テックかあ?2014年07月16日 13:52

テックかあ?
テックかあ?


タイプRとタイプTという器材の区分をして、レクリエーショナルの世界に明確にリブリーザーを持ち込んだPADIだが、トレーニングコースのページでは、相変わらずテクニカルのページに区分されているのはどういうわけか。

(PADI COURSE CATALOG)
http://www.padi.com/scuba-diving/padi-courses/course-catalog/

「Technical Courses:
・Advanced Rebreather Diver
・Discover Rebreather
・Discover Tec Diving
・Rebreather Diver
・Tec 40
・Tec 45
・Tec 50
・Tec Trimix 65
・Tec Trimix Diver
・Tec Gas Blender
・Tec 40 CCR
・Tec 60 CCR
・Tec 100 CCR
・Tec Sidemount」

器材の運用を簡略にして、レクリエーショナルレベルで、たった6ダイブでリブリーザーを使わせるという画期的なプログラムを組んでいながら、米国版のホームページでは、しっかりテックに入っている。

浮沈子がIANTDで認定を受けた時、40mまでの認定だったが、特にテクニカルダイビングという括りではなかった。

もちろん、ベイルアウトは持ち込むし、マーカーブイの射出も行い、減圧プログラムの勉強もした上でだったが、普通のダイビングだった。

ノーモキシックトライミックス講習の中では、バンバン減圧(まあ、軽めですが)して、どちらかというと減圧しないダイビングの方が少なかったために、ちゃんと計画立てて減圧しない、ダイコン頼みでいいかげんに浮上する(そのくせ、6m未満でないと安全停止をカウントしない!)一般のレクリエーショナルダイビングが怖くて仕方ない。

まあ、PADIの日本語版のホームページでは、テキストのさわりの部分を翻訳して紹介しているだけで、正式なコースの開催についての情報はない。

(リブリーザーで広がる新しい世界)
http://www.padi.co.jp/visitors/CCR/index.asp

まあ、日本語のテキストが出来ていないので、大々的に宣伝するわけにもいかないのかもしれない。

(2.CCRとSCRの基礎機能)
http://www.padi.co.jp/visitors/CCR/con2.asp

「スクラバーは多孔、吸着性のカートリッジで、そこをガスが通過することにより科学的に二酸化炭素(CO2)を取り除きます。」

「科学的」という訳が思いっきり気になって、せっかく買い求めた英語のテキストを読むと、ちゃんとケミカリー(化学的)と明記されている。

「The scrubber is a cartridge of porous CO2 absorbent that chemically reacts with and removes waste carbon dioxide(CO2)as the gas passes through it.」(18ページ、右段の中央付近)

まあいい。

実際に、リブリーザーを使用したことがない方が翻訳され、さらにはPADIジャパンの中で、十分チェックされていない状態でホームページに掲載されてから、もう、2年近く放置されているというのは嘆かわしい話である。

(安全なダイビング)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/09/19/6578681

「吸ったガスを、ただ吐き出すのが勿体無いからと、二酸化炭素を化学的(「科学的」ではないですよ、PADIさん!)に除去して、消費した酸素を注ぎ足して、再呼吸したりもする。」

このブログの、2012年の9月の記事だ。

誰も気付かないのか、気付いても指摘もしないのか、指摘されても直す気がないのか、それとも、英文のテキストが間違っているのかあ?(そんなことは、ありません!)。

まあ、どうでもいいんですが。

我が国に於いて、リブリーザーの普及が遅れている現状を象徴しているようだ。

いずれにしても、PADIジャパンのホームページでは、リブリーザーコースについての明確なアナウンスはない。

少なくとも、浮沈子には見つけられなかったし、どこのファシリティで開催されているかという情報もない。

テクニカルダイビングとレクリエーショナルダイビングの垣根を取り払い、継続教育として一貫したプログラムを組んだPADIは、しかし、急激な変化に追いついていけずに混乱しているようだ。

追い討ちをかけるように、オープン・ウォーター・ダイバー・コースの大変革がやってきている(生徒用テキストは、7月1日から発売)。

ホリゾンタルトリムとか、テクニカル的な用語が入ってきて、もう、中性浮力を取れないダイバーを粗製乱造することは出来なくなってきている(今年は、まだ経過措置中?)。

とても、リブリーザーどころではないだろう。

そんでもって、リブリーザーがレクリエーショナルダイビングにカテゴライズされて、中性浮力を確保しろとか言われたら、ビギナーダイバーは、どうすりゃいいんじゃい!。

そもそも、テクニカルダイビングもないし、スペシャルティでもないし、ダイバーのスキルランクでもない、レクリエーショナルレベルのリブリーザーの扱いは、PADIのコース体系の中で、必ずしも明確ではない。

