そもそも軌道に入れなかったのはなぜか:相変わらずの読込不足 ― 2020年09月22日 14:13
そもそも軌道に入れなかったのはなぜか:相変わらずの読込不足
スターライナーとクルードラゴンの違いは何か。
カッコが違うとか、海に落ちるのと陸上に落ちるのの違いとか、メーカーが違うとか、値段が違うとか、太陽電池の場所が違うとか、まあ、いろいろある。
しかし、浮沈子は運用思想の違いこそ、この両機の根本的な違いだろうと思っている。
スターライナーがOFT-1で軌道に入れなかったこと自体が、それを象徴している。
そもそも、軌道投入の失敗は、打ち上げロケットであるアトラスVに原因があるのではないかと考えるのがふつーだ。
なんたって、打ち上げロケットだからな。
最終的な軌道に入る微調整とかはペイロード側でするとしても、遷移軌道まで上げるのはロケット側の仕事のはずだ。
だが、そうはなっていなかった。
どこかで読んだ気がして、あやふやなままだったんだが、クルードラゴンのデモ2と比べてハッキリした。
(クルードラゴンデモ-2:タイムライン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Crew_Dragon_Demo-2#Timeline
「・T + 00:00:00(2020年5月30日19:22:45)—フロリダ州ケープカナベラルのLaunch Complex 39AからCrew Dragon宇宙船が打ち上げられました。
・T + 00:01:01(19:23:46)— Max-Q
・T + 00:02:38(19:25:23)— MECO
・T + 00:02:40(19:25:25)— Falcon 9のステージ分離。
・T + 00:08:50(19:31:35)— SECO
・T + 00:12:08(19:34:53)— エンデバーが第2ステージから分離します。
・T + 17:54(2020年5月31日13:56)— ISSとドッキングするためにクルードラゴンがウェイポイント1に到達します。
(以下略)」
ファルコン9は、定番通り軌道高度までしっかり上げ、加速し、クルードラゴンをISSを追っかけることができるまで運んでいる。
途中でクルードラゴンがロケットをバンバン焚いて加速を補ったり、ペリジーを上げるためのアポジキックをしたりはしない(まあ、多少はしたかも)。
スペースシャトルはそうではなかった。
(スペースシャトル:発射)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AB#%E7%99%BA%E5%B0%84
「ET分離直後は、軌道の近地点はまだ大気圏を離れてはいないので、そのままではまた大気圏に再突入することになる。そのため軌道船は軌道操縦システム (Orbital Maneuvering System, OMS) を噴射し、近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止する。一部の飛行(すなわちISSミッションなど)では、打上げ能力を確保するためにOMSが、メイン・エンジンの燃焼後期に並行して使用された。投入時の軌道をこのように設定しているのは、ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するためと、もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できるから、という安全上の理由もある。」
ET(外部燃料タンク:External Tank)を分離しちまったら、3基のSSME(スペースシャトルメインエンジン)は使えない。
OMSを吹かして増速するしかない。
・近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止
・ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するため
・もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できる
初めの理由は、OMSが点火しなかったらヤバいということになるのかも知れない。
スペースシャトルは、ブースター付き単段式ロケットとか言われることもあるようだが、メインエンジンだけでは軌道に達しないような運用なわけだから、少なくとも非分離式二段ロケットになるんだろう(あるいは、燃料タンク分離式2段ロケットとか)。
用済みのSSMEを持って帰るために、オービターにくっ付けてるようなもんだ。
そういう意味では、OMSは第二段エンジンということになる。
メインの理由は、もちろん3つ目の安全確保のためで、そういう軌道(準軌道)に配置することによって、不測の事態が起こっても安全に帰還できる運用にしたということだろう。
スターライナーは、この考え方に則って運用される。
(ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、トラブル発生で地球に早期帰還)
https://news.mynavi.jp/article/20191227-947223/
「ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約15分後にスターライナーを分離。計画どおりの軌道へ投入した。」
「このときスターライナーと、アトラスVの2段目機体は、完全な地球周回軌道ではなく、近地点高度(地表に最も近い点)が約73kmと、大気圏の中に入り込んだ、サブオービタル軌道に入っていた。これは、もしスターライナーのスラスターなどにトラブルが起きても、そのまま自然に大気圏に再突入して地球に緊急帰還できること、またアトラスVの2段目機体を早期に大気圏に落として処分することを狙ったものである。ちなみにスペース・シャトルの打ち上げでも同じように、緊急時の帰還と、外部燃料タンクの処分を目的に、一旦サブオービタル軌道に投入していた。」
「そのためスターライナーは、分離から約16分後に、OMAC(Orbital Maneuvering and Attitude Control)と呼ばれるスラスターを噴射し、近地点高度を上げることになっていた。これは宇宙船側で自動で行われるはずだったが、しかしなんらかのトラブルが起き、噴射は行われず、軌道変更に失敗。さらにこのとき、姿勢制御用のRCS(Reaction Control System)スラスターが不意に、それも過度に噴射したことが確認され、燃料を大量に浪費した。」
あとは我々が既に知るところだ。
OMACとかRCSとかについては、エアロジェットロケットダインのページに詳しい。
(21世紀の宇宙船を動かす)
https://www.rocket.com/space/human-exploration/cst-100-starliner
「サービスモジュール軌道操縦および姿勢制御エンジン(SMOMACE):
各スターライナーサービスモジュールには、軌道操縦をサポートするためにそれぞれ1500ポンドの推力を生成する20個のAerojet Rocketdyneエンジンが装備されます。それらはまた、低高度発射中止の場合の姿勢制御を提供し、高高度での直接中止機能を提供します。」
「サービスモジュールの反応制御システムエンジン(SMRCS):
Starlinerサービスモジュール上のAerojet Rocketdyneの反応制御システム(RCS)エンジンは、それぞれ100ポンドの推力を生成し、軌道上での操縦と宇宙ステーションの再ブーストに使用されます。また、高高度での中止が発生した場合に姿勢を制御します。各Starlinerサービスモジュールには、28個の反応制御システムエンジンが搭載されます。」
「搭乗員モジュール反応制御エンジン(CMRCS):
Starliner搭乗員モジュールは、12個のAerojet Rocketdyne MR-104Jスラスタを使用して、大気圏再突入時に方向を変えます。 」
クルーモジュールにも、再突入時の姿勢制御用エンジンが積まれている。
こいつでコントロールしながら、最適な角度と姿勢を維持し、断熱圧縮による温度上昇を押さえ、再突入時の加速度を軽減して乗員を守るわけだ。
で、この他にも緊急脱出用エンジンが4つあるわけだが、ここでは割愛する。
タイマーの異常から肝心な時に吹かなかったのはSMOMACEで、勘違いして吹きまくったのがSMRCSというわけだ(たぶん)。
打上げに当たって、サブオービタルに一度入れ、それから宇宙船側のエンジン吹かして軌道投入する運用については、別記事にも上がっている。
(スターライナーの軌道飛行試験のAtlas 5打ち上げタイムライン)
https://spaceflightnow.com/2019/12/19/atlas-5-launch-timeline-for-starliners-orbital-flight-test/
「アトラス5の打ち上げシーケンスは、打ち上げからロケットのデュアルエンジンケンタウロスの上段からスターライナー宇宙船が配備されるまでの約15分間続きます。ロケットは平坦で浅い軌道を飛行して宇宙飛行士のg力を軽減するため、Atlas 5は、地球の周りの安定した軌道に到達するのに必要な速度に少し遅れて、Starliner宇宙船を解放します。」
「スターライナーの軌道操作および姿勢制御エンジンは、打ち上げ後約31分で約40秒間点火し、カプセルを安定した軌道に加速して宇宙ステーションへの旅を開始します。」
記事の最後にはフライトプロファイルの図が出ているが、スターライナーのエンジン噴射は描かれていない。
ペイロード側の事情には、一切関与しないという打ち上げ会社のキッパリとした姿勢だな(もちろん、ULAの打ち上げ業務としては大成功だ!)。
ズーマを打ち上げた時のスペースXを思い出すな。
まあ、どうでもいいんですが。
ロケットダインだってキッチリ仕事したわけで、システムに言われた通り噴射したりしなかったりしただけだ(俺は悪くない!)。
パーシャルなサブオービタル軌道投入が正解なのか、ダイレクトに軌道投入するのが正解なのかは分からない。
B社が、スペースシャトルの方式を意識したことは間違いないし、NASAは、それを好ましいと受け取ったに違いない(未確認)。
再使用を前提とした陸上への帰還は挑戦的だが、それ以外は、コンサバなデザイン、パラシュート着陸など、外連味のない作りになっている。
アグレッシブを形にするとこうなるというクルードラゴン(初期には、陸上にスーパードラコ噴射してパワードランディングするつもりだったからな:もちろん再使用)とは、真逆だ。
パラシュートで海上着水になり、一時は使い捨てとつまらん宇宙船になったが、再使用は取り戻した。
打上げプロファイルの違いは、こういった両社の発想の違いを反映している。
B社は石橋を叩いて渡る運用を狙ったが、叩いていたら杖が折れた感じだ(そうなのかあ?)。
S社は、石橋の欄干の上を、バランス取りながら渡っている(そういうことかあ?)。
そのうちきっと、パワードランディングを再度提案してくるに違いない。
ひょっとしたら、サブオービタル運用だってやりかねない(スーパードラコは、ビミョーな調整も出来そうだからな:パワードランディングさせようというくらいだからな)。
石橋を飛び越えて良し、叩いて渡って良し・・・。
逆に、スターライナーが、今回の件に懲りて、サブオービタル運用を見直すかもしれない。
色気を出さずに、コンサバな運用にしとけばよかった・・・。
いや、そうじゃないだろう。
安全のために、敢えて困難な運用を選択し、それを追求し続けてこそのB社であってもらいたいものだ。
昨年のOFT-1で、適時噴射されなかったSMOMACEが、その後、軌道上のテストで正常に機能したかどうかは知らない(未調査)。
調べる程に、様々な事象が出てくるスターライナー(つーか、今まで余り関心なかったしな)。
スペースXネタが溢れてくれば、また興味も失せてしまうだろう。
CEOがマリファナ吸っちゃったりして、ラリった会社と誤解されているS社に比べて、B社は面白みに欠ける。
弁護士と会計士は厚遇されても、技術者は冷や飯だしな(そうなのかあ?)。
再突入プロセスのテストを、実機のソフトとは異なるエミュレーターで行って、しかも、2パターンある片一方のデータだけでテストして、社内パスさせちゃうしな。
実機の方は他で使ってたから、手元になかったってよ。
CFTでは、自社の宇宙飛行士も乗せて飛ばすんだそうだ。
どーなってんだか・・・。
せっかく、安全率が高い高邁な運用思想で開発しても、実体が伴わなければ絵に描いた餅。
食えない話か・・・。
スターライナーとクルードラゴンの違いは何か。
カッコが違うとか、海に落ちるのと陸上に落ちるのの違いとか、メーカーが違うとか、値段が違うとか、太陽電池の場所が違うとか、まあ、いろいろある。
しかし、浮沈子は運用思想の違いこそ、この両機の根本的な違いだろうと思っている。
スターライナーがOFT-1で軌道に入れなかったこと自体が、それを象徴している。
そもそも、軌道投入の失敗は、打ち上げロケットであるアトラスVに原因があるのではないかと考えるのがふつーだ。
なんたって、打ち上げロケットだからな。
最終的な軌道に入る微調整とかはペイロード側でするとしても、遷移軌道まで上げるのはロケット側の仕事のはずだ。
だが、そうはなっていなかった。
どこかで読んだ気がして、あやふやなままだったんだが、クルードラゴンのデモ2と比べてハッキリした。
(クルードラゴンデモ-2:タイムライン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Crew_Dragon_Demo-2#Timeline
「・T + 00:00:00(2020年5月30日19:22:45)—フロリダ州ケープカナベラルのLaunch Complex 39AからCrew Dragon宇宙船が打ち上げられました。
・T + 00:01:01(19:23:46)— Max-Q
・T + 00:02:38(19:25:23)— MECO
・T + 00:02:40(19:25:25)— Falcon 9のステージ分離。
・T + 00:08:50(19:31:35)— SECO
・T + 00:12:08(19:34:53)— エンデバーが第2ステージから分離します。
・T + 17:54(2020年5月31日13:56)— ISSとドッキングするためにクルードラゴンがウェイポイント1に到達します。
(以下略)」
ファルコン9は、定番通り軌道高度までしっかり上げ、加速し、クルードラゴンをISSを追っかけることができるまで運んでいる。
途中でクルードラゴンがロケットをバンバン焚いて加速を補ったり、ペリジーを上げるためのアポジキックをしたりはしない(まあ、多少はしたかも)。
スペースシャトルはそうではなかった。
(スペースシャトル:発射)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AB#%E7%99%BA%E5%B0%84
「ET分離直後は、軌道の近地点はまだ大気圏を離れてはいないので、そのままではまた大気圏に再突入することになる。そのため軌道船は軌道操縦システム (Orbital Maneuvering System, OMS) を噴射し、近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止する。一部の飛行(すなわちISSミッションなど)では、打上げ能力を確保するためにOMSが、メイン・エンジンの燃焼後期に並行して使用された。投入時の軌道をこのように設定しているのは、ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するためと、もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できるから、という安全上の理由もある。」
ET(外部燃料タンク:External Tank)を分離しちまったら、3基のSSME(スペースシャトルメインエンジン)は使えない。
OMSを吹かして増速するしかない。
・近地点をより高い高度に設定してETと衝突するのを防止
・ETを宇宙空間に放出せず大気圏内で廃棄するため
・もしOMSが点火しなかったり、何らかの理由で搭載室のドアが開かなくなるような事態が発生しても、このような軌道にしておけば自動的に地球に帰還できる
初めの理由は、OMSが点火しなかったらヤバいということになるのかも知れない。
スペースシャトルは、ブースター付き単段式ロケットとか言われることもあるようだが、メインエンジンだけでは軌道に達しないような運用なわけだから、少なくとも非分離式二段ロケットになるんだろう(あるいは、燃料タンク分離式2段ロケットとか)。
用済みのSSMEを持って帰るために、オービターにくっ付けてるようなもんだ。
そういう意味では、OMSは第二段エンジンということになる。
メインの理由は、もちろん3つ目の安全確保のためで、そういう軌道(準軌道)に配置することによって、不測の事態が起こっても安全に帰還できる運用にしたということだろう。
スターライナーは、この考え方に則って運用される。
(ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、トラブル発生で地球に早期帰還)
https://news.mynavi.jp/article/20191227-947223/
「ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約15分後にスターライナーを分離。計画どおりの軌道へ投入した。」
「このときスターライナーと、アトラスVの2段目機体は、完全な地球周回軌道ではなく、近地点高度(地表に最も近い点)が約73kmと、大気圏の中に入り込んだ、サブオービタル軌道に入っていた。これは、もしスターライナーのスラスターなどにトラブルが起きても、そのまま自然に大気圏に再突入して地球に緊急帰還できること、またアトラスVの2段目機体を早期に大気圏に落として処分することを狙ったものである。ちなみにスペース・シャトルの打ち上げでも同じように、緊急時の帰還と、外部燃料タンクの処分を目的に、一旦サブオービタル軌道に投入していた。」
「そのためスターライナーは、分離から約16分後に、OMAC(Orbital Maneuvering and Attitude Control)と呼ばれるスラスターを噴射し、近地点高度を上げることになっていた。これは宇宙船側で自動で行われるはずだったが、しかしなんらかのトラブルが起き、噴射は行われず、軌道変更に失敗。さらにこのとき、姿勢制御用のRCS(Reaction Control System)スラスターが不意に、それも過度に噴射したことが確認され、燃料を大量に浪費した。」
あとは我々が既に知るところだ。
OMACとかRCSとかについては、エアロジェットロケットダインのページに詳しい。
(21世紀の宇宙船を動かす)
https://www.rocket.com/space/human-exploration/cst-100-starliner
「サービスモジュール軌道操縦および姿勢制御エンジン(SMOMACE):
各スターライナーサービスモジュールには、軌道操縦をサポートするためにそれぞれ1500ポンドの推力を生成する20個のAerojet Rocketdyneエンジンが装備されます。それらはまた、低高度発射中止の場合の姿勢制御を提供し、高高度での直接中止機能を提供します。」
「サービスモジュールの反応制御システムエンジン(SMRCS):
Starlinerサービスモジュール上のAerojet Rocketdyneの反応制御システム(RCS)エンジンは、それぞれ100ポンドの推力を生成し、軌道上での操縦と宇宙ステーションの再ブーストに使用されます。また、高高度での中止が発生した場合に姿勢を制御します。各Starlinerサービスモジュールには、28個の反応制御システムエンジンが搭載されます。」
「搭乗員モジュール反応制御エンジン(CMRCS):
Starliner搭乗員モジュールは、12個のAerojet Rocketdyne MR-104Jスラスタを使用して、大気圏再突入時に方向を変えます。 」
クルーモジュールにも、再突入時の姿勢制御用エンジンが積まれている。
こいつでコントロールしながら、最適な角度と姿勢を維持し、断熱圧縮による温度上昇を押さえ、再突入時の加速度を軽減して乗員を守るわけだ。
で、この他にも緊急脱出用エンジンが4つあるわけだが、ここでは割愛する。
タイマーの異常から肝心な時に吹かなかったのはSMOMACEで、勘違いして吹きまくったのがSMRCSというわけだ(たぶん)。
打上げに当たって、サブオービタルに一度入れ、それから宇宙船側のエンジン吹かして軌道投入する運用については、別記事にも上がっている。
(スターライナーの軌道飛行試験のAtlas 5打ち上げタイムライン)
https://spaceflightnow.com/2019/12/19/atlas-5-launch-timeline-for-starliners-orbital-flight-test/
「アトラス5の打ち上げシーケンスは、打ち上げからロケットのデュアルエンジンケンタウロスの上段からスターライナー宇宙船が配備されるまでの約15分間続きます。ロケットは平坦で浅い軌道を飛行して宇宙飛行士のg力を軽減するため、Atlas 5は、地球の周りの安定した軌道に到達するのに必要な速度に少し遅れて、Starliner宇宙船を解放します。」
「スターライナーの軌道操作および姿勢制御エンジンは、打ち上げ後約31分で約40秒間点火し、カプセルを安定した軌道に加速して宇宙ステーションへの旅を開始します。」
記事の最後にはフライトプロファイルの図が出ているが、スターライナーのエンジン噴射は描かれていない。
ペイロード側の事情には、一切関与しないという打ち上げ会社のキッパリとした姿勢だな(もちろん、ULAの打ち上げ業務としては大成功だ!)。
ズーマを打ち上げた時のスペースXを思い出すな。
まあ、どうでもいいんですが。
ロケットダインだってキッチリ仕事したわけで、システムに言われた通り噴射したりしなかったりしただけだ(俺は悪くない!)。
パーシャルなサブオービタル軌道投入が正解なのか、ダイレクトに軌道投入するのが正解なのかは分からない。
B社が、スペースシャトルの方式を意識したことは間違いないし、NASAは、それを好ましいと受け取ったに違いない(未確認)。
再使用を前提とした陸上への帰還は挑戦的だが、それ以外は、コンサバなデザイン、パラシュート着陸など、外連味のない作りになっている。
アグレッシブを形にするとこうなるというクルードラゴン(初期には、陸上にスーパードラコ噴射してパワードランディングするつもりだったからな:もちろん再使用)とは、真逆だ。
パラシュートで海上着水になり、一時は使い捨てとつまらん宇宙船になったが、再使用は取り戻した。
打上げプロファイルの違いは、こういった両社の発想の違いを反映している。
B社は石橋を叩いて渡る運用を狙ったが、叩いていたら杖が折れた感じだ(そうなのかあ?)。
S社は、石橋の欄干の上を、バランス取りながら渡っている(そういうことかあ?)。
そのうちきっと、パワードランディングを再度提案してくるに違いない。
ひょっとしたら、サブオービタル運用だってやりかねない(スーパードラコは、ビミョーな調整も出来そうだからな:パワードランディングさせようというくらいだからな)。
石橋を飛び越えて良し、叩いて渡って良し・・・。
逆に、スターライナーが、今回の件に懲りて、サブオービタル運用を見直すかもしれない。
色気を出さずに、コンサバな運用にしとけばよかった・・・。
いや、そうじゃないだろう。
安全のために、敢えて困難な運用を選択し、それを追求し続けてこそのB社であってもらいたいものだ。
昨年のOFT-1で、適時噴射されなかったSMOMACEが、その後、軌道上のテストで正常に機能したかどうかは知らない(未調査)。
調べる程に、様々な事象が出てくるスターライナー(つーか、今まで余り関心なかったしな)。
スペースXネタが溢れてくれば、また興味も失せてしまうだろう。
CEOがマリファナ吸っちゃったりして、ラリった会社と誤解されているS社に比べて、B社は面白みに欠ける。
弁護士と会計士は厚遇されても、技術者は冷や飯だしな(そうなのかあ?)。
再突入プロセスのテストを、実機のソフトとは異なるエミュレーターで行って、しかも、2パターンある片一方のデータだけでテストして、社内パスさせちゃうしな。
実機の方は他で使ってたから、手元になかったってよ。
CFTでは、自社の宇宙飛行士も乗せて飛ばすんだそうだ。
どーなってんだか・・・。
せっかく、安全率が高い高邁な運用思想で開発しても、実体が伴わなければ絵に描いた餅。
食えない話か・・・。
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