集団免疫再び(たぶん、その1)2020年05月27日 16:53

集団免疫再び(たぶん、その1)
集団免疫再び(たぶん、その1)


ワクチンが出来ても出来なくても、仮に出来たとしても普及するまでの間、少なくとも数年間は、このキーワードに付き合うことになる。

集団免疫については、既にこのブログでも何度か登場して、実際に電卓叩いて計算したりもしている。

(王様は裸だと叫ぶも若者は踊らず:追加参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2020/03/03/9220182

「(集団免疫:機構)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%86%E5%9B%A3%E5%85%8D%E7%96%AB#%E6%A9%9F%E6%A7%8B

「よく知られた感染症のR0とHITの推定値:
疾患:感染経路:R0:HIT:
・・・
・SARS:飛沫感染:2–5:50–80%
・エボラ出血熱:体液:1.5–2.5:33–60%
・インフルエンザ:飛沫感染:1.5–1.8:33–44%」
「新たに pc と書かれた値が集団内での病気の伝染の拡大を止めるために必要な臨界比率、すなわち集団免疫閾値(HIT)である」
新型コロナのR0は2.2辺りだからな。
HIT=1-1/R0
=1-1/2.2
≒0.55
→55%」

この時は、基本再生産数を2.2としている。

その後、2.5を使うことが多いようだが、別にいくつでもいい(そうなのかあ?)。

実際にどのくらいで集団免疫を獲得するか(集団免疫閾値:集団免疫率とも←一般的じゃないかも)は、実効再生産数で決まるし、いやいや、元々備わっている生体免疫も影響しているから、罹患率じゃ分からないという話もある。

最近では、個別の感染動態を山のようにシミュレーションして、力業で計算したりすることもあるようだ(未確認)。

新型コロナの場合、60パーセントとか80パーセントとか言われていたけど、どうやらもっと低い値(20から40パーセント)で集団免疫を獲得できそうだという話もある。

どんな感染症でも、必ず集団免疫ができるとは限らない。

ウイルスの変異が早いとか、そもそも免疫機能をすり抜ける忍者のようなウイルスの場合、免疫自体が獲得できない。

前者がインフルエンザで、後者はHIVだな。

ワクチンは、集団免疫を前提にした防疫ツールだから、自然感染で集団免疫が成立するウイルス疾患には有効だ。

キレ(有効性)と持ち(持続性)が大切らしい。

この辺の話は、以下のリンクに詳しいので、詳細は割愛する。

(8割おじさん・西浦教授が語る「コロナ新事実」
アメリカが感染拡大の制御を止める可能性)
https://toyokeizai.net/articles/-/352503

(「人造ウイルスが米国から来たとは科学的に考えにくい」新型コロナの免疫とワクチンの話をしよう(下))
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200329-00170179/

(新型コロナの免疫とワクチンの話をしよう 免疫学の第一人者・宮坂先生にお尋ねしました(上))
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200328-00170083/

(新型コロナ対策で英政府が模索した「集団免疫」とは何か?)
https://www.technologyreview.jp/s/193398/what-is-herd-immunity-and-can-it-stop-the-coronavirus/

浮沈子的に気になっている話として、英国は途中でめげちゃったが、しぶとく粘っているスウェーデン(感染者34,440人、死者4,125人)がある。

(「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93307.php

(封鎖なしのスウェーデン、「集団免疫」には程遠い状況 首都の抗体率7.3%)
https://www.cnn.co.jp/world/35154212.html

致死率は確かに高いが、医療崩壊は起きていないそうだし、ロックダウンしていないとはいえ、我が国程度の行動抑制を行っている(我が国は、多くの小中学校が閉鎖されていたが、スウェーデンは開校を続けている)。

社会的距離政策は、それなりに機能しているのだ。

致死率についても、今後は大幅に増えることはないだろう。

初期の対応や、高齢者介護施設での死亡が祟ってしまったようだ。

感染者自体は、今後も増やしていく計画だから、いずれ集団免疫を獲得する可能性は高い。

第2波の流行が襲ってきても、上手くかわせる可能性がある。

(スウェーデン、新型コロナウイルスの死者4000人超える)
https://www.afpbb.com/articles/-/3284960

「死者の9割は70歳以上だと発表した。同国の人口は約1030万人。」

確かに、東京都より少ない人口で、4000人を超える死者はつらいところだ。

が、最近は新規死亡者は10人前後に減ってきている。

今後も、この状況を維持できるならいずれ集団免疫を獲得するに違いない。

元より、表面化している感染者は、ごく一部に留まる。

緩やかな低下傾向を見せてはいるが、一定の水準を維持し続けている。

感染制御されていることは間違いない。

「スウェーデン当局は、厳格な外出制限を課さずに国民の命で賭けをしていると批判されている。だが公衆衛生局は、この対応は長期的に継続可能なものであり、大胆かつ短期的な措置には社会への影響を正当化できるほどの効果はないと主張している。」

