から、既に1年延期されている)。

宇宙に光が飛び交うのも間近だ・・・。

<以下追加>----------

光通信の話じゃないけど、データ中継衛星は既に運用されている。

(TDRS)
https://ja.wikipedia.org/wiki/TDRS

「NASAおよびアメリカ合衆国政府機関によって、スペースシャトルや国際宇宙ステーション (ISS)、人工衛星 (ハッブル宇宙望遠鏡、ランドサット、TRMM、EOS、NASAの多数の天体観測衛星など)との通信に使用されるデータ中継衛星のシリーズであり、またその衛星を使ったネットワークである。」

先日、しこたま調べたスターライナーチョンボ事件にも、チラッと登場する。

(ボーイング軌道飛行試験)
https://en.wikipedia.org/wiki/Boeing_Orbital_Flight_Test

「機動が起こらないことが明らかになったとき、NASAとボーイングはスターライナーを軌道に戻すようにコマンドを送信しようとしましたが、2つのTDRS衛星間の通信を切り替える宇宙船の位置により、機動ミスは避けられませんでした。」(引用なし)

事実かどうかは確認できないが、ありそうな話ではある。

スターライナーの通信不良については、何か分かったら書くかもしれない。

(人工衛星(9)データ中継衛星と衛星間通信)
https://news.mynavi.jp/article/military_it-175/

「2016年1月30日に打ち上げられたデータ中継衛星「EDRS-A」」

欧州のデータ中継衛星の話が出ている記事(これは、クロスリンクは光通信:実用化されている唯一の例)。

米軍も、似たような仕組みを世界規模で追求していたが、途中でコケて、コンサバな電波によるネットワークになった。

「ちなみにアメリカでは、2000年代前半にTSAT(Transformational Satellite)という軍用通信衛星を開発・配備する構想を推進しており、これも衛星間レーザー通信を使うことになっていた。使用する衛星は5基(さらに予備が1基)とする計画だった。」

「TSATで使用するつもりだった光通信機材はOSVS-1(Optical Systems Validation Suite-1)と称し、伝送能力は10~40Gbpsだったと言われている。」

おおっ、実現したらすごかったろうな。

陸軍は、スターリンクにその夢を託そうとしているのかも知れない。

「しかし、TSATは開発費の高騰やスケジュール遅延に見舞われて、2009年にロバート・ゲーツ国防長官(当時)が中止を決定、代わりにEHF通信衛星・AEHF(Advanced EHF)を増やして対処することになった。」

(AEHF 1、2、3、4、5、6)
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/aehf-1.htm

こういうものは、やっぱりガンターだな。

紆余曲折を経て、6機全てが打ち上げられたようだ。

(高度な超高周波)
https://en.wikipedia.org/wiki/Advanced_Extremely_High_Frequency

「このシステムは静止軌道にある6つの衛星で構成されます。最終衛星は2020年3月26日に打ち上げられました。」

「システムは、44 GHzアップリンク(EHFバンド)および20 GHzダウンリンク(SHFバンド)で動作します。」

断念したTSATと同等以上の速度だな。

低レイテンシが要求される対戦ゲームさえやらなけりゃ、通信速度は十分確保されている。

米軍の中継衛星は、時代によって変遷し続けている(DSCS→Wideband Global SATCOM)。

軍事用の高い抗堪性を備え、湯水のように金をつぎ込んで展開しているに違いない(未確認)。

自衛隊の貧弱な通信環境とは大違いだ。

地球の裏側から、ドローン爆撃機を操って戦争できる仕組みだからな。

(無人機プレデター&リーパー:操縦、攻撃指令は米国内から:2010年の記事です)
https://www.jiji.com/jc/v2?id=20100324unmanned_aerial_vehicle_05

「アフガニスタンやパキスタンで対テロ戦に投入されている無人機は、離着陸時こそ現地の飛行場でコントロールされるものの、それ以外は米本土の基地から通信衛星を介して遠隔操作される。」

「オペレーターは実際の戦場に身を置くことなく、地球の裏側から無人機を操縦し、ミサイル発射や爆弾投下の指示を出す。」

我が国も、そのうちそんな風になるのかも知れない。

まずは、偵察衛星のデータを入手するため。

次は、偵察機(無人機:UAVの操縦含む)のデータを入手するため。

(UAV の開発・運用動向と日本の安全保障:防衛研究所紀要第 15 巻第 2 号(2013 年 2 月):資料ページで46ページ参照)
http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j15-2_2.pdf

「米国は本土のみならず世界の主要地点に地上局を設け、通信衛星を介して UAV を制御する態勢を整えている。日本が、同じように UAV の画像情報をリアルタイムで地上局に送るには、大容量の高速通信衛星が必要となる。」(もっとも、このパラグラフの後段では米国等との連携を優先すべきとしている。)

さらに、離島防衛の人的損耗を減らすため(攻撃兵器搭載無人機を遠隔操縦かあ?)。

データ中継衛星の未来かもな。

初のデータ中継衛星は、今年度に上がる・・・。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック