自動運転とCCR2016年01月21日 15:04

自動運転とCCR


似たような話を、以前に書いたかもしれない。

自動化が進むCCRと、自動運転を目指す自動車。

その類似性について、薄々感じてはいるものの、CCRが息をするだけでいい潜水器になるまでには、まだ時間がかかりそうだし、使用される状況も大きく異なる。

が、その過程で遭遇する状況は、よく似ているような気がする。

(自動運転でも手を離せないテスラの大いなる矛盾)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2016/01/post-4395_1.php

「そうなのだ。たとえ自動走行中でも、モデルSの運転席では常にハンドルを握っていなければいけないのだった。」

少し異なるが、CCRでも今自分が吸っているガスをモニターし続けるというのは、ダイバーの義務だ。

機械は、警告はしてくれるかもしれないが、故障した際にはその警告も行われなくなる・・・。

ヤバイ!。

で、自動運転ならぬ自動PO2維持が出来なくなれば、即座に人間が介入しなければならなくなるのだ。

じゃあ、メカニカルなCCRの方が安全なのかといえば、そうとばかりは言えない。

トレーニングされた人間が、常にエラーがないかといえば、そうとは限らない。

また、実際、マニュアル操作でPO2を一定に維持するというのは結構大変だろう(詳しくは知りませんが、インスピのマニュアル操作では、コンピューターには敵いません)。

後でログを吐かせてみると、悲惨な状況になっている(浮沈子が、へたっぴなだけかも)。

自動運転できる状況では、CCRも自動車も、任せておいていつでも介入できるようにしておくのがいい。

浮沈子が所有するクルマでは、唯一500Eだけがオートクルーズ機能が付いている。

空いた高速では、実に重宝している。

ハンドルは、24年前のクルマなので、自前で切らなければならない。

それでも、ずいぶんリラックスできるし、ハンドル操作に集中することが出来る分、安全性が高いともいえる。

考えてみれば、オートマチックトランスミッションだって、十分自動運転に寄与している。

ポセイドンとかは、プレダイブチェックを半自動でやってくれるので、概ねお任せでいい。

酸素センサーが使い物になるかとかも、一応チェックしてくれる(たまに、いざ、潜るというときに反乱するがな)。

インスピも、目に余るエラーは弾いてくれるが、センサーの値の上昇状況とかを見ている必要がある。

ポセイドンは、ポジティブチェックはやってくれるがネガティブチェックは無理だ。

インスピは、全部人力。

プレブリージングは、どちらも人力(まあ、当然ですが)。

これからのCCRは、是非とも自動化してもらいたいもんだな。

ダイビングが始まれば、どちらも同じようなもんだ。

コンピューターは、PO2を監視して、問題が起こっていると判断すれば警告する。

あとは、人間が対応せざるを得ない。

自動車でいえば、昔のクルーズコントロールのレベルで対応している程度だ。

二酸化炭素センサーとか、反応温度を測る温度計とかつけてはいても、対応は全て人間側である。

監視と警告だけ。

半自動化されているに過ぎない。

まあ、それでも、ずいぶん助かる。

「テスラは既存のテクノロジーの可能性を限界まで押し広げながら、他の主要メーカーが目指していない「自動駐車」や「自動車線変更」の機能を追求している。人間のドライバーというセーフティーネットがあるからこそ、こうした機能を実地にテストできる」

ファルコン9の回収実験のようなもんだな。

顧客の払った金で、先進技術のフィールドテストを行う・・・。

CCRは、まだその域には達していない。

レトロで未完成で、人間の大幅な関与を必要とする。

テクニカルダイビングの領域で、自動でディリュエントガスを切り替えてくれるとか、そういう機能もない。

PO2のセットポイントを切り替えるくらいがせいぜいだ。

それでも、ずいぶん有難い。

インスピでは、敢えてマニュアル切り替えにして、ハイセットポジションで最終減圧するトレーニングしてるので、余り有難味を感じることは出来ないがな。

「15年10月に開かれた東京モーターショーの会場で、トヨタの豊田章男社長は「自動運転車がらみで大事故が起こったら、テクノロジーの進歩はすぐさま止まるだろう」と記者団に語っている。」

その懸念は大きい。

死ぬも生きるも自己責任のダイビングの世界とは異なり、多くの人々が関わる運転の世界でテクニカルなトラブルで死亡事故などというのは大問題だ。

エアバッグの不具合で、大規模なリコールが行われているのは、記憶に新しい。

「テスラのオートパイロット車が失敗に終わったら? グーグルの未来カーも共倒れになる可能性が大だ。」

ここのところは、いささか論理矛盾を感じるところだ。

グーグルは、機械と人間との共存はできないと見切っている。

オートクルーズなどという、人間の介在を許すシステムを使うから、事故が起こるというわけだ。

100パーセント機械に任せなさい!。

ロボットカーだけが、安全なんだと主張している。

人間の介在を許す運転支援など、中途半端な技術で、かえって危険を助長しかねない。

まあ、そのエキセントリックな主張にも、問題があるような気はするがな。

ロボットカーが走り回るのは、当分の間、人間が運転するクルマの中なのだ。

グーグルは、そのうち、人間が運転すると危険だから、全部ロボットカーにすべきだと主張しだすに違いない・・・。

人間は交通法規を守らず、無謀運転を繰り返し、わき見運転、過労運転、操作の未熟で事故を繰り返す。

そんな自動車を野放しにしておいていいのか。

CCRにも、そんな時代が来るんだろうか?。

任意にPO2を設定できるなんてもってのほか・・・。

自動運転とは関係ないが、PADIが設定したタイプRのCCRからは、酸素側のマニュアルインフレーションボタンは撤去されている。

発想は同じだな。

安全のためには、自由な操作は規制されるべきだ。

うーん、そうなのかあ?。

あからさまな機能制限ではなくても、設計思想の中で、人間の操作をできるだけ排除しようという方向はある。

ポセイドンのマーク6は、運用限界をレクリエーショナルに限定して、それに適したCCRを作ったわけだが、水中で弄れるところはない。

そういう考え方が、自動車の世界にも入ってきている。

便利な機能というのは、そういうものだ。

人々はやがてそれなしにはいられなくなり、それがスタンダードになり、それに依存する。

便利になった分、自由になったと感じるかもしれない(CCRのキャリブレーションとかは、当然そう感じる)。

そして、マニュアルトランスミッションのように、世界から消えていく。

それが時代の流れというものかもしれない。

機械式のCCRが存続するかどうかは、また別の話だろう。

キャリブレーションが手動に戻ることはあるまい。

機能にもよるのだ。

変速ロボットであるPDKのネガとしては、重量が重いくらいだ。

レースでも速いし、下手なプロドライバーよりも高速に操作できる。

情緒的な部分を除いて、マニュアルトランスミッションを存続させる理由はない。

もちろん、コンピューターが制御する。

電気的ハイテクだからといって、それを拒否する世代が生き残っても、メーカーが作らなくなるだろう。

人間の技に依存し、その優劣で競われた栄光も消える。

栄光なき時代だ。

まあ、CCRには栄光もクソもないがな・・・。

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