参加条件を見ると、基礎コースでは、オープン・ウォーター・ダイバーで、25本以上のダイビング経験が求められている。

(PADI リブリーザーコース)
http://www.poseidon-j.com/#!padi/c242q

ナイトロックスのスペシャリティも必要だ。

浮沈子は、TDIでファンダイビング10本でナイトロックスの講習(座学だけ)を受けた。

少なくとも、ノンダイバーではリブリーザーは始められないし、呼吸するガスについての基本的な知識は前提として要求されているのだ。

アドバンスになると、アドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバーの認定が終了時の条件になってくる。

まあ、別になくても認定は受けられるかもしれないが、最大水深が30mということになるらしい。

何をいいたいかというと、基礎的なダイビングの知識やスキルは、オープン・サーキットでちゃんと身に着けてこい!、ということなんだなあと、改めて思うわけだ。

オープンサーキットあってのリブリーザーなのである。

そりゃあ、CCRで中性浮力取れていても、ベイルアウトに切り替えた途端、墜落したり吹き上がったりしたら目も当てられないじゃん・・・。

カウンターラングの浮力のコントロールの問題もあって、オープンサーキットの経験浅く(20本で)CCRを始めた浮沈子が苦労したスキルである。

何かあったら、とにかくオープンサーキットに切り替えてベイルアウトするというのは、そもそもそれで安全にアセントできるという前提があればこそのスキルであり、レクリエーショナルレベルでもリブリーザーを運用できるぞというコース設定の基礎になっている。

だから、PADIでは、レクリエーショナルレベルとはいえ、ノンダイバーにいきなりCCRを教えることはしない。

浮沈子のように、殆どそれに近い状況でCCRを始めて、今さらオープンサーキットで苦労するなどということはないのだ(しかし、25本じゃあ同じだなあ)。

そうすると、どちらかといえば、スペシャリティになるのかなあ?。

リブリーザー・スペシャリティーであるな。

サイドマウントや、セルフ・リライアントに近いかもしれない。

そう考えると、レクリエーショナルレベルのリブリーザーのPADIでの位置付けが、少し分かってくる。

基本、オープンサーキットなのだ。

そこで、必要な知識を身に付けた上で、高価な器材で遊んでください、と。

ダブルタンクの運用を可能にするサイドマウントにしたって、従来の潜水時間を単純に2倍にすることが可能なのだから、本来はテクニカルダイビングの範疇にして、潜水計画や減圧についても教え、純酸素や高濃度のナイトロックスによる加速減圧までできないと、安全なダイビングなんて出来ないわけだし。

予備の呼吸ガスを持ち込んで、冗長性を高めて安全性を増大させるはずが、かえって減圧症のリスクを高めることになってしまっては元も子もない。

(「第11回/テック・サイドマウント -1-」)
http://www.padi.co.jp/visitors/column/tecrec11.asp

「レクリエーショナルとテクニカルはダイビングを行なう「環境」で区別しなければいけません。あくまで、レクリエーショナル・ダイビングの限界を超える、減圧が必要なダイビング及び/又は長く続くオーバヘッド環境へのダイビングがテクニカル・ダイビングです。なので、タンクを2本左右に抱えて潜るサイドマウント・ダイビングというだけではテクニカル・ダイビングとは言えません。」

レクリエーショナルの世界に、テクニカルで開発された器材を持ち込むということは、その使い方を誤るとリスクを増大させることになりかねず、それを防ぐためには運用でしっかりと箍を嵌めておかなければならない。

それでも足りないと思えば、タイプRのCCRのように、酸素のマニュアルインフレーターをとっぱらってしまうしかない。

浮沈子は、それは本末転倒だと思うのだが、まあ、一つの方法ではある。

考えてみれば、シングルタンクでバディシステムで水深40mまで、シーリングなし(無限圧含む)というレクリエーショナルダイビングのスタンダードは、現在見直しが進んでいる。