浮沈子が、なぜスウェーデンに注目しているかと言えば、我が国が今後の第二波を受けるにあたって、一定規模の感染を継続する可能性を示しているのではないかと考えるからだ。

急ブレーキを踏むのではなく、医療資源を充実させて重症者の対応を徹底する一方、検知機能(検査態勢や積極的疫学調査体制)を拡充して、社会経済活動を持続させたまま、一定の新規感染者を許容するという方策だ。

エンジンブレーキ政策みたいなもんか。

それがいつまで、どの程度で続くのかは分からない。

スウェーデンの政策は、他国が真似しようとしても、おいそれとはできないという話もある。

(コラム:「スウェーデン流」コロナ対策をマネできない理由)
https://jp.reuters.com/article/covid-sweden-breakingviews-idJPKBN22P0TW

・第1:幅広い政治的コンセンサス
→長期政策の安定的な維持

・第2:保健当局など政府を信頼
→強制力を伴わない政策の実現を担保

・第3:単身世帯が多い
→家庭内感染のリスク低減

これって、まあ、政府への信頼は別にしても、我が国にも当てはまるんじゃないのかあ?。

例えば、浮沈子が棲息する東京都の場合、地方政府は安定しているし、知事の要請に従う従順性もある(チェーンソーで首切ってやるという話は聞かない)。

単身世帯については、スウェーデン(56パーセント)には及ばないが、ほぼ半数に達していると推計されている。

(「東京都世帯数の予測」の概要)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/28/33.html

「2 東京都の家族類型別世帯:
2020年:48.3パーセント(推計値)」

一方で、都内のクラスターの中には、高齢者施設における感染もあったからな。

複数世代同居が多いイタリアやスペインが悪いとばかりは言えない。

強制力を伴わない、説得による要請で政策目標を達成しようというのは、あくまでもアプローチと実効性の問題で、本質じゃない。

教育や企業活動に対する影響にしても、我が国でも通勤を制限したりはしなかった。

公共交通機関は通常運行され、日本全国、何処へでも行くことができたわけだしな。

まあ、不要不急じゃない限りだがな。

輸入感染症の蔓延対策だから、国境における検疫が強化されるのは当然だが、それは何処の国でも同じ事だ。

何が異なるかと言えば、集団免疫を政策の中で明確に意識していること、医療体制を睨んで医療崩壊を起こさないことを明言していることだ。

浮沈子が見るところ、我が国では実質的な医療崩壊が起こっていたとみるべきだ。

国民の受診行動を抑制し、重症者においては、人工呼吸器の適用がひっ迫した(調査中)。

軽症者への対応が行き届かず、急変した感染者を救えなかったことも痛い経験になった。

もちろん、このままでは、集団免疫を容認する政策などは取れない。

脆弱過ぎるし、危う過ぎる。

しかし、米国をはじめとする国際社会からの開国圧力を受け、水際対策の緩和と共に、第一波とは桁違いの大流行に見舞われることは確実だ。

それをどう凌ぐのか。

再び急ブレーキを踏んで、社会経済を取り返しが付かない状況に追い込むのか、一定の感染を許容して、集団免疫の獲得を目指す政策に転換するのか。

我が国の市中感染は、多くても数パーセントと言われる(1パーセント未満というのが固いところか)。

最新の感染動態多様モデル(つーのかあ?)でも、低い方で20パーセント程度が集団免疫閾値とされている。

東京都の新規感染者のピークは、200人程度(当初201人だったが、後日206人に訂正)。

1400万人の2割である280万人に達するには、1万4千日掛る計算だ(38年余り!)。

やれやれ・・・。

仮に実際の感染者数は、その10倍だとしても、4年間の長期戦ということになる。

ワクチンの開発には、少なくとも数年かかることを考えれば、ここは政策を転換して、長期戦を想定した持続可能な方策に改める必要があるだろう。

遅かれ早かれ、世界中の国々はそうせざるを得なくなる。

重症化を抑える特効薬が出来ればそれはそれでいいし、罹っても絶対治るスーパー特効薬が出来れば、恐れるに足らないが、それだっていつになるかは分からない。

スウェーデンは、世界に先駆けてその態勢を確立したのかも知れない(ブラジルもそうだという、ドラスティックな議論はしない・・・)。

我が国は、彼の国を追いかけることができるんだろうか?。

高負担高福祉の社会体制が基盤にあるとしても、それは程度の差に過ぎないだろう(そうなのかあ?)。

政権に対する信頼は、一朝一夕には築けないけどな。

賭けマージャンやってる場合じゃないんじゃね?。

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