PADIを初めとして、ディープ講習を受けたとしても、推奨最大水深は30m辺りだし、今では当たり前のダイコンを前提にしたダイビングでは、6m未満の安全停止を行わないと、ダイコン殿にペナルティを喰らう。

さらに、ディープストップなんてやられたら、もう、立派な減圧ダイビングのプロファイルである。

極端なマルチレベルダイビングは、推奨されていないし、ガイドのテクニックとしても、深いところから徐々に浅い深度に上がってきて、しかも急な深度変化を与えないコース取りが求められている。

潜行・浮上速度の管理も重要視されていて、毎分9mは当たり前、浮上などは、できれば6mとかが推奨だ。

1秒10cmの浮上コントロールって、CCRじゃ地獄以外の何物でもない!。

浮沈子は、レクリエーショナルダイビングで、計画された減圧を行うようになるのは時間の問題だと考えている。

器材だけがテックになってきたわけではないのだ・・・。

そう、全てのダイビングが、限りなくテックに近くなってきたわけだし、その意味では、サイドマウントのダブルタンク、セルフリライアントのベイルアウトシリンダーと共に、リブリーザーもテクニカルの世界から降り立った異星人として、ダイビング全体を変えていこうとしているのかもしれない。

リブリーザーは、PADIの中でも、たぶん未だにグレーゾーンなのだろう。

英語版のページですら、基礎コースとアドバンスは明確にレクリエーショナル用のはずなのに、テクニカルのコースにカテゴライズされているのがその証拠だ。

オープンサーキットとは別のゲテモノ、レクリエーショナルな世界に馴染めない、CCRなどは、他の潜水器と隔絶した性能を持つダイビングギアである。

ファンダイブでビーチエントリーしたら、いきなりクジラが出たようなもんだな(そういう例えかあ?)。

参考までに、ドイツ語版のページも見てみた。

(Technische Tauchkurse)
http://www.padi.com/scuba/tauchen/padi-Kurse/Technische-Tauchkurse/default.aspx

リブリーザーコースは、しっかりテシュニッシュのページに出ている。

フランス語版も同じだ。

(PADI TecRec)
http://www.padi.com/scuba/templates/fr-adzone1.aspx?id=5694&LangType=1036

割愛するが、イタリア語版、スペイン語版、オランダ語版、韓国語版、中国語版の全てに該当するページがある(全て、テクニカルとしてカテゴライズされている)。

世界の中で、日本だけが孤立しているというわけだ(該当するページがない)。

・・・。

これって、何か異常な感じがするな。

それにしても、全世界がこぞってテック(PADI語では、テックレック)に区分しているというのも、別の意味で異常だ。

レクリエーショナル向けだって、そういうふれ込みだから期待していたのに、これでは、誤った情報の発信になってしまう。

やっぱ、テックなんだ、と。

ゲテモノなんだ、と。

まともなダイバーが、手を出すもんじゃないんだ、と。

いや、それならそれでもいい。

その代わり、タイプRなんて欠陥品を認定しないで、フルスペックのタイプTだけにして、初めからテクニカルコースとして開催してもらいたい。

もちろん、テック40CCRだって、初めから選択できるわけだから、そっちを最初から選べばいいだけだといわれれば、そういうことになる。

(TEC 40 CCR DIVER)
http://www.padi.com/scuba-diving/PADI-Courses/Course-Catalog/Tec-40-CCR-Diver/

別に、タイプRの認定を受けている必要はないのだ。

テック60や、テック100については、それ以下の特定のタイプTの機種について認定を受けている必要がある。

まあ、それにしても、いきなりテック40にチャレンジするよりは、レクリエーショナルレベルであれ、リブリーザーに馴染んでいた方がいいには違いない(いや、そんな必要はない、という方は、浮沈子的には大変心強いな!)。

イントラのいうとおり、器材はあくまで道具であって、ダイビングの環境によって選択されるべきだ。

その意味では、リブリーザーが、テックかどうかという議論に意味はない。

浮沈子は、テクニカルでもいいんだが、レクリエーショナルレベルで、浅く明るく暖かいCCR(SCRじゃなくって)ダイビングが普及するのが、身体にも財布にも一番いいと考えている。

40mまでのダイビングだって、十分楽しめるし。

せっかくタイプRを使ったダイビングをレクリエーショナルにカテゴライズしたんだから、そういう器材だというPADIとしての発信を、しっかりと行ってもらいたいものだ。